インデックスファンドの低コスト競争において、最前線で戦っている
大和証券投資信託委託のiFreeシリーズ。
「iFree新興国株式インデックスって投資対象としてどうなの?」
「iFree新興国株式インデックスって持ってて大丈夫なの?」
「iFree新興国株式インデックスより良いファンドってある?」
といったことでお悩みの方は、この記事を最後まで読めば、
悩みは解消すると思います。
今日は、大和証券投資信託委託のiFree新興国株式インデックスについて
徹底的に分析したいと思います。
iFree新興国株式インデックスの基本情報
投資対象は?
投資対象は、新興国の株式とし、FTSE RAFI エマージング インデックス
(円換算)に連動する運用成果を目指します。
FTSE RAFI エマージング インデックスとは、FTSE社による基準をクリアした
新興国上場株式の中から、4つのファンダメンタル指標(株主資本、キャッシュフロー、
売上、配当)に着目し、リサーチ・アフィリエイツ社独自の手法により、
上位約350銘柄の選定を行っている指標です。
国別の構成比率は以下のようになっており、中国、ブラジル、台湾の
比率が高くなっています。
業種別で見ると、金融・エネルギーの比率が高いです。
※引用:マンスリーレポート
純資産総額は?
続いて、iFree新興国株式インデックスの純資産総額はどうなっているか
見てみましょう。純資産総額というのは、あなたを含めた投資家から
集めた資金の総額だと思ってください。
インデックスファンドの運用において、純資産総額というのも見るべき
ポイントです。
純資産総額が小さいと運用が効率的に行えず、余計なコストが発生
したり、運用会社も運用に力を入れないため、パフォーマンスが
優れないといったデメリットが発生します。
iFree新興国株式インデックスは下図のように2016年の新規設定以来、
純資産総額を伸ばしており、現在の純資産総額は約35億円となっています。
まだファンドの規模として小さいですが、もう少し純資産が増加
してこれば、実質コストも下がってくるでしょう。
※引用:マンスリーレポート
実質コストは?
私たちが支払うコストには、目論見書に記載の信託報酬以外に、
株式売買委託手数料や、保管費用、印刷費用などが含まれています。
そのため、実際に支払うコストは、目論見書記載の額より高くなるのが通例で、
実際にかかる実質コストをもとに投資判断をしなければなりません。
信託報酬を信用するな。知らないうちに差し引かれている実質コストの調べ方
インデックスファンドにおいて、実質コストというのは
何よりも重要な項目です。
FTSE RAFI エマージング インデックス連動型のファンドは
運用会社各社が作っていますが、運用リターンはFTSE RAFI
エマージング インデックスに連動するため、どこも差がつきません。
そうすると、実質コストの部分で良し悪しを決めることに
なるわけです。
特に、ファンダメンタルズ・インデックスは実質コストが
高くなりがちなので、目先の表面コストだけを見て判断するのは
非常に危険です。
iFree新興国株式インデックスの実質コストは0.653%となっており、
信託報酬の1.7倍くらいになっています。
新興国系の株式ファンドはやはり実質コストが高くなりがちです。
購入時手数料 | 0 |
信託報酬 | 0.374%(税込) |
信託財産留保額 | 0 |
実質コスト | 0.653%(概算値) |
※引用:最新運用報告書
と聞かれてあなたは何と答えますか?
もし『ファンド選び』だと思ったとしたら、あなたはドツボに
はまっていますので、こちらの記事を読んでみてください。
>>無料ファンド相談から見えた。多くの人が気づいていない投信運用で成果を阻む9つの誤り
iFree新興国株式インデックスの評価分析
基準価額の推移は?
iFree新興国株式インデックスの基準価額は、コロナショック
で30%以上、下落しました。
その後、ある程度は戻してきていますのが、他のファンド
と比べると、かなり戻り幅は小さくなっています。
※引用:モーニングスター
利回りはどう?
つづいて、iFree新興国株式インデックスの運用実績を
見てみましょう。
直近1年間の利回りは▲12.30%となっています。
3年平均も大きくマイナスとなっており、コロナショック
の影響をもろに受けていますね。
ちなみにあなたは実質利回りの計算方法はすでに理解していますか?
もし、理解していないのであれば、必ず理解しておいてください。
平均利回り | |
1年 | ▲12.30% |
3年 | ▲5.43% |
5年 | – |
10年 | – |
※2020年10月時点
同カテゴリー内での利回りランキングは?
せっかく投資をするのであれば、同じカテゴリー内でも、
優れたファンドに投資をするべきです。
iFree新興国株式インデックスは新興国株式(複数国)
カテゴリーに属しています。
このカテゴリー内でのランキングを確認すると、
下位20%~30%の位置にランクインしています。
つまり、多くのファンドは、iFree新興国株式インデックス
よりも、高い利回りで運用されているということなので、
あえてiFree新興国株式インデックスに投資をする理由が見当たりません。
上位●% | |
1年 | 80% |
3年 | 73% |
5年 | – |
10年 | – |
※2020年10月時点
年別のパフォーマンスは?
