オーストラリア株式ファンドや債券ファンド、REITなど、それぞれ
投資対象を絞り込んで設定されたファンドは数多く存在します。

しかし、株式ファンドと債券ファンドを約50%ずつ保有している
ニッセイオーストラリア利回り資産ファンド『愛称:豪州力』の
ようなファンドはあまりありません。

「豪州力って投資対象としてどうなの?」

「豪州力って持ってて大丈夫なの?」

「豪州力より良いファンドってある?」

といったことでお悩みの方は、この記事を最後まで読めば、
悩みは解消すると思います。

豪州力には、毎月分配型と資産成長型の2種類がありますが、今日は
より人気の高い毎月分配型を詳しく見ていきたいと思います。


ニッセイ オーストラリア利回り資産ファンド『愛称:豪州力』の基本情報

投資対象は?

豪州力の投資対象は、「LM・オーストラリア債券ファンド」及び
「LM・オーストラリア高配当ファンド」を通じて、豪ドル建ての
公社債及び株式、REITに投資をしていきます。

豪州力では、債券と株式・REITの投資割合が50:50になるように
投資していきます。

債券ファンドでまず確認しなければならないのが、組入られている
ファンドの格付ですが、平均格付がAA-となっており、BBB以上の
格付の債券しか含まれていませんので、デフォルトのリスクは
心配しなくて良さそうです。

最終利回りが1.26%しかないので、正直投資対象として
どうなんだろうかと思ってしまう水準です。普通に債券を
満期まで保有するとコスト負けしてしまいます。


※引用:マンスリーレポート

続いて、債券ファンドの中身を見てみると、国債、州政府債、
政府保証債、社債とバランスよく分散投資されています。


※引用:マンスリーレポート

つみたてNISAとiDeCoの対応状況は?

豪州力のつみたてNISAやiDeCoの対応状況を確認しておきましょう。

残念ながらどちらも対応していません。

つみたてNISA iDeCo
× ×

※2021年10月時点

純資産総額は?

続いて、豪州力の純資産総額はどうなっているか見てみましょう。
純資産総額というのは、あなたを含めた投資家から集めた資金の
総額だと思ってください。

純資産総額が小さいと運用が効率的に行えず、余計なコストが発生
したり、運用会社も運用に力を入れないため、パフォーマンスが
優れないといったデメリットが発生します。

まさか知らない?絶対知っておきたい純資産総額のマメ知識

豪州力は、常にファンドの収益力より過剰な分配を繰り返したため、
基準価額が下落していきましたが、分配金を減配しなかったため、
見かけの分配利回りは高くなっていきました。

それに伴い2016年以降は、資金流入が増加したと考えられます。
しかし、現在では減配を繰り返しており、純資産も減ってきました。

それでも、まだ、130億円程度の規模はありますので、規模による
デメリットはありませんね。


※引用:マンスリーレポート

実質コストは?

私たちが支払うコストには、目論見書に記載の信託報酬以外に、
株式売買委託手数料や、保管費用、印刷費用などが含まれています。

そのため、実際に支払うコストは、目論見書記載の額より高くなるのが
通例で、実際にかかる実質コストをもとに投資判断をしなければなりません。

信託報酬を信用するな。知らないうちに差し引かれている実質コストの調べ方

豪州力の実質コストは1.719%となっています。購入時手数料を
考えると、初年度はかなり高い手数料を支払うことになります。

何より、最終利回りが1%前半しかないファンドで、それより
高い手数料を取っているというのがあり得ないですね。

投資信託の手数料は安ければ安いほどいいという勘違い

購入時手数料 3.3%(税込)※上限
信託報酬 1.716%(税込)
信託財産留保額 0
実質コスト 1.719%(概算値)

※引用:最新運用報告書

ファンドの運用で成果を出すために一番大事なことは何ですか?
と聞かれてあなたは何と答えますか?

もし『ファンド選び』だと思ったとしたら、あなたはドツボに
はまっていますので、こちらの記事を読んでみてください。

>>無料ファンド相談から見えた。多くの人が気づいていない投信運用で成果を阻む9つの誤り

ニッセイ オーストラリア利回り資産ファンド『愛称:豪州力』の評価分析

基準価額をどう見る?

豪州力の基準価額は、直近3年間で25%ほど下落しています。

分配金を支払わずに運用した場合の分配金再投資基準価額(青線)を
見ると、3年間で10%程度は上昇しているので、ファンドの運用自体
はプラスで運用できているようです。

ただし、過剰な分配が行われているため、基準価額が下落しています。


※引用:モーニングスター

利回りはどれくらい?

