10年以上前から全世界の株式に投資ができるということで、根強い人気のある三菱UFJアセット・マネジメントのeMAXIS 全世界株式インデックス。
最近では、より低コストのeMAXIS Slimシリーズに押されていますが、果たしてパフォーマンスはどうなのでしょうか?今日は、eMAXIS 全世界株式インデックスについて徹底分析していきます。
「eMAXIS 全世界株式インデックスって投資対象としてどうなの?」
「eMAXIS 全世界株式インデックスって持ってて大丈夫なの?」
「eMAXIS 全世界株式インデックスより良いファンドってある?」
といったことでお悩みの方は、この記事を最後まで読めば、悩みは解消すると思います。
eMAXIS 全世界株式インデックスの基本情報
投資対象は?
eMAXIS 全世界株式インデックスの投資対象は、全世界の株式です。MSCIオール・カントリー・ワールド・インデックス(除く日本、配当込み)に連動する投資成果を目指します。
国別の投資比率を見てみると、米国が約65%で、次いで、イギリス、フランスが続きます。
※引用:マンスリーレポート
eMAXIS 全世界株式インデックスの現在の組入銘柄数は2,592銘柄で構成されており、組入上位10銘柄は以下のようになっています。
1つのファンドで全世界の2600銘柄に投資ができるのはとても魅力的です。
※引用:マンスリーレポート
純資産総額は?
つづいて、eMAXIS 全世界株式インデックスの純資産総額を見てみましょう。純資産総額というのは、あなたを含めた投資家から集めた資金の総額だと思ってください。
ファンドの純資産総額が小さいと、監査費用や印刷費用、その他諸経費が相対的に比率が高くなるので、実質コストが高くなりがちです。また会社としてもファンドの運用に人員を割けなくなるため、パフォーマンスが悪化する原因にもなります。
eMAXIS 全世界株式インデックスの純資産総額は、現在約321億円です。規模としては問題ありませんが、やはりeMAXIS Slimシリーズの人気にはかないませんね。
※引用:マンスリーレポート
実質コストは?
投資信託を運用する際には、購入時手数料や信託報酬以外にも、実際にはコストがかかっています。具体的には、株式売買手数料や有価証券取引税、印刷費用などが該当します。
これを実質コストと言いますが、実質コストが信託報酬よりもかなり高くなっていることもありますので、必ず事前に確認しておいたほうがよいポイントです。
信託報酬を信用するな。知らないうちに差し引かれている実質コストの調べ方
eMAXIS 全世界株式インデックスの実質コストは0.717%となっており、インデックスファンドの中では割高です。eMAXIS Slimシリーズが出ている中で、あえてeMAXIS 全世界株式インデックスを選ぶ理由はありません。
購入時手数料 | なし |
信託報酬 | 0.66%(税込) |
信託財産留保額 | 0.05% |
実質コスト | 0.717%(概算値) |
※引用:最新運用報告書
「ファンドの運用で成果を出すために一番大事なことは何ですか?」と聞かれてあなたは何と答えますか?
もし『ファンド選び』だと思ったとしたら、あなたはドツボに
はまっていますので、こちらの記事を読んでみてください。
eMAXIS 全世界株式インデックスの評価分析
基準価額をどう見る?
eMAXIS 全世界株式インデックスの基準価額を見てみましょう。
2022年は横ばいですが、2023年に入り、大きく上昇しています。
※引用:ウエルスアドバイザー
利回りはどれくらい?
それでは、eMAXIS 全世界株式インデックスの運用実績を見ていきます。
直近1年間の利回りは9.59%となっています。どの期間でも10%以上の利回りなので、悪くないパフォーマンスに見えます。
ただし、この時点で良し悪しを判断するのは時期尚早です。他の類似ファンドとパフォーマンスを比較してから投資判断するようにしましょう。
平均利回り | |
1年 | +9.59% |
3年 | +19.36% |
5年 | +13.63% |
10年 | +11.00% |
※2023年11月時点
10年間高いパフォーマンスを出し続けている優秀なファンド達も参考にしてみてください。
10年間圧倒的に高いリターンを出している国内中小型株式ファンドランキング
同カテゴリー内での利回りランキングは?
eMAXIS 全世界株式インデックスは、国際株式・グローバル・除く日本カテゴリーに属しています。
投資をするのであれば、同カテゴリーでも優秀なパフォーマンスのファンドに投資をすべきなので、同カテゴリー内でもパフォーマンスのランキングは事前に調べておいて損はありません。
利回りが良く見えても、実は同カテゴリー内では、ランキングが低かったということがよくあります。
eMAXIS 全世界株式インデックスは、どの期間でも10%の利回りを超えていましたが、それでもランキングでは平均以下でした。
上位●% | |
1年 | 47% |
3年 | 65% |
5年 | 59% |
10年 | 59% |
※2023年11月時点
年別のパフォーマンスは?