つづいてiFree新興国株式インデックスの年別のパフォーマンスを
見てみましょう。
2桁のプラスを出しては、翌年に2桁のマイナスを出して
おり、これでは投資家も安心して投資をすることができ
ません。
年間利回り | |
2020年 | ▲18.04%(1-9月) |
2019年 | 16.23% |
2018年 | ▲11.57% |
2017年 | 20.55% |
2016年 | – |
2015年 | – |
※2020年10月時点
考えずに投資をしてしまいがちです。
しかし、「投資は出口戦略にあり」と言われるほど、
重要なテーマです。
ぜひこれを機会に投資の出口戦略を考えてみて
ください。
>>ここまで考えるのが本当の資産運用。多くの投資家が考えられていない投信運用の出口戦略とは
インデックスファンドとの比較
iFree新興国株式インデックスへの投資を検討するので
あれば、他のインデックスファンドとパフォーマンスを
比較してから投資をしても遅くはありません。
iFree新興国株式インデックスと同じように、新興国株式
に分散投資ができるインデックスファンドである、
eMAXIS Slim新興国株式インデックスとたわらノーロード
新興国株式と比較しました。
※引用:モーニングスター
結果は、どのファンドもマイナスでしたが、iFree新興国株式インデックスの
マイナス幅が特に大きくなっています。
同じインデックスファンドなのになぜここまでパフォーマンスに
差が出るのかというと、ベンチマークとしている指数が異なる
からです。
少なくともiFree新興国株式インデックスがベンチマークとしている
FTSE RAFI エマージング インデックスはやめておいたほうがいいですね。
アクティブファンドとの比較
新興国株式のインデックスファンドに投資をするのであれば、
アクティブファンドとパフォーマンスを比較してからでも、
遅くありません。
今回は、新興国株式ファンドの中でも非常に優れた成果を
出している未来の世界(新興国)と比較をしました。
一目でわかるほど、未来の世界(赤線)のパフォーマンスが
優れていることがわかりますね。
アクティブファンドの場合、コロナショックのような下落相場では、
大きく下落すると予想される銘柄をはずし、成長が期待できる銘柄
の組入比率を機動的に入れ替えられるので、その結果がみごとに、
現れていると言えます。
※引用:モーニングスター
ifree新興国株式 | 未来の世界(新興国) | |
1年 | ▲12.30% | 44.38% |
3年 | ▲5.43% | – |
5年 | – | – |
10年 | – | – |
※2020年10月時点
積立NISAとiDeCoの対応状況は?
iFree新興国株式インデックスの積立NISAとiDeCoの対応状況を
確認しておきましょう。
iDeCoでは取り扱いがありますので、積立投資をする場合は、
積極的に活用していきましょう。
つみたてNISA | iDeCo |
〇 | × |
※2020年10月時点
最大下落率は?
投資を始めようとしている、もしくは始めたばかりの人が気になる
のが、最大どの程度、資産が下落する可能性があるのかという点です。
もちろん標準偏差である程度計算することもできますが、やはり実際に
どれくらい下落したことがあるのか把握したほうがイメージが湧きます。
下記に、ファンド設定来の最大下落率を期間別に集計したものを載せます。
iFree新興国株式インデックスの最大下落幅は、2020年1月~3月の
31.95%となっています。
これだけ大きく下落して、回復が遅いとなると、あえて投資を
する理由がありません。
ちなみにあなたは実質利回りの計算方法はすでに理解していますか?
もし、理解していないのであれば、必ず理解しておいてください。
期間 | 下落率 |
1カ月 | ▲23.08% |
3カ月 | ▲31.95% |
6カ月 | ▲22.92% |
12カ月 | ▲27.08% |
※2020年10月時点
評判はどう?
続いて、iFree新興国株式インデックスの評判を見ていきましょう。
ネットでの書き込みなどで調べる方法もありますが、
評判を知るうえで一番役に立つのが、月次の資金流出入額でしょう。
資金が流入しているということは多くの投資家がファンドを購入している
ということなので、評判がいいということになります。
iFree新興国株式インデックスは2016年の新規設定以来、
ほとんど毎月資金流入しています。
つみたてNISAの対象となっていることも要因の1つだと
思いますが、あまり何も考えずに投資をしている人が
多いのでしょう。
※引用:モーニングスター
iFree新興国株式インデックスの評価まとめと今後の見通し
今回、iFree新興国株式インデックスのベンチマークとなっている
FTSE RAFI エマージング インデックスはスマート・ベータ指数と
いって、一般的なベンチマークより高い収益を狙うために売買頻度を
高めています。
そのため、通常のインデックスファンドよりもコストが高くなりがちです。
かつ、パフォーマンスにおいても、通常の新興国株式インデックスファンド
よりもかなり劣後しており、あえて、iFree新興国株式インデックスを選択
する理由がありません。
そもそも新興国株式に投資をする必要があるのかという問題もありますが、
投資をするにしても、eMAXIS Slim 新興国株式のほうがまだ良いでしょう。
より収益を狙いたいのであれば、未来の世界(新興国)に投資をするのも
よいと思います。
当然ながら、弱点もあります。
今も私は投信運用を続けてはいますが、私がなぜ
投資信託の運用を主軸におかなくなったのか。
その理由をこちらで話をしています。
>>なぜ私が投信運用に限界を感じたのか。多くの投資家が見逃している投信運用の弱点