横浜銀行と三井住友信託銀行の共同出資により2015年に
誕生したスカイオーシャン・アセットマネジメント。
たぶん名前を聞いたことはないと思いますが、現在では
8本のファンドを運用しています。
その中でも一番人気となっているのが海外株式、海外債券、
金を含めた6資産に分散投資ができるブレンドシックスです。
今日は、このブレンドシックスを徹底分析していきます。
ブレンドシックスの基本情報
投資対象は?
ブレンドシックスの投資対象は、国内債券、ヘッジ付海外債券、
高金利海外債券、グローバル好配当株式、グローバルREIT、金の
6資産です。
基準価額への影響度合いがおおむね均等になるように資産を配分
しますので、リスクの高い資産は保有比率が少なく、リスクの低い
資産は保有比率が高くなっています。
実際にブレンドシックスの資産構成比は日本国債やヘッジ付海外債券
の比率が高くなっていますね。
※引用:マンスリーレポート
純資産総額は?
投資を検討するうえで、純資産総額は必ず確認しておきたいポイントです。
純資産総額が多いと、ファンドマネジャーが資金を運用する際に
有利であったり、保管費用や監査費用が相対的に低くなりますので、
優れた投資信託と言えます。
また投資信託の規模が小さくなると運用会社自体がその投資信託に
力を注がなくなりパフォーマンスが悪くなることもありますので
注意が必要です。
ブレンドシックスは2017年に設定されて以来、着実に純資産を
増やしており、現在では約800億円の規模となっています。
横浜銀行に口座を持っている投資家が積極的に購入している
ようですね。
※引用:マンスリーレポート
実質コストは?
投資信託には、購入時の手数料や信託報酬の他にも費用がかかって
いることをご存知ですか?
これを実質コストと言いますが、実質コストには、株式売買手数料や
有価証券取引税、監査費用などが含まれています。
特に純資産総額が小さいときには、信託報酬より実質コストがかなり
割高になっている場合もあるので、注意が必要です。
信託報酬を信用するな。知らないうちに差し引かれている実質コストの調べ方
ブレンドシックスの実質コストは1.40%となっており、割高です。
バランスファンドはただでさえ利回りが低くなりますので、その中
から毎年1.40%取られるのはかなり厳しいです。
購入時手数料 | 3.3%(税込)※上限 |
信託報酬 | 1.398%(税込) |
信託財産留保額 | 0 |
実質コスト | 1.40%(概算値) |
※引用:最新運用報告書
実質コスト以外にも、多くの投資家が気づいていない
投信運用での成果を出すのに妨げとなる間違った考え方
をまとめました。参考にしてください。
無料ファンド相談から見えた。多くの人が気づいていない投信運用で成果を阻む9つの誤り
ブレンドシックスの評価分析
基準価額の推移は?
ブレンドシックスの基準価額を見てみましょう。
もともと手堅い運用をしているブレンドシックスですが、
コロナショックではさすがに5%以上下落しました。
株式ファンドと比べると下落幅を相当抑えられています
ので、その点はリスクを抑えた運用をしているだけの
ことはありますね。
※引用:モーニングスター
利回りはどれくらい?
ブレンドシックスの直近1年間の利回りは1.31%です。
3年平均利回りも1%台のプラスとなっており、運用会社
と販売会社が受け取る手数料のほうが高くなっています。
ちなみにあなたは実質利回りの計算方法はすでに理解していますか?
もし、理解していないのであれば、必ず理解しておいてください。
平均利回り | 2020年1月 | 2020年7月 |
1年 | 7.86% | 1.31% |
3年 | – | 1.77% |
5年 | – | – |
10年 | – | – |
※2020年7月時点
同カテゴリー内における利回りランキング(上位●%)の変化
ブレンドシックスは、バランスファンドの安定カテゴリーに
属しています。
投資をするのであれば、同じカテゴリーでも優秀な
パフォーマンスのファンドに投資をすべきなので、
同カテゴリー内でもパフォーマンスのランキングは
事前に調べておいて損はありません。
ブレンドシックスは、半年前は上位30%以内でしたが、
コロナショック後は上位20%以内に入るようになりました。
コロナショックをうまく切り抜けたファンドであると
言うことができます。
平均利回り(上位●%) | 2020年1月 | 2020年7月 |
1年 | 25% | 18% |
3年 | – | 8% |
5年 | – | – |
10年 | – | – |
※2020年7月時点
年別のパフォーマンスは?
