オーストラリア国債は金利も高く、格付も高いことから、
投資マニア界隈ではとても人気があります。

 

ただ、オーストラリア国債とオーストラリア公社債ファンドは
似て非なるものだということに気づいていない人がとても多い
のが実情です。

 

オーストラリア国債だと思い投資をして痛い目を見ている人が
たくさん周りにいますので、警鐘を鳴らす意味も込めて、今日は、
オーストラリア公社債ファンド『オージーボンド』を徹底分析
していきます。

 

 

オーストラリア公社債ファンド『オージーボンド』の基本情報

投資対象は?

投資対象は、投資適格格付の豪ドル建ての国債・州政府債・
国際機関債・社債・モーゲージ証券・資産担保証券などの
公社債に投資します。

 

投資対象としている債券は、S&P社やMoody’s社の格付でBBB以上の
評価を受けている債券です。

 

投資適格債券であれば、債券の元本・利息の支払いが滞る心配は
ほぼありません。

 

 

オージーボンドは現在約300種類の債券に分散投資をしており、
債券種別の構成比でみると、下図のようになっています。

 

社債の比率が最も高く、次いで、州政府債、国債と続きます。

 

また格付別の構成比でみると、ほぼA以上の格付の債券に投資が
されていますので、デフォルトのリスクはほぼないと考えて
問題ありません。

 


※引用:マンスリーレポート

 

組入銘柄の上位を見てみると、オーストラリア国債と州政府債の比率が
高くなっています。

 

格付が高いだけでなく、クーポン=利息が高いのはやはり
魅力的ですね。

 

ただ、さきほども言いましたが、債券を直接購入するのと、
債券ファンドに投資をするのでは、全く意味が異なります
ので、注意してください。

 


※引用:マンスリーレポート

 

純資産額は?

続いて、純資産総額はどうなっているか見てみましょう。

 

純資産総額というのは、あなたを含めた投資家から集めた資金の
総額だと思ってください。

 

ファンドの純資産総額が小さいと、適切なタイミングで銘柄を入れ
替えることができなかったり、純資産総額が大きく減少していると、
ファンドの組み替えがうまくできず、予期せぬマイナスを生む可能性が
ありますので、事前に確認すべきポイントの1つです。

まさか知らない?絶対知っておきたい純資産総額のマメ知識

 

オーストラリア公社債ファンド『オージーボンド』は、現在1200億円
ほどとなっています。

 

規模としては問題ありませんが、毎月分配型に対する風当たり
が強くなってきていることが純資産減少の大きな要因となって
います。


※引用:マンスリーレポート

 

実質コストは?

私たちが支払うコストには、目論見書に記載の信託報酬以外に、
株式売買委託手数料や、保管費用、印刷費用などが含まれています。

 

そのため、実際に支払うコストは、目論見書記載の額より高くなる
のが通例で、実際にかかる実質コストをもとに投資判断をしなければ
なりません。

信託報酬を信用するな。知らないうちに差し引かれている実質コストの調べ方

 

オーストラリア公社債ファンド『オージーボンド』の実質コストは
1.55%と高くなっています。

 

ファンド・オブ・ファンズ方式になっているというのもありますが、
たいしたパフォーマンスを発揮していないにもかかわらず、1.5%も
信託報酬を取られては、投資家としてはかなり苦しいですね。

投資信託の手数料は安ければ安いほどいいという勘違い

購入時手数料 3.3%(税込)※上限
信託報酬 1.54%(税込)
信託財産留保額 0
実質コスト 1.55%(概算値)

※引用:最新運用報告書

 

実質コスト以外にも、多くの投資家が気づいていない
投信運用での成果を出すのに妨げとなる間違った考え方
をまとめました。参考にしてください。

無料ファンド相談から見えた。多くの人が気づいていない投信運用で成果を阻む9つの誤り

 

オーストラリア公社債ファンド『オージーボンド』の評価分析

基準価額をどう見る?

