インデックスファンド分析

『楽天VTI』楽天・全米株式インデックス・ファンドの評価や評判は?利回りはどう?

S&P500に連動したインデックスファンドはいくつかありますが、大型中型株式で構成されているので、市場の全体をカバーできているとはいえません。

その点、楽天・全米株式インデックス・ファンドは、小型株式も含めた3000銘柄以上に投資し、市場を100%カバーできるCRSPUSトータルマーケット;インデックス(円換算ベース)に連動した投資信託です。

今回は楽天・全米株式インデックス・ファンドを独自目線で徹底分析したいと思います。

「楽天・全米株式インデックス・ファンドって投資対象としてどうなの?」

「楽天・全米株式インデックス・ファンドって持ってて大丈夫なの?」

「楽天・全米株式インデックス・ファンドより良いファンドってある?」

といったことでお悩みの方は、この記事を最後まで読めば、悩みは解消すると思います。

楽天・全米株式インデックス・ファンド『楽天VTI』の基本情報

投資対象は?

楽天・全米株式インデックス・ファンドの実質的な主要投資対象は、ETFの「バンガード・トータル・ストック・マーケットETF(VTI)」です。

これを通じ米国株式に投資をし、CRSP USトータル・マーケット・インデックス(円換算ベース)に連動する投資成果を目指します。

直近の組入上位10業種は以下の通りになります。

米国は他の先進国と比べテクノロジー業種の割合が高くなります。これはアップル、マイクロソフト、アルファベット(グーグル)などの世界を代表するテクノロジー企業が多いためです。

直近の投資銘柄数は、3825銘柄です。


※引用:マンスリーレポート

組入銘柄を見てみると、上位はアップル、マイクロソフト、アマゾンといった超一流企業が上位を占めています。


※引用:マンスリーレポート

CRSP USトータル・マーケット・インデックス(円換算ベース)とは?

ここでベンチマークとなるCRSP USトータル・マーケット・インデックス(円換算ベース)について説明しておきます。

この指数は、米国株式市場の大型株から小型株までを網羅し、投資可能銘柄のほぼ100%となる約3,500銘柄で構成された時価総額加重平均型の株価指数です。

日本ではS&P500やNYダウといった大型銘柄に投資するファンドが中心だったので、小型株にも投資をしたいと言う人には願ってもないチャンスです。

バンガードとは?

それから、実質的な投資対象となるETF「バンガード・トータル・ストック・マーケットETF(VTI)」を運用するバンガードについても知らない人もいるかもしれませんので、説明しておきます。

バンガードは、1976年に世界で初めて個人投資家向けにインデックスファンドを設定。

現在、世界のインデックス運用商品の約4割のシェアを握り、シェア NO.1となっています。またローコストリーダーとしても知られています。運用に携わっている人でまず知らない人はいないですね。

純資産総額は?

純資産総額は投資信託を見極める際に大切なポイントとなります。

純資産総額が多い方が、ファンドマネージャーが資金を投資する際に有利であったり、他の投資家の解約の際の影響が小さくなりますので、良い投資信託と判断されます。また純資産総額が減少しているファンドは、解約が増えているということです。

さらに投資信託の規模が小さくなると運用会社自体がその投資信託に力を注がなくなりパフォーマンスが悪くなることもあります。

まさか知らない?絶対知っておきたい純資産総額のマメ知識

楽天・全米株式インデックス・ファンドの純資産総額は、2017年9月の設定以来、着実に純資産を増やしています。

コロナショックでわずかに目減りしましたが、それ以降も堅調に純資産を増やしており、1兆を超えるまでになりました。インデックスファンドで1兆円を超えるファンドはほぼありません。それくらい人気だということですね。


※引用:マンスリーレポート

実質コストは?

投資信託には、購入時の手数料や信託報酬の他にも費用がかかることを知っていますか?これを実質コストと言います。

実質コストには、株式売買手数料や有価証券取引税、監査費用などが含まれており、運用報告書を見なければ詳しい数字はわかりません。

ただし、信託報酬と大きくずれていることもあり、かならず確認しておきたいポイントです。

信託報酬を信用するな。知らないうちに差し引かれている実質コストの調べ方

楽天・全米株式インデックス・ファンドの実質コストは、0.191%になります。このファンド1本でアメリカの小型株~大型株まで、すべてをカバーできると考えれば、このコストであれば十分でしょう。

投資信託の手数料は安ければ安いほどいいという勘違い

購入時手数料 なし
信託報酬 0.162%(税込)
信託財産留保額 なし
実質コスト 0.191%(概算値)

※引用:最新運用報告書

「ファンドの運用で成果を出すために一番大事なことは何ですか?」と聞かれてあなたは何と答えますか?