eMAXIS 全世界株式インデックスの年別の利回りを見てみましょう。
年別の運用利回りを見ることで、平均利回りを見るだけではわからない基準価額の変動の大きさを知ることができます。
10%近いマイナスの年はあるものの、そこまで大きくマイナスになった年はなく、これであれば安心して投資を続けられますね。
年間利回り | |
2023年 | +21.95%(1-9月) |
2022年 | ▲6.16% |
2021年 | +33.38% |
2020年 | +8.41% |
2019年 | +26.86% |
2018年 | ▲12.25% |
2017年 | +19.80% |
2016年 | +2.78% |
2015年 | ▲3.31% |
2014年 | +21.37% |
※2023年11月時点
投信運用は長期投資が前提なので、つい出口戦略を考えずに投資をしてしまいがちです。
しかし、「投資は出口戦略にあり」と言われるほど、重要なテーマです。ぜひこれを機会に投資の出口戦略を考えてみてください。
>>ここまで考えるのが本当の資産運用。多くの投資家が考えられていない投信運用の出口戦略とはインデックスファンドとのパフォーマンス比較
eMAXIS 全世界株式インデックスに投資をするかを考える上で、超低コストで投資ができるインデックスファンドとパフォーマンスの比較は必須です。
パフォーマンスが大きく劣るようであれば、わざわざ高いコストを支払ってまで投資をする価値がないからです。
そこで、今回は、eMAXIS 全世界株式インデックスと全世界の株式に投資ができて非常に人気の高いeMAXIS Slim全世界株式(オールカントリー)とパフォーマンスを比較しました。
※引用:ウエルスアドバイザー
ベンチマークが同じなので、ほぼ同じパフォーマンスになるのは当然ですが、やはり信託報酬の差でeMAXIS Slim全世界株式(オールカントリー)のほうが優位となっています。
どちらも取り扱っている証券会社であれば、eMAXIS Slim全世界株式(オールカントリー)を選ぶようにしてください。
年平均利回り | eMAXIS 全世界株式インデックス | slim オールカントリー |
1年 | +9.59% | +10.66% |
3年 | +19.36% | +19.70% |
5年 | +13.63% | +13.90% |
10年 | +11.00% | - |
※2023年11月時点
アクティブファンドとのパフォーマンス比較
eMAXIS 全世界株式インデックスに投資をするかを検討するのであれば、アクティブファンドともパフォーマンスを比較しておきましょう。
投資信託は6000本以上ありますので、もっと優れたファンドが見つかるかもしれません。
今回は、全世界の株式に投資ができるということで非常に人気の高いセゾン投信のセゾン 資産形成の達人ファンドとパフォーマンスを比較しました。
※引用:ウエルスアドバイザー
直近3年間では、ほぼ全期間において、eMAXIS 全世界株式インデックスのほうがパフォーマンスで上回っています。
より長期のパフォーマンスでもeMAXIS 全世界株式インデックスのほうが上回っていますので、これであればわざわざ高いコストを支払って、アクティブファンドに投資をする必要はありません。
年平均利回り | eMAXIS 全世界株式インデックス | 資産形成の達人 |
1年 | +9.59% | +10.78% |
3年 | +19.36% | +14.23% |
5年 | +13.63% | +11.59% |
10年 | +11.00% | +11.05% |
※2023年11月時点
最大下落率は?
投資信託は最低でも5~10年は投資をする気でなければ、投資をする意味がありませんが、その最大の障壁となりえるのが、資産の減少です。
特に20%や30%の下落相場を始めて経験すると、資産の減少額に耐えきれなくなり、本来手放すべきタイミングではないときに慌てて売却してしまいがちです。
そのため、事前にどの程度下落する可能性があるのかを知っておくことで、急落相場に遭遇しても、精神的に余裕を持って投資を続けられます。
それでは、eMAXIS 全世界株式インデックスの最大下落率を調べてみましょう。
期間 | 下落率 |
1カ月 | ▲15.67% |
3カ月 | ▲22.31% |
6カ月 | ▲23.08% |
12カ月 | ▲20.12% |
※2023年11月時点
eMAXIS 全世界株式インデックスの最大下落率は2011年4月~2011年9月で▲23.08%となっています。比較的大きな下落ではありますが、これくらいの下落は日常茶飯事です。
最大下落率を知ってしまうと、少し足が止まってしまうかもしれません。しかし、以下のことをしっかり理解しておけば、元本割れの可能性を
限りなく低くすることが可能です。
評判はどう?
eMAXIS 全世界株式インデックスの評判を確認する上で、毎月の資金の流出入が役立ちます。
資金流入が多くなっていれば、人気が出てきているファンドであるとわかりますし、流出が続いているようであれば、評判が悪くなっているファンドと言えます。
それでは、eMAXIS 全世界株式インデックスの評判を見てみましょう。
2021年以降、毎月資金の流入額が大きくなっており、評判は良くなっていることが分かります。信託報酬はSlimシリーズと比べると高いですが、それでも下手なアクティブファンドに投資をするよりははるかに良いですね。
※引用:ウエルスアドバイザー
NISAとiDeCoの対応状況は?
投資をしようとする際、NISAやiDeCoの制度を使って投資を検討している人も多いと思うので、NISAやiDeCoの対応状況を見ていきます。
eMAXIS 全世界株式インデックスはNISAのみ取り扱いがありますので、投資をする場合は積極的にこの制度を活用していきましょう。
NISA | iDeCo |
〇 | × |
※2023年11月時点
eMAXIS 全世界株式インデックスの評価まとめと今後の見通し
いかがでしょうか?
インデックスファンドに投資をする場合、ベンチマークが同じインデックスなのであれば、あとは実質コストの差がパフォーマンスの差となります。
eMAXIS 全世界株式インデックスの場合は、eMAXIS Slim 全世界株式(オールカントリー)というベンチマークが同じで、コストが10分の1のファンドがありますので、あえて高いコストを支払うメリットは一切ありません。
下手なアクティブファンドに投資をするよりは良いですが、運用会社を儲けさせたい人以外は、今すぐeMAXIS Slim 全世界株式(オールカントリー)に乗り換えましょう。
最後に、投信運用には多くのメリットもありますが、当然ながら、弱点もあります。
今も私は投信運用を続けてはいますが、私がなぜ投資信託の運用を主軸におかなくなったのか。その理由をこちらで話をしています。
>>私が痛感する投資信託の限界。多くの投資家が見逃している投信運用の弱点