フィデリティ・USリート・ファンドと並び、かつて純資産総額が
1兆円をこえていたフィデリティ・USハイ・イールド・ファンド。

 

私のお客様でもフィデリティ・USハイ・イールド・ファンドを
保有している方が複数名おり、実際どうすればよいかよく聞かれる
ので、私なりにこちらのファンドを分析してみました。

 

ぜひ参考にしてください。

 

 

フィデリティ・USハイ・イールド・ファンドの基本情報

投資対象は?

フィデリティ・USハイ・イールド・ファンドは米ドル建ての
高利回り事業債(ハイ・イールド債)を中心に500銘柄近くに
分散投資をしています。

 

ハイ・イールド債というのは、ムーディーズやS&P社といった
格付機関が、債券の元本・利息が償還時まで、どの程度確実に
支払われるかを評価しており、下記の分類される債券を
ハイ・イールド債と呼んでいます。

 


※引用:交付目論見書

 

投資家目線で言えば、利回りは高いに越したことはありませんが、
注意してほしいのは、ハイ・イールド債は投資のプロである機関投資家が
「投資不適格」と判断し、通常であれば投資をしない債券です。

 

分散することでリスクヘッジはしていますが、プロから見ると、
そこまで魅力的な債券ではないということは理解しておいてください。

 

フィデリティ・USハイ・イールド・ファンドの現在の格付別の比率は
以下のようになっています。

 

直接利回りで6%~7%台の債券ですので、通常の債券よりは
かなりリスクの高い債券が組入られていることがわかります。

 


※引用:マンスリーレポート

 

業種別で見ると、エネルギーや通信のハイ・イールド債の
比率が高くなっているようです。


※引用:マンスリーレポート

 

運用体制は?

運用体制は、フィデリティグループはハイ・イールド債券の
運用実績が35年超あり、ハイ・イールド債券専任の運用・調査
メンバーが40名ほどおり、かなり充実した運用体制となっています。

 

債券アナリストは200名を超える株式アナリストが常に情報共有し、
多面的に債券の発行体企業の分析を行っています。

 

ファンドマネージャーのスティーブ・ビューラーは2003年12月以来、
15年ほどフィデリティ・USハイ・イールド・ファンドのマネージャー
を務めているベテランです。

 

世界的に見てもここまで運用体制が充実していることは滅多に
ありませんね。

 

純資産総額は?

純資産総額というのは、あなたを含めた投資家から集めた資金の
総額だと思ってください。

 

ファンドの純資産総額が小さいと、適切なタイミングで売買でき
なかったり、コストが嵩みますので、事前に確認すべきポイント
の1つです。

 

フィデリティ・USハイ・イールド・ファンドの純資産総額は、
約5200億円となっています。

 

一時期は1兆円を超えていたので、そこから考えるとかなり規模は
小さくなりましたが、それでもまだ巨大ファンドです。

 


※引用:マンスリーレポート

 

実質コストは?

私たちが支払うコストには、目論見書に記載の信託報酬以外に、
株式売買委託手数料や、保管費用、印刷費用などが含まれています。

 

そのため、実際に支払うコストは、目論見書記載の額より高くなる
のが通例で、実際にかかる実質コストをもとに投資判断をしなければ
なりません。

信託報酬を信用するな。知らないうちに差し引かれている実質コストの調べ方

 

フィデリティ・USハイ・イールド・ファンドの実質コストは1.75%と
かなり割高です。

 

購入手数料と合わせると5%近く初年度は取られるので、購入は
慎重にならざるを得ません。

投資信託の手数料は安ければ安いほどいいという勘違い

購入時手数料 3.3%(税込)※上限
信託報酬 1.738%(税込)
信託財産留保額 0
実質コスト 1.75%(概算値)

※引用: 最新運用報告書

 

フィデリティ・USハイ・イールド・ファンドの評価情報

基準価額をどう見る?

