オーストラリア株式といえば、資源株なので相場の影響を受けにくく、
比較的高い利子を受け取れるため、一部の投資家から人気があります。
「LM・オーストラリア高配当株ファンドって投資対象としてどうなの?」
「LM・オーストラリア高配当株ファンドって持ってて大丈夫なの?」
「LM・オーストラリア高配当株ファンドより良いファンドってある?」
といったことでお悩みの方は、この記事を最後まで読めば、
悩みは解消すると思います。
今日はより人気の高いLM・オーストラリア高配当株ファンドを徹底分析
していきます。
LM・オーストラリア高配当株ファンド(毎月分配型)の基本情報
投資対象は?
LM・オーストラリア高配当株ファンド(毎月分配型)の主要投資対象
はオーストラリアで上場している株式やREITです。
毎月分配型のファンドなので、配当利回りに着目し、高い配当銘柄を
中心に投資をしています。
現在の組入銘柄数は44銘柄となっており、組入比率を見てみると、
金融が約4割弱、次いでREIT、消費サービスが続いています。
組入銘柄の平均配当利回りは4.9%となっています。
※引用:マンスリーレポート
つみたてNISAとiDeCoの対応状況は?
LM・オーストラリア高配当株ファンド(毎月分配型)の
つみたてNISAやiDeCoの対応状況を確認しておきましょう。
残念ながらどちらも対応していません。
つみたてNISA | iDeCo |
× | × |
※2021年10月時点
純資産総額は?
続いて、豪州力の純資産総額はどうなっているか見てみましょう。
純資産総額というのは、あなたを含めた投資家から集めた資金の
総額だと思ってください。
純資産総額が小さいと運用が効率的に行えず、余計なコストが発生
したり、運用会社も運用に力を入れないため、パフォーマンスが
優れないといったデメリットが発生します。
ですので、必ずチェックするようにしてください。
LM・オーストラリア高配当株ファンド(毎月分配型)の純資産総額
は、現在約1700億円です。
2017年には6000億円ほどあったのですが、パフォーマンスの悪化と
分配金の切り下げに伴い、純資産総額が急激に減少した形です。
とは言っても、まだ2000億円に近い規模ですので、規模によるデメリット
はありませんね。
実質コストは?
投資信託には、購入時の手数料や信託報酬以外にも、隠れたコスト
が存在します。
それは株式売買手数料や有価証券取引税、印刷費用といったもので、
運用報告書を見なければわかりません。
この実質コストは信託報酬よりもかなり高くなっていることも
ありますので、必ず事前に確認しておいたほうがよいポイントです。
信託報酬を信用するな。知らないうちに差し引かれている実質コストの調べ方
LM・オーストラリア高配当株ファンド(毎月分配型)の実質コスト
は1.89%で、かなり割高です。
購入時手数料と合わせると初年度は5.5%超のマイナスからの
スタートになりますので、銘柄選定は慎重に行いたいところです。
購入時手数料 | 3.85%(税込)※上限 |
信託報酬 | 1.826%(税込) |
信託財産留保額 | なし |
実質コスト | 1.89%(概算値) |
※引用:最新運用報告書
と聞かれてあなたは何と答えますか?
もし『ファンド選び』だと思ったとしたら、あなたはドツボに
はまっていますので、こちらの記事を読んでみてください。
>>無料ファンド相談から見えた。多くの人が気づいていない投信運用で成果を阻む9つの誤り
LM・オーストラリア高配当株ファンド(毎月分配型)の評価分析
基準価額をどう見る?
LM・オーストラリア高配当株ファンド(毎月分配型)の基準価額は
わずか3年間で25%近く下落しています。
一方、分配金を受け取らずに運用に回した場合の基準価額(青線)は、
3年間で10%近く上昇していることから、プラスの運用はできている
ようです。
ただ、ファンドの収益に見合わない過剰な分配をしている結果、
基準価額の下落につながっています。
※引用:モーニングスター
利回りはどれくらい?
それでは、LM・オーストラリア高配当株ファンド(毎月分配型)
の利回りはどうでしょうか?
直近1年間の利回りは29.01%となっています。
ただ、3年平均利回りは3%、5年平均利回りは5%の
プラスなので、大して高い利回りにはなっていません。
ちなみにあなたは実質利回りの計算方法はすでに理解していますか?
もし、理解していないのであれば、必ず理解しておいてください。
平均利回り | |
1年 | 29.01% |
3年 | 2.93% |
5年 | 4.65% |
10年 | – |
※2021年10月時点
同カテゴリー内での利回りランキングは?
