新興国株式というと先進国株式と比べて価格の変動が大きいため、リスク選好型の投資家から人気を集めています。

そして、新興国株式のインデックスファンドで特に人気が高いのが低コスト競争において、最前線で戦っている三菱UFJ国際投信のeMAXIS Slimシリーズです。

今日は、三菱UFJ国際投信のeMAXIS Slim新興国株式インデックスについて独自目線で徹底的に分析したいと思います。

「eMAXIS Slim新興国株式インデックスって持ってて大丈夫なの?」

「eMAXIS Slim新興国株式インデックスって投資対象としてどうなの?」

「eMAXIS Slim新興国株式インデックスより良いファンドってある?」

といったことでお悩みの方は、この記事を最後まで読めば、悩みは解消すると思います。


eMAXIS Slim新興国株式インデックスの基本情報

投資対象は?

投資対象は、新興国の株式に投資し、MSCIエマージング・マーケット・インデックス(円換算ベース)に連動する投資成果を目指します。

MSCIエマージング・マーケット・インデックスとは、MSCI inc.が開発した世界の新興国株式市場の動きを表す株式指数で、構成国は24か国、約1400銘柄からなるインデックスです。

では、具体的にeMAXIS Slim新興国株式インデックスの国別の資産構成比を見てみましょう。


※引用:マンスリーレポート

ケイマン諸島の比率が一番高くなっていますが、これは大部分が中国の企業ですので、中国と置き換えてもよいと思います。

ケイマン諸島はオフショアと言って、税制優遇制度があり、登記場所をケイマンにすることで、合法的に税金の支払いを減らせるというわけです。大企業になると、叩かれることもありますが、中国の大手企業はまったく気にしていないようです。

インド、台湾、中国、韓国とアジアの新興国の比率が高くなっているのが特徴ですね。

つみたてNISAとiDeCoの対応状況は?

eMAXIS Slim新興国株式インデックスのつみたてNISAやiDeCoの対応状況を見ておきましょう。どちらも対応していますので、投資をする際はこれらの制度をうまく活用しない手はありません。

つみたてNISA iDeCo
SBI証券(セレクト)、マネックス証券、松井証券、SMBC日興証券

※2022年10月時点

純資産総額は?

続いて、eMAXIS Slim新興国株式インデックスの純資産総額はどうなっているか見てみましょう。純資産総額というのは、あなたを含めた投資家から集めた資金の総額だと思ってください。

インデックスファンドの運用において、純資産総額というのも見るべきポイントです。ファンドの純資産総額が小さいと、適切なタイミングで銘柄を入れ替えることができず、インデックスから乖離してしまうリスクがあります。

また純資産総額が大きく減少していると、ファンドの組み替えがうまくできず、予期せぬマイナスを生む可能性があります。

まさか知らない?絶対知っておきたい純資産総額のマメ知識

eMAXIS Slim新興国株式インデックスは下図のように2017年の新規設定以来、純資産総額を伸ばしており、現在の純資産総額は約860億円となっています。

ファンドの規模としては全く問題ありません。低コスト戦争で首位争いをしているうちは、流入が続きそうです。


※引用:マンスリーレポート

実質コストは?

私たちが支払うコストには、目論見書に記載の信託報酬以外に、株式売買委託手数料や、保管費用、印刷費用などが含まれています。

そのため、実際に支払うコストは、目論見書記載の額より高くなるのが通例で、実際にかかる実質コストをもとに投資判断をしなければなりません。

信託報酬を信用するな。知らないうちに差し引かれている実質コストの調べ方

特にMSCIエマージング・マーケット・インデックス連動型のファンドは運用会社各社が作っていますので、運用リターンはほとんど変わりません。そうすると、ファンドのパフォーマンスは実質コストの部分で良し悪しを決めることになるわけです。

eMAXIS Slim新興国株式インデックスの実質コストは0.363%となっており、同カテゴリーの中では、トップクラスの低コストではありますが、信託報酬の2.0倍くらいになっています。

純資産総額が大きくなれば、運用が効率化されてコストは下がってきますが、思った以上に実質コストは高くなっていました。

投資信託の手数料は安ければ安いほどいいという勘違い

購入時手数料 0
信託報酬 0.187%(税込)
信託財産留保額 0
実質コスト 0.363%(概算値)

※引用:最新運用報告書

「ファンドの運用で成果を出すために一番大事なことは何ですか?」と聞かれてあなたは何と答えますか?

