インデックスファンド分析

新光 J-REITオープンの評価や評判は?実質コストはいかに?

小口の資金で不動産に分散投資ができるということで、投資家から根強い人気があるJ-REIT。

東証REIT指数に連動するインデックスファンドも近年は低コスト競争が激化しており、以前から設定されているファンドは、苦戦を強いられていますが、果たして新光 J-REITオープンはどうなのでしょうか?

今日は、新光 J-REITオープンを徹底分析していきます。

「新光 J-REITオープンって投資対象としてどうなの?」

「新光 J-REITオープンって持ってて大丈夫なの?」

「新光 J-REITオープンより良いファンドってある?」

といったことでお悩みの方は、この記事を最後まで読めば、悩みは解消すると思います。

新光 J-REITオープンの基本情報

投資対象は?

新光 J-REITオープンの投資対象は日本の取引所に上場している不動産投資信託証券です。そして東証REIT指数(配当込み)に連動する投資成果を目指します。

REITは投資家から集めた資金をもとに、オフィスビルや商業施設などを保有、売買することで、賃貸収入や売買益などを得て、配当金という形で投資家に還元します。

最低でも数百万は必要な不動産投資ですが、REITは小口の資金で投資ができる点にメリットがあります。また複数の不動産に分散投資ができるという点と、不動産への直接投資と比べて高い流動性があるというのもメリットでしょう。

新光 J-REITオープンは現在60銘柄に分散投資をしており、東証REIT指数の全銘柄に投資をしています。


※引用:交付目論見書

ベンチマークの推移は?

インデックスファンドに投資をするのであれば、ベンチマークに採用されている指標が過去にどのように推移をしているのかを確認しておくことはとても重要です。

いくらコストが安くても、ベンチマークが右肩上がりに成長しなければ、あなたの資産は目減りするだけです。

東証REIT指数の推移を以下に示します。


※引用:マンスリーレポート

REITで一番注意をしなければいけないのが、急落相場では株式以上に大きく下落するという点です。2007年も50%以上、下落していますが、2020年も50%近く下落しています。

大きく下落すれば、その分だけ元の水準に戻るまでに時間がかかりますので、運用上は大きなデメリットとなりますので、その点を理解した上で投資をするようにしてください。

純資産総額は?

続いて、新光 J-REITオープン の純資産総額はどうなっているか見ていきます。純資産総額というのは、あなたを含めた投資家から集めた資金の総額だと思ってください。

ファンドの純資産総額が小さいと、適切なタイミングで銘柄を入れ替えることができなかったり、純資産総額が大きく減少していると、ファンドの組み替えがうまくできず、予期せぬマイナスを生む可能性がありますので、事前に確認すべきポイントの1つです。

まさか知らない?絶対知っておきたい純資産総額のマメ知識

新光 J-REITオープンの純資産総額は、現在720億円程となっており、未だ、高い人気があります。規模としては、かなり大きいので、問題ありませんね。


※引用:マンスリーレポート

実質コストは?

私たちが支払うコストには、目論見書に記載の信託報酬以外に、株式売買委託手数料や、保管費用、印刷費用などが含まれています。

そのため、実際に支払うコストは、目論見書記載の額より高くなるのが通例で、実際にかかる実質コストをもとに投資判断をしなければなりません。

信託報酬を信用するな。知らないうちに差し引かれている実質コストの調べ方

新光 J-REITオープンの実質コストは0.715%となっており、近年の低コストファンドと比べるとかなり割高です。

さらに今どき購入時手数料を取るというのもあり得ないですね。残念ながら、このコストでは他のJ-REITファンドと戦えません。

投資信託の手数料は安ければ安いほどいいという勘違い

購入時手数料 2.2%(税込)※上限
信託報酬 0.715%(税込)
信託財産留保額 0.1%
実質コスト 0.715%(概算値)

※引用:最新運用報告書

「ファンドの運用で成果を出すために一番大事なことは何ですか?」と聞かれてあなたは何と答えますか?

もし『ファンド選び』だと思ったとしたら、あなたはドツボに
はまっていますので、こちらの記事を読んでみてください。

>>無料ファンド相談から見えた。多くの人が気づいていない投信運用で成果を阻む9つの誤り

新光 J-REITオープンの評価分析

基準価額をどう見る?

