アクティブファンド分析

ひふみワールド+(プラス)の評価や評判は?はたして投資価値があるのか?

ひふみ投信で一世風靡したレオスキャピタル。今までは国内株式がメインであり、海外株式にはほとんど手を出していませんでしたが、ついに世界株ファンドが登場しました。

すでに2000億円近く集まっており、非常に人気高いファンドです。

今日は、ひふみワールド+(プラス)を独自目線で徹底分析していきます。

「ひふみワールド+(プラス)って投資対象としてどうなの?」

「ひふみワールド+(プラス)って持ってて大丈夫なの?」

「ひふみワールド+(プラス)より良いファンドってある?」

といったことでお悩みの方は、この記事を最後まで読めば、悩みは解消すると思います。

ひふみワールド+(プラス)の基本情報

投資対象は?

ひふみワールド+(プラス)の投資対象は日本を除く世界各国の株式です。

長期的な産業のトレンドを勘案しつつ、経営方針や戦略といった数値に現れない定性情報と財務指標や株価指標といった数値で計算できる定量情報を総合的に判断して、銘柄を選定します。


※引用:交付目論見書

日本で販売されている海外ファンドの多くは、すでに海外で運用されているファンドに投資をする所謂ファンドオブファンズ方式が大半を占めます。

なぜなら、自分たちで海外の現地まで赴き、経営者と面と向かって情報交換していては、時間もコストも大きく膨れ上がるからです。一方、レオスの場合はひふみプラスと同じように「足で情報を稼ぐ」ことに重点を置いています。

ですので、海外だからと言って、レオスの強みを生かし、現地まで赴き、取材をして銘柄を選定しているという点は大きな特徴と言えます。日本では、足で情報を稼ぐ戦略が功を奏して、パフォーマンスも非常に優れていますが、果たして海外でも同じノウハウが通じるのか注目ですね。

ひふみワールド+(プラス)の現在の組入銘柄は154銘柄で、構成比率は以下のようになっています。組入れ銘柄の比率だけを見ると、米国株の比率が6割強ということであまり目新しさは感じません。


※引用:マンスリーレポート

さて、足で情報を稼いでいるレオスキャピタルは果たして、どのような銘柄に投資をしているのでしょうか。

ひふみ投信時代は米国の無難な銘柄にしか投資をしていなかったので、その辺りが気になります。

実際の中身を見てみると、著名な企業が多いものの、フェラーリ、ポルシェといった他のファンドでは、上位に入って来ないような銘柄が組入上位に入ってきているのは面白いですね。


※引用:マンスリーレポート

ひふみワールドとひふみワールド+の違いは?

ひふみワールド+(プラス)へ投資を検討している方は、「ひふみワールド」と「ひふみワールド+(プラス)」があることに対して疑問に思っている人もいるかもしれません。

これは、購入できる窓口の違いで、ひふみワールドはレオスキャピタルに直接口座を開設しなければ購入できませんが、ひふみワールド+はSBI証券や楽天証券から購入できます。

中身は同じファンドですので、どちらを選択しても構わないというのが結論ですね。

純資産総額は?

続いて、ひふみワールド+(プラス)の純資産総額はどうなっているか見てみましょう。純資産総額というのは、あなたを含めた投資家から集めた資金の総額だと思ってください。

純資産総額は大きいほうが、ファンドマネージャーが資金を運用する際に効率よくできたり、保管費用や監査費用が相対的に低くなりますので、コストが低く抑えられます。

また投資信託の規模が小さくなると運用会社自体がその投資信託に力を注がなくなりパフォーマンスが悪くなることもありますので注意が必要です。

まさか知らない?絶対知っておきたい純資産総額のマメ知識

ひふみワールド+(プラス)はすでに約2100億円まで成長しており、非常に人気が出ています。さすがひふみ投信で人気を得ていただけありますね。


※引用:マンスリーレポート

実質コストは?