フィデリティ・USハイ・イールド・ファンドの直近3年の基準価額
の推移を見ると、約25%ほど下落していることがわかります。

 

分配金を受け取らずに再投資した場合の基準価額(青線)を見ると、
コロナショック前までは上昇していましたが、コロナショックで
急落し、3年間の利益をほとんど吹き飛ばしています。

 

また基準価額の下落により、分配金利回りが高くなっており、
今後さらに苦しい展開に追い込まれていくことが明白です。

 


※引用:モーニングスター

 

利回りはどれくらい?

フィデリティ・USハイ・イールド・ファンドの直近1年の利回りは
▲3.16%です。

 

3年、5年平均利回りもなんとかプラスを維持してはいますが、
運用会社や販売会社の信託報酬のほうが高いので、あなたが
儲けるためというよりも、運用会社を儲けさせるために投資を
しているようなものですね。

 

ちなみにあなたは実質利回りの計算方法はすでに理解していますか?
もし、理解していないのであれば、必ず理解しておいてください。

これがわかっていないとマズイ。実質利回りの計算方法。

平均利回り 2020年1月 2020年7月
1年 12.99% ▲3.16%
3年 3.47% 0.35%
5年 3.15% 0.68%
10年 8.12% 7.31%

※2020年7月時点

 

同カテゴリー内における利回りランキング(上位●%)の変化

フィデリティ・USハイ・イールド・ファンドは、ハイイールド債券
カテゴリーに属しています。

 

投資をするのであれば、同じカテゴリーでも優秀なパフォーマンス
のファンドに投資をしたいと思うので、同カテゴリー内でもパフォー
マンスのランキングは事前に調べておいて損はありません。

 

フィデリティ・USハイ・イールド・ファンドは、どの期間で見ても、
上位20%前後に位置しており、カテゴリー内では優秀な部類に入る
ことがわかります。

 

ただし、前述のとおり、あの程度のパフォーマンスでは、投資をする
価値があるとは思えません。

平均利回り(上位●%) 2020年1月 2020年7月
1年 33% 28%
3年 24% 20%
5年 14% 17%
10年 16% 20%

※2020年7月時点

 

年別のパフォーマンスは?

フィデリティ・USハイ・イールド・ファンドの年別のパフォーマンス
を見てみましょう。

 

プラスの年とマイナスの年が交互になっているような状態で、
なかなか収益を伸ばすことができていません。

 

そんな中で、高い配当は出し続けていますので、かなり危険な
運用がなされていると言えます。

年間利回り
2020年 ▲6.67%(1-6月)
2019年 12.99%
2018年 ▲6.19%
2017年 4.50%
2016年 10.26%
2015年 ▲4.41%
2014年 17.10%

※2020年7月時点

 

投信運用は長期投資が前提なので、つい出口戦略を
考えずに投資をしてしまいがちです。

しかし、「投資は出口戦略にあり」と言われるほど、
重要なテーマです。

ぜひこれを機会に投資の出口戦略を考えてみて
ください。

>>まさか考えたことがない?運用が成功するか失敗するかすべてのカギを握る投信運用の出口戦略

 

インデックスファンドとのパフォーマンス比較

フィデリティ・USハイ・イールド・ファンドに投資するうえで、
より低コストのインデックスファンドとパフォーマンスを
比較してみました。

 

今回は、ハイ・イールド債券のインデックスファンドである
iシェアーズ ハイ・イールド債券インデックスと比較して
みました。

 

結果は、コロナショック前まではかなり拮抗していましたが、
コロナショック後は、フィデリティ・USハイ・イールド・
ファンドのほうがパフォーマンスで劣っています。

 

後述しますが、パフォーマンスはほとんど変わらないので、
低コストのインデックスファンドに投資をするという選択
もよいと思います。

 


※引用:モーニングスター

 

5年、10年のより長期のパフォーマンスを比較してみると、
5年平均利回りでは、ほぼ同程度となっています。

 

そこまで差がないのであれば、あえてリスクをとって、
アクティブファンドで運用をする必要がありません。

フィデリティUSハイイールド iシェアーズハイイールド債券
1年 ▲3.16% ▲2.05%
3年 0.35% 0.65%
5年 0.68% 0.47%
10年 7.31%

※2020年7月時点

 

最大下落率はどれくらい?