オーストラリア公社債ファンド『オージーボンド』の基準価額は
3年間で約30%以上、下落しています。

 

分配金を受け取らずに運用した場合の基準価額(青)を見ると、
コロナショックで下落した分の基準価額は戻していることが
わかります。

 

ただ、それでも、ここ3年間の基準価額(青線)はほぼ横ばい
ですので、運用がうまくいっていないことがわかります。

 


※引用:モーニングスター

 

利回りはどれくらい?

オーストラリア公社債ファンド『オージーボンド』の直近1年間の
利回りは0.42%となっており、3年平均、5年平均ともにマイナス
となっています。

 

信託報酬を毎年1.5%近く取られているにもかかわらず、運用が
マイナスでは、投資をする気にもなりません。

 

また運用がマイナスであるにもかかわらず、分配金が出ている
ということはあなたが受け取っている分配金は実質あなたの
投資資金を切り崩していることになります。

 

なおさら、投資をする気になれませんね。

 

ちなみにあなたは実質利回りの計算方法はすでに理解していますか?
もし、理解していないのであれば、必ず理解しておいてください。

これがわかっていないとマズイ。実質利回りの計算方法。

平均利回り 2020年1月 2020年7月
1年 4.15% 0.42%
3年 0.78% ▲0.98%
5年 ▲1.79% ▲1.29%
10年 4.06%

※2020年7月時点

 

同カテゴリー内における利回りランキング(上位●%)の変化

オーストラリア公社債ファンド『オージーボンド』は国際債券の
オセアニアカテゴリーに属しています。

 

投資をするのであれば、同じカテゴリーでも優秀なパフォーマンス
のファンドに投資をすべきなので、同カテゴリー内でもパフォー
マンスのランキングは事前に調べておいて損はありません。

 

オーストラリア公社債ファンド『オージーボンド』は、もともと
平均以下のパフォーマンスとなっており、半年前と比べても、
順位に大きな変動はありません。

 

公社債ということで、リスクの低い運用をしていることも要因
の1つではありますが、どちらにしてもパフォーマンスがマイナス
では話になりませんね。

2020年1月 2020年7月
1年 52% 70%
3年 62% 62%
5年 73% 64%
10年 71%

※2020年7月時点

 

年別のパフォーマンスは?

オーストラリア公社債ファンド『オージーボンド』の年別の
利回りを見てみると、プラスの年もありますが、マイナスの
年も多く、トータルのリターンもいまいちです。

 

これでは、他のファンドに投資したほうが間違いなくリターンが
伸びますね。

 

まさに運用会社だけが儲かっているファンドです。

年間利回り
2020年 0.27%(1-6月)
2019年 4.15%
2018年 ▲8.40%
2017年 7.29%
2016年 ▲2.30%
2015年 ▲8.62%
2014年 13.40%

※2020年7月時点

 

投信運用は長期投資が前提なので、つい出口戦略を
考えずに投資をしてしまいがちです。

しかし、「投資は出口戦略にあり」と言われるほど、
重要なテーマです。

ぜひこれを機会に投資の出口戦略を考えてみて
ください。

>>まさか考えたことがない?運用が成功するか失敗するかすべてのカギを握る投信運用の出口戦略

 

類似ファンドとのパフォーマンス比較

オーストラリア公社債ファンド『オージーボンド』への投資を
検討しているのであれば、他の毎月分配型のファンドと比較を
しておいて損はありません。

 

今回は、世界の公社債に分散投資ができるグローバル・ソブリン・
オープン(毎月決算型)
とパフォーマンスを比較してみました。

 

結果はグローバル・ソブリン・オープンの圧勝です。

 

オーストラリアの公社債だけに投資をするよりも世界の
公社債に投資をしたほうがパフォーマンスは良いという
ことですね。

 

債券を直接購入するのであれば、オーストラリア国債は
魅力的ですが、債券ファンドとなると話が違うという
ことです。

 


※引用:モーニングスター

 