新光 J-REITオープンの基準価額(黄線)は、直近3年間で大きく変動していますが、3年前とほぼ変わらない水準です。

分配金を受け取らずに運用をした場合の基準価額(青線)を見ると、3年間で18%上昇していますので、ファンドの運用益はほぼ分配金に充てられていることがわかります。

また基準価額が3000円台ということで、普通に運用していたら、まずこのような基準価額にはなりませんので、これまでにどれだけひどい分配をしてきたかがここからもわかりますね。


※引用:ウエルスアドバイザー

利回りはどれくらい?

つづいて、新光 J-REITオープンの利回りを見てみましょう。

直近1年間の利回りは▲1.15%となっています。3年平均・5年平均、10年平均は4%を超えています。

直近のパフォーマンスは悪いですが、投資信託は長期保有を前提に考えるべきですので、少なくとも1桁中盤の利回りは期待できそうです。

ちなみにあなたは実質利回りの計算方法はすでに理解していますか?もし、理解していないのであれば、必ず理解しておいてください。

これがわかっていないとマズイ。実質利回りの計算方法。

平均利回り
1年 ▲1.15%
3年 +5.73%
5年 +4.19%
10年 +5.24%

※2023年10月時点

10年間高いパフォーマンスを出し続けている優秀なファンド達も参考にしてみてください。

10年間圧倒的に高いリターンを出しているJリート ランキング

同カテゴリー内での利回りランキングは?

新光 J-REITオープンは国内REITカテゴリーに属しています。

誰しも優秀なパフォーマンスのファンドに投資をしたいと思うので、新光 J-REITオープンの同カテゴリー内でのパフォーマンスのランキングを調べました。

新光 J-REITオープンはどの期間においても、平均以下のパフォーマンスしか残せていません。

利回りだけで見ていると、良いか悪いか判断しづらいですが、カテゴリー内での順位をみれば、他にもっと優れたファンドがあるかないか判断する材料になります。

全期間上位10%に入るようなファンドはほとんどありませんが、少なくとも30%以内には入っているようなファンドに投資をしたいものです。

上位●%
1年 84%
3年 75%
5年 78%
10年 68%

※2023年10月時点

年別の運用利回りは?

新光 J-REITオープンの年別の運用パフォーマンスを見てみましょう。

年別の運用利回りを見ることで、平均利回りを見るだけではわからない基準価額の変動の大きさを知ることができます。

RIETと聞くと安定してプラスの運用ができているイメージを持っている人もいるかもしれませんが、実際はマイナスで終わっている年もかなり多いので、そこを理解した上で、投資してください。

年間利回り
2023年 +1.17%(1-9月)
2022年 ▲5.42%
2021年 +19.03%
2020年 ▲13.62%
2019年 +24.24%
2018年 +10.16%
2017年 ▲7.30%
2016年 +9.06%
2015年 ▲5.37%
2014年 +28.03%

※2023年10月時点

投信運用は長期投資が前提なので、つい出口戦略を考えずに投資をしてしまいがちです。

しかし、「投資は出口戦略にあり」と言われるほど、重要なテーマです。ぜひこれを機会に投資の出口戦略を考えてみてください。

>>ここまで考えるのが本当の資産運用。多くの投資家が考えられていない投信運用の出口戦略とは

インデックスファンドとのパフォーマンス比較

新光 J-REITオープンに投資をするのであれば、より低コストで投資ができるインデックスファンドとのパフォーマンスは比較してから投資をしても遅くはありません。

今回は、東証REIT指数と連動するeMAXIS 国内リートインデックスとパフォーマンスを比較してみました。


※引用:ウエルスアドバイザー

直近3年間では、ほぼ全期間において、eMAXIS 国内リートインデックスがパフォーマンスで上回っています。これでは、高い手数料を支払ってまで投資するメリットを感じませんね。

5年、10年のより長い期間でパフォーマンスを比較してみても、やはり新光 J-REITオープンが負けていますので、これであれば低コストのインデックスファンドに投資をすれば、十分と言えます。

新光 J-REIT eMAXIS国内リート
1年 ▲1.15% ▲0.82%
3年 +5.73% +6.11%
5年 +4.19% +4.51%
10年 +5.24% +5.70%

