「不動産投資を実際始めるには最初の手続きや管理が難しそう、、」そういう考えから少額から分散投資ができる不動産投資信託・Jリートを購入してみようと考え始めている方が増えています。

その中で毎月分配型は毎月お小遣いが入っているようなお得感が味わえて人気があるのですが、本当に投資家にとってお得なのでしょうか?

今回はMHAM J-REITアクティブオープン毎月決算コース『物件満彩』について徹底分析していきます。

「物件満彩って投資対象としてどうなの?」

「物件満彩って持ってて大丈夫なの?」

「物件満彩より良いファンドってある?」

といったことでお悩みの方は、この記事を最後まで読めば、悩みは解消すると思います。


MHAM J-REITアクティブオープン毎月決算コース『物件満彩』の基本情報

投資対象は?

物件満彩の投資対象は、国内の金融商品取引所に上場している不動産投資信託証券(Jリート)です。現在は48銘柄で構成されており、RIETの構成比率は以下のようになっています。

もともとJ-REIT自体が60銘柄程度しかないので、約80%程度を組み入れているということになります。


※引用:マンスリーレポート

つみたてNISAとiDeCoの対応状況は?

物件満彩のつみたてNISAやiDeCoの対応状況ですが、残念ながら、どちらも対応していません。

つみたてNISA iDeCo
× ×

※2022年10月時点

純資産総額は?

続いて、物件満彩の純資産総額はどうなっているか見ていきます。純資産総額というのは、あなたを含めた投資家から集めた資金の総額だと思ってください。

ファンドの純資産総額が小さいと、適切なタイミングで銘柄を入れ替えることができなかったり、ファンドの運用で必ず発生する運営コストが相対的に高くなるので、ファンドのパフォーマンスを悪化させる原因になります。そのため、純資産総額も事前に確認すべきポイントの1つです。

まさか知らない?絶対知っておきたい純資産総額のマメ知識

物件満彩は、現在180億円で、2016年をピークに純資産は減少の一途をたどっています。パフォーマンスが悪いわけではないのですが、健全な分配金の支払いをしていることもあり、逆に投資家からあまり注目されていません。


※引用:マンスリーレポート

実質コストは?

私たちが支払うコストには、目論見書に記載の信託報酬以外に、株式売買委託手数料や、保管費用、印刷費用などが含まれています。

そのため、実際に支払うコストは、目論見書記載の額より高くなるのが通例で、実際にかかる実質コストをもとに投資判断をしなければなりません。

信託報酬を信用するな。知らないうちに差し引かれている実質コストの調べ方

物件満彩の実質コストは1.13%となっており、他のアクティブファンドに比べて割安となっています。とは言っても、そこまで銘柄選定に時間がかからないので、もう少しコストが低くなってしかるべきだと思っています。

投資信託の手数料は安ければ安いほどいいという勘違い

購入時手数料 2.75%(税込)
信託報酬 1.1%(税込)
信託財産留保額 0.3%
実質コスト 1.13%(概算値)

※引用: 最新運用報告書

「ファンドの運用で成果を出すために一番大事なことは何ですか?」と聞かれてあなたは何と答えますか?

もし『ファンド選び』だと思ったとしたら、あなたはドツボに
はまっていますので、こちらの記事を読んでみてください。

>>無料ファンド相談から見えた。多くの人が気づいていない投信運用で成果を阻む9つの誤り

MHAM J-REITアクティブオープン毎月決算コース『物件満彩』の評価分析

基準価額をどう見る?

分配金を再投資した場合の基準価額(青線)は、3年間でほとんど同じ水準にします。一方で、基準価額(黄線)は3年間で10%ほど下落していますので、過剰な分配が行われていることがわかります。

もう1つ注目すべき点は、コロナショックで基準価額が一時40%以上下落している点です。J-REITは平常時はリスクの小さい値動きをしますが、暴落相場では、株式以上に下落することがありますので、今回改めてそれを実感した人も多いのではないでしょうか。


※引用:モーニングスター

利回りはどれくらい?

つづいて、物件満彩の利回りを見てみましょう。

直近1年間の利回りは▲3.96%となっています。3年平均もマイナスですが、5年10年平均利回りは6%以上あります。

投資信託は長期保有を前提に投資をするものなので、短期より長期のパフォーマンスのほうが信頼に値します。そういう意味では、一桁後半の利回りは今後も期待できそうです。

ちなみにあなたは実質利回りの計算方法はすでに理解していますか?もし、理解していないのであれば、必ず理解しておいてください。

これがわかっていないとマズイ。実質利回りの計算方法。

平均利回り
1年 ▲3.96%
3年 ▲0.98%
5年 +6.30%
10年 +10.07%

※2022年10月時点

10年間高いパフォーマンスを出し続けている優秀なファンド達も参考にしてみてください。

10年間圧倒的に高いリターンを出しているJリートファンド ランキング

同カテゴリー内での利回りランキングは?