もし『ファンド選び』だと思ったとしたら、あなたはドツボに
はまっていますので、こちらの記事を読んでみてください。

>>無料ファンド相談から見えた。多くの人が気づいていない投信運用で成果を阻む9つの誤り

類似ファンドの信託報酬比較

続いて、類似ファンドの信託報酬を比較をしてみましょう。

最終的には実質コストで比較をしなければ、どのファンドのパフォーマンスが高いのかはわかりませんが、参考にはなります。こう比較をしてみても、eMAXIS slim 新興国株式インデックスが明らかに優位にたっていることがわかります。

ファンド 信託報酬
eMAXIS Slim新興国株式インデックス 0.187%
たわらノーロード新興国株式 0.374%
ニッセイ 新興国株式インデックスファンド 0.207%
i-SMT 新興国株式インデックス 0.363%

※2022年10月時点

eMAXIS Slim新興国株式インデックスの評価分析

基準価額をどう見る?

eMAXIS Slim新興国株式インデックスの基準価額は、コロナショックの影響で、一時は30%ほど下落し、10,000円を大きく下回りましたい。その後は大きく伸びましたが、2021年以降はゆるやかに下落傾向となっています。


※引用:モーニングスター

利回りはどれくらい?

つづいて、eMAXIS Slim新興国株式インデックスの運用実績を見てみましょう。

直近1年間の利回りは▲7.26%とマイナスですが、3年平均利回りは7%、5年平均は約3%のプラスとなっています。

投資信託は長期保有が前提になりますので、あまり短期のマイナスは気にしなくても構いません。ただ、この時点で投資判断をするのは時期尚早です。他のファンドとパフォーマンスなどを比較してから優劣を考えましょう。

ちなみにあなたは実質利回りの計算方法はすでに理解していますか?もし、理解していないのであれば、必ず理解しておいてください。

これがわかっていないとマズイ。実質利回りの計算方法。

平均利回り
1年 ▲7.26%
3年 +7.52%
5年 +2.96%
10年

※2022年10月時点

同カテゴリー内での利回りランキングは?

eMAXIS Slim新興国株式インデックスは、新興国複数株式カテゴリ―に属しています。

投資をするのであれば、同じカテゴリーでも優秀なパフォーマンスのファンドに投資をすべきなので、同カテゴリー内でのパフォーマンスのランキングは事前に調べておいて損はありません。

eMAXIS Slim新興国株式インデックスは、平均よりは少し良い位置を常に推移しています。インデックスファンドであれば、及第点ではありますが、他にももっと優れたファンドが何本もあるということですね。

上位●%
1年 47%
3年 40%
5年 40%
10年

※2022年10月時点

年別のパフォーマンスは?

つづいて、eMAXIS Slim新興国株式インデックスの年別のパフォーマンスを見てみましょう。

2018年、2022年はマイナスとなっています。新興国株式ファンドは確かに大きく値上がりする可能性もありますが、下落するときに大きく下落してしまうので、トータルで見ると、特に近年はたいしたパフォーマンスにならない傾向がありますね。

年間利回り
2022年 ▲7.61%(1-9月)
2021年 +8.69%
2020年 +8.82%
2019年 +18.35%
2018年 ▲17.24%
2017年

※2022年10月時点

投信運用は長期投資が前提なので、つい出口戦略を考えずに投資をしてしまいがちです。

しかし、「投資は出口戦略にあり」と言われるほど、重要なテーマです。ぜひこれを機会に投資の出口戦略を考えてみてください。

>>ここまで考えるのが本当の資産運用。多くの投資家が考えられていない投信運用の出口戦略とは

類似ファンドとのパフォーマンスの差は?

