超低コストのeMAXIS Slimシリーズの中でも特に私がおすすめしたいのが、eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)です。
まさかここまで低コストでS&P500に投資ができるファンドが出てくるとは思っていませんでしたので、私からするとかなりの衝撃です。
今までS&P500に投資ができるインデックスファンドと言えば、大和投信のiFree S&P500インデックスしかありませんでした。
iFree S&P500インデックスもかなりコストは抑えられていたので、十分おすすめなのですが、三菱UFJ国際が大和投信の人気ぶりを見て、さらに低コストのeMAXIS Slim米国株式(S&P500)を設定してくれました。
果たしてパフォーマンスはどうなのでしょうか?今日は、eMAXIS Slim米国株式(S&P500)を徹底分析していきます。
「eMAXIS Slim米国株式(S&P500)って投資対象としてどうなの?」
「eMAXIS Slim米国株式(S&P500)って持ってて大丈夫なの?」
「eMAXIS Slim米国株式(S&P500)より良いファンドってある?」
といったことでお悩みの方は、この記事を最後まで読めば、悩みは解消すると思います。
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eMAXIS Slim米国株式(S&P500)の基本情報
投資対象は?
投資対象は、米国の株式に投資し、S&P500指数(円ベース)に連動する運用成果を目指します。
S&P500は、S&P Dow Jones Indicesが算出しているアメリカの代表的な株式指数で、ニューヨーク証券取引所、NASDAQに上場している銘柄から代表的な大型株500銘柄の株価をもとに算出される指標です。
上位10銘柄をみればわかりますが、米国の主要な企業が上位を占めています。
※引用:マンスリーレポート
私はインデックスファンドに投資をするのであれば、ベンチマークがとにかく重要だと言い続けてきています。これは、ベンチマークが中長期的に成長していなければ、いくらコストが安くても資産は増えないからです。
そしてS&P500(配当込み、円ベース)の平均利回りを以下に示しますが、ご覧のとおり、20年、30年の平均利回りを見ても、非常に高いパフォーマンスとなっています。
平均利回り | |
1年 | 9.3% |
3年 | 19.6% |
5年 | 15.0% |
10年 | 18.9% |
15年 | 9.7% |
20年 | 10.8% |
30年 | 10.3% |
※引用:マイインデックス(2022年9月末時点)
当然あのリーマンショックも込みのパフォーマンスなので、いかに優れた実績を残しているかがわかります。
この長期のパフォーマンスをしっかりと頭に焼き付けておけば、多少相場が下落基調になったとしても、我慢して保有を続けることができますね。
つみたてNISAとiDeCoの対応状況は?
eMAXIS Slim米国株式(S&P500)のつみたてNISAとiDeCoの対応状況を確認しておきましょう。
どちらも対応していますので、もしeMAXIS Slim米国株式(S&P500)へ投資をするのであれば、つみたてNISAやiDeCoも有効活用していきたいですね。
つみたてNISA | iDeCo |
〇 | SBI証券(セレクトプラン)、マネックス証券、松井証券 |
※2022年10月時点
純資産総額は?
つづいて、eMAXIS Slim米国株式(S&P500)の純資産総額を見ていきます。
純資産総額が小さいと運用が効率的に行えず、余計なコストが発生したり、運用会社も運用に力を入れないため、パフォーマンスが優れないといったデメリットが発生します。
eMAXIS Slim米国株式(S&P500)の純資産総額は、現在1兆4000億円程度となっています。2018年7月に新規設定されて以来、安定的に純資産総額を伸ばしていましたが、コロナショックを経て、さらに資金の流入速度が加速しています。
※引用:マンスリーレポート
実質コストは?
私たちが支払うコストには、目論見書に記載の信託報酬以外に株式売買委託手数料や、保管費用、印刷費用などが含まれています。
そのコストを含めたものを実質コストと言いますが、実質コストは思った以上に高くなっていることもありますので、投資する前に必ず確認しておきたい項目です。
信託報酬を信用するな。知らないうちに差し引かれている実質コストの調べ方
そして、インデックスファンドにおいて、実質コストというのは何よりも重要な項目です。S&P500連動型のファンドは数多くありますが、ベンチマークに連動するので利益はどこも差がつきませんので、実質コストの部分で良し悪しを決めることになります。
その点、eMAXIS Slim米国株式(S&P500)の実質コストは0.112%とかなり割安となっています。これは、SBIアセットがSBI・バンガード・S&P500という超低コストファンドを出してきたため、三菱UFJ投信も下げざるを得なかったという背景があります。
投資家からすれば、ありがたい限りですね。
購入時手数料 | 0 |
信託報酬 | 0.0968%(税込) |
信託財産留保額 | 0 |
実質コスト | 0.112%(概算値) |
※引用:最新運用報告書
信託報酬の比較
近年、S&P500に連動するインデックスファンドが出てきていますが、パフォーマンスの差はコストの差になってきます。そのため各ファンドごとの信託報酬ベースの比較をしてみました。
現状、eMAXIS Slim米国株式(S&P500)とSBI・バンガード・S&P500の2ファンドが最安値を争っています。
実質コストはここでは計算していませんが、のちほどファンドのパフォーマンスを比較していますので、それを見れば、どのファンドが実質的にコストが一番安いのか判断できます。
eMAXIS Slim米国株式(S&P500) | 0.0968%(税込) |
SBI・バンガード・S&P500 | 0.0938%(税込) |
iFree S&P500インデックス | 0.2475%(税込) |
農中つみたてNISA米国株式 S&P500 | 0.495%(税込) |
※2022年10月時点
「ファンドの運用で成果を出すために一番大事なことは何ですか?」と聞かれてあなたは何と答えますか?