物件満彩は国内RIETカテゴリーに属していますが、同カテゴリー内でのパフォーマンスはどうなっているか分析しておいて損はありません。

物件満彩はどの期間でみても平均以下の水準となっており、残念ながら投資するに値しないファンドであることがわかります。

上位●%
1年 95%
3年 91%
5年 83%
10年 59%

※2022年10月時点

年別の運用利回りは?

物件満彩の年別のパフォーマンスで見てみると、2桁以上のプラスの年も多いですが、マイナス幅も大きい年もあり利益が相殺されてしまっています。

平均するとプラスにはなっていますが、もう少し毎年プラスの運用ができると、投資をしやすく感じますね。

年間利回り
2022年 ▲3.24%(1-9月)
2021年 +15.67%
2020年 ▲13.01%
2019年 +24.79%
2018年 +10.04%
2017年 ▲8.15%
2016年 +8.34%
2015年 ▲3.82%
2014年 +28.43%

※2022年10月時点

投信運用は長期投資が前提なので、つい出口戦略を考えずに投資をしてしまいがちです。

しかし、「投資は出口戦略にあり」と言われるほど、重要なテーマです。ぜひこれを機会に投資の出口戦略を考えてみてください。

>>ここまで考えるのが本当の資産運用。多くの投資家が考えられていない投信運用の出口戦略とは

インデックスファンドとの利回り比較

物件満彩に投資をするのであれば、より低コストで投資ができるインデックスファンドとのパフォーマンスは比較してから投資をしても遅くはありません。

今回は、東証REIT指数と連動するeMAXIS 国内リートインデックスとパフォーマンスを比較してみました。


※引用:モーニングスター

かなり拮抗していますが、直近ではeMAXIS 国内リートインデックスが上回っています。

より長期の利回りを比較してみるとどうでしょうか?

物件満彩 eMAXIS国内リート
1年 ▲3.96% ▲2.94%
3年 ▲0.98% ▲0.38%
5年 +6.30% +7.02%
10年 +10.07% +10.42%

※2022年10月時点

3年、5年、10年平均利回りを見ても、eMAXIS 国内リートインデックスに分があります。これでは高いコストを支払ってまでアクティブファンドに投資をする理由がありません。

類似ファンドとの利回り比較

毎月分配型のアクティブファンドに投資するのであれば、同じく毎月分配型のアクティブファンドとパフォーマンスを比較してから投資をしても遅くはありません。

今回は同じくJ-RIETに投資ができるJ-REITリサーチ・オープン(毎月分配型)と比較をしてみました。


※引用:モーニングスター

直近3年間では、終始J-REITリサーチオープンが上回っています。5年、10年平均利回りでもこの傾向はかわりませんので、これであれば物件満彩をあえて選択する理由はありません。

物件満彩 J-RIETリサーチ
1年 ▲3.96% ▲2.81%
3年 ▲0.98% +0.28%
5年 +6.30% +7.69%
10年 +10.07% +10.99%

※2022年10月時点

最大下落率は?

投資するのであれば、物件満彩がどの程度下落する可能性があるのかは知っておきたいところです。もちろん標準偏差から変動幅を予測することはできますが、やはり過去にどの程度下落したことがあるのかを調べるのがよいでしょう。

期間 下落率
1カ月 ▲19.66%
3カ月 ▲30.75%
6カ月 ▲37.88%
12カ月 ▲49.33%

※2022年10月時点

物件満彩は、2007年11月~2008年10月で最大▲49.33%となっています。この下落はリーマンショックによる影響ですが、あなたが思っている以上に大きく下落しますので、その点は忘れないでください。

最大下落率を知ってしまうと、少し足が止まってしまうかもしれません。しかし、以下のことをしっかり理解しておけば、元本割れの可能性を限りなく低くすることが可能です。

元本割れを回避するためにできるたったひとつのこととは?

※2022年10月時点

分配健全度はどれくらい?