ブレンドシックスの年別のパフォーマンスも見てみましょう。
2018年はマイナスで終わっていますが、2019年はマイナス分を
取り戻すだけのプラスのリターンを残すことができました。
2020年もコロナショックはありましたが、今のところかろうじて、
プラスで維持できています。
年間利回り | |
2020年 | 0.76%(1-6月) |
2019年 | 7.86% |
2018年 | ▲3.35% |
2017年 | – |
※2020年7月時点
考えずに投資をしてしまいがちです。
しかし、「投資は出口戦略にあり」と言われるほど、
重要なテーマです。
ぜひこれを機会に投資の出口戦略を考えてみて
ください。
>>まさか考えたことがない?運用が成功するか失敗するかすべてのカギを握る投信運用の出口戦略
類似ファンドとのパフォーマンス比較
ブレンドシックスへの投資を検討する上で、類似ファンドとの
パフォーマンスを比較しておいて損はありません。
ブレンドシックスのポートフォリオは少し特徴的であるため、
まったく同じファンドでの比較はできませんが、多くの方は
分散投資をして安定的に資産を増やしたいと思っているはずです。
ですので、今回は手堅い運用で定評のあるバランスファンド
である投資のソムリエとパフォーマンスを比較しました。
コロナショック前までは両社そこまで大きな差はありません
でしたが、コロナショック後には大きく差がつきました。
バランスファンドではいかに安定的に運用するかが
キーポイントになります。
一番注意すべきは大きく下落する相場での対応ですが、
その点は今回、投資のソムリエのほうが一歩上手だった
と言うことがわかります。
※引用:モーニングスター
ブレンドシックス | 投資のソムリエ | |
1年 | 1.31% | 4.85% |
3年 | 1.77% | 3.50% |
5年 | – | 2.48% |
10年 | – | – |
※2020年7月時点
最大下落率は?
ブレンドシックスに投資をする前に、最大でどの程度下落する可能性
があるのかを知っておくことは非常に重要です。
どの程度下落する可能性があるかを把握しておけば、大きく下落した
相場でも落ち着いて保有を続けられるからです。
それではここでブレンドシックスの最大下落率を見てみましょう。
最大下落率は2020年3月の▲4.41%とかなりリスクを抑えた運用が
できていることがわかります。
最大でもこの程度の下落しかしないことがわかっていれば、
投資家も安心して投資ができますね。
下落率 | |
1カ月 | ▲4.41% |
3カ月 | ▲3.19% |
6カ月 | ▲3.33% |
12カ月 | ▲3.35% |
※2020年7月時点
分配金の内訳と余力は?
ブレンドシックスでは、年2回分配を行っています。
2017年が20円、2018年が45円、2019年は50円と運用に影響のない
規模での分配なのですが、この程度であれば分配金として出す必要
があるのか甚だ疑問ではあります。
また、このブログでは何度も言っていますが、分配金は受け取らずに
再投資したほうが投資効率は確実に高くなります。
計算するとよくわかる!分配金を受け取ることによるデメリットとは?
分配金 | |
2020年 | 25円(1-6月) |
2019年 | 50円 |
2018年 | 45円 |
2017年 | 20円 |
評判はどう?
それでは、ブレンドシックスの評判はどうでしょうか?
ネット等で口コミを調べることもできますが、資金の流出入を見る
ことで、評判がわかります。
評判がよければ、資金が流入超過になりますし、評判が悪くなって
いれば、資金が流出超過になります。
ブレンドシックスは毎月資金が流入超過となっていますので、評判は
悪くないことがわかります。
直近で流入量が増加しており、人気に再び火が付き始めているようです。
※引用:モーニングスター
ブレンドシックスの評価まとめと今後の見通し
いかがでしょうか?
初めて投資をするような人はとにかく減るのが嫌だということでリスクを
毛嫌いする傾向がありますが、リスクを嫌うあまりに全く資産が増えない
ファンドに投資をしてしまっている可能性があります。
今回も実質コストが1%を超えており、これだけリスクを取らない運用を
しているとなると、リターンに対する実質コストの割合がが高くつき
すぎてしまいます。
現状でいえば、ファンドのリターンの約50%は手数料に消えていると
いうことです。さすがに運用会社・販売会社が取りすぎだと思います。
もともと私はあまりバランスファンド自体をおすすめはしていない
のですが、あえて投資をするのであれば、さきほど比較をした
投資のソムリエのほうが優れていると思います。
投資のソムリエは機動的なアセットアロケーションの変更で、コロナ
ショックをかなりうまく乗り越えました。その実績もあるので、
手堅いがらも堅実にリターンを増やしていく投資ができると思います。
当然ながら、弱点もあります。
今も私は投信運用を続けてはいますが、私がなぜ
投資信託の運用を主軸におかなくなったのか。
その理由をこちらで話をしています。
>>なぜ私が投信運用に限界を感じたのか。多くの投資家が見逃している投信運用の弱点