過去に人々の生活を変え、世界の発展を牽引してきたのは、まだ見ぬ未来に対する画期的なビジョンを持ち、その実現のために努力をつづけてきたビジョナリーカンパニーです。
そんなビジョナリーカンパニーに投資ができるのが、SBI岡三アセットマネジメントの米国ネクストビジョンファンド(為替ヘッジなし)です。
「米国ネクストビジョンファンドって投資対象としてどうなの?」
「米国ネクストビジョンファンドって持ってて大丈夫なの?」
「米国ネクストビジョンファンドより良いファンドってある?」
といったことでお悩みの方は、この記事を最後まで読めば、悩みは解消すると思います。
米国ネクストビジョンファンド(為替ヘッジなし)の基本情報
投資対象は?
米国ネクストビジョンファンドの投資対象は、米国の株式です。
これらかの未来を創るビジョナリーカンパニーを発掘して投資をします。セクターや時価総額に囚われず、幅広い銘柄を選定します。
ビジョナリーカンパニーの発掘においては、以下の4つのポイントに着目し、ビジョンを持った企業を発掘していきます。
※引用:交付目論見書
運用プロセスは以下のようになっており、ファンダメンタルズ分析を用いて、ボトムアップ・リサーチにより銘柄を選定します。
※引用:交付目論見書
業種別の構成比率をいると、ソフトウェアの比率が高くなっていますね。
※引用:マンスリーレポート
米国ネクストビジョンファンドの現在の組入銘柄数は61銘柄で構成されており、組入上位5銘柄は以下のようになっています。
※引用:マンスリーレポート
純資産総額は?
つづいて、米国ネクストビジョンファンドの純資産総額を見てみましょう。純資産総額というのは、あなたを含めた投資家から集めた資金の総額だと思ってください。
ファンドの純資産総額が小さいと、監査費用や印刷費用、その他諸経費が相対的に比率が高くなるので、実質コストが高くなりがちです。また会社としてもファンドの運用に人員を割けなくなるため、パフォーマンスが悪化する原因にもなります。
米国ネクストビジョンファンドの純資産総額は、現在約580億円です。まだ運用期間は短いですが、パフォーマンスがそこまで優れておらず、すでに純資産が微減しています。ただ、規模としては、問題ないですね。
※引用:マンスリーレポート
実質コストは?
投資信託を運用する際には、購入時手数料や信託報酬以外にも、実際にはコストがかかっています。具体的には、株式売買手数料や有価証券取引税、印刷費用などが該当します。
これを実質コストと言いますが、実質コストが信託報酬よりもかなり高くなっていることもありますので、必ず事前に確認しておいたほうがよいポイントです。
信託報酬を信用するな。知らないうちに差し引かれている実質コストの調べ方
米国ネクストビジョンファンドの実質コストは1.979%となっており、かなり割高です。購入時手数料もしっかり3.3%かかるので、投資をする際は慎重に投資判断をしてください。
購入時手数料 | 3.3%(税込)※上限 |
信託報酬 | 1.969%(税込) |
信託財産留保額 | なし |
実質コスト | 1.979%(概算値) |
※引用:最新運用報告書
「ファンドの運用で成果を出すために一番大事なことは何ですか?」と聞かれてあなたは何と答えますか?
もし『ファンド選び』だと思ったとしたら、あなたはドツボに
はまっていますので、こちらの記事を読んでみてください。
米国ネクストビジョンファンド(為替ヘッジなし)の評価分析
基準価額をどう見る?
米国ネクストビジョンファンドの基準価額を見てみましょう。
2022年に大きく下落し、2023年には下落分を取り戻していますが、まだ基準価額が10,000円を回復できていません。
※引用:ウエルスアドバイザー
利回りはどれくらい?
それでは、米国ネクストビジョンファンドの運用実績を見ていきます。
直近1年間の利回りは34.79%となっています。かなり高い利回りですね。
ただし、この時点で良し悪しを判断するのは時期尚早です。他の類似ファンドとパフォーマンスを比較してから投資判断するようにしましょう。
平均利回り | |
1年 | +34.79% |
3年 | ー |
5年 | ー |
10年 | ー |
※2023年10月時点
10年間高いパフォーマンスを出し続けている優秀なファンド達も参考にしてみてください。
10年間圧倒的に高いリターンを出している国内中小型株式ファンドランキング
同カテゴリー内での利回りランキングは?
米国ネクストビジョンファンドは、国際株式・北米カテゴリーに属しています。
投資をするのであれば、同カテゴリーでも優秀なパフォーマンスのファンドに投資をすべきなので、同カテゴリー内でもパフォーマンスのランキングは事前に調べておいて損はありません。
利回りが良く見えても、実は同カテゴリー内では、ランキングが低かったということがよくあります。
米国ネクストビジョンファンドは、直近1年は上位6%となっていますが、2022年にかなり大きく下落しているためであり、この数字だけを見て判断するのはかなり危険です。
上位●% | |
1年 | 6% |
3年 | ー |
5年 | ー |
10年 | ー |
※2023年10月時点
年別のパフォーマンスは?
