インデックスファンドの低コスト競争において、最前線で戦っている三菱UFJ国際投信のeMAXIS Slimシリーズ。
毎年、投信ブロガーが選ぶファンドオブザイヤ―で上位入賞を果たしており、投資家からも支持を得ている代表的なファンドです。
さて、今日は、三菱UFJ国際投信のeMAXIS Slim先進国株式インデックスについて徹底的に分析したいと思います。
「eMAXIS Slim先進国株式インデックスって投資対象としてどうなの?」
「eMAXIS Slim先進国株式インデックスって持ってて大丈夫なの?」
「eMAXIS Slim先進国株式インデックスより良いファンドってある?」
といったことでお悩みの方は、この記事を最後まで読めば、悩みは解消すると思います。
[br num="1"]
eMAXIS Slim先進国株式インデックスの基本情報
投資対象は?
投資対象は、日本を除く先進国の株式で、MSCIコクサイ・インデックス(円換算ベース)と連動する投資成果を目指して運用を行います。MSCIコクサイ・インデックスは先進国22か国の約1300銘柄に分散投資ができます。
もう少し具体的に、組入銘柄の国別構成比を見てみましょう。
アメリカが1位であるのは当然として、次がイギリス、その次がカナダという構成比率になっています。注目すべきは米国株が約7割で大半を占めているということです。
ほとんど主要な指数は半分以上が米国株であることがほとんどです。それくらい米国株は外すに外せない銘柄が多いということですね。
※引用:マンスリーレポート
続いて、組入銘柄の上位10銘柄を見てみます。あなたが知らない名前はあるでしょうか?それくらい日本でも有名な銘柄が上位にランクインしています。
※引用:マンスリーレポート
つみたてNISAとiDeCoの対応状況は?
eMAXIS Slim 先進国株式インデックスのつみたてNISAとiDeCoの対応状況を確認しておきましょう。
iDeCoでは、SBI証券でも投資ができるようになりました。セレクトプランは、既存のオリジナルプランから変更の手続きが必要なので、早めに申請をしておきましょう。
先進国株式は多くの投資家がポートフォリオに組入れたいと考えていますので、ますます資金流入が増えそうです。
つみたてNISA | iDeCo |
〇 | SBI証券(セレクトプラン)、松井証券、マネックス証券、その他 |
※2022年10月時点
純資産総額は?
続いて、eMAXIS Slim先進国株式インデックスの純資産総額はどうなっているか見てみましょう。
純資産総額というのは、あなたを含めた投資家から集めた資金の総額だと思ってください。インデックスファンドの運用において、純資産総額というのも見るべきポイントです。
ファンドの純資産総額が小さいと、適切なタイミングで銘柄を入れ替えることができず、インデックスから乖離してしまうリスクがあります。また純資産総額が大きく減少していると、ファンドの組み替えがうまくできず、予期せぬマイナスを生む可能性があります。
eMAXIS Slim先進国株式インデックスは下図のように2017年の新規設定以来、純資産総額を伸ばしており、現在の純資産総額は約3470億円となっています。
まさかインデックスファンドで3000億円を超えるようなファンドが登場する時代がくるとは思っていませんでしたが、それにしてもこの人気はすごいです。idecoやつみたてNISAで非常に人気となっており、順調に純資産を増やしています。
※マンスリーレポート
実質コストは?
私たちが支払うコストには、目論見書に記載の信託報酬以外に、株式売買委託手数料や、保管費用、印刷費用などが含まれています。
そのため、実際に支払うコストは、目論見書記載の額より高くなるのが通例で、実際にかかる実質コストをもとに投資判断をしなければなりません。
信託報酬を信用するな。知らないうちに差し引かれている実質コストの調べ方
特にMSCIコクサイ・インデックス連動型のファンドは運用会社各社が作っていますが、運用リターンはベンチマークに連動するため、どこも差がつきません。
そうすると、実質コストの部分で良し悪しを決めることになるわけです。eMAXIS Slim先進国株式インデックスの実質コストは0.146%となっており、実質コストベースでも超低コストを実現できています。
購入時手数料 | 0 |
信託報酬 | 0.1023%(税込) |
信託財産留保額 | 0 |
実質コスト | 0.146%(概算値) |
※引用:最新運用報告書
類似ファンドの信託報酬を比較
参考までに、MSCIコクサイ・インデックスをベンチマークとして採用している類似ファンドの信託報酬を比較をしてみましょう。
eMAXIS Slim先進国株式インデックスとニッセイ外国株式インデックスファンドが最安値競争を繰り広げています。
なお、直近で信託報酬を下げている場合もありますので、詳しくはファンドのパフォーマンスを見て、コストを比較するのが最善です。
ファンド | 信託報酬 |
eMAXIS Slim先進国株式インデックス | 0.1023% |
ニッセイ 外国株式インデックスファンド | 0.1023% |
たわらノーロード先進国株式 | 0.10989% |
iFree外国株式インデックス | 0.209% |
※2022年10月時点
「ファンドの運用で成果を出すために一番大事なことは何ですか?」と聞かれてあなたは何と答えますか?
