2015年以降、爆発的な人気を見せているスパークスの
スパークス・新・国際優良日本株ファンド『厳選投資』。
一般的には、幅広い銘柄をもつことで、リスクを分散
することができると言われていますが、厳選投資は
銘柄数を絞りながらもリスクを分散させすぐれた成績
を残しています。
ブログで何度も紹介はしていますが、詳細分析はして
こなかったので、今日は徹底的に分析していきます。
スパークス・新・国際優良日本株ファンド「厳選投資」の基本情報
投資対象は?
厳選投資の投資対象は、日本国内の株式で、高い技術力や
ブランド力があり、今後グローバルでの活躍が期待できる
日本企業を中心に投資を行います。
スパークスでは、このような企業を新・国際優良企業と
呼んでいますが、もう少し具体的に説明すると、
①国内市場において圧倒的なシェアを獲得しており、
②今後、海外売上高比率の拡大も期待することができ、
③世界的なブランド力を有することが期待できる企業の
ことを指します。
※引用:交付目論見書
海外進出に成功した企業というのは、新興国などの世界経済の成長からの
恩恵を受けやすく、世界的に通用するブランド力を有することで、
外国人投資家の投資対象にもなるというメリットがあるわけですね。
※引用:交付目論見書
業種別の組入比率の上位トップ5は以下のようになっており、
直近では、輸送用機器や精密機器の比率が高くなっている
ことがわかります。
また電子機器の比率も10%以上伸びています。
2020年1月 | 2020年8月 | |
電子機器 | 14.4% | 26.0% |
化学 | 13.0% | 11.1% |
医薬品 | 11.6% | 10.5% |
卸売業 | 11.3% | – |
サービス業 | 8.7% | – |
輸送用機器 | – | 9.2% |
精密機器 | – | 8.3% |
※引用:マンスリーレポート
厳選投資の組入比率トップ5の銘柄を見てみましょう。
半年前と比べると、キーエンス、ソニー、ダイキンが
上位にランクインしてきました
銘柄数はもともとかなり少ないですが、現在は18銘柄に
投資をしています。
2020年1月 | 2020年8月 | |
1 | 日本電産 | シマノ |
2 | リクルートホールディングス | キーエンス |
3 | テルモ | ソニー |
4 | シマノ | テルモ |
5 | ソフトバンクグループ | ダイキン |
銘柄数 | 17銘柄 | 17銘柄 |
※引用:マンスリーレポート
運用体制は?
厳選投資が圧倒的なパフォーマンスを残せているのは、
スパークスの運用体制にあります。
「マクロはミクロの集積である」という投資哲学に基づき、
年間2500回以上の企業訪問をもとに、財務諸表を多角的に
分析し、割安な企業を探しています。
10~20銘柄に厳選して投資をするというのも特長で、集中投資は
リスクが高いとも思われがちですが、銘柄選定に自信がある
からこそ、絞り込めるわけですね。
銘柄選定に自信がない運用会社ほど、リスク回避の意味を込めて、
100社200社と組入銘柄を増やしていたりします。
ファンドマネージャ-の武田政和さん率いる運用調査部の平均
運用年数は15年と長く、経験豊富なベテランが企業調査の分析・
調査を行っています。
純資産総額は?
続いて、厳選投資の純資産総額はどうなっているか見てみましょう。
純資産総額というのは、あなたを含めた投資家から集めた資金の
総額だと思ってください。
ファンドの純資産総額が小さいと、適切なタイミングで銘柄を
入れ替えることができなかったり、純資産総額が大きく減少して
いると、ファンドの組み替えがうまくできず、予期せぬマイナスを
生む可能性がありますので、事前に確認すべきポイントの1つです。
厳選投資は2015年に野村證券が取り扱いを始めたことで急激に
純資産を増やしており、一時は1000億円をこえる規模でしたが、
直近はコロナショックの影響もあり、1000億円を割りこんで
います。
ただ、それでも規模は十分大きいですね。
※引用:マンスリーレポート
実質コストは?
私たちが支払うコストには、目論見書に記載の信託報酬以外に、
株式売買委託手数料や、保管費用、印刷費用などが含まれています。
そのため、実際に支払うコストは、目論見書記載の額より高くなる
のが通例で、実際にかかる実質コストをもとに投資判断をしなけれ
ばなりません。
信託報酬を信用するな。知らないうちに差し引かれている実質コストの調べ方
厳選投資の実質コストは1.83%となっており、平均よりかなり高い
コストとなっています。
高い運用実績がでているので良いですが、普通であれば、コストが
高すぎてまずおすすめしませんね。
購入時手数料 | 3.3%(税込)※上限 |
信託報酬 | 1.804%(税込) |
信託財産留保額 | 0.3% |
実質コスト | 1.83%(概算値) |
※引用:最新運用報告書
スパークス・新・国際優良日本株ファンド「厳選投資」の評価分析
基準価額の推移は?