ちなみに、もう少し長期のパフォーマンスで2つのファンドを
比較しています。

 

5年平均までは、グローバル・ソブリン・オープンのほうが、
上回っていますが、10年平均になると、オージーボンドが
上回っています。

 

なかなか判断が難しいところではありますが、直近の運用は
いまいちで、長期だけパフォーマンスが良いファンドというのは、
今後の運用に不安が残りますので、あまりおすすめしないように
しています。

オージーボンド グロソブ
1年 0.42% 3.61%
3年 ▲0.98% 1.51%
5年 ▲1.29% ▲0.02%
10年 4.06% 3.86%

※2020年7月時点

 

最大下落率はどれくらい?

投資するにあたって、最大どの程度下落する可能性があるのか
知っておくことは非常に重要です。

 

結局、多くの人が、大きな下落を経験すると、もうこれ以上は
損をしたくないと思い、基準価額が大きく下がったタイミングで
売却してしまうのです。

 

オーストラリア公社債ファンド『オージーボンド』の最大下落率は、
2015年7月~2016年6月で▲13.74%となっています。

 

下落幅が▲10%程度で済むのはとても魅力的ですね。

 

最大下落率を知ってしまうと、少し足が止まってしまうかもしれません。
しかし、以下のことをしっかり理解しておけば、元本割れの可能性を
限りなく低くすることが可能です。

元本割れを回避するためにできるたったひとつのこととは?

期間 下落率
1カ月 ▲7.96%
3カ月 ▲12.68%
6カ月 ▲9.11%
12カ月 ▲13.74%

分配健全度はどれくらい?

分配金を毎月受け取っていると、受け取っていることに安心
してしまい、自分の投資元本からの配当なのか、ファンドの
収益からの配当なのか調べなくなります。

 

そこで、分配金がファンドの収益からちゃんと支払われている
のかを調べるときに役立つのが分配健全度です。

 

分配健全度とは、1年間の分配金の合計額と基準価額の変動幅を
もとに、あなたが受け取った分配金の約何%がファンドの収益
によるものなのかを計算できる指標です。

基準価額の変動幅 1年間の分配合計額 分配健全度
▲427円 480円 11%

※2019/7/22~2020/7/21

 

オーストラリア公社債ファンド『オージーボンド』の直近1年間の
分配健全度は11%となっています。

 

分配健全度は100%を切ると、一部ファンドの収益以外から
分配金が支払われていることを意味しますが、0%を下回る
ということは、ファンドの収益からの支払いは一切ない
ということを意味します。

 

オーストラリア公社債ファンド『オージーボンド』は
0%は下回ってはいませんが、分配金のほとんどをファンドの
収益ではカバーできていません。

 

この状況が続くと、かなり厳しい結果になることが
容易に想像できます。

 

計算するとよくわかる!分配金を受け取ることによるデメリットとは?

 

分配金利回りはどれくらい?

毎月分配型のファンドに投資をしている場合、どれくらいの
分配金が受け取れるのかを知るために分配金利回りを参考
にします。

 

ただし、投資信託の場合、分配金利回りだけをみていると、
受け取っている分配金がファンドの収益から出ている
ものなのか、投資元本が削られているのか、判断できません。

 

そのため、ファンドの運用利回りと分配金利回りを比較して、
ファンドの運用利回りのほうが高ければ、あなたが受け取って
いる分配金がファンドの運用の収益から支払われていると
判断することができます。

 

オーストラリア公社債ファンド『オージーボンド』の
分配金利回りは10%を超えているので、大きな分配金
を受け取ることができます。

 

ただ、ファンドの運用利回りがマイナスなので、あなたが
受け取っている分配金のほとんどはあなたが投資した資金
が戻ってきているに過ぎないということです。

 

これでは分配金利回りが高くても全く意味がありません。

 

未だ多くの投資家が勘違いをしながら、分配金利回りが
高いファンドに投資をしていますが、くれぐれも気を
つけてほしいと思います。

運用利回り 分配金利回り
1年 0.42% 10.9%
3年 ▲0.98%
5年 ▲1.29%
10年 4.06%

※2020年7月時点

 

分配金余力はどれくらい?

