近年のメガトレンドであるAI、ロボティクス、ビッグデータを、さらに一歩進めたアムンディ・次世代医療テクノロジー・ファンド『みらいメディカル』が登場しました。
過去のブログを読んでもらえばわかりますが、私は基本的に医療系・バイオ系のファンドに対しては、ネガティブな印象を持っていますが、アムンディ・次世代医療テクノロジー・ファンド『みらいメディカル』は果たしてどうなのでしょうか?
「みらいメディカルって投資対象としてどうなの?」
「みらいメディカルって持ってて大丈夫なの?」
「みらいメディカルより良いファンドってある?」
といったことでお悩みの方は、この記事を最後まで読めば、悩みは解消すると思います。
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アムンディ・次世代医療テクノロジー・ファンド『みらいメディカル』の基本情報
投資対象は?
みらいメディカルの投資対象は、先進国の医療テクノロジー関連企業の株式に投資をしていきます。医療テクノロジー関連企業には、医療機器、診療器具、画像装置、医療サービス等が含まれます。
従来の医療系ファンドだと、製薬メーカーが含まれていることが多かったのですが、アムンディ・次世代医療テクノロジー・ファンド『みらいメディカル』では、「医療テクノロジー」関連の企業に特化しているという意味で、今までのファンドとは少し異なるポジションにいます。
みらいメディカルの組入銘柄は53銘柄となっており、国別の組入比率を見てみると、7割近くがアメリカの銘柄で構成されていることがわかります。
※引用:マンスリーレポート
具体的な組入銘柄は以下のようになっています。たぶんほとんど聞いたことのない企業が並んでいると思います。
※引用:マンスリーレポート
1位のアボットラボラトリーズは1888年創業の長い歴史を持つ総合ヘルスケア企業で長期収載品や後発薬の他、診断薬・機器、血管および心疾患治療機器、ニューロモデュレーション機器など開発・製造しています。
2位のメドトロニックは医療機器セクターで売上高世界最大級の企業で、心血管部門、低侵襲性治療技術部門、糖尿病管理部門、疾患症状緩和部門の4分野で治療・診断機器を開発・製造しています。
3位のボストン・サイエンティフィックは、低侵襲性の外科的治療機器などを幅広い領域に展開する会社です。
純資産総額は?
純資産総額というのは、あなたを含めた投資家から集めた資金の総額だと思ってください。ファンドの純資産総額が小さいと、適切なタイミングで売買できなかったり、コストが嵩みますので、事前に確認すべきポイントの1つです。
みらいメディカルは3年前くらいから400~500億円の間を推移しており、現在は460億円になっています。規模としては十分大きいので、問題ありません。
※引用:マンスリーレポート
実質コストは?
私たちが支払うコストには、目論見書に記載の信託報酬以外に、株式売買委託手数料や、保管費用、印刷費用などが含まれています。
そのため、実際に支払うコストは、目論見書記載の額より高くなるのが通例で、実際にかかる実質コストをもとに投資判断をしなければなりません。
信託報酬を信用するな。知らないうちに差し引かれている実質コストの調べ方
みらいメディカルの実質コストは1.86%となっています。購入時手数料と信託報酬で初年度は5%程度取られることを考えると、積極的におすすめできるようなコスト体系ではありません。
購入時手数料 | 3.3%(税込)※上限 |
信託報酬 | 1.793%(税込) |
信託財産留保額 | 0 |
実質コスト | 1.86%(概算値) |
※引用:最新運用報告書
アムンディ・次世代医療テクノロジー・ファンド『みらいメディカル』の評価分析
基準価額をどう見る?
みらいメディカルの基準価額はコロナショックで一時8000円台まで下落しましたが、その後は2021年末まで上昇を続けました。ただ、2022年に入るとまた下落しており、直近では10,000円近辺となっています。
分配金を受け取らずに再投資した場合の基準価額(青線)を見ると、コロナショック前の高値を更新していますので、運用自体は比較的うまくいっているようです。
※引用:モーニングスター
利回りはどれくらい?
つづいて、みらいメディカル運用実績を見てみましょう。
直近1年間の利回りは▲11.94%ですが、一方で、3年平均利回りは9%台のプラスです。
投資信託は長期保有が前提になりますので、短期のマイナスはあまり気にせず、長期のパフォーマンスを参考にしてください。
また、この利回りだけをみて投資判断をしないようにしてください。必ず他のファンドと比較をしてから投資をしましょう。
ちなみにあなたは実質利回りの計算方法はすでに理解していますか?もし、理解していないのであれば、必ず理解しておいてください。
平均利回り | |
1年 | ▲11.94% |
3年 | +9.14% |
5年 | - |
10年 | - |
※2022年10月時点
10年間高いパフォーマンスを出し続けている優秀なファンド達も参考にしてみてください。
10年間圧倒的に高いリターンを出している海外株式ファンドランキング
同カテゴリー内での利回りランキングは?
みらいメディカルは、日本を含むグローバル株式カテゴリーに属しています。
投資をするのであれば、同じカテゴリーでも優秀なパフォーマンスのファンドに投資をすべきなので、同カテゴリー内でのパフォーマンスのランキングは事前に調べておいて損はありません。
みらいメディカルは、1年・3年平均利回りともに、平均以下のパフォーマンスです。このように単に利回りだけを見ていると、気づけないことが色々見えてきますので、カテゴリー内での比較や類似ファンドとの比較は必ずするようにしてください。
平均利回り | 上位●% |
1年 | 67% |
3年 | 73% |
5年 | - |
10年 | - |
※2022年10月時点
年別のパフォーマンスは?
