J-REITのアクティブファンドといえば、たいがい東証REIT
指数に連動するインデックスファンドにパフォーマンスで
負けてしまっていますが、その中で健闘しているファンドが
三井住友トラストのJ-REIT・リサーチ・オープン(毎月決算型)です。

 

毎月分配型になってしまっているのが残念でなりませんが、
他の毎月分配型のファンドよりはよほど健全に運用がなされ
ています。

 

今日は、J-REIT・リサーチ・オープン(毎月決算型)について
徹底分析していきたいと思います。

 

 

J-REIT・リサーチ・オープン(毎月決算型)の基本情報

投資対象は?

J-REIT・リサーチ・オープン(毎月決算型)の投資対象は、
日本国内で上昇している不動産投資信託証券(J-REIT)です。

 

投資家から集めた資金をもとに、オフィスビルや商業施設へ
投資を行い、そこから得られる賃貸収入や不動産の売買益を
原資として、投資家に配当を分配していきます。

 

組入銘柄数は52銘柄となっており、東証REIT指数に組入ら
れている銘柄の約9割をカバーしていますが、構成比率は
かなり異なっています。

 

一見簡単そうな銘柄選びですが、9割同じ銘柄を選定しな
がら、東証REIT指数に連動するインデックスファンドより
高いパフォーマンスを出し続けるのは並大抵のことでは
ありません。

 


※引用:マンスリーレポート

 

純資産総額は?

続いて、J-REIT・リサーチ・オープン(毎月決算型)の純資産
総額はどうなっているか見てみましょう。

 

純資産総額というのは、あなたを含めた投資家から集めた
資金の総額だと思ってください。

 

ファンドの純資産総額が小さいと、適切なタイミングで銘柄
を入れ替えることができなかったり、純資産総額が大きく
減少していると、ファンドの組み替えがうまくできず、予期
せぬマイナスを生む可能性がありますので、事前に確認すべき
ポイントの1つです。

まさか知らない?絶対知っておきたい純資産総額のマメ知識

 

J-REIT・リサーチ・オープン(毎月決算型)は、現在3300億円
程度で、2015年をピークに大きく減少していたのですが、
2019年以降、また純資産を大きく伸ばしています。

 

かなり巨大なファンドですので、規模のデメリットはあり
ませんね。

 


※引用:マンスリーレポート

 

実質コストは?

私たちが支払うコストには、目論見書に記載の信託報酬
以外に、株式売買委託手数料や、保管費用、印刷費用など
が含まれています。

 

そのため、実際に支払うコストは、目論見書記載の額より
高くなるのが通例で、実際にかかる実質コストをもとに
投資判断をしなければなりません。

信託報酬を信用するな。知らないうちに差し引かれている実質コストの調べ方

 

J-REIT・リサーチ・オープン(毎月決算型) の実質コストは
1.1%となっており、前期とほぼ変わりません。コストは
割安ですね。

 

ただ、購入時手数料もかかるため、銘柄の選定は慎重に
行ってください。

購入時手数料 3.3%(税込)※上限
信託報酬 1.1%(税込)
信託財産留保額 0.3%
実質コスト 1.1%(概算値)

※引用:最新運用報告書

 

ファンドの運用で成果を出すために一番大事なことは何ですか?
と聞かれてあなたは何と答えますか?

もし『ファンド選び』だと思ったとしたら、あなたはドツボに
はまっていますので、こちらの記事を読んでみてください。

>>無料ファンド相談から見えた。多くの人が気づいていない投信運用で成果を阻む9つの誤り

 

J-REIT・リサーチ・オープン(毎月決算型) の評価分析

基準価額の推移は?

続いて、基準価額の推移を見てみましょう。2017年から
2020年までは着実に成長していましたが、2020年3月の
コロナショックで一時は50%近く基準価額が下落しました。

 

REITの恐ろしいところは、平常時の基準価額の変動は
株式ファンド等と比べても、半分くらいに収まっている
のですが、相場が暴落するときには、株並みかそれ以上
の暴落をするということです。

 

間接的に不動産に投資をしているからリスクが低いだろう
と思っている方もいるようですが、まったくの勘違いなの
で、注意してください。

 


※引用:モーニングスター

 

利回りはどれくらい?

