農林中金アセットが運用するファンドの中で、唯一、投信ブロガーが選ぶFund of the Yearを受賞したのが、『農中<パートナーズ>長期厳選投資おおぶね』です。
「農中<パートナーズ>長期厳選投資おおぶねって投資対象としてどうなの?」
「農中<パートナーズ>長期厳選投資おおぶねって持ってて大丈夫なの?」
「農中<パートナーズ>長期厳選投資おおぶねより良いファンドってある?」
といったことでお悩みの方は、この記事を最後まで読めば、悩みは解消すると思います。
農中<パートナーズ>長期厳選投資おおぶねの基本情報
投資対象は?
農中<パートナーズ>長期厳選投資おおぶねの投資対象は米国の上場株式です。農林中金の子会社である農中バリューインベストメント(NVIC)の投資助言をもとにポートフォリオを構築しています。
NVICでは高い成長が期待できる米国上場企業の中から、構造的に強靭な企業を20~30銘柄厳選し、運用していきます。構造的に強靭な企業というのは、以下の3条件をすべて満たしている企業を指します。
※引用:交付目論見書
また、農中<パートナーズ>長期厳選投資おおぶねでは、外部の運用機関に頼るのではなくNVICが自ら企業を訪問し、企業調査を行っています。
※引用:交付目論見書
では、農中<パートナーズ>長期厳選投資おおぶねの具体的な構成銘柄を見ていきましょう。
現在、28銘柄に投資をしており、上位10銘柄は以下のようになっています。ディズニーやVISA、NIKEあたりは分かる人が多いのではないでしょうか?
いずれにせよ、銘柄を絞り込んで運用するファンドは個人的に好みですので、今後に期待したいところです。
※引用:マンスリーレポート
純資産総額は?
投資を検討するうえで、純資産総額は必ず確認するようにしてください。
純資産総額が多いほうが、ファンドマネージャーが資金を投資する際に有利であったり、他の投資家の解約の際の影響が小さくなりますので、優れた投資信託と言えます。
投資信託の規模が小さくなると運用会社自体がその投資信託に力を注がなくなりパフォーマンスが悪くなることもありますので注意が必要です。
農中<パートナーズ>長期厳選投資おおぶねの現在の純資産総額は380億円程度です。着実に純資産を積み上げており、規模としては十分です。
※引用:マンスリーレポート
実質コストは?
投資信託には、購入時の手数料や信託報酬の他にも費用がかかっていることをご存知ですか?
これを実質コストと言いますが、実質コストには株式売買手数料や有価証券取引税、監査費用などが含まれています。特に純資産総額が小さいときには、信託報酬より実質コストがかなり割高になっている場合もあるので、注意が必要です。
信託報酬を信用するな。知らないうちに差し引かれている実質コストの調べ方
農中<パートナーズ>長期厳選投資おおぶねの実質コストは1.023%とアクティブファンドの中ではかなり割安な水準になっています。
購入時手数料がかかるのはマイナスポイントですが、米国株のアクティブファンドで実質コストが1%というのは魅力的ですね。
購入時手数料 | 2.2%(税込)※上限 |
信託報酬 | 0.99%(税込) |
信託財産留保額 | なし |
実質コスト | 1.023%※概算 |
※引用:最新運用報告書
「ファンドの運用で成果を出すために一番大事なことは何ですか?」と聞かれてあなたは何と答えますか?
もし『ファンド選び』だと思ったとしたら、あなたはドツボに
はまっていますので、こちらの記事を読んでみてください。
農中<パートナーズ>長期厳選投資おおぶねの評価分析
基準価額をどう見る?
農中<パートナーズ>長期厳選投資おおぶねは2021年以降、着実に上昇していますね。
※引用:ウエルスアドバイザー
利回りはどれくらい?
つづいて、農中<パートナーズ>長期厳選投資おおぶねの運用実績を見てみましょう。
直近1年間の利回りもプラスで、3年、5年平均利回りともに10%を超えており、安定して高いパフォーマンスとなっています。農中アセットの中でも、トップクラスのパフォーマンスです。
ただ、この時点で投資判断するのは時期尚早です。他の類似ファンドとパフォーマンスを比較してから投資判断をするようにしてください。
ちなみにあなたは実質利回りの計算方法はすでに理解していますか?もし、理解していないのであれば、必ず理解しておいてください。
平均利回り | |
1年 | +16.48% |
3年 | +15.21% |
5年 | +12.83% |
10年 | - |
※2023年10月時点
10年間高いパフォーマンスを出し続けている優秀なファンド達も参考にしてみてください。
10年間圧倒的に高いリターンを出している米国株式ファンドランキング
同カテゴリー内での利回りランキングは?
農中<パートナーズ>長期厳選投資おおぶねは北米株式カテゴリ―に属していますが、せっかく投資をするのであれば、同じカテゴリーの中でも高いパフォーマンスのファンドに投資をしたいものです。
そこで、農中<パートナーズ>長期厳選投資おおぶねのカテゴリ―順位を見てみると、5年平均利回りに関しては、平均以上ですが、3年、5年平均利回りは、平均以下となっています。思ったより、ランキングは低いですね。
上位●% | |
1年 | 68% |
3年 | 68% |
5年 | 34% |
10年 | - |
※2023年10月時点
年別のパフォーマンスは?