もし『ファンド選び』だと思ったとしたら、あなたはドツボに
はまっていますので、こちらの記事を読んでみてください。

>>無料ファンド相談から見えた。多くの人が気づいていない投信運用で成果を阻む9つの誤り

楽天・全米株式インデックス・ファンド『楽天VTI』の評価分析

基準価額をどう見る?

楽天・全米株式インデックス・ファンドの基準価額は、2022年まで停滞していましたが、2023年に入り、また大きく上昇を始めました。


※引用:ウエルスアドバイザー

利回りはどう?

つづいて、楽天・全米株式インデックス・ファンドの利回りをみてみましょう。

直近1年間の平均利回りは+19.78%となっています。3年・5年平均も15%を超えており、インデックスファンドでありながら、この利回りであれば、文句を言う人はまずいませんね。

ただ、このタイミングで良いファンドだと判断するのは早いので、他のファンドと比較を必ずしてください。

ちなみにあなたは実質利回りの計算方法はすでに理解していますか?もし、理解していないのであれば、必ず理解しておいてください。

これがわかっていないとマズイ。実質利回りの計算方法。

平均利回り
1年 +19.78%
3年 +21.89%
5年 +15.98%
10年 -

※2023年10月時点

10年間高いパフォーマンスを出し続けている優秀なファンド達も参考にしてみてください。

10年間圧倒的に高いリターンを出している北米株式ファンドランキング

同カテゴリー内での利回りランキングは?

楽天・全米株式インデックス・ファンドは、北米カテゴリーに属しています。

投資をするのであれば、同じカテゴリーでも優秀なパフォーマンスのファンドに投資をすべきなので、同カテゴリー内でのパフォーマンスのランキングは事前に調べておいて損はありません。

楽天・全米株式インデックス・ファンドはどの期間で見ても、上位約40%以内にランクインしており、インデックスファンドとしては十分な結果と言えます。

上位●%
1年 41%
3年 33%
5年 18%
10年 -

※2023年10月時点

年別の運用利回りは?

つづいて、楽天・全米株式インデックス・ファンドの年別のパフォーマンスを見ていきます。

2018年・2022年はマイナスではありますが、1桁台のマイナスであり、それ以外の年のプラスを考えれば文句はありませんね。

年間利回り
2023年 +25.00%(1-9月)
2022年 ▲7.76%
2021年 +40.90%
2020年 +12.75%
2019年 +29.84%
2018年 ▲8.41%
2017年 -

※2023年10月時点

投信運用は長期投資が前提なので、つい出口戦略を考えずに投資をしてしまいがちです。

しかし、「投資は出口戦略にあり」と言われるほど、重要なテーマです。ぜひこれを機会に投資の出口戦略を考えてみてください。

>>まさか考えたことがない?運用が成功するか失敗するかすべてのカギを握る投信運用の出口戦略

類似ファンドとの利回り比較

楽天・全米株式インデックス・ファンドへ投資をするのであれば、他のインデックスファンドとパフォーマンスを比較してからでも遅くはありません。

今回は、米国の代表的な指数であるNYダウに連動するiFree NYダウインデックスと、S&P500に連動するeMAXIS Slim 米国株式(S&P500)と比較をしてみました。


※引用:ウエルスアドバイザー

直近3年間のiFree NYダウ・インデックスとのパフォーマンス比較では、競ってはいますが、楽天・全米株式インデックス・ファンドが勝っていることがわかります。

eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)との比較では、かなりパフォーマンスは競っており、直近では、eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)のほうが上回っています。

S&P500は米国の大型株だけですが、中小型株は入っていてもいなくてもあまり大きな差はないと言えるでしょう。

楽天・全米株式 slim 米国株式
1年 +19.78% +21.13%
3年 +21.89% +22.90%
5年 +15.98% +17.03%
10年 - -

※2023年10月時点

アクティブファンドとの利回り比較

楽天・全米株式インデックス・ファンドのようなインデックスファンドに投資をするのであれば、コストは高くなるものの高い利回りが期待できるアクティブファンドと利回りを比較してから投資をしても遅くはありません。

今回は、米国株のアクティブファンドとして非常に人気の高いアライアンス・バーンスタインの米国成長株投信Bコースと比較をしてみました。


※引用:ウエルスアドバイザー

終始、楽天・全米株式インデックス・ファンドのほうがパフォーマンスで上回っていることがわかります。

ただ、長期でみると、5年平均は米国成長株投信のほうが上回っていますし、こうして比較をしてみると、アクティブファンドに投資するのも悪くないとわかりますね。

楽天・全米株式 米国成長株投信
1年 +19.78% +23.80%
3年 +21.89% +17.76%
5年 +15.98% +18.04%
10年 - +19.10%

※2023年10月時点

最大下落率は?

