モーニングスターのファンド・オブ・ザ・イヤーを何度も
受賞しているダイワ・US-REIT・オープン(毎月決算型)Bコース。
モーニングスターが高い評価をしているからという理由で、
購入が促進されてしまっていると思いますが、未だ多くの
方が保有しているファンドです。
ダイワ・US-REITは為替ヘッジ有/無と毎月分配型/年1決算型の
4コースが用意されています。
今日は、その中でも最も人気の高いダイワ・US-REIT・オープン
(毎月決算型)Bコースを徹底分析していきます。
現在、保有している方はぜひ参考にしてください。
「ダイワ・US-REIT・オープン(毎月決算型)Bコースって投資対象としてどうなの?」
「ダイワ・US-REIT・オープン(毎月決算型)Bコースって持ってて大丈夫なの?」
「ダイワ・US-REIT・オープン(毎月決算型)Bコースより良いファンドってある?」
といったことでお悩みの方は、この記事を最後まで読めば、
悩みは解消すると思います。
ダイワ・US-REIT・オープン(毎月決算型)Bコースの基本情報
投資対象は?
ダイワ・US-REIT・オープン(毎月決算型)Bコースの投資対象は、
米国のリートで、配当利回りがFTSE NAREITエクイティREIT・
インデックス以上のパフォーマンスとなるように運用しています。
現在の組み入れ銘柄数は31銘柄となっており、構成比の上位を
見てみると、ヘルスケアが15%強、次いで、産業施、集合住宅、
データセンターとなっています。
米国のRIETが全部で150程度ですので、かなり絞り込んで運用
しているようです。
※引用:マンスリーレポート
つみたてNISAとiDeCoの対応状況は?
ダイワ・US-REIT・オープン(毎月決算型)Bコースの
つみたてNISAやiDeCoの対応状況を見ておきましょう。
残念ながら、対応していません。
つみたてNISA | iDeCo |
× | × |
※2021年9月時点
運用体制は?
マザーファンドの運用においては、コーヘン&スティアーズ・
キャピタル・マネジメント・インクが運用指示を行っています。
コーヘン&スティアーズ社は米国初のリート専門会社として、
1986年に設立されており、現地調査による分析能力では、業界
随一と言われています。
運用・調査経験年数が25年以上のベテランファンドマネージャーが
ファンド設定以来一貫して、担当しています。
純資産総額は?
続いて、ダイワ・US-REIT・オープン(毎月決算型)Bコースの
純資産総額はどうなっているか見てみましょう。
純資産総額というのは、あなたを含めた投資家から集めた資金の
総額だと思ってください。
純資産総額は大きいほうが、ファンドマネージャーが資金を運用する際に
効率よくできたり、保管費用や監査費用が相対的に低くなりますので、
コストが低く抑えられます。
また投資信託の規模が小さくなると運用会社自体がその投資信託に
力を注がなくなりパフォーマンスが悪くなることもありますので
注意が必要です。
ダイワ・US-REIT・オープン(毎月決算型)Bコースは、2011年
ごろから資産が爆発的に増え始め、一時期は7500億円ほど
になりました。
しかし、毎月分配型の風当たりが強くなっていることもあり、
純資産総額は6700億円近くまで減少しています。
純資産の規模としては全く問題ありませんね。
※引用:マンスリーレポート
実質コストは?
私たちが支払うコストには、目論見書に記載の信託報酬以外に、
株式売買委託手数料や、保管費用、印刷費用などが含まれています。
そのため、実際に支払うコストは、目論見書記載の額より高くなる
のが通例で、実際にかかる実質コストをもとに投資判断をしなければ
なりません。
ダイワ・US-REIT・オープン(毎月決算型)Bコースの実質コストは
1.90%とかなり割高の設定です。
購入時手数料も考えると、初年度は5%を超えてくるため、慎重に
ならなければいけません。
購入時手数料 | 3.3%※上限 |
信託報酬 | 1.672%(税込) |
信託財産留保額 | なし |
実質コスト | 1.90%(概算値) |
※引用:最新運用報告書
と聞かれてあなたは何と答えますか?
もし『ファンド選び』だと思ったとしたら、あなたはドツボに
はまっていますので、こちらの記事を読んでみてください。
>>無料ファンド相談から見えた。多くの人が気づいていない投信運用で成果を阻む9つの誤り
ダイワ・US-REIT・オープン(毎月決算型)Bコースの評価分析
基準価額をどう見る?