つづいて、J-REIT・リサーチ・オープン(毎月決算型)の
利回りを見てみましょう。

 

直近1年間の利回りは▲11.76%となっています。

 

10年平均利回りは10%とかなり高くなっていますが、3年、
5年平均利回りはなんともいまいちなパフォーマンスです。

 

J-REITファンドは今後も苦戦が続きそうです。

 

ちなみにあなたは実質利回りの計算方法はすでに理解していますか?
もし、理解していないのであれば、必ず理解しておいてください。

これがわかっていないとマズイ。実質利回りの計算方法。

平均利回り 2020年8月
1年 ▲11.76%
3年 4.51%
5年 3.33%
10年 10.80%

※2020年8月時点

 

10年間高いパフォーマンスを出し続けている優秀なファンド達も
参考にしてみてください。

10年間圧倒的に高いリターンを出しているJリートファンド ランキング

 

同カテゴリー内における利回りランキング(上位●%)の変化

J-REIT・リサーチ・オープン(毎月決算型)は国内RIETカテゴリーに
属しています。

 

投資をするのであれば、同じカテゴリーでも優秀なパフォーマンス
のファンドに投資をすべきなので、同カテゴリー内でもパフォー
マンスのランキングは事前に調べておいて損はありません。

 

J-REIT・リサーチ・オープン(毎月決算型)は年に上位20%に
ランクインしており、J-REITのアクティブファンドとしては
かなり優秀なファンドです。

 

2020年8月
1年 11%
3年 6%
5年 15%
10年 18%

※2020年8月時点

 

年別運用パフォーマンスは?

J-REIT・リサーチ・オープン(毎月決算型)の年別の運用
パフォーマンスも見てみましょう。

 

J-REITの中では、かなり健闘しているファンドですが、
プラスの年とマイナスの年が交互に来ており、ここ5~6年の
間に始めた人はあまり大きなプラスにはなっていません。

 

年間利回り
2020年 ▲18.47%(1-6月)
2019年 +26.70%
2018年 +10.47%
2017年 ▲6.43%
2016年 +12.15%
2015年 ▲8.12%
2014年 +33.80%

※2020年8月時点

 

投信運用は長期投資が前提なので、つい出口戦略を
考えずに投資をしてしまいがちです。

しかし、「投資は出口戦略にあり」と言われるほど、
重要なテーマです。

ぜひこれを機会に投資の出口戦略を考えてみて
ください。

>>まさか考えたことがない?運用が成功するか失敗するかすべてのカギを握る投信運用の出口戦略

 

インデックスファンドとのパフォーマンス比較

J-REIT・リサーチ・オープン(毎月決算型)に投資をする
のであれば、より低コストで投資ができるインデックス
ファンドとのパフォーマンスは比較してから投資をしても
遅くはありません。

 

今回は、東証REIT指数と連動するeMAXIS 国内リート
インデックスとパフォーマンスを比較してみました。

 


※引用:モーニングスター

 

J-REITファンドのほとんどがインデックスファンドに勝てない
中で、J-REIT・リサーチ・オープン(毎月決算型)は終始、上回って
います。

 

もう少し長期の利回りも比較してみましょう。

 

J-REITリサーチ eMAXIS国内リート
1年 ▲11.76% ▲14.71%
3年 4.51% 2.80%
5年 3.33% 2.35%
10年 10.80% 10.30%

※2020年8月時点

 

J-REIT・リサーチ・オープン(毎月決算型)はどの期間にいても、
インデックスファンドを上回る成果を残していることが
わかります。

 

これであれば、J-REIT・リサーチ・オープン(毎月決算型)に
投資をする価値がありますね。

 

類似ファンドとのパフォーマンス比較

毎月分配型のアクティブファンドに投資するのであれば、
同じく毎月分配型のアクティブファンドとパフォーマンスを
比較してから投資をしても遅くはありません。

 

今回は同じくJ-RIETに投資ができるMHAM J-REITアクティブ
オープン『物件満彩』
と比較をしてみました。

 