投資をするにあたって、どの程度下落する可能性があるのかは
知っておきたいポイントです。

 

標準偏差からもある程度は想定できるものの、やはり実際に
下落したかが一番参考になります。

 

フィデリティ・USハイ・イールド・ファンドは2008年1月~12月
の1年間で▲37.92%下落しています。

 

債券とは言えば、リスクの高い債券ですので、落ちるときは、
大きく落ちます。そのことを理解した上で投資をするように、
してください。

 

最大下落率を知ってしまうと、少し足が止まってしまうかもしれません。
しかし、以下のことをしっかり理解しておけば、元本割れの可能性を
限りなく低くすることが可能です。

元本割れを回避するためにできるたったひとつのこととは?

期間 下落率
1カ月 ▲19.46%
3カ月 ▲35.79%
6カ月 ▲35.34%
12カ月 ▲39.86%

※2020年7月時点

 

分配健全度はどれくらい?

分配金を毎月受け取っていると、受け取っていることに安心
してしまい、自分の投資元本からの配当なのか、ファンドの
収益からの配当なのか調べなくなります。

 

そこで、分配金がファンドの収益からちゃんと支払われている
のかを調べるときに役立つのが分配健全度です。

 

分配健全度とは、1年間の分配金の合計額と基準価額の変動幅を
もとに、あなたが受け取った分配金の約何%がファンドの収益
によるものなのかを計算できる指標です。

基準価額の変動幅 1年間の分配合計額 分配健全度
▲369円 360円 ▲2.5%

※2019/7/22~2020/7/21

 

フィデリティ・USハイ・イールド・ファンドの直近1年間の
分配健全度は▲2.5%となっています。

 

分配健全度は100%を切ると、一部ファンドの収益以外から
分配金が支払われていることを意味しますが、0%を下回る
ということは、ファンドの収益からの支払いは一切ない
ということを意味します。

 

分配健全度がマイナスになるファンドも珍しいですが、
ファンドの運用がうまくいっていないにもかかわらず、高い
分配金を支払っているようなファンドだとこのような数値に
なりがちですので、注意が必要です。

計算するとよくわかる!分配金を受け取ることによるデメリットとは?

 

分配金利回りはどれくらい?

毎月分配型のファンドに投資をしている場合、どれくらいの
分配金が受け取れるのかを知るために分配金利回りを参考
にします。

 

ただし、投資信託の場合、分配金利回りだけをみていると、
受け取っている分配金がファンドの収益から出ている
ものなのか、投資元本が削られているのか、判断できません。

 

そのため、ファンドの運用利回りと分配金利回りを比較して、
ファンドの運用利回りのほうが高ければ、あなたが受け取って
いる分配金がファンドの運用の収益から支払われていると
判断することができます。

 

フィデリティ・USハイ・イールド・ファンドは分配金利回りが
10%以上とかなり高くなっています。その割にファンドの運用は
年1%も利益を出せてない状況です。

 

つまりあなたが受け取っている分配金はほとんどすべてが、
ファンドの収益以外から支払われているということです。

 

このような運用が続けば当然ですが、基準価額の下落が止まらず、
減配、減配の負の連鎖に陥ることが目に見えています。

運用利回り 分配利回り
1年 ▲3.16% 12.8%
3年 0.35%
5年 0.68%
10年 7.31%

※2020年7月時点

 

分配金余力はどれくらい?

毎月分配型ファンドに投資をしている場合、もう1つ気になる
のが今後いつごろ、減配されそうかという点です。

 

そんなときに役立つのが分配金余力という考え方です。

 

分配金余力というのは、今の分配金の水準をあと何か月
続けられそうかを判断するための指標です。

 

明確にこの水準になったら減配されるという指標では
ありませんが、12カ月を切ったファンドはたいてい近々、
減配されることが多いです。

 

フィデリティ・USハイ・イールド・ファンドの分配金
余力は、27カ月程度です。

 

基準価額が下落し、分配金利回りが高くなったことで、
分配金余力の減少スピードが早くなっています。

 