ダイワ・USリート・オープン・Bコースの直近3年間の基準価額
は約15%ほど下落しています。
分配金を受け取らずに再投資をした場合の基準価額(青線)は
3年間で約40%ほど上昇していることを考えると、ファンドの
運用利回り自体はプラスですが、それをはるかに上回るタコ足
配当をしているということです。
基準価額が2000円台というのは過去に相当ひどい分配を繰り返し
てきたことを物語っています。
※引用:モーニングスター
利回りはどれくらい?
ダイワ・US-REIT・オープン(毎月決算型)Bコースの直近1年の
利回りは41.32%となっています。
3年平均と10年平均利回りは10%以上の利回りで5年平均利回りは
9%程度ありますので、かなり高い利回りで運用できています。
ただ、この利回りだけを見て、投資判断するのは時期尚早です。
他の類似ファンドと比較をしたうえで投資をするように
してください。
ちなみにあなたは実質利回りの計算方法はすでに理解していますか?
もし、理解していないのであれば、必ず理解しておいてください。
平均利回り | |
1年 | +41.32% |
3年 | +12.55% |
5年 | +9.22% |
10年 | +13.50% |
※2021年9月時点
同カテゴリー内での利回りランキングは?
ダイワ・US-REIT・オープン(毎月決算型)Bコースは、国際RIETの
特定地域カテゴリーに属しています。
投資をするのであれば、同じカテゴリーでも優秀なパフォーマンス
のファンドに投資をすべきなので、同カテゴリー内でもパフォー
マンスのランキングは事前に調べておいて損はありません。
ダイワ・US-REIT・オープン(毎月決算型)Bコースは、
どの期間においても上位20%にランクインしており、
非常に優秀な運用ができています。
投資をするのであれば、最低限これくらいのランキングの
位置にいるファンドに投資をしたいものです。
上位●% | |
1年 | 22% |
3年 | 4% |
5年 | 9% |
10年 | 20% |
※2021年9月時点
年別の運用利回りは?
ダイワ・US-REIT・オープン(毎月決算型)Bコースの年別の
パフォーマンスを見てみましょう。
安定してプラスのリターンが得られるわけではなく、
数年に1度20%以上のプラスを出すことで、平均利回りを
底上げしているような状態です。
そのため、思った以上にパフォーマンスは安定していませんので、
たいした成果が出ず、我慢しないといけない期間がそれなりに
あることは覚悟したうえで投資をするようにしてください。
年間利回り | |
2021年 | +29.53%(1-6月) |
2020年 | ▲9.63% |
2019年 | +24.19% |
2018年 | ▲6.13% |
2017年 | +1.64% |
2016年 | ▲0.96% |
2015年 | +3.14% |
2014年 | +49.63% |
※2021年9月時点
考えずに投資をしてしまいがちです。 しかし、「投資は出口戦略にあり」と言われるほど、
重要なテーマです。 ぜひこれを機会に投資の出口戦略を考えてみて
ください。 >>ここまで考えるのが本当の資産運用。多くの投資家が考えられていない投信運用の出口戦略とは
インデックスファンドとのパフォーマンス比較
ダイワ・US-REIT・オープン(毎月決算型)Bコースに投資を
する前により低コストで運用できるインデックスファンド
とのパフォーマンスは比較しておいて損はありません。
今回は、S&P米国リート指数に連動するeMAXIS 米国リート
インデックスとパフォーマンスを比較してみました。
※引用:モーニングスター
2019年以降は、ダイワ・US-REIT・オープン(毎月決算型)
Bコースのパフォーマンスが上回り始め、コロナショック
以降はさらにその差を広げています。
米国リートに投資をするのであれば、高いコストを支払って
でもアクティブファンドに投資をする価値があると言えますね。
ダイワ US-RIET | eMAXIS 米国リート | |
1年 | +41.32% | +41.94% |
3年 | +12.55% | +8.96% |
5年 | +9.22% | +7.21% |
10年 | +13.50% | – |
※2021年9月時点
類似ファンドとのパフォーマンス比較
続いて、ダイワ・US-REIT・オープン(毎月決算型)Bコースに
投資をするのであれば、同じくアクティブファンドで、米国
リートに投資をしているファンドとパフォーマンスを比較して
おきたいところです。
今回は、ダイワ・US-REIT・オープン(毎月決算型)Bコースと
同じく米国リートに投資をしているアクティブファンドである
フィデリティ・USリート・ファンドBと新光US-RIETオープン
と比較をしました。
※引用:モーニングスター
直近3年間のパフォーマンスではダイワ・US-REIT・オープン
(毎月決算型)Bコースが一番優れていることがわかります。
ただ、5年平均、10年平均利回りの長期の利回りを比較した場合、
10年平均利回りだけは、フィデリティ・USリート・ファンドBの
ほうがパフォーマンスで上回っています。
10年平均利回りだけが優れているようなファンドは直近の運用が
うまくできていないということなので、どちらを選ぶべきかで
言えば、ダイワ・US-REIT・オープン(毎月決算型)Bコースの
ほうがよいと思います。
ダイワ US-RIET | フィデリティUSリート | |
1年 | +41.32% | +39.28% |
3年 | +12.55% | +11.09% |
5年 | +9.22% | +8.52% |
10年 | +13.50% | +14.08% |
※2021年9月時点
最大下落率は?