J-REITに種類が少ないことから、そこまで大きく差はつきませんが、
J-REIT・リサーチ・オープン(毎月決算型)が終始上回っています。

 


※引用:モーニングスター

 

より長期のパフォーマンスを比較しても、同じように、
J-REIT・リサーチ・オープン(毎月決算型)が上回っています。

 

これであれば、J-REIT・リサーチ・オープン(毎月決算型)に
投資をしておけば、間違いないですね。

 

J-REITリサーチ 物件満彩
1年 ▲11.76% ▲12.61%
3年 4.51% 3.21%
5年 3.33% 2.34%
10年 10.80% 10.51%

※2020年8月時点

 

最大下落率はどれくらい?

投資するにあたって、最大どの程度下落する可能性があるのか
知っておくことは非常に重要です。

 

結局、多くの人が、大きな下落を経験すると、もうこれ以上は
損をしたくないと思い、基準価額が大きく下がったタイミングで
売却してしまうのです。

 

J-REIT・リサーチ・オープン(毎月決算型)の最大下落率は、
2007年11月~2008年10月で▲49.47%となっています。

 

REITというのは、平常時は基準価額の変動幅がとにかく小さいの
ですが、暴落相場では株式並みに大きく下落します。そういう
特徴があることを理解したうえで投資をしないといけないですね。

 

最大下落率を知ってしまうと、少し足が止まってしまうかもしれません。
しかし、以下のことをしっかり理解しておけば、元本割れの可能性を
限りなく低くすることが可能です。

元本割れを回避するためにできるたったひとつのこととは?

期間 下落率
1カ月 ▲20.16%
3カ月 ▲30.48%
6カ月 ▲38.16%
12カ月 ▲49.47%

※2020年8月時点

 

分配健全度はどれくらい?

分配金を毎月受け取っていると、受け取っていることに安心
してしまい、自分の投資元本からの配当なのか、ファンドの
収益からの配当なのか調べなくなります。

 

そこで、分配金がファンドの収益からちゃんと支払われている
のかを調べるときに役立つのが分配健全度です。

 

分配健全度とは、1年間の分配金の合計額と基準価額の変動幅を
もとに、あなたが受け取った分配金の約何%がファンドの収益
によるものなのかを計算できる指標です。

 

基準価額の変動幅 1年間の分配合計額 分配健全度
▲1,662円 780円 ▲113%

※2019/8/29~2020/8/28

 

J-REIT・リサーチ・オープン(毎月決算型)の直近1年間の
分配健全度は▲113%となっています。

 

分配健全度は100%を切ると、一部ファンドの収益以外から
分配金が支払われていることを意味しますが、0%を下回る
ということは、ファンドの収益からの支払いは一切ない
ということを意味します。

 

コロナショックの影響も当然ありますが、あなたが受け
取っている分配金はすべてファンドの収益以外から支払われ
ていたことを意味します。

 

かつ、投資元本が大きく削られてしまっているということです。

 

分配金利回りはどれくらい?

毎月分配型のファンドに投資をしている場合、どれくらいの
分配金が受け取れるのかを知るために分配金利回りを参考
にします。

 

分配金利回りは1年間で受け取った分配金の合計金額を
基準価額で割ることで計算できます。

 

ただし、投資信託の場合、分配金利回りだけをみていると、
受け取っている分配金がファンドの収益から出ている
ものなのか、投資元本が削られているのか、判断できません。

 

そのため、ファンドの運用利回りと分配金利回りを比較して、
ファンドの運用利回りのほうが高ければ、あなたが受け取って
いる分配金がファンドの運用の収益から支払われていると
判断することができます。

 

J-REIT・リサーチ・オープン(毎月決算型)の分配金利回りは
11.4%なので、J-REITファンドの中では、比較的健全な
運用がされています。

 

ただ、ここ最近のパフォーマンスから考えると、どう
考えても、分配金利回りが高く、ファンドの運用利回りだけ
で分配金を賄えていないことがここからもわかります。

 

未だ多くの投資家が勘違いをしながら、分配金利回りが
高いファンドに投資をしていますが、くれぐれも気を
つけてほしいと思います。

 

運用利回り 分配金利回り
1年 ▲11.76% 11.4%
3年 4.51%
5年 3.33%
10年 10.80%

※2020年8月時点

 

分配金余力はどれくらい?