米国ネクストビジョンファンドの年別の利回りを見てみましょう。
年別の運用利回りを見ることで、平均利回りを見るだけではわからない基準価額の変動の大きさを知ることができます。
2023年は40%以上のプラスを出しているにもかかわらず、2022年に大きなマイナスを出しており、ほぼプラスは出ていません。
年間利回り | |
2023年 | +47.91%(1-9月) |
2022年 | ▲35.19% |
※2023年10月時点
投信運用は長期投資が前提なので、つい出口戦略を考えずに投資をしてしまいがちです。
しかし、「投資は出口戦略にあり」と言われるほど、重要なテーマです。ぜひこれを機会に投資の出口戦略を考えてみてください。
>>ここまで考えるのが本当の資産運用。多くの投資家が考えられていない投信運用の出口戦略とはインデックスファンドとのパフォーマンス比較
米国ネクストビジョンファンドに投資をするかを考える上で、超低コストで投資ができるインデックスファンドとパフォーマンスの比較は必須です。
パフォーマンスが大きく劣るようであれば、わざわざ高いコストを支払ってまで投資をする価値がないからです。
そこで、今回は、米国ネクストビジョンファンドと北米株で構成されているeMAXIS Slim 米国株式(S&P500)とパフォーマンスを比較してみました。
※引用:ウエルスアドバイザー
直近3年間では、ほぼ全期間で米国ネクストビジョンファンドのパフォーマンスが下回っています。
販売手数料もない信託報酬も安いインデックスファンドと比較して、ここまで差がつくと投資家としても米国ネクストビジョンファンドを選択する理由が見当たりません。
年平均利回り | 米国ネクストビジョン | slim 米国株式 |
1年 | +34.79% | +23.68% |
3年 | ー | +23.72% |
5年 | ー | +15.80% |
10年 | ー | ー |
※2023年10月時点
類似ファンドとのパフォーマンス比較
米国ネクストビジョンファンドに投資をするかを検討するのであれば、アクティブファンドともパフォーマンスを比較しておきましょう。
投資信託は6000本以上ありますので、もっと優れたファンドが見つかるかもしれません。
今回は、北米ファンドで何度も優秀ファンド賞を受賞をしたことがあるアライアンス・バーンスタインの米国成長株投信Bコースと比較をしてみました。
※引用:ウエルスアドバイザー
こちらもほぼ全期間で米国ネクストビジョンファンドのパフォーマンスが下回っています。
アクティブファンドに投資をするにしても、より高いパフォーマンスの米国成長株投信に投資をするべきですね。
年平均利回り | 米国ネクストビジョン | 米国成長株投信 |
1年 | +34.79% | +25.71 |
3年 | ー | +18.31% |
5年 | ー | +16.72% |
10年 | ー | +18.21% |
※2023年10月時点
最大下落率は?
投資信託は最低でも5~10年は投資をする気でなければ、投資をする意味がありませんが、その最大の障壁となりえるのが、資産の減少です。
特に20%や30%の下落相場を始めて経験すると、資産の減少額に耐えきれなくなり、本来手放すべきタイミングではないときに慌てて売却してしまいがちです。
そのため、事前にどの程度下落する可能性があるのかを知っておくことで、急落相場に遭遇しても、精神的に余裕を持って投資を続けられます。
それでは、米国ネクストビジョンファンドの最大下落率を調べてみましょう。
期間 | 下落率 |
1カ月 | ▲22.70% |
3カ月 | ▲22.47% |
6カ月 | ▲29.17% |
12カ月 | ▲35.19% |
※2023年10月時点
米国ネクストビジョンファンドの最大下落率は2022年1月~2022年12月で▲35.19%となっています。これくらいの下落は数年に1度はありますで、その覚悟を持って投資をしてください。
最大下落率を知ってしまうと、少し足が止まってしまうかもしれません。しかし、以下のことをしっかり理解しておけば、元本割れの可能性を
限りなく低くすることが可能です。
評判はどう?
米国ネクストビジョンファンドの評判を確認する上で、毎月の資金の流出入が役立ちます。
資金流入が多くなっていれば、人気が出てきているファンドであるとわかりますし、流出が続いているようであれば、評判が悪くなっているファンドと言えます。
それでは、米国ネクストビジョンファンドの評判を見てみましょう。
2022年末までは毎月資金が流入しており順調でしたが、資金が流出超過に転じており、すでに評判が悪くなっています。
※引用:ウエルスアドバイザー
NISAとiDeCoの対応状況は?
投資をしようとする際、NISAやiDeCoの制度を使って投資を検討している人も多いと思うので、NISAやiDeCoの対応状況を見ていきます。
米国ネクストビジョンファンドは、残念ながらどちらも対応していません。
NISA | iDeCo |
× | × |
※2023年10月時点
米国ネクストビジョンファンド(為替ヘッジなし)の評価まとめと今後の見通し
いかがでしょうか?
アクティブファンドに投資をするのであれば、最低限、インテックスファンドよりもパフォーマンスが上回っている必要があります。
しかし、米国ネクストビジョンファンドはそもそもパフォーマンスでインデックスファンドに負けてしまっています。
かつ同カテゴリーのアクティブファンドの中で比較をしても、大きく負け越しています。
「ビジョナリーカンパニーを発掘して、投資ができる。」と聞くと、「なんかすごそうだ!」と思ってしまいがちですが、実際はS&P500やNYダウに連動するインデックスファンドに勝てない場合がほとんどです。
アクティブファンドにどうしても投資をしたい場合はまずインデックスファンドをコア資産において投資をして、サテライト資産で、アクティブファンドに投資をしてください。
最後に、投信運用には多くのメリットもありますが、当然ながら、弱点もあります。
今も私は投信運用を続けてはいますが、私がなぜ投資信託の運用を主軸におかなくなったのか。その理由をこちらで話をしています。
>>私が痛感する投資信託の限界。多くの投資家が見逃している投信運用の弱点