せっかく投資をするのであれば、同じカテゴリー内でも、
優れたファンドに投資をするべきです。
LM・オーストラリア高配当株ファンド(毎月分配型)は
オセアニア株式カテゴリーに属しています。
このカテゴリー内でのランキングを確認すると、
直近1年以外は下位20%程度の位置にランクインしています。
つまり、ほとんどのファンドは、LM・オーストラリア
高配当株ファンド(毎月分配型)よりも、高い利回りで
運用されているということなので、あえて投資をする
理由が見当たりません。
上位●% | |
1年 | 22% |
3年 | 88% |
5年 | 83% |
10年 | – |
※2021年10月時点
年別のパフォーマンスは?
LM・オーストラリア高配当株ファンド(毎月分配型)年別の
利回りを見てみましょう。
数年に1回はマイナスの運用で終わっている年があります。
平均利回りで見ると、毎年プラスが出ているように勘違い
してしまう人も多いのですが、実態はこのようにマイナス
運用の年も多々あるので注意してください。
年間利回り | |
2021年 | 15.06%(1-6月) |
2020年 | ▲6.11% |
2019年 | 17.22% |
2018年 | ▲20.08% |
2017年 | 10.69% |
2016年 | 8.63% |
2015年 | ▲6.10% |
2014年 | 17.12% |
※2021年10月時点
考えずに投資をしてしまいがちです。 しかし、「投資は出口戦略にあり」と言われるほど、
重要なテーマです。 ぜひこれを機会に投資の出口戦略を考えてみて
ください。 >>ここまで考えるのが本当の資産運用。多くの投資家が考えられていない投信運用の出口戦略とは
類似ファンドとのパフォーマンス比較
あなたが投資可能なファンドは6000本超ありますので、類似
ファンドとのパフォーマンス比較は必須です。
毎月分配型の投資信託であれば、タコ足配当によって利回りが
高くなっているファンドではなく、しっかり収益をあげながら、
分配金も高いファンドが理想です。
そこで、今回はLM・オーストラリア高配当株ファンド(毎月分配型)
と毎月分配型の米国成長株投信を比較してみたいと思います。
※引用:モーニングスター
結果は一目でわかる通り、米国成長株投信が上回っています。
このファンドに投資をしている人の多くが分配金を多く受け取りたい
と思っているはずですので、国によるこだわりはそこまでないと
思います。
それであれば、明らかにパフォーマンスの優れたファンドに投資を
して毎月分配金を受け取るほうが賢明でしょう。
最大下落率は?
標準偏差がわかれば、どの程度下落する可能性があるかはある程度
予測できますが、実際にどれくらい下落したことがあるのか確認する
ほうがイメージが湧きます。
LM・オーストラリア高配当株ファンド(毎月分配型)の最大下落率は
2020年1月〜2020年3月の3カ月の▲38.54%となっています。
最大下落率を知ってしまうと、少し足が止まってしまうかもしれません。
しかし、以下のことをしっかり理解しておけば、元本割れの可能性を
限りなく低くすることが可能です。
期間 | 下落率 |
1カ月 | ▲31.84% |
3カ月 | ▲38.54% |
6カ月 | ▲35.80% |
12カ月 | ▲34.95% |
※2021年10月時点
分配健全度はどれくらい?
分配金を毎月受け取っていると、受け取っていることに安心
してしまい、自分の投資元本からの配当なのか、ファンドの
収益からの配当なのか調べなくなります。
そこで、分配金がファンドの収益からちゃんと支払われている
のかを調べるときに役立つのが分配健全度です。
分配健全度とは、1年間の分配金の合計額と基準価額の変動幅を
もとに、あなたが受け取った分配金の約何%がファンドによる
ものなのかを計算できる指標です。
基準価額の変動幅 | 1年間の分配合計額 | 分配健全度 |
1,380円 | 630円 | 319% |
※2020/10/1~2021/10/1
LM・オーストラリア高配当株ファンド(毎月分配型)の
直近1年間の分配健全度は319%となっています。
分配健全度は100%を切ると、一部、ファンドの収益以外から
分配金が支払われていることを意味しますが、0%を下回る
ということは、ファンドの収益からの支払いは一切ない
ということを意味します。
100%を超えているということは、ファンドの運用益で、
すべての分配金を賄えているということを意味します。
LM・オーストラリア高配当株ファンド(毎月分配型)の場合は
直近1年は100%を超えていますが、3年平均で見ると、100%を
下回っていますので、健全な状況は長くは続かないでしょう。
分配金利回りはどれくらい?