みらいメディカル の年別のパフォーマンスも見てみましょう。
新規設定された時期が良かったこともあり、毎年、2桁成長しています。
平均利回り | |
2022年 | ▲13.82%(1-9月) |
2021年 | +22.84% |
2020年 | +11.67% |
2019年 | +26.88% |
※2022年10月時点
インデックスファンドとのパフォーマンス比較
みらいメディカルへの投資を検討するのであれば、インデックスファンドよりもパフォーマンスが優れているのは、最低条件です。
そこで、資産構成比が比較的類似していて、人気の高いインデックスファンドであるeMAXIS Slim先進国株式インデックスと比較しました。
※引用:モーニングスター
2021年末までは、かなり競っていましたが、2022年に入り、eMAXIS Slim 先進国株式に大きく差をつけられ始めました。
これでは高いコストを支払ってまで、みらいメディカルに投資をする理由がなくなりますね。
みらいメディカル | slim 先進国 | |
1年 | ▲11.94% | 5.43% |
3年 | 9.14% | 16.65% |
5年 | - | 11.72% |
10年 | - | - |
※2022年10月時点
アクティブファンドとのパフォーマンス比較
アクティブファンドに投資をするのであれば、他のアクティブファンドをパフォーマンスを比較してから投資をしても、遅くはありません。
そこで、今回は先進国株式を投資対象にアクティブ運用している大和住銀DC海外株式アクティブファンドを比較をしました。
※引用:モーニングスター
こちらもほぼ全期間において、みらいメディカルのほうがパフォーマンスで劣っています。
大和住銀DC海外株式アクティブファンドは非常に優秀なファンドなので、これと比べてしまうとというのはありますが、あなたが優れたアクティブファンドを探しているのであれば、迷わず大和住銀DC海外株式アクティブファンドを選択するべきです。
みらいメディカル | 大和住銀DC | |
1年 | ▲11.94% | ▲14.29% |
3年 | 9.14% | 17.00% |
5年 | - | 12.98% |
10年 | - | 17.63% |
※2022年10月時点
最大下落率は?
みらいメディカルに投資をする前に、最大でどの程度下落する可能性があるのかを知っておくことは非常に重要です。どの程度下落する可能性があるかを把握しておけば、大きく下落した相場でも落ち着いて保有を続けられるからです。
みらいメディカルの最大下落率は2018年10~12月の3カ月間で最大▲16.65%となっています。
期間 | 下落率 |
1カ月 | ▲12.19% |
3カ月 | ▲16.65% |
6カ月 | ▲11.61% |
12カ月 | ▲11.94% |
※2022年10月時点
まだ運用期間が短いので、そこまで大きな下落は経験していませんが、焦って売却しなようにしてください。
最大下落率を知ってしまうと、少し足が止まってしまうかもしれません。しかし、以下のことをしっかり理解しておけば、元本割れの可能性を限りなく低くすることが可能です。
分配金の推移は?
みらいメディカルは年2回の決算時(1月、7月)に分配を行います。
それぞれ以下のような分配がされています。基準価額が10,000円を下回らない程度までの分配に留めているので健全ではありますね。
ただ、このブログでは何度も言っていますが、分配金は受け取らずに再投資したほうが投資効率は確実に高くなります。
計算するとよくわかる!分配金を受け取ることによるデメリットとは?
分配金 | |
2022年 | 1000円 |
2021年 | 1000円 |
2020年 | 750円 |
2019年 | 500円 |
評判はどう?
みらいメディカルの評判がどうか確認するうえで、資金の流出入額が役に立ちます。資金が流入しているということは、それだけ購入している人が多いということなので、評判が良くなっているということです。
では、みらいメディカルはどうなっているのか。
設定以来、毎月資金が流入していましたが、2020年以降は流入している月と流出している月が交互に来ているような状態です。
パフォーマンスが優れないため、このような結果になっているのも納得ですね。
※引用:モーニングスター
アムンディ・次世代医療テクノロジー・ファンド『みらいメディカル』の評価まとめと今後の見通し
私の基本スタンスとして、バイオ・医療系のファンドに対してはあまり良い印象を持っていないというのが正直なところです。
特に医薬品の開発という分野では、難易度の高さは、かなり詳しく理解していますので、組入上位に製薬メーカーが組み込まれているファンドにはあまり投資したいと思いません。
一方、過去の歴史から考えると、「医療テクノロジー」の進化によって、心電図・脳波計など今では多くの人が当たり前のように利用できるようになっています。
またMRIやレーザー光を利用した手術が行えるようになったことで、医療のハイテク化が加速し、医療の質が向上しました。
そして、近年のAIやビッグデータ、ロボティクスの普及によって、医療の分野にさらなる変革が起こるというのも非常にイメージがつきます。
たとえば、「予防分野」における遺伝子検査、病気の早期発見、患者の既往歴にもとづく予防医療は上記、技術の発展に伴い、大きく進歩すると思います。「治療分野」では、遠隔診療や遠隔手術、最適な治療方法の解析などが期待できます。
テーマとしては面白いとは思いますし、社会的な意義もあると思いますが、パフォーマンスが伴わないとなると話は変わってきます。
少なくともインデックスファンドよりはパフォーマンスが優れていほしいところではありますが、現状、負けてしまっています。これでは高いコストを支払ってまでみらいメディカルに投資をしたいと思えません。
また、さきほども比較しましたが、テーマ型ファンドでなくとも、優れたパフォーマンスのアクティブファンドは数は少ないですが、実在しますので、そういったファンドに投資をするのもよいと思います。