※2023年10月時点

類似ファンドとのパフォーマンス比較

毎月分配型のアクティブファンドに投資するのであれば、同じく毎月分配型のアクティブファンドとパフォーマンスを比較してから投資をしても遅くはありません。

今回は同じくJ-RIETに投資ができるJ-REITリサーチ・オープン(毎月分配型)と比較をしてみました。


※引用:ウエルスアドバイザー

こちらも直近3年間では、ほぼ全期間にわたり、新光 J-REITオープンは終始パフォーマンスで負けています。

5年、10年平均利回りで比較をしても、やはり新光 J-REITオープンはパフォーマンスで劣っています。どの期間でも差がついていますので、新光 J-REITオープンをあえて選択する理由がありません。

新光 J-REIT J-RIETリサーチ
1年 ▲1.15% ▲0.81%
3年 +5.73% +6.01%
5年 +4.19% +4.94%
10年 +5.24% +6.27%

※2023年10月時点

最大下落率は?

投資を始めようとしている、もしくは始めたばかりの人が気になるのが、最大どの程度、資産が下落する可能性があるのかという点かと思います。

どの程度下落するのかを知っておくことで、急落相場に遭遇しても、精神的に余裕を持って投資を続けられます。

標準偏差からある程度の変動範囲を予測することもできますが、過去に実際にどの程度下落したのかを確認するのがおすすめです。

それでは、新光 J-REITオープンの最大下落率を調べてみましょう。

期間 下落率
1カ月 ▲22.71%
3カ月 ▲34.11%
6カ月 ▲41.30%
12カ月 ▲53.34%

※2023年10月時点

新光 J-REITオープンは2007年11月~2008年10月の間に最大53.34%下落しています。

株式投資よりもリスクが小さいと思われがちですが、リーマンショック時の下落幅で見ると、日経平均よりも大きく下落しています。もちろん、リーマンショック級の大暴落がまたすぐに来るとは思いませんが、REITもこれくらい下落することもあり得ると思っておかないといけません。

最大下落率を知ってしまうと、少し足が止まってしまうかもしれません。しかし、以下のことをしっかり理解しておけば、元本割れの可能性を限りなく低くすることが可能です。

元本割れを回避するためにできるたったひとつのこととは?

分配健全度はどれくらい?

分配金を毎月受け取っていると、受け取っていることに安心してしまい、自分の投資元本からの配当なのか、ファンドの収益からの配当なのか調べなくなります。

そこで、分配金がファンドの収益からちゃんと支払われているのかを調べるときに役立つのが分配健全度です。

分配健全度とは、1年間の分配金の合計額と基準価額の変動幅をもとに、あなたが受け取った分配金の約何%がファンドの収益によるものなのかを計算できる指標です。

基準価額の変動幅 1年間の分配合計額 分配健全度
▲243円 240円 ▲1.25%

※2022/10/13~2023/10/13

新光 J-REITオープンの直近1年間の分配健全度は▲1.25%となっています。

分配健全度は100%を切ると、一部ファンドの収益以外から分配金が支払われていることを意味しますが、0%を下回るということは、ファンドの収益からの支払いは一切ないということを意味します。

新光 J-REITオープンの分配健全度はマイナスですので、あなたが直近1年間で受け取った分配金はすべて投資元本等から支払われたことを意味しています。

分配金利回りはどれくらい?

毎月分配型のファンドに投資をしている場合、どれくらいの分配金が受け取れるのかを知るために分配金利回りを参考にします。分配金利回りは1年間で受け取った分配金の合計金額を基準価額で割ることで計算できます。

ただし、投資信託の場合、分配金利回りだけをみていると、受け取っている分配金がファンドの収益から出ているものなのか、投資元本が削られているのか、判断できません。

そのため、ファンドの運用利回りと分配金利回りを比較して、ファンドの運用利回りのほうが高ければ、あなたが受け取っている分配金がファンドの運用の収益から支払われていると判断することができます。

運用利回り 分配金利回り
1年 ▲1.15% 6.37%
3年 +5.73%
5年 +4.19%
10年 +5.24%

※2023年10月時点

新光 J-REITオープンの分配金利回りは6%となっており、健全な水準まで下がってきました。

この分配金利回りであれば、健全な水準ですが、それでも、新光 J-REITオープンの運用利回りと比較をすると高い水準ですので、タコ足配当になっています。

未だ多くの投資家が勘違いをしながら、分配金利回りが高いファンドに投資をしていますが、くれぐれも気をつけてほしいです。

分配金余力はどれくらい?