このままのペースで下落していくと、来年、再来年は
減配の可能性が出てきそうですね。

分配金 繰越対象額 分配金余力
179期 30円  964円 33.1カ月
180期 30円 946円 32.5カ月
181期 30円 929円 31.9カ月
182期 30円 915円 31.5カ月
183期 30円 896円 30.8カ月
184期 30円 877円 30.2カ月
185期 30円  862円 29.7カ月
186期 30円 845円 29.1カ月
187期 30円 828円 28.6カ月
188期 30円 807円 27.9カ月
189期 30円 791円 27.3カ月
190期 30円 774円 26.8カ月

積立NISAとiDeCoの対応状況は?

積立NISAやiDeCoで積立投資を検討している人も多いと
思います。

 

そこで、積立NISAやiDeCoの対応状況をまとめました。

積立NISA iDeCo
× ×

※2020年7月時点

 

評判はどう?

フィデリティ・USハイ・イールド・ファンドの口コミを
見てみましょう。

 

「ジャンク債なんて買うもんじゃない」
「毎月分配型の投資信託なんて今すぐ解約したほうがいい」
「USハイ・イールド債って今買っても大丈夫なんでしょうか?」

 

表面的な理解だけをして、このファンドのことを悪く言っている
書き込みも一部にはありますが、多くの方がこのファンドって
良いのか悪いのかよくわからないと、判断に困っているような
コメントが多くみられました。

 

ネットの書き込み以外に、当ファンドの評判を確認できる月次の
資金流出入額を見てみましょう。

 

2017年はフィデリティ・USハイ・イールド・ファンドのパフォー
マンスも悪くなかったため、資金が流入していたのですが、11月に
分配金を50円から30円に下げたタイミングで資金の大きな流出が
起きました。

 

そして2018年に入ってからはパフォーマンスもすぐれないため、
資金の流出が加速しています。

 

2020年に入り、流入超過となっているのは、分配金利回りが
高くなったことで、勘違いしている投資家がこのファンドを
買っているからでしょう。

 


※引用:モーニングスター

 

フィデリティ・USハイ・イールド・ファンドの評価まとめと今後の見通し

一般的に金利の上昇局面では、債券の価格は下落します。
そのため、債券型のファンドも基準価額が下がります。

 

ただ、ハイ・イールド債は企業の債券を購入していますので、
少し事情が変わってきます。

 

通常、金利の上昇局面というのは、企業の業績が回復し、
信用力や格付も向上するため、良好なパフォーマンスが
期待できるというわけです。

 

しかし、現在のこのファンドの運用実績から考えて利回りは
一桁中盤が限界だと思います。

 

そうすると、今の分配金利回りが12%ですので、毎年、投資家
に分配する分配金のうち少なくとも半分はファンドの収益
以外から出さなければいけないということです。

 

このようなタコ足配当状態が続くと、さらに負の連鎖が続き、
減配に次ぐ、減配が起き、分配金利回りは急速に低下して
いきます。

 

すでにかなり危険な水域まできていますが、分配金を下げると
多くの投資家が解約し、純資産総額が減少します。

 

運用会社、販売会社からすれば、それが一番嫌ですので、
対応が遅くなりがちです。

 

そうすると、ファンドの運用実績より高い分配金を払い続ける
わけですから、今後も基準価額が下がり続けることになります。

 

まだ分配金余力があると思って安心している人もいるかも
しれませんが、一度負のスパイラルに入ると、減配の波は
止めることができません。

 

ですので、くれぐれも早いタイミングで手を引いたほうが
無難と言えます。

 

もっと高いパフォーマンスのファンドはいくらでもあります
ので、あまり固執せずに他のファンドを探してみてください。

 

 

最後に、投信運用には多くのメリットもありますが、
当然ながら、弱点もあります。

今も私は投信運用を続けてはいますが、私がなぜ
投資信託の運用を主軸におかなくなったのか。

その理由をこちらで話をしています。

>>私が痛感する投資信託の限界。多くの投資家が見逃している投信運用の弱点