毎月分配型のファンドに投資をしている場合、どれくらいの
分配金が受け取れるのかを知るために分配金利回りを参考
にします。
ただし、投資信託の場合、分配金利回りだけをみていると、
受け取っている分配金がファンドの収益から出ている
ものなのか、投資元本が削られているのか、判断できません。
そのため、ファンドの運用利回りと分配金利回りを比較して、
ファンドの運用利回りのほうが高ければ、あなたが受け取って
いる分配金がファンドの運用の収益から支払われていると
判断することができます。
LM・オーストラリア高配当株ファンド(毎月分配型)の
分配金利回りは9.6%と高めの設定となっています。
ファンドの運用利回りのほうが低いので、あなたが受け取って
いる分配金の大半はあなたが投資した元本がただ戻ってきて
いるだけということです。
未だ多くの投資家が勘違いをしながら、分配金利回りが
高いファンドに投資をしていますが、くれぐれも気を
つけてほしいと思います。
運用利回り | 分配金利回り | |
1年 | 29.01% | 9.6% |
3年 | 2.93% | |
5年 | 4.65% | |
10年 | – |
※2021年10月時点
分配金余力はどれくらい?
毎月分配型ファンドに投資をしている場合、もう1つ気になる
のが今後いつごろ、減配されそうかという点です。
そんなときに役立つのが分配金余力という考え方です。
分配金余力というのは、今の分配金の水準をあと何か月
続けられそうかを判断するための指標です。
明確にこの水準になったら減配されるという指標では
ありませんが、12カ月を切ったファンドはたいてい近々、
減配されることが多いです。
LM・オーストラリア高配当株ファンド(毎月分配型)は
40カ月程度あるので、まだ余力はあると言えます。
ただ、このペースで過剰な分配を続ければ、減配ラッシュが
来るのはもう間近です。
分配金 | 繰越対象額 | 分配金余力 | |
103期 | 80円 | 2,536円 | 32.7カ月 |
104期 | 80円 | 2,461円 | 31.8カ月 |
105期 | 80円 | 2,384円 | 30.8カ月 |
106期 | 80円 | 2,314円 | 29.9カ月 |
107期 | 80円 | 2,238円 | 29.0カ月 |
108期 | 80円 | 2,210円 | 28.6カ月 |
109期 | 80円 | 2,139円 | 27.7カ月 |
110期 | 50円 | 2,104円 | 43.1カ月 |
111期 | 50円 | 2,056円 | 42.1カ月 |
112期 | 50円 | 2,018円 | 41.4カ月 |
113期 | 50円 | 1,988円 | 40.8カ月 |
114期 | 50円 | 2,013円 | 41.3カ月 |
評判はどう?
LM・オーストラリア高配当株ファンド(毎月分配型)の評判を
確認する上で、毎月の資金の流出入が役立ちます。
資金流入が多くなっていれば、人気が出てきているファンドで
あるとわかりますし、流出が続いているようであれば、評判が
悪くなっているファンドと言えます。
それでは、LM・オーストラリア高配当株ファンド(毎月分配型)の
評価はどうでしょうか?以下のグラフをご覧ください。
2016年〜2017年中頃までは大きく資金が流入しましたが、設定初月
に大きく資金が流入しましたが、減配が決まると同時に大きく資金
が流出しています。
ファンドの収益力に対して分配金が多すぎるため、今後も分配金は
減り続けることが想定されます。これでは資金の流出が止まらない
のも仕方ないですね。
※引用:モーニングスター
LM・オーストラリア高配当株ファンド(毎月分配型)の評価まとめと今後の見通し
いかがでしょうか?
改めてになりますが、ファンドの運用利回りと分配金利回り
は全くの別物です。
運用利回り10%と言えば、100万円を投資した場合、年10万円
の運用益を受け取ることができます。
一方で、分配金利回り10%という場合は違います。
仮にファンドの運用利回りが3%しかなくても分配金利回りを
10%にすることはできるのです。
その結果、100万円投資をして、ファンドの運用益は3万円
しかないにもかかわらず、あなたは10万円の分配金を受け取る
ことになります。
では、運用益と分配金の差額の7万円はどこから出てきている
のかと言えば、あなたの投資した元本の100万円から支払われて
いるのです。
つまり、分配金利回りがいくら高くても、ファンドの運用利回り
が低ければ、まったく意味がないということです。
毎月分配型ファンドは私はそもそもおすすめはしませんが、
それでも投資をしたいという場合、ファンドの選定基準は
分配金利回りが高いか低いかではありません。
ファンドの運用利回りがちゃんとプラス(大きいほど良い)で、
運用利回りの範囲内か、少し超える程度で分配金を出している
ファンドを選ぶべきです。
さきほど、ファンドの比較をしたように、運用がうまく
いっているファンドであれば、年10%程度の配当を出しても、
すべてファンドの運用益から支払うことができます。
そうすれば、いつの間にか自分の投資した元本が目減りして
いるという事態も起こりません。
ですので、LM・オーストラリア高配当株ファンド(毎月分配型)に
投資をしている人は、すぐに乗り換えを検討するべきです。
当然ながら、弱点もあります。 今も私は投信運用を続けてはいますが、私がなぜ
投資信託の運用を主軸におかなくなったのか。 その理由をこちらで話をしています。 >>なぜ私が投信運用に限界を感じたのか。多くの投資家が見逃している投信運用の弱点