毎月分配型ファンドに投資をしている場合、もう1つ気になる
のが今後いつごろ、減配されそうかという点です。

 

そんなときに役立つのが分配金余力という考え方です。

 

分配金余力というのは、今の分配金の水準をあと何か月
続けられそうかを判断するための指標です。

 

明確にこの水準になったら減配されるという指標では
ありませんが、12カ月を切ったファンドはたいてい近々、
減配されることが多いです。

 

オーストラリア公社債ファンド『オージーボンド』の
分配金余力は、まだ50カ月以上ありますので、減配の
心配はないと言えます。

 

ただし、分配利回りが高くなっており、今後急速に
分配金余力が減少していくと思われるので、油断はできな
い状況です。

分配金 繰越対象額 分配金余力
107期 50円 2,202円 45.0カ月
108期 40円 2,179円 55.4カ月
109期 40円 2,160円 55カ月
110期 40円 2,138円 54.4カ月
111期 40円 2,117円 53.9カ月
112期 40円 2,097円 53.4カ月
113期 40円 2,075円 52.8カ月
114期 40円 2,054円 52.3カ月
115期 40円 2,033円 51.8カ月
116期 40円 2,010円 51.2カ月
117期 40円 1,987円 50.6カ月
118期 40円 1,967円 50.1カ月

積立NISAとiDeCoの対応状況は?

積立NISAやiDeCoで積立投資を検討している人も多いと
思います。

 

そこで、積立NISAやiDeCoの対応状況をまとめました。

積立NISA iDeCo
× ×

※2020年7月時点

 

評判はどう?

オーストラリア公社債ファンド『オージーボンド』の評判は
ネットでの書き込みなどで調べる方法もありますが、評判を
知るうえで一番役に立つのが、月次の資金流出入額でしょう。

 

資金が流出しているということは、それだけこのファンドを
解約している人が多いということなので、評判が悪いということです。

 

オージーボンドは2019年に減配して以降、資金流出が続いており、
評判も下がっています。

 

このパフォーマンスとタコ足配当の状況をみれば、当然の結果と
言えますね。


※引用:モーニングスター

 

オーストラリア公社債ファンド『オージーボンド』の評価まとめと今後の見通し

オーストラリア国債は利子も高く、格付もAAAということで、
満期まで保有前提で考えれば、とても魅了的な投資対象になります。

 

公社債の基準価額は金利が上下することで、基準価額も上下する
のですが、ファンドの場合、定期的にファンドの評価額を公表
しないといけない関係で、本来売らなくてもよいところで、
公社債を売却してしまっています。

 

そのため、ファンド全体の最終利回り(満期まで保有しつづけた
場合の利回り)は1.25%あるにもかかわらず、このような無残な
結果となってしまっています。

 

この傾向はこのまま変わらないでしょう。

 

私個人としては、金利の動きを予測することは、非常に難しく、
債券ファンドの場合は、常にその金利の影響で価格が上下する
ため、あまり好きではありません。

 

ただ、どうしても投資をしたいという人もいると思います。

 

そんな人は、パフォーマンスからみても、世界の公社債に分散投資
ができるグローバル・ソブリン・オープンのほうが利回りが優れて
いるので、そちらを選択するべきです。

 

まだ分配金余力はあるとはいえ、過剰なタコ足配当をしているような
ファンドには投資をしないようがよいと思います。

 

 

最後に、投信運用には多くのメリットもありますが、
当然ながら、弱点もあります。

今も私は投信運用を続けてはいますが、私がなぜ
投資信託の運用を主軸におかなくなったのか。

その理由をこちらで話をしています。

>>私が痛感する投資信託の限界。多くの投資家が見逃している投信運用の弱点