もし『ファンド選び』だと思ったとしたら、あなたはドツボに
はまっていますので、こちらの記事を読んでみてください。
eMAXIS Slim先進国株式インデックスの評価分析
基準価額をどう見る?
eMAXIS Slim先進国株式インデックスの基準価額は、コロナショックで一時は10,000円を割り込みました。しかし、その後は順調に基準価額を伸ばしており、2022年も最高値を更新しています。
※引用:モーニングスター
利回りはどう?
つづいて、eMAXIS Slim先進国株式インデックスの運用実績を見てみましょう。
直近1年間の利回りは5.43%という結果になっています。3年平均、5年平均も10%を超えており、好調に見えます。
ただ、この時点で投資判断するのは時期尚早です。他のファンドをとパフォーマンスを比較してから投資するようにしてください。
ちなみにあなたは実質利回りの計算方法はすでに理解していますか?もし、理解していないのであれば、必ず理解しておいてください。
平均利回り | |
1年 | +5.43% |
3年 | +16.65% |
5年 | +11.72% |
10年 | - |
※2022年10月時点
同カテゴリー内での利回りランキングは?
eMAXIS Slim先進国株式インデックスは、日本を除く国際株式カテゴリーに属しています。
投資をするのであれば、同カテゴリーでも優秀なパフォーマンスのファンドに投資すべきですので、同カテゴリー内でのパフォーマンスのランキングを調べました。
eMAXIS Slim先進国株式インデックスは、直近1年間も3年平均利回りも上位30%以内にランクインしています。
インデックスファンドがここまで上位に入ってくるのは相当珍しいですし、素晴らしいですね。
上位●% | |
1年 | 25% |
3年 | 9% |
5年 | 5% |
10年 | - |
※2022年10月時点
年別の運用利回りは?
つづいて、eMAXIS Slim先進国株式インデックスの年別のパフォーマンスを見てみましょう。
2018年、2022年はマイナスですが、それ以外の年では、安定して2桁近いパフォーマンスを残しています。この利回りであれば、文句は出ないでしょう。
年間利回り | |
2022年 | ▲5.1%(1-9月) |
2021年 | +38.35% |
2020年 | +9.01% |
2019年 | +28.89% |
2018年 | ▲11.00% |
2017年 | +14.94% |
※2022年10月時点
投信運用は長期投資が前提なので、つい出口戦略を考えずに投資をしてしまいがちです。
しかし、「投資は出口戦略にあり」と言われるほど、重要なテーマです。ぜひこれを機会に投資の出口戦略を考えてみてください。
>>まさか考えたことがない?運用が成功するか失敗するかすべてのカギを握る投信運用の出口戦略類似ファンドとの利回り比較
インデックスファンドに投資をするのであれば、同じベンチマークを採用している類似ファンドとのパフォーマンス比較は不可欠です。
特に最終的には実質コストが安いインデックスファンドを選択するべきですが、目論見書などからはその情報がわかりません。ですので、パフォーマンスの差が実質コストの差になるのです。
今回は、eMAXIS Slim先進国株式インデックスと同じMSCIコクサイを採用している主要なファンド3本をパフォーマンスを比較しました。
※引用:モーニングスター
結果は、わずかではありますが、eMAXIS Slim先進国株式インデックスが一番パフォーマンスが高いという結果になりました。
とはいえ、どのファンドもほとんどパフォーマンスは変わらないので、自分がメインで使っている口座で投資ができる先を選択すれば十分です。
アクティブファンドとの利回り比較
eMAXIS Slim先進国株式インデックスへの投資を検討するのであれば、同じように先進国株式に投資ができるアクティブファンドと比較をしておいても損はありません。
今回は、先進国株式に投資をするアクティブファンドで非常に優れた成果を残している大和住銀 DC海外株式アクティブファンドとパフォーマンスを比較しました。
※引用:モーニングスター
ほぼ全期間で大和住銀 DC海外株式アクティブファンドが大きく差をつけていましたが、直近の直近で逆転しています。
もともと海外のアクティブファンドでインデックスファンドを上回るパフォーマンスのファンドはあまりないのですが、大和住銀DC海外アクティブファンドは例外ですね。
ただ、こういったインデックスファンドをはるかに上回るアクティブファンドもありますので、ポートフォリオの一部に組み入れる価値はあると思います。