投資を検討するのであれば、基準価額がどの程度下落する可能性が
あるのは知っておきたいところです。
標準偏差からある程度は予測できますが、最大下落率を直接確認した
ほうがイメージがわきますね。
ダイワ・US-REIT・オープン(毎月決算型)Bコースは2008年9月~
2009年2月の間に最大▲59.35も下落しています。
リートはリスクが低いと思われがちですが、下落するときは大きく
下落しますので、その点は心にとめておきましょう。
最大下落率を知ってしまうと、少し足が止まってしまうかもしれません。
しかし、以下のことをしっかり理解しておけば、元本割れの可能性を
限りなく低くすることが可能です。
期間 | 下落率 |
1カ月 | ▲31.27% |
3カ月 | ▲49.05% |
6カ月 | ▲59.35% |
12カ月 | ▲57.18% |
※2021年9月時点
分配健全度はどれくらい?
分配金を毎月受け取っていると、受け取っていることに安心
してしまい、自分の投資元本からの配当なのか、ファンドの
収益からの配当なのか調べなくなります。
そこで、分配金がファンドの収益からちゃんと支払われている
のかを調べるときに役立つのが分配健全度です。
分配健全度とは、1年間の分配金の合計額と基準価額の変動幅を
もとに、あなたが受け取った分配金の約何%がファンドの収益
によるものなのかを計算できる指標です。
基準価額の変動幅 | 1年間の分配合計額 | 分配健全度 |
541円 | 390円 | 239% |
※2020/9/25~2021/9/24
ダイワ・US-REIT・オープン(毎月決算型)Bコースの直近1年間の
分配健全度は239%となっています。
分配健全度は100%を切ると、一部ファンドの収益以外から
分配金が支払われていることを意味しますが、0%を下回る
ということは、ファンドの収益からの支払いは一切ない
ということを意味します。
100%を超えているということは、受け取った分配金以上に
ファンドが運用益を出しているということなので、まさに
理想の状態と言えます。
ダイワ・US-REIT・オープン(毎月決算型)Bコースの分配金
利回りはかなり高めですので、すぐに100%を下回ってくると
思います。
分配金利回りはどれくらい?
毎月分配型のファンドに投資をしている場合、どれくらいの
分配金が受け取れるのかを知るために分配金利回りを参考
にします。
ただし、投資信託の場合、分配金利回りだけをみていると、
受け取っている分配金がファンドの収益から出ている
ものなのか、投資元本が削られているのか、判断できません。
そのため、ファンドの運用利回りと分配金利回りを比較して、
ファンドの運用利回りのほうが高ければ、あなたが受け取って
いる分配金がファンドの運用の収益から支払われていると
判断することができます。
ダイワ・US-REIT・オープン(毎月決算型)Bコースの分配金利回りは
15%近いので、大きな分配金を受け取ることができます。
ただ、ファンドの運用利回りよりも高い分配金利回りなので、
あなたが受け取っている分配金の一部はあなたが投資した資金
から戻ってきているに過ぎません。
これでは分配金利回りが高くても全く意味がありませんね。
未だ多くの投資家が勘違いをしながら、分配金利回りが
高いファンドに投資をしていますが、くれぐれも気を
つけてほしいと思います。
運用利回り | 分配金利回り | |
1年 | +41.32% | 15.4% |
3年 | +12.55% | |
5年 | +9.22% | |
10年 | +13.50% |
※2021年9月時点
分配金余力はどれくらい?