インデックスファンドに投資をするのであれば、同じベンチマークを採用しているファンドとのパフォーマンスを比較しておくことは重要です。

実質コストを込みで考えると、信託報酬が安くても、パフォーマンスが優れないといったことが時々起こります。

今回は、eMAXIS Slim新興国株式インデックス(黄線)と同じ、エマージング・マーケット・インデックスを採用しているファンドと比較してみました。


※引用:モーニングスター

やはり信託報酬が安かった分、eMAXIS Slim 新興国株式インデックスが一番パフォーマンスが優れています。実質コストの差で3~4%もリターンが変わりますので、ファンド選定は慎重に行ってください。

アクティブファンドとのパフォーマンス比較

世間ではインデックスファンドが正という風潮が強いため、アクティブファンドなど検討さえもしていないという方も多いと思います。

しかし、数は少ないですが、長期に渡り圧倒的な成果を残しているアクティブファンドも存在しており、インデックスファンドとパフォーマンスを比較しておいて損はありません。

そこで、今回は新興国株式ファンドとして、圧倒的な運用をしている新興国ハイクオリティ成長株式ファンド『未来の世界(新興国)』とパフォーマンスを比較したいと思います。


※引用:モーニングスター

2021年までは未来の世界(新興国)が大きく差を広げていましたが、2022年以降はほぼ差がなくなり、直近ではeMAXIS Slim 新興国株式インデックスが逆転する結果となっています。

アクティブファンドはインデックスファンドよりもパフォーマンスの変動幅が大きいのですが、現時点で言えば、eMAXIS Slim 新興国株式インデックスに投資をしておけば十分ですね。

Slim 新興国株式 未来の世界(新興国)
1年 ▲7.26% ▲19.23%
3年 +7.52% +7.90%
5年 +2.96%
10年

※2022年10月時点

最大下落率は?

投資を始めようとしている、もしくは始めたばかりの人が気になるのが、最大どの程度、資産が下落する可能性があるのかという点です。

eMAXIS Slim 新興国株式インデックスの最大下落率を見てみましょう。

期間 下落率
1カ月 ▲19.56%
3カ月 ▲26.01%
6カ月 ▲15.82%
12カ月 ▲20.35%

※2022年10月時点

eMAXIS 新興国株式インデックスはコロナショックの影響で、2020年1月~3月に26%の下落を記録しています。

下落が続いているとすぐに手放したくなる衝動に駆られる人もいるかもしれませんが、マイナスの時に感情的になり手放すのは最も悪手です。一度保有を決めたのであれば、もう少し中長期視点で考え、保有を続けましょう。

最大下落率を知ってしまうと、少し足が止まってしまうかもしれません。しかし、以下のことをしっかり理解しておけば、元本割れの可能性を限りなく低くすることが可能です。

元本割れを回避するためにできるたったひとつのこととは?

評判はどう?

続いて、eMAXIS Slim新興国株式インデックスの評判を見ていきましょう。

ネットでの書き込みなどで調べる方法もありますが、評判を知るうえで一番役に立つのが、月次の資金流出入額です。

資金が流入しているということは多くの投資家がファンドを購入しているということなので、評判がいいということになります。

2017年の新規設定以来、毎月資金流入しており、2018年のつみたてNISA開始と同時に純資産総額を大きく伸ばしています。

同カテゴリーでほぼ最安値の低コスト戦略が見事に人気に火をつけていますね。

ただ、そこまで人気が出るほどパフォーマンスではないので、とりあえず低コストなので、投資をしている投資家が多いように思います。


※引用:モーニングスター

eMAXIS Slim新興国株式インデックスの評価まとめと今後の見通し

いかがでしょうか?

分散投資目的で新興国株式にも投資をしている人が多いと思います。しかし、新興国株式は値動きが大きい割にパフォーマンスは先進国株式と比べると大したことがありません。

何より、分散効果が本当にあればよいのですが、今や株式が下落するときは、先進国も新興国も関係なくなってきており、株式の分散はリスクを抑える効果が薄くなっています。

何となく、感覚的には新興国株式にも分散投資をしておいたほうがよい気もしますが、それは幻想だと思ったほうがよいでしょう。

あえて、パフォーマンスが優れないインデックスに分散投資をするメリットがあるとは私は思いません。

たぶん、積立投資でeMAXIS Slim 新興国株式インデックスに投資をしている人が多いので、あまり意識していないのだと思いますが、自分が投資をしているファンドはしっかりとモニタリングして判断していくべきだと思います。

分散投資は別に新興国株式に投資をしなければいけないわけではありません。本当に投資する価値があるのかしっかり考えた上で投資をしてください。

最後に、投信運用には多くのメリットもありますが、当然ながら、弱点もあります。

今も私は投信運用を続けてはいますが、私がなぜ投資信託の運用を主軸におかなくなったのか。その理由をこちらで話をしています。

>>なぜ私が投信運用に限界を感じたのか。多くの投資家が見逃している投信運用の弱点