毎月分配型ファンドに投資をしている場合、もう1つ気になるのが今後いつごろ、減配されそうかという点です。そんなときに役立つのが分配金余力という考え方です。

分配金余力というのは、今の分配金の水準をあと何か月続けられそうかを判断するための指標です。明確にこの水準になったら減配されるという指標ではありませんが、12カ月を切ったファンドはたいてい近々、減配されることが多いです。

新光 J-REITオープンの分配金余力は、まだ約380カ月ありますので、減配の心配はいったんしなくても大丈夫でしょう。

分配金 繰越対象額 分配金余力
215期 20円 7,758円 388.9カ月
216期 20円 7,746円 388.3カ月
217期 20円 7,738円 387.9カ月
218期 20円 7,731円 387.6カ月
219期 20円 7,734円 387,7カ月
220期 20円 7,719円 387カ月
221期 20円 7,706 386.3カ月
222期 20円 7,695円 385.8カ月
223期 20円 7,685円 385.3カ月
224期 20円 7,677円 384.9カ月
225期 20円 7,680円 385カ月
226期 20円 7,667円 384.4カ月

※引用:最新運用報告書

評判はどう?

新光 J-REITオープンの評判はネットでの書き込みなどで調べる方法もありますが、評判を知るうえで一番役に立つのが、月次の資金流出入額です。

資金が流入しているということは、それだけ新光 J-REITオープンを購入している人が多いということなので、評判がよくなっているということです。

新光 J-REITオープンは2019年の後半以降は資金の流出が続いており、評判はずっとよくありません。

インデックスファンドにもパフォーマンスで負けていますし、他に優れたアクティブファンドがあるので仕方ないですね。


※引用:ウエルスアドバイザー

NISAとiDeCoの対応状況は?

新光 J-REITオープンのNISAやiDeCoの対応状況ですが、NISAのみ対応しています。

NISA iDeCo
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※2023年10月時点

新光 J-REITオープン の評価まとめと今後の見通し

いかがでしょうか?

毎月分配金を受け取っているだけだと、分配金を受け取れたことに満足してしまい、ファンド自体のパフォーマンスがどうなのかという視点が抜けてしまいがちです。

そのため、分配金が減った瞬間に、はじめてこのファンドは大丈夫なのか?と思い始める人がほとんどです。

一方で、しっかりとファンドの収益力(パフォーマンス)を確認しておけば、分配金が自分の投資元本から支払われているタコ足配当ファンドなのか、ちゃんと利益から支払われているファンドなのかわかり、実は全然利益がでていないファンドに投資をするリスクを下げられます。

また、前からこのブログではよく言っているのですが、急落相場では、REITはかなり大きく下落する傾向があります。

中長期でみれば、REITも1桁中盤のリターンは期待ができますが、新光 J-REITオープンに関しては、低コストのインデックスファンドにパフォーマンスで負けていますし、アクティブファンドのJ-REIT リサーチ・オープン(毎月決算型)にも負けています。

これでは、あえて新光 J-REITオープンを選択する理由がありません。

毎月分配型のファンドに投資をするにしても、重要なのは、ファンド自体がちゃんと収益をあげられているかです。収益をあげていないファンドが分配金を出せるのは、あなたの投資資金から支払いをしているからです。

くれぐれもそのことを忘れずに投資をしてほしいと思います。

最後に、投信運用には多くのメリットもありますが、当然ながら、弱点もあります。

今も私は投信運用を続けてはいますが、私がなぜ投資信託の運用を主軸におかなくなったのか。その理由をこちらで話をしています。

>>なぜ私が投信運用に限界を感じたのか。多くの投資家が見逃している投信運用の弱点

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ネコみたいに気楽に生きたい投資マニア いのねこ

【理論より実践】で役立つ投資情報を配信中。投資歴20年超。元大手証券マン。投資経験は100案件超。 【保有資格】1級ファイナンシャルプランニング/プライマリープライベートバンカー/MBA/証券外務員一種/宅地建物取引士/AFP/相続診断士/競売不動産取扱主任者/

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