毎月分配型ファンドに投資をしている場合、もう1つ気になる
のが今後いつごろ、減配されそうかという点です。
そんなときに役立つのが分配金余力という考え方です。
分配金余力というのは、今の分配金の水準をあと何か月
続けられそうかを判断するための指標です。
明確にこの水準になったら減配されるという指標では
ありませんが、12カ月を切ったファンドはたいてい近々、
減配されることが多いです。
ダイワ・US-REIT・オープン(毎月決算型)Bコースの
分配金余力は、まだ40カ月近くありますので、減配の
心配はないと言えます。
ただし、分配利回りが異常に高くなっており、今後急速に
分配金余力が減少していくと思われるので、油断はできな
い状況です。
分配金 | 繰越対象額 | 分配金余力 | |
189期 | 40円 | 1,706円 | 43.6カ月 |
190期 | 40円 | 1,667円 | 42.6カ月 |
191期 | 40円 | 1,632円 | 41.8カ月 |
192期 | 40円 | 1,599円 | 40.9カ月 |
193期 | 40円 | 1,561円 | 40.0カ月 |
194期 | 40円 | 1,526円 | 39.1カ月 |
195期 | 40円 | 1,492円 | 38.3カ月 |
196期 | 40円 | 1,461円 | 37.5カ月 |
197期 | 40円 | 1,421円 | 36.5カ月 |
198期 | 30円 | 1,398円 | 47.6カ月 |
199期 | 30円 | 1,370円 | 46.7カ月 |
200期 | 30円 | 1,344円 | 45.8カ月 |
※引用:最新運用報告書
評判はどう?
ネット上の書き込みでは、「詐欺商品だ!即刻解約すべきだ!」と
かなり厳しいコメントが目立ちますが、実際に月次の資金流出入額
を見ると、思った以上に資金流出が起きていません。
フィデリティ・US・リートでは、2017年もかなり資金流出があった
のですが、ダイワ・US-REIT・オープン(毎月決算型)Bコースは思った
以上に流出していません。
米国リートの中ではパフォーマンスが優れている点と、分配金利回りが
高いため、何もわかっていない投資家が分配金利回り高さに群がって
きているのでしょう。
少なくともこのブログの読者の方は、しっかりとファンドの内容を
吟味したうえで投資をしてほしいものです。
※引用:モーニングスター
ダイワ・US-REIT・オープン(毎月決算型)Bコースの評価まとめと今後の見通し
いかがでしょうか?
ダイワ・US-REIT・オープン(毎月決算型)Bコースは、
コロナショックで基準価額が大きく下落した結果、分配金
利回りが、15%近くにまで上昇しています。
100万円を投資すれば毎年15万円の分配金が受け取れるわけ
ですから、数値上だけ見ると、非常に儲かるファンドように
見えてしまいます。
しかし、ファンドの運用利回りは良く見積もっても10%程度
しかありませんので、運用益から支払いきれない分配金は
あなたの投資した100万円の中から取り崩されているわけです。
このような無理なタコ足配当を続けた結果、基準価額の下落に
歯止めがかからず、減配を繰り返すしかなくなっています。
米国リートをポートフォリオに組み入れること自体は決して
悪くない判断ですが、少なくともタコ足配当を繰り返し、
投資をだましているようなファンドには投資をするべきでは
ありません。
数年後に、投資元本が激減していて、あなたは驚くことに
なるでしょう。
毎月分配型のファンドにどうしても投資をしたいのであれば、
しっかりとファンドが運用益を出しているファンドを選び、
かつ適切な範囲で分配金を出しているファンドを選んだ
ほうがよいですね。
あえて1本あげるとすれば、アライアンス・バーンスタインの
米国成長株投信Dコースなどはよいと思います。
当然ながら、弱点もあります。 今も私は投信運用を続けてはいますが、私がなぜ
投資信託の運用を主軸におかなくなったのか。 その理由をこちらで話をしています。 >>私が痛感する投資信託の限界。多くの投資家が見逃している投信運用の弱点