Slim先進国株式 | DC海外株式 | |
1年 | +5.43% | ▲14.29% |
3年 | +16.65% | +17.00% |
5年 | +11.72% | +12.98% |
10年 | - | +17.63% |
※2022年10月時点
他の指数に連動するインデックスファンドとの利回り比較
eMAXIS Slim先進国株式インデックスへの投資を検討する上で、他の指数に連動するファンドと比べてパフォーマンスはどうなのかと気になる人もいると思います。
そこで、日経225に連動するeMAXIS Slim国内株式(TOPIX)、新興国の代表的な指数に連動するeMAXIS Sim 新興国株式インデックス、全世界の代表的な指数に連動するeMAXIS Slim 全世界株式(オールカントリー)、最後に米国の代表的な指数であるS&P500に連動するeMAXIS Slim米国株式(S&P500)を比較しました。
※引用:モーニングスター
明らかにeMAXIS Slim国内株式(TOPIX)とeMAXIS Slim新興国株式インデックスが劣っていますが、米国株が中心となっているeMAXIS Slim先進国株式インデックスとeMAXIS Slim全世界株式(オールカントリー)、eMAXIS Slim 米国株式はかなり似た動きとなっています。
とはいえ、今は米国株がとにかく強いので、米国株の組み入れ比率の高さによってパフォーマンスが変わってきていますね。
個人的な意見としては、米国株式一択でも良いと思いますが、あとは自分が長期で平常心で運用するには、どのファンドを保有していれば、安心して投資ができるかと言う軸でファンドを選択すると良いと思います。
最大下落率は?
投資を始めようとしている、もしくは始めたばかりの人が気になるのが、最大どの程度、資産が下落する可能性があるのかという点かと思います。
まだ設定来の期間が短く、大きな下落は見せていませんが、eMAXISSlim 先進国株式インデックスの最大下落率は2020年1~3月で▲21.62%となっています。
期間 | 下落率 |
1カ月 | ▲15.03% |
3カ月 | ▲21.62% |
6カ月 | ▲12.95% |
12カ月 | ▲11.08% |
※2022年10月時点
積立投資を始めたばかりの人がコロナショックを経験して動揺した方もいるかもしれませんが、積立をしている場合は、一度下落したほうが大きなリターンが期待できますので、気にせず保有を続けましょう。
最大下落率を知ってしまうと、少し足が止まってしまうかもしれません。しかし、以下のことをしっかり理解しておけば、元本割れの可能性を限りなく低くすることが可能です。
評判はどう?
続いて、eMAXIS Slim先進国株式インデックスを見てみましょう。
ネットでの書き込みなどで調べる方法もありますが、評判を知るうえで一番役に立つのが、月次の資金流出入額でしょう。資金が流入しているということは多くの投資家がファンドを購入しているということなので、評判がいいということになります。
2017年の新規設定以来、毎月資金流入しており、2018年のつみたてNISA開始と同時に純資産総額を大きく伸ばしています。
他社を圧倒するレベルの超低コスト戦略が見事に人気に火をつけた形ですね。これ以上の低コストファンドは当分出てこないと思いますので、流入額はまだまだ増えると思います。
eMAXIS Slim先進国株式インデックスの評価まとめと今後の見通し
いかがでしょうか?
現状、先進国株式に投資をしたいのであれば、このファンド以外には考えられないと思います。ベンチマークもMSCIコクサイ・インデックスなので、問題ありませんし、何より超低コストであることは魅力的です。
とにかく苛烈な信託報酬の値下げ合戦を運用会社同士で繰り広げていることもあり、今後も信託報酬がさらに下がる可能性があります。
あとは全世界株式なのか先進国株式なのか悩む人が一番多いと思いますが、一番重要なのは、自分が安心して保有を続けられるかです。
個人的には、新興国株式は入れなくてもよいと考えていますので、eMAXIS Slim先進国株式インデックスで十分だと思っていますが、パフォーマンスにも大差はないので、そこまでこだわる必要はないと思います。
最後に、投信運用には多くのメリットもありますが、当然ながら、弱点もあります。
今も私は投信運用を続けてはいますが、私がなぜ投資信託の運用を主軸におかなくなったのか。その理由をこちらで話をしています。
>>私が痛感する投資信託の限界。多くの投資家が見逃している投信運用の弱点