つづいて、農中<パートナーズ>長期厳選投資おおぶねの年別のパフォーマンスも見てみましょう。
年別の利回りを見ることで、平均利回りを見るだけではわからない基準価額の変動の大きさを知ることができます。
2018年、2022年は、マイナスとなりましたが、2%とかなり小さく抑えられています。平均利回りのランキングは低いですが、基準価額の変動幅が小さいのは魅力ですね。
年間利回り | |
2023年 | +14.64%(1-9月) |
2022年 | ▲2.19% |
2021年 | +26.67% |
2020年 | +15.36% |
2019年 | +26.12% |
2018年 | ▲2.42% |
※2023年10月時点
投信運用は長期投資が前提なので、つい出口戦略を考えずに投資をしてしまいがちです。
しかし、「投資は出口戦略にあり」と言われるほど、重要なテーマです。ぜひこれを機会に投資の出口戦略を考えてみてください。
>>まさか考えたことがない?運用が成功するか失敗するかすべてのカギを握る投信運用の出口戦略インデックスファンドとのパフォーマンス比較
農中<パートナーズ>長期厳選投資おおぶねに投資をするのであれば、最低限、低コストのインデックスファンドよりパフォーマンスが優れていなければ、投資をする価値がありません。
農中<パートナーズ>長期厳選投資おおぶねの投資対象は米国株なので、S&P500に連動するインデックスファンドで一番人気のeMAXIS Slim 米国株式(S&P500)と比較をしました。
※引用:ウエルスアドバイザー
直近3年間では、ほぼ全期間において、eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)が大きく上回っています。より長期のパフォーマンスで見ても、eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)のほうがパフォーマンスで上回っています。
残念ですが、全期間でパフォーマンスで負けるとなると、あえて高いコストを支払って投資をする価値を感じませんね。
おおぶね | slim 米国株式 | |
1年 | +16.48% | +23.68% |
3年 | +15.21% | +23.72% |
5年 | +12.83% | +15.80% |
10年 | - | - |
※2023年10月時点
アクティブファンドとのパフォーマンス比較
続いて、農中<パートナーズ>長期厳選投資おおぶねのようなアクティブファンドに投資をするのであれば、他のアクティブファンドとパフォーマンスを比較してから投資をし始めても、遅くありません。
そこで、今回は、米国株100%のアクティブファンドで非常に人気の高いアライアンス・バーンスタインの米国成長株投信と比較をしてみました。
※引用:ウエルスアドバイザー
直近3年間では、かなり競っていますが、2023年以降は、米国成長株投信のほうが大きくパフォーマンスで上回っています。
より長期のパフォーマンスで比較をしても、米国成長株投信のほうが優れています。そうなると、高いコストを支払うにしても、米国成長株投信に投資をするほうがいいですね。
おおぶね | 米国成長株投信B | |
1年 | +16.48% | +25.71% |
3年 | +15.21% | +18.31% |
5年 | +12.83% | +16.72% |
10年 | - | +18.21% |
※2023年10月時点
最大下落率は?
投資を始めようとしている、もしくは始めたばかりの人が気になるのが、最大どの程度、資産が下落する可能性があるのかという点かと思います。
どの程度下落するのかを知っておくことで、急落相場に遭遇しても、精神的に余裕を持って投資を続けられます。
標準偏差からある程度の変動範囲を予測することもできますが、過去に実際にどの程度下落したのかを確認するのがおすすめです。
それでは、農中<パートナーズ>長期厳選投資おおぶねの最大下落率を調べてみましょう。
期間 | 下落率 |
1カ月 | ▲8.72% |
3カ月 | ▲14.46% |
6カ月 | ▲6.93% |
12カ月 | ▲3.67% |
※2023年10月時点
農中<パートナーズ>長期厳選投資おおぶねの最大下落率は2020年1月~3月までの3カ月で、14.46%となっています。
コロナショックで下落したとはいえ、この下落幅に収まっているというのは評価に値します。
最大下落率を知ってしまうと、少し足が止まってしまうかもしれません。しかし、以下のことをしっかり理解しておけば、元本割れの可能性を限りなく低くすることが可能です。
評判はどう?
それでは、農中<パートナーズ>長期厳選投資おおぶねの評判はどうでしょうか?
ネット等で口コミを調べることもできますが、資金の流出入を見ることで、評判がわかります。評判がよければ、資金が流入超過になりますし、評判が悪くなっていれば、資金が流出超過になります。
農中<パートナーズ>長期厳選投資おおぶねは毎月資金が流入超過となっているだけでなく、流入量も大きくなっており、評判は登り調子であることがわかりますね。
※引用:ウエルスアドバイザー
NISAとiDeCoの対応状況は?
農中<パートナーズ>長期厳選投資おおぶねのNISAとiDeCoの対応状況を確認しておきましょう。
NISAもiDeCoも取り扱いがあるので、投資をする際は、これらの制度をぜひ活用していきましょう。
NISA | iDeCo |
〇 | SBI証券(セレクトプラン)、岡三証券、JAバンク |
※2023年10月時点
農中<パートナーズ>長期厳選投資おおぶねの今後の見通しと評価まとめ
いかがでしょうか?
農中<パートナーズ>長期厳選投資おおぶねは農中アセットの中ではかなり力をいれているファンドですが、パフォーマンスはインデックスファンドにも負けてしまう結果となっています。
SBI証券や楽天証券などのネット証券をメインで使っている場合、米国成長株投信をはじめ、他にも優れたファンドがいくつもありますので、高いコストを支払ってまで投資をするメリットは感じません。
ただ、普段からJAバンクなどを使っている人であれば、おおぶねを選択するのも悪くないと思います。
最後に、投信運用には多くのメリットもありますが、当然ながら、弱点もあります。
今も私は投信運用を続けてはいますが、私がなぜ投資信託の運用を主軸におかなくなったのか。その理由をこちらで話をしています。
>>私が痛感する投資信託の限界。多くの投資家が見逃している投信運用の弱点