スパークス・新・国際優良日本株ファンド「厳選投資」の基準価額は、
2018年10月以降に大きく上下に変動しています
コロナショックの影響を大きく受けはしましたが、すでに、
コロナ前の水準まで回復してきており、アクティブファンド
の強さが目立ちます。
大きく下落しても、すぐに戻ってくるファンドというのは、
投資している側からしても心強いですね。
※引用:モーニングスター
利回りはどれくらい?
つづいて、厳選投資の運用実績を見てみましょう。
直近1年間の8.20%となっています。コロナの影響で、平均
利回りは半年前と比べるとかなり落ちました。
しかし、どの期間をとっても、年8%のリターンを実現
できており、とても心強さがあります。
ちなみにあなたは実質利回りの計算方法はすでに理解していますか?
もし、理解していないのであれば、必ず理解しておいてください。
平均利回り | 2020年1月 | 2020年8月 |
1年 | 18.65% | 9.86% |
3年 | 13.06% | 9.23% |
5年 | 12.96% | 8.07% |
10年 | 15.83% | 16.23% |
※2020年8月時点
同カテゴリー内における利回りランキング(上位●%)の変化
厳選投資は、国内の大型株カテゴリーに属しています。
投資をするのであれば、大型株カテゴリーでも優秀な
パフォーマンスのファンドに投資をすべきなので、
同カテゴリー内でもパフォーマンスのランキングは
事前に調べておいて損はありません。
厳選投資は、直近1年間の利回りは平均的な水準ですが、
3年、5年、10年平均利回りは上位10%にランクインしており、
驚異的な成果を残しています。
平均利回り(上位●%) | 2020年1月 | 2020年8月 |
1年 | 78% | 17% |
3年 | 3% | 4% |
5年 | 1% | 2% |
10年 | 1% | 1% |
※2020年8月時点
年別のパフォーマンスは?
厳選投資の年別のパフォーマンスを見てみましょう。
2018年は▲5.69%のマイナスリターンとなってしまいましたが、
それ以外の年はかなり優れたパフォーマンスを残しています。
これだけプラスのリターンで運用ができると投資家としては、
安心して運用をお任せできます。
年間利回り | |
2020年 | 2.53%(1-6月) |
2019年 | 18.65% |
2018年 | ▲5.69% |
2017年 | 29.15% |
2016年 | 7.37% |
2015年 | 18.52% |
2014年 | 26.13% |
※2020年8月時点
考えずに投資をしてしまいがちです。
しかし、「投資は出口戦略にあり」と言われるほど、
重要なテーマです。
ぜひこれを機会に投資の出口戦略を考えてみて
ください。
>>ここまで考えるのが本当の資産運用。多くの投資家が考えられていない投信運用の出口戦略とは
インデックスファンドとのパフォーマンス比較
アクティブファンドに投資をするのであれば、インデックス
ファンドよりも優れたパフォーマンスでなければ投資をする
価値がありません。
厳選投資は国内大型株が中心のファンドなので、日経225に
連動するニッセイ 日経225インデックスファンドとパフォー
マンスを比較しました。
ほぼ全期間で黄色線(厳選投資)のパフォーマンスが上回って
います。
今回のコロナショックでもそうでしたが、大きく下落する
ときというのは、インデックスファンドは成すすべがあり
ませんが、
アクティブファンドは値下がりしそうな銘柄を切り捨て、
値上がりが期待できる銘柄を意図的に組み入れられるので、
今回も明らかに大きな差となって表れています。
※引用:モーニングスター
5年、10年の期間でも厳選投資とニッセイ 日経225インデックス
ファンドのパフォーマンスを比較しました。
長期でみても、やはり厳選投資が終始、優れています。
これだけ差があるのであれば、高いコストを支払ってでも
厳選投資に投資をする価値があると言えますね。
厳選投資 | ニッセイ日経 225 | |
1年 | 9.86% | 2.84% |
3年 | 9.23% | 4.79% |
5年 | 8.07% | 2.81% |
10年 | 16.23% | 10.34% |
※2020年8月時点
類似ファンドとのパフォーマンス比較
せっかくアクティブファンドに投資をするのであれば、
同じカテゴリーの中でも優秀なファンドに投資をしたい
と思うもの。
今回は、同じく国内大型株カテゴリーで中長期で高い
パフォーマンスの残しているOne 国内株オープン『自由演技』
とパフォーマンスを比較しました。
ここでも厳選投資の圧勝と言う結果になりました。
このブログではよく言っていますが、国内の大型株に
投資をしたいのであれば、厳選投資以外の選択肢は
ないと思っています。
※引用:モーニングスター
One国内株オープン『自由演技』の長期のパフォーマンスを
見てみると、厳選投資と同じレベルで高い成果を残している
ことがわかります。
ただ、直近の運用で厳選投資に大きく差をつけられている
ことがわかります。
厳選投資 | One 国内株オープン | |
1年 | 9.86% | 1.40% |
3年 | 9.23% | 1.37% |
5年 | 8.07% | 6.61% |
10年 | 16.23% | 13.46% |
※2020年8月時点
最大下落率はどれくらい?