投資を始めようとしている、もしくは始めたばかりの人が気になるのが、最大どの程度、資産が下落する可能性があるのかという点かと思います。

どの程度下落するのかを知っておくことで、急落相場に遭遇しても、精神的に余裕を持って投資を続けられます。

標準偏差からある程度の変動範囲を予測することもできますが、過去に実際にどの程度下落したのかを確認しておくのがおすすめです。

それでは、楽天・全米株式インデックス・ファンドの最大下落率を見てみましょう。

期間 下落率
1カ月 ▲13.75%%
3カ月 ▲20.50%
6カ月 ▲11.51%
12カ月 ▲9.46%

※2023年10月時点

楽天・全米株式インデックス・ファンドの最大下落率は、2020年1月~3月の20.50%です。運用期間が短いこともありコロナショック時の下落が最大下落となりました。

米国株式に投資しますので価格変動リスクに加え為替変動リスクもあるので、今後大きく下落する可能性も十分にありますのでご注意ください。

最大下落率を知ってしまうと、少し足が止まってしまうかもしれません。しかし、以下のことをしっかり理解しておけば、元本割れの可能性を限りなく低くすることが可能です。

元本割れを回避するためにできるたったひとつのこととは?

評判はどう?

それでは、楽天・全米株式インデックス・ファンドの評判はどうでしょうか?

資金の流出入を見れば、投資信託の評判がわかります。解約が増えているということは、この投資信託の魅力が減っているということです。

以下のグラフを見てみると、設定以来つみたてNISA目的の購入者を中心に資金を集めています。

低コストで、米国株式市場全体を網羅できるファンドは日本で唯一ですので、今後どんどん人気が出るでしょう。


※引用:ウエルスアドバイザー

NISAとiDeCoの対応状況は?

楽天・全米株式インデックス・ファンドのNISAとiDeCoの対応状況を確認しておきましょう。

NISA、iDeCoともに取り扱いがあるので、投資をする場合は、積極的に活用したいところです。

NISA iDeCo
楽天証券、松井証券

※2023年10月時点

楽天・全米株式インデックス・ファンド『楽天VTI』の今後の見通しと評価まとめ

いかがでしょうか?

信託報酬の低さや分散性の高さから楽天・全米株式インデックス・ファンドは十分オススメできるファンドです。

楽天・全米株式インデックス・ファンドの実質的な投資対象であるVTIの中長期のリターンは平均すると10%程度はありますので、今後もそれくらいの利回りは期待できそうです。

人によっては、米国全体に投資をしたほうがよいのか、S&P500のように米国の大手企業にだけ投資をしたほうがよいのか悩んでいる人もいると思います。

ただ、実際には銘柄もかなりの部分が重なっていることもあり、パフォーマンスには大きな差はつきません。ですので、どちらに投資をしても大きな失敗はありませんので、安心して投資をしてください。

また、中にはバンガード・トータル・ストック・マーケットETFを直接買った方が信託報酬0.04%とさらにコストを抑えられるのでは?とお考えの方もいると思います。

ある程度まとまった資金で購入するのであれば、ETFを直接購入したほうが手数料も安くなります。

しかし、毎月少額ずつ購入するとなると、毎月購入の手続きをしなければならなかったり、手数料が割高になったりしますので、あまり手間をかけたくないという人は楽天・全米株式インデックス・ファンドを購入しておけば十分です。

どちらにしても、6000本以上ある投資信託の中で、数少ないオススメできるファンドであることは間違いありません。

近年では、インデックスファンドこそが正義のように語られることが多いのですが、さきほど比較をしたようにアクティブファンドでも優れたファンドは存在します。

大きくリターンを狙っていきたいという人であれば、アクティブファンドでの運用も検討する価値があると思います。

最後に、投信運用には多くのメリットもありますが、当然ながら、弱点もあります。

今も私は投信運用を続けてはいますが、私がなぜ投資信託の運用を主軸におかなくなったのか。その理由をこちらで話をしています。

>>私が痛感する投資信託の限界。多くの投資家が見逃している投信運用の弱点

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ネコみたいに気楽に生きたい投資マニア いのねこ

【理論より実践】で役立つ投資情報を配信中。投資歴20年超。元大手証券マン。投資経験は100案件超。 【保有資格】1級ファイナンシャルプランニング/プライマリープライベートバンカー/MBA/証券外務員一種/宅地建物取引士/AFP/相続診断士/競売不動産取扱主任者/

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