毎月分配型ファンドに投資をしている場合、もう1つ気になる
のが今後いつごろ、減配されそうかという点です。

 

そんなときに役立つのが分配金余力という考え方です。

 

分配金余力というのは、今の分配金の水準をあと何か月
続けられそうかを判断するための指標です。

 

明確にこの水準になったら減配されるという指標では
ありませんが、12カ月を切ったファンドはたいてい近々、
減配されることが多いです。

 

J-REIT・リサーチ・オープン(毎月決算型)の分配金余力は、
まだ150カ月以上ありますので、減配の心配はいったん
しなくても大丈夫そうです。

 

ただし、分配金余力があるのと、タコ足配当が続いているのは
別問題ですので、タコ足配当が続いている限り、あなたの
投資資金から分配金が支払われているという構造は変わりません。

 

分配金 繰越対象額 分配金余力
170期 65円 9,988円 154カ月
171期 65円 10,153円 157カ月
172期 65円 10,303円 159カ月
173期 65円 10,834円 167カ月
174期 65円 10,792円 167カ月
175期 65円 10,742円 166カ月
176期 65円 10,694円 165カ月
177期 65円 10,662円 165カ月
178期 65円 10,639円 164カ月
179期 65円 10,581円 163カ月
180期 65円 10,538円 163カ月
181期 65円 10,493円 162カ月

積立NISAとiDeCoの対応状況は?

積立NISAやiDeCoで積立投資を検討している人も多いと
思います。

 

そこで、積立NISAやiDeCoの対応状況をまとめました。

積立NISA iDeCo
× ×

※2020年8月時点

 

評判はどう?

J-REIT・リサーチ・オープン(毎月決算型)の評判はネットでの
書き込みなどで調べる方法もありますが、評判を知るうえで
一番役に立つのが、月次の資金流出入額です。

 

資金が流出しているということは、それだけJ-REIT・リサーチ・
オープン(毎月決算型)を解約している人が多いということなので、
評判が悪くなっているということです。

 

2020年に入ってからはコロナショックの影響で分配金利回りが
高くなったことから、毎月資金の流入が超過しており、評判が
あがってきています。

 

ただ、分配金利回りが高くても運用利回りが低ければ、タコ足
配当でしかないので、注意は必要です。

 


※引用:モーニングスター

 

J-REIT・リサーチ・オープン(毎月決算型) の今後の分配金の見通しと評価まとめ

いかがでしょうか?

 

J-REITに投資をするのであれば、まず注意しておいて
ほしいのが、想像以上に値動きが大きくなるという
ことです。

 

厄介なことに平常時はとても標準偏差も小さく値動きも
大きくありませんので、ついついRIET=株式よりも
安全というイメージを持ってしまいます。

 

しかし、今回のコロナショックのような相場が来ると、
J-REITの標準偏差は跳ね上がり、株式に匹敵するレベル
かそれ以上の下落を引き起こします。

 

今回も一時は50%近く値を下げました。

 

正直、コロナショックの影響がどこまで経済にダメージを
与えるのかは想像もつきませんが、今までと同じように
右肩上がりに基準価額が上昇していく相場は終わったもの
と思います。

 

そして、インデックスファンドを上回る成果を
出しておきながら、毎月分配型になってしまっている点は
とても残念です。

 

それがなければ、もっと私もおすすめしていたと思います。

 

とは言ったものの、毎月分配型が好きな投資家も根強く
いますので、そこらのとんでもない毎月分配型ファンドに
投資をするよりは、J-REIT・リサーチ・オープン(毎月決算型)に
投資をしたほうがよぼど健全な運用ができるでしょう。

 

 

最後に、投信運用には多くのメリットもありますが、
当然ながら、弱点もあります。

今も私は投信運用を続けてはいますが、私がなぜ
投資信託の運用を主軸におかなくなったのか。

その理由をこちらで話をしています。

>>私が痛感する投資信託の限界。多くの投資家が見逃している投信運用の弱点