分配金を毎月受け取っていると、受け取っていることに安心してしまい、自分の投資元本からの配当なのか、ファンドの収益からの配当なのか調べなくなります。

そこで、分配金がファンドの収益からちゃんと支払われているのかを調べるときに役立つのが分配健全度です。

分配健全度とは、1年間の分配金の合計額と基準価額の変動幅をもとに、あなたが受け取った分配金の約何%がファンドの収益によるものなのかを計算できる指標です。

基準価額の変動幅 1年間の分配合計額 分配健全度
▲961円 420円 ▲129%

※2021/10/14~2022/10/14

物件満彩の直近1年間の分配健全度は▲129%となっています。

分配健全度は100%を切ると、一部ファンドの収益以外から分配金が支払われていることを意味しますが、0%を下回るということは、ファンドの収益からの支払いは一切ないということを意味します。

物件満彩の分配健全度は大きくマイナスとなっていますので、直近受け取っている分配金はすべて投資元本等から支払われているということです。

分配金利回りはどれくらい?

毎月分配型のファンドに投資をしている場合、どれくらいの分配金が受け取れるのかを知るために分配金利回りを参考にします。分配金利回りは1年間で受け取った分配金の合計金額を基準価額で割ることで計算できます。

ただし、投資信託の場合、分配金利回りだけをみていると、受け取っている分配金がファンドの収益から出ているものなのか、投資元本が削られているのか、判断できません。

そのため、ファンドの運用利回りと分配金利回りを比較して、ファンドの運用利回りのほうが高ければ、あなたが受け取っている分配金がファンドの運用の収益から支払われていると判断することができます。

運用利回り 分配金利回り
1年 ▲3.96% 4.95%
3年 ▲0.98%
5年 +6.30%
10年 +10.07%

※2022年10月時点

物件満彩の分配金利回り4.95%なので、J-REITファンドの中では、比較的健全な運用がされています。

この利回りであれば、ファンドの運用益から分配金を払い出すこともできますが、それでも直近数年はファンドの運用利回りのほうが低いので、ファンドの収益から分配金を支払えていないということです。

分配金余力はどれくらい?

毎月分配型ファンドに投資をしている場合、もう1つ気になるのが今後いつごろ、減配されそうかという点です。

そんなときに役立つのが分配金余力という考え方です。分配金余力というのは、今の分配金の水準をあと何か月続けられそうかを判断するための指標です。

明確にこの水準になったら減配されるという指標ではありませんが、12カ月を切ったファンドはたいてい近々、減配されることが多いです。

物件満彩の分配金余力は、まだ290カ月近くありますので、減配の心配はいったんしなくても大丈夫そうです。

分配金 繰越対象額 分配金余力
204期 35円 10,020円 287カ月
205期 35円 10,172円 292カ月
206期 35円 10,179円 292カ月
207期 35円 10,190円 292カ月
208期 35円 10,165円 291カ月
209期 35円 10,147円 291カ月
210期 35円 10,124円 290カ月
211期 35円 10,114円 290カ月
212期 35円 10,096円 289カ月
213期 35円 10,109円 290カ月
214期 35円 10,091円 289カ月
215期 35円 10,063円 289カ月

※引用:最新運用報告書

評判はどう?

続いて、ファンドの収益力を見てみましょう。

物件満彩の評判はネットでの書き込みなどで調べる方法もありますが、評判を知るうえで一番役に立つのが、月次の資金流出入額です。

資金が流出しているということは、それだけ物件満彩を解約している人が多いということなので、評判が悪くなっているということです。

直近は流出超過となっており、評判が良くないことが一目瞭然です。見かけだけ分配金利回りが高いファンドにも問題がありますが、まだ健全な分配金の払い出しをしているファンドに資金が集まらないのは大問題ですね。

健全な運用をするほど、資金が集まらないという矛盾が生じているのが毎月分配型ファンドですが、このブログの読者の方はくれぐれも誤った選択をしないでください。


※引用:モーニングスター

MHAM J-REITアクティブオープン毎月決算コース『物件満彩』の今後の見通しと評価まとめ

いかがでしたでしょうか?

コロナショックで厳しい状況に追い込まれれた後、2021年までは復調の兆しが見えていたJ-REITですが、2022年はまた下落基調となっています。

物件満彩は他のタコ足配当ファンドと比べると、まだ健全な分配金の払い出しをしていますが、パフォーマンスがそもそもインデックスファンド以下ということで、そもそもおすすめできません。

とはいえ、毎月分配型の投資信託に投資をして、分配金を受け取りたい!という人が多いのも事実です。そこで私が唯一おすすめするのは、REITではなく株式ファンドであるアライアンスバーンスタインの米国成長株投信Dコースです。

このファンドであれば、そもそも運用利回りが高く、分配金もたくさんもらえますので、一番おすすめですね。

最後に、投信運用には多くのメリットもありますが、当然ながら、弱点もあります。

今も私は投信運用を続けてはいますが、私がなぜ投資信託の運用を主軸におかなくなったのか。その理由をこちらで話をしています。

>>私が痛感する投資信託の限界。多くの投資家が見逃している投信運用の弱点