募集から1カ月で純資産が1000億円を突破したグローバル・
プロスペクティブ・ファンド『イノベーティブ・フューチャー』。
破壊的イノベーションを起こし得る企業に投資をしていく
という耳ざわりの良い言葉を並べて作られていますが、
果たしてパフォーマンスはどうなっているでしょうか?
今日は、グローバル・プロスペクティブ・ファンドについて
徹底分析していきます。
グローバル・プロスペクティブ・ファンド『イノベーティブ・フューチャー』の基本情報
投資対象は?
グローバル・プロスペクティブ・ファンドの投資対象は、
世界の破壊的イノベーションを起こし得るビジネスを行う
企業の株式です。
破壊的イノベーションの3条件として、①劇的に生産性の向上
をもたらすこと②急激なコスト低下をもたらすこと③イノベ
ーション・プラットフォームであることが挙げられます。
個別銘柄の選定ではイノベーションにフォーカスした調査に
強みをもつ米国のアーク・インベストメントが行います。
日興アセットが最近設定しているファンドの多くがアーク社の
投資助言を受けており、日興アセットの力の入れ具合がわかります。
それでは、国別の構成比と業種別の構成比を見てみましょう。
まず国別の構成比ではアメリカの比率が90%を超えてきており、
ほぼ米国株のファンドといっても差し支えありません。
業種別で見ると、ヘルスケアや情報技術の比率が高いようです。
※引用:マンスリーレポート
もう少し具体的に組入銘柄を見てみましょう。テスラは
名前を聞いたことがあると思いますが、自動車メーカです。
ただ近年では、自動運転やライドシェアサービスなど、
副次的なサービスに注目が集まっています。
イルミナはゲノム解析装置製造の世界的リーダーです。
スクエアはモバイル決済のハードウェアを提供する企業
ですね。
インビテやCRISPRなどもイノベーションという言葉が
似合う企業群です。
※引用:マンスリーレポート
純資産総額は?
純資産総額は投資信託を購入する前に必ず確認しておきたい
ポイントです。
純資産総額が少ないと、銘柄の入れ替えに支障をきたすことが
あったり、運用時に必ずかかる印刷費用や監査費用が相対的に
高くなります。
さらに投資信託の規模が小さくなると運用会社自体がその投資
信託に力を注がなくなりパフォーマンスが悪くなることもあります。
グローバル・プロスペクティブ・ファンドは設定してから1カ月
経たずに1000億円を突破し、それ以降も着実に資産を増やして
いき、一時は3000億円を超える規模にまで成長しました。
コロナショックで一時は2000億円近辺まで下落しましたが、
パフォーマンスの回復に伴い、現在は2600億円程度まで
戻しています。規模としてはかなり大きいファンドなので、
問題ありませんね。
※引用:マンスリーレポート
実質コストは?
投資信託には、購入時の手数料や信託報酬の他にも費用が
かかっていることをご存知ですか?
これを実質コストと言いますが、実質コストには、株式
売買手数料や有価証券取引税、監査費用などが含まれています。
特に純資産総額が小さいときには、信託報酬より実質コストが
かなり割高になっている場合もあるので、注意が必要です。
グローバル・プロスペクティブ・ファンドの実質コストは
運用報告書が出ていないためわかりませんが、信託報酬が
1.6424%となっているので、実質コストは1.8%台になっても
おかしくありません。
購入時手数料 | 3.24%(税込)※上限 |
信託報酬 | 1.6424%(税込) |
信託財産留保額 | なし |
実質コスト | まだ不明 |
※引用:運用報告書
グローバル・プロスペクティブ・ファンド『イノベーティブ・フューチャー』の評価分析
基準価額の推移は?
グローバル・プロスペクティブ・ファンドの基準価額は、
2020年に13000円近辺まで上昇しましたが、コロナショック
の影響で8,000円を割るところまで下落しました。
※引用:モーニングスター
インデックスファンドとのパフォーマンス比較
グローバル・プロスペクティブファンドへの投資を検討
するのであれば、より低コストのインデックスファンドと
パフォーマンスを比較してからで損はありません。
グローバル・プロスペクティブファンドは90%が米国
株式ですので、今回はS&P500に連動するインデックス
ファンドであるiFree S&P500インデックスと比較をして
みます。
こう比較すると、グローバル・プロスペクティブファンド
は負けたり、買ったりしていますがS&P500のほうが変動
幅が小さいようです。
※引用:モーニングスター
評判はどう?
それでは、グローバル・プロスペクティブ・ファンドの
評判はどうでしょうか?
ネット等で口コミを調べることもできますが、資金の流出入
を見ることで、評判がわかります。
評判がよければ、資金が流入超過になりますし、評判が悪く
なっていれば、資金が流出超過になります。
グローバルプロスペクティブファンドはコロナショックを
受けて大きく下落した月も何とか流入超過を維持できて
おり、未だ人気が衰えていません。
高コストファンドなので、もう少し様子を見てから投資を
してもいいように思いますが、積極的に投資をしている
人も多いようです。
※引用:モーニングスター
グローバル・プロスペクティブ・ファンド『イノベーティブ・フューチャー』の今後の見通しと評価まとめ
いかがでしたでしょうか?
投資助言会社が同じ場合、組入られる銘柄というのは、基本的
に似通ってきます。
特に日興アセットはアーク社と似たようなファンドを何個も
設定しています。
日興アセットとアーク社は、フィンテック、宇宙、ゲノム、MaaS
などのテーマでファンドを設定しており、今回はこれらのテーマを
ひとまとめにしたファンドと言えるかもしれません。
iFree S&P500インデックスにパフォーマンスで勝てるアクティブ
ファンドはほとんどありませんので、互角の戦いができている
グローバル・プロスペクティブファンドは決して悪いファンド
ではありません。
ただ、販売手数料もかかりますし、信託報酬もかなり割高です
ので、もう少し様子を見てから投資をしても遅くはないでしょう。
考えずに投資をしてしまいがちです。 しかし、「投資は出口戦略にあり」と言われるほど、
重要なテーマです。 ぜひこれを機会に投資の出口戦略を考えてみて
ください。 >>ここまで考えるのが本当の資産運用。多くの投資家が考えられていない投信運用の出口戦略とは
当然ながら、弱点もあります。 今も私は投信運用を続けてはいますが、私がなぜ
投資信託の運用を主軸におかなくなったのか。 その理由をこちらで話をしています。 >>私が痛感する投資信託の限界。多くの投資家が見逃している投信運用の弱点