投資を始めようとしている、もしくは始めたばかりの人が気になるのが、
最大どの程度、資産が下落する可能性があるのかという点かと思います。
厳選投資は2008年8月に一番タイミング悪く買って、2009年1月に一番
タイミング悪く売った場合に最大▲24.80%あなたの資産が目減りした
可能性があります。
リーマンショックのさなかに設定されたファンドなので、直撃しなかった
というのもありますが、10年超の運用実績がありながら、最大下落率が
20%程度で抑えられているというのは評価できます。
最大下落率を知ってしまうと、少し足が止まってしまうかもしれません。
しかし、以下のことをしっかり理解しておけば、元本割れの可能性を
限りなく低くすることが可能です。
期間 | 下落率 |
1カ月 | ▲13.36% |
3カ月 | ▲21.40% |
6カ月 | ▲24.80% |
12カ月 | ▲22.87% |
※2020年8月時点
分配金は?
厳選投資は年1回分配金を出しています。
分配金は出す必要がないと思ってしまいますが、500円程度であれば
このパフォーマンスからすると何ともないでしょう。
今後も分配金は維持できる可能性が高いです。
また、このブログでは何度も言っていますが、分配金は受け取らずに
再投資したほうが投資効率は確実に高くなります。
計算するとよくわかる!分配金を受け取ることによるデメリットとは?
分配金 | |
2020年 | 500円 |
2019年 | 500円 |
2018年 | 500円 |
2017年 | 500円 |
2016年 | 500円 |
2015年 | 500円 |
※引用:モーニングスター
積立NISAとiDeCoの対応状況は?
積立NISAやiDeCoで積立投資を検討している人も多いと
思います。
そこで、積立NISAやiDeCoの対応状況をまとめました。
現在はマネックス証券経由でiDeCoの加入ができます。
積立NISA | iDeCo |
× | マネックス証券 |
※2020年8 月時点
評判はどう?
続いて、厳選投資の人気度合を見ていきたいと思います。
人気度合を測る指標としては、ファンドへの資金流出入額が
参考になります。
資金が流入しているということは多くの投資家がファンドを
購入しているということなので、人気があるということになります。
逆に資金が流出しているということは人気がなくなっていると
いうことですね。
これだけ優れたファンドですが、2019年以降は、資金の流出
が続いており、人気には陰りが見えていると言えます。
私から見ると、今手放すメリットはほぼないと思いますが、
こういうところで、すぐにファンドを手放してしまうような
人というのは、高いリターンはあまり期待できないでしょう。
※引用:モーニングスター
スパークス・新・国際優良日本株ファンド 『厳選投資』の評価まとめと今後の見通し
スパークスという名前を聞いたことがない人もいるかも
しれませんが、運用に携わっている人間に言わせると、
「日本株のアクティブファンドに投資をしたいなら、
スパークスが無難」と言われるほど、日本株=スパークスが
強いという公式が業界に広まりつつあります。
何度も繰り返しになりますが、圧倒的な分析力をもとに、20銘柄
程度に絞り込めるのは、運用における自信の表れです。普通はできません。
「マクロはミクロの集積である」という投資哲学が社内のDNAとして、
受け継がれている限り、運用体制が一部変わったとしても、分析力が
大きく落ちることはないと考えており、厳選投資は高いパフォーマンスを
出し続けてくれると思いますので、引き続き期待したいと思います。
当然ながら、弱点もあります。
今も私は投信運用を続けてはいますが、私がなぜ
投資信託の運用を主軸におかなくなったのか。
その理由をこちらで話をしています。
>>なぜ私が投信運用に限界を感じたのか。多くの投資家が見逃している投信運用の弱点