もし『ファンド選び』だと思ったとしたら、あなたはドツボに
はまっていますので、こちらの記事を読んでみてください。
eMAXIS Slim米国株式(S&P500)の評価分析
基準価額をどう見る?
eMAXIS Slim米国株式(S&P500)の基準価額の推移を見ていきます。
コロナショックで一時は30%以上下落しましたが、すぐに回復して大きく基準価額を伸ばしています。このあたりの伸びが日本株とは違いますね。
※引用:モーニングスター
利回りはどう?
eMAXIS Slim米国株式(S&P500)の利回りを見ていきます。eMAXIS Slim米国株式(S&P500)の1年平均利回りは9.42%となっています。
3年平均利回りも約20%ですので、インデックスファンドとしては文句はないですね。
ただ、この段階で投資判断するのは時期尚早です。しっかり同カテゴリー内でのパフォーマンスを比較してから投資判断をしてください。
ちなみにあなたは実質利回りの計算方法はすでに理解していますか?もし、理解していないのであれば、必ず理解しておいてください。
平均利回り | |
1年 | +9.42% |
3年 | +19.72% |
5年 | - |
10年 | - |
※2022年10月時点
10年間高いパフォーマンスを出し続けている優秀なファンド達も参考にしてみてください。
10年間圧倒的に高いリターンを出している海外株式ファンドランキング
同カテゴリー内での利回りランキングは?
eMAXIS Slim米国株式(S&P500)は、グローバル株式の北米カテゴリーに属しています。
投資をするのであれば、同カテゴリーでも優秀なパフォーマンスのファンドに投資すべきですので、同カテゴリー内でのパフォーマンスのランキングを調べました。
eMAXIS Slim米国株式(S&P500)はどの期間も上位30%以内に入っており、インデックスファンドとしては申し分ありません。
上位●% | |
1年 | 29% |
3年 | 13% |
5年 | - |
10年 | - |
※2022年10月時点
年別の運用利回りは?
eMAXIS Slim米国株式(S&P500)の年別のパフォーマンスを見てみると、2019年以降2桁成長しています。投資をするのであれば、これくらい成長するインデックスファンドに投資をしたいですね。
年間利回り | |
2022年 | ▲3.18%(1-9月) |
2021年 | +44.52% |
2020年 | +10.30% |
2019年 | +30.51% |
※2022年10月時点
投信運用は長期投資が前提なので、つい出口戦略を考えずに投資をしてしまいがちです。
しかし、「投資は出口戦略にあり」と言われるほど、重要なテーマです。ぜひこれを機会に投資の出口戦略を考えてみてください。
>>まさか考えたことがない?運用が成功するか失敗するかすべてのカギを握る投信運用の出口戦略類似ファンドとの利回り比較
インデックスファンドに投資をするのであれば、同じベンチマークを採用している類似ファンドとのパフォーマンス比較は不可欠です。
最終的には実質コストが安いインデックスファンドを選択するべきですが、目論見書などからはその情報がわかりません。ですので、パフォーマンスの差が実質コストの差になります。
そこで、eMAXIS Slim米国株式(S&P500)と同じS&P500を採用している主要なファンドとパフォーマンスを比較してみました。
※引用:モーニングスター
直近3年間では、eMAXIS Slim米国株式(S&P500)が一番パフォーマンスが高くなっています。
信託報酬ベースで見ると、eMAXIS Slim米国株式(S&P500)は2番手ですが、実質コストがeMAXIS Slim米国株式(S&P500)のほうが割安であると判断できます。
ただ、この3ファンドの差は誤差のようなものですので、あまり気にせず、自分が今メインで使っている口座から投資ができるファンドに投資をすれば十分です。
アクティブファンドとの利回り比較
eMAXIS Slim米国株式(S&P500)への投資を検討するのであれば、同じように米国株に投資ができるアクティブファンドと比較をしておいても損はありません。
今回は、S&P500の中から銘柄を絞り込みアクティブ運用しているアライアンス・バーンスタインの米国成長株投信Bコースと比較をしてみました。
※引用:モーニングスター
拮抗している時期もありますが、終始、米国成長株投信Bコースがパフォーマンスで上回っています。
eMAXIS Slim米国株式(S&P500)も優秀なファンドですが、米国成長株投信も相当優秀なアクティブファンドですので、ぜひ投資先として検討してみてください。
Slim S&P500 | 米国成長株B | |