豪州力の直近1年間の利回りは、15.36%です。

3年平均利回りも3.53で、5年平均利回りも4.03%の
プラスとなっています。

分配金利回りが10%を超えていることを考えると、
この程度のパフォーマンスではタコ足配当を解消
することはまず不可能な水準ですね。

ちなみにあなたは実質利回りの計算方法はすでに理解していますか?
もし、理解していないのであれば、必ず理解しておいてください。

これがわかっていないとマズイ。実質利回りの計算方法。

平均利回り
1年 15.36%
3年 3.53%
5年 4.03%
10年

※2021年10月時点

同カテゴリー内での利回りランキングは?

せっかく投資をするのであれば、同じカテゴリー内でも、
優れたファンドに投資をするべきです。

豪州力は株式と債券の比率が50:50であることから、
バランス(安定成長)カテゴリーに属しています。

このカテゴリー内でのランキングを確認すると、
直近1年をのぞけば下位20~30%程度の位置に
ランクインしています。

つまり、ほとんどのファンドは、豪州力よりも、高い
利回りで運用されているということなので、あえて
豪州力に投資をする理由が見当たりません。

上位●%
1年 14%
3年 80%
5年 69%
10年

※2021年10月時点

年別のパフォーマンスは?

豪州力の年別の運用パフォーマンスも見てみましょう。

プラスのリターンで終わっている年も多いですが、マイナスの年に
大きく下落しているため、運用効率がとても悪くなっていることが
わかります。

年間利回り
2021年 8.78%(1-6月)
2020年 1.36%
2019年 10.46%
2018年 ▲14.14%
2017年 8.80%
2016年 3.18%
2015年 ▲7.21%
2014年 14.78%

※2021年10月時点

投信運用は長期投資が前提なので、つい出口戦略を
考えずに投資をしてしまいがちです。

しかし、「投資は出口戦略にあり」と言われるほど、
重要なテーマです。

ぜひこれを機会に投資の出口戦略を考えてみて
ください。

>>まさか考えたことがない?運用が成功するか失敗するかすべてのカギを握る投信運用の出口戦略

最大下落率は?

投資を検討するうえで、標準偏差などから、価格変動の範囲をある
程度は予想できますが、やはり実際に下落した度合いをみたほうが
イメージがわきます。

豪州力は2020年1月~3月までに最大▲25.35%下落しました。

リターンがそこまで期待できない中で、25%以上のマイナスとなると、
もとの水準まで戻すのに相当の時間を要することが容易に想像できます。

最大下落率を知ってしまうと、少し足が止まってしまうかもしれません。
しかし、以下のことをしっかり理解しておけば、元本割れの可能性を
限りなく低くすることが可能です。

元本割れを回避するためにできるたったひとつのこととは?

期間 下落率
1カ月 ▲20.18%
3カ月 ▲25.35%
6カ月 ▲22.52%
12カ月 ▲23.06%

※2021年10月時点

分配健全度はどれくらい?

分配金を毎月受け取っていると、受け取っていることに安心
してしまい、自分の投資元本からの配当なのか、ファンドの
収益からの配当なのか調べなくなります。

そこで、分配金がファンドの収益からちゃんと支払われている
のかを調べるときに役立つのが分配健全度です。

分配健全度とは、1年間の分配金の合計額と基準価額の変動幅を
もとに、あなたが受け取った分配金の約何%がファンドの収益
によるものなのかを計算できる指標です。

基準価額の変動幅 1年間の分配合計額 分配健全度
282円 480円 159%

※2020/10/1~2021/10/1

豪州力の直近1年間の分配健全度は159%となっています。

分配健全度は100%を切ると、一部、ファンドの収益以外から
分配金が支払われていることを意味しますが、0%を下回る
ということは、ファンドの収益からの支払いは一切ない
ということを意味します。

分配金が100%を超えているということは、ファンドの運用益
からすべての分配金が支払われており、かつそれ以上に
利益が出ているということです。

ただし、直近3年間の分配健全度は100%を切っていますので、
直近の1年間だけ健全度が回復しているという見方のほうが
正しいです。

分配金利回りはどれくらい?