私たちが支払うコストには、目論見書に記載の信託報酬以外に、株式売買委託手数料や、保管費用、印刷費用などが含まれています。

そのため、実際に支払うコストは、目論見書記載の額より高くなるのが通例で、実際にかかる実質コストをもとに投資判断をしなければなりません。

信託報酬を信用するな。知らないうちに差し引かれている実質コストの調べ方

ひふみワールド+(プラス)の実質コストは1.876%とかなり割高です。

ひふみシリーズのブランド力があるため、あまり気にせず、投資をしている人も多いと思いますが、購入時手数料もしっかり3.3%取られますので、慎重に投資するかは検討する必要があります。

投資信託の手数料は安ければ安いほどいいという勘違い

購入時手数料 3.3%(税込)※上限
信託報酬 1.628(税込)
信託財産留保額 0
実質コスト 1.876%※概算値

※引用:最新運用報告書

「ファンドの運用で成果を出すために一番大事なことは何ですか?」と聞かれてあなたは何と答えますか?

もし『ファンド選び』だと思ったとしたら、あなたはドツボに
はまっていますので、こちらの記事を読んでみてください。

>>無料ファンド相談から見えた。多くの人が気づいていない投信運用で成果を阻む9つの誤り

ひふみワールド+(プラス)の評価分析

基準価格の推移は?

ひふみワールド+(プラス)は2021年まで順調に上昇し、2022年は停滞しましたが、2023年に入り、また大きく上昇しています。


※引用:ウエルスアドバイザー

利回りはどれくらい?

つづいて、ひふみワールド+(プラス)の運用実績を見てみましょう。

直近1年間の利回りは+21.10%となっています。3年平均利回りも14%と悪くない利回りです。

ただ、他にもっと優れたファンドもあるかもしれませんので、他のファンドと比較をする前に投資判断しないようにしてください。

ちなみにあなたは実質利回りの計算方法はすでに理解していますか?もし、理解していないのであれば、必ず理解しておいてください。

これがわかっていないとマズイ。実質利回りの計算方法。

平均利回り
1年 +21.10%
3年 +14.46%
5年 -
10年 -

※2023年10月時点

10年間高いパフォーマンスを出し続けている優秀なファンド達も参考にしてみてください。

10年間圧倒的に高いリターンを出している海外株式ファンドランキング

同カテゴリー内での利回りランキングは?

ひふみワールド+(プラス)は、日本を除くグローバル株式カテゴリーに属しています。

パフォーマンスが良く見えても、実はもっと優れたファンド見つかることもありますので、同カテゴリー内でのパフォーマンスは必ず比較するようにしてください。

ひふみワールド+(プラス)はどの期間においても、平均以下のランキングとなっています。つまり、もっと他に優れたファンドが多数あるということです。

上位●%
1年 69%
3年 80%
5年 -
10年 -

※2023年10月時点

年別の運用利回りは?

つづいて、ひふみワールド+(プラス)の年別のパフォーマンスを見てみましょう。

2020年、2021年は20%超となっており、非常に運用は好調でした。しかし、2022年は現時点で10%以上のマイナスです。

このパフォーマンスであれば悪くないようにも見えますが、他の比較もしたうえで判断することが重要です。

年間利回り
2023年 +20.00%(1-9月)
2022年 ▲13.67%
2021年 +28.16%
2020年 +21.59%

※2023年10月時点

投信運用は長期投資が前提なので、つい出口戦略を考えずに投資をしてしまいがちです。

しかし、「投資は出口戦略にあり」と言われるほど、重要なテーマです。ぜひこれを機会に投資の出口戦略を考えてみてください。

>>まさか考えたことがない?運用が成功するか失敗するかすべてのカギを握る投信運用の出口戦略

インデックスファンドとの利回り比較

ひふみワールド+(プラス)への投資を検討するのであれば、より低コストのインデックスファンドとパフォーマンスを比較しておきたいところです。

ひふみワールド+(プラス)は全世界の株式に分散投資をしていきますので、今回は、全世界に分散できるインデックスファンドとして非常に人気の高