1年 | +9.42% | ▲2.18% |
3年 | +19.72% | +19.77% |
5年 | - | +16.49% |
10年 | - | +20.33% |
※2022年10月時点
他の指数に連動するインデックスファンドとの利回り比較
eMAXIS Slim米国株式(S&P500)への投資を検討する上で、他の指数に連動するファンドと比べてパフォーマンスはどうなのかと気になる人もいると思います。
そこで、日経225に連動するeMAXIS Slim国内株式(TOPIX)、新興国の代表的な指数に連動するeMAXIS Slim 新興国株式インデックス、全世界の代表的な指数に連動するeMAXIS Slim 全世界株式(オールカントリー)、最後に先進国株式の代表的な指数に連動するeMAXIS Slim 先進国株式インデックスを比較しました。
※引用:モーニングスター
eMAXIS Slim国内株式(TOPIX)が明らかにパフォーマンスで劣っているのはわかりますが、先進国株式、全世界株式、米国株式は米国株の比率が高いことから、かなり似通った値動きになっています。
直近3年間では、ほとんどの期間eMAXIS Slim米国株式(S&P500)が一番優れていますね。
個人的な意見としては、米国株式一択でも良いと思いますが、あとは自分が長期で平常心で運用するには、どのファンドを保有していれば、安心して投資ができるかと言う軸でファンドを選択すると良いと思います。
最大下落率は?
投資を始めようとしている、もしくは始めたばかりの人が気になるのが、最大どの程度、資産が下落する可能性があるのかという点かと思います。
そこでeMAXIS Slim米国株式(S&P500)の最大下落率を調べてみました。
期間 | 下落率 |
1カ月 | ▲12.18% |
3カ月 | ▲19.17% |
6カ月 | ▲9.90% |
12カ月 | ▲7.12% |
※2022年10月時点
eMAXIS Slim米国株式(S&P500)の最大下落率は2020年1~3月で▲19.17%となっています。
このファンドには投資をし始めたばかりの人が多いと思いますので、いきなり大きな下落を経験して同様している方もいるかもしれませんが、積立などをしている場合は、一度下落したほうが大きなリターンが期待できますので、気にせず保有を続けましょう。
最大下落率を知ってしまうと、少し足が止まってしまうかもしれません。しかし、以下のことをしっかり理解しておけば、元本割れの可能性を限りなく低くすることが可能です。
評判はどう?
eMAXIS Slim米国株式(S&P500)の評判を確認するうえで、インターネットで調べることもできますが、偏った意見も多いので全体像がつかめません。
そんなときに役に立つのが毎月の資金流出入額です。資金が流入超過となっていれば、投資信託を購入している人が多いということなので、評判がよくなっているということになります。
逆に流出超過となっている場合は、解約している人が多いということなので、評判が下がっているということになります。
では、eMAXIS Slim米国株式(S&P500)の流出入額はどうなっているのか。毎年流入超過となっていますので、評判は上々ということですね。
※引用:モーニングスター
eMAXIS Slim米国株式(S&P500)の評価まとめと今後の見通し
世界三大投資家であるウォーレン・バフェットが彼の妻に「自分が死んだら、資金90%はS&P500インデックスに投資をせよ」という言葉を残しているのをご存じでしょうか?
バフェットの会社であるバークシャー・ハサウェイは年利20%以上の高パフォーマンスを出し続けていますが、常にS&P500(配当込)との投資成果を競い合わせており、いかにバフェットがS&P500を重要視していたかがわかります。
これは裏を返せば、S&P500に組み込まれるような米国の企業は時代を超えて素晴らしい成果を上げているから、今後もそれを信じて投資をしましょうということです。
前半部分で紹介しましたが、S&P500自体は30年間の平均利回りが10%近くありますので、中長期で保有すれば大きな資産形成につながるということです。
投信ブロガーが選ぶ!Fund of the Year でもトップ10入りするなど多くのブロガーからも評価されていますので、あなたがもし海外株式に投資をすることを検討しているのであれば、eMAXIS Slim米国株式(S&P500)はおすすめの1本です。
最後に、投信運用には多くのメリットもありますが、当然ながら、弱点もあります。
今も私は投信運用を続けてはいますが、私がなぜ投資信託の運用を主軸におかなくなったのか。その理由をこちらで話をしています。
>>私が痛感する投資信託の限界。多くの投資家が見逃している投信運用の弱点