毎月分配型のファンドに投資をしている場合、どれくらいの
分配金が受け取れるのかを知るために分配金利回りを参考
にします。

ただし、投資信託の場合、分配金利回りだけをみていると、
受け取っている分配金がファンドの収益から出ている
ものなのか、投資元本が削られているのか、判断できません。

そのため、ファンドの運用利回りと分配金利回りを比較して、
ファンドの運用利回りのほうが高ければ、あなたが受け取って
いる分配金がファンドの運用の収益から支払われていると
判断することができます。

豪州力の分配金利回りは11.7%と高めの設定となっています。

明らかにファンドの運用利回りよりも高いですので、あなたが
受け取っている分配金の大半が、あなたの投資資金から支払われて
いるということです。

未だ多くの投資家が勘違いをしながら、分配金利回りが
高いファンドに投資をしていますが、くれぐれも気を
つけてほしいと思います。

運用利回り 分配金利回り
1年 15.36% 11.7%
3年 3.53%
5年 4.03%
10年

※2021年10月時点

分配金余力はどれくらい?

毎月分配型ファンドに投資をしている場合、もう1つ気になる
のが今後いつごろ、減配されそうかという点です。

そんなときに役立つのが分配金余力という考え方です。

分配金余力というのは、今の分配金の水準をあと何か月
続けられそうかを判断するための指標です。

明確にこの水準になったら減配されるという指標では
ありませんが、12カ月を切ったファンドはたいてい近々、
減配されることが多いです。

豪州力は直近で減配していますが、それでも分配金余力は
すでに20カ月程度しかありませんので、ここ1年くらいで、
また減配されるでしょう。

分配金 繰越対象額 分配金余力
91期 40円 800円 21.0カ月
92期 40円 807円 21.2カ月
93期 40円 814円 21.4カ月
94期 40円 819円 21.5カ月
95期 40円 825円 21.6カ月
96期 40円 833円 21.8カ月
97期 40円 827円 21.7カ月
98期 40円 821円 21.5カ月
99期 40円 813円 21.3カ月
100期 40円 807円 21.2カ月
101期 40円 799円 21.0カ月
102期 40円 792円 20.8カ月

評判はどう?

豪州力の評判はネットでの書き込みなどで調べる方法もありますが、
評判を知るうえで一番役に立つのが、月次の資金流出入額です。

資金が流入しているということは、それだけ豪州力を購入している
人が多いということなので、評判がよくなっているということです。

豪州力は、2017年は毎月資金の流入があり、順調でしたが、
2017年末から資金の流出が目立つようになっています。

これは、2017年末までかなり高い分配金を出しており、よく
わかっていない投資初心者が騙されて購入したためです。

2018年以降は資金の流出が続いており、評判が下がっている
ことがわかりますね。


※引用:モーニングスター

ニッセイ オーストラリア利回り資産ファンド『愛称:豪州力』の評価まとめと今後の見通し

いかがでしょうか?

改めてになりますが、ファンドの運用利回りと分配金利回り
は全くの別物です。

運用利回り10%と言えば、100万円を投資した場合、年10万円
の運用益を受け取ることができます。

一方で、分配金利回り10%という場合は違います。

仮にファンドの運用利回りが3%しかなくても分配金利回りを
10%にすることはできるのです。

その結果、100万円投資をして、ファンドの運用益は3万円
しかないにもかかわらず、あなたは10万円の分配金を受け取る
ことになります。

では、運用益と分配金の差額の7万円はどこから出てきている
のかと言えば、あなたの投資した元本の100万円から支払われて
いるのです。

つまり、分配金利回りがいくら高くても、ファンドの運用利回り
が低ければ、まったく意味がないということです。

毎月分配型ファンドは私はそもそもおすすめはしませんが、
それでも投資をしたいという場合、ファンドの選定基準は
分配金利回りが高いか低いかではありません。

ファンドの運用利回りがちゃんとプラス(大きいほど良い)で、
運用利回りの範囲内か、少し超える程度で分配金を出している
ファンドを選ぶべきです。

豪州力の場合、明らかに分配金利回りがファンドの運用利回り
よりも高いため、今後、この状況が大きく改善することは
まずありえません。

もともと私は毎月分配型のファンドはおすすめしますが、
どうしても分配金を受け取りたいという人は、少なくとも
ファンドの運用利回りが高いファンドを選んでください。

アライアンス・バーンスタインの米国成長株投信のような
ファンドを検討するとよいと思います。

最後に、投信運用には多くのメリットもありますが、
当然ながら、弱点もあります。

今も私は投信運用を続けてはいますが、私がなぜ
投資信託の運用を主軸におかなくなったのか。

その理由をこちらで話をしています。

>>なぜ私が投信運用に限界を感じたのか。多くの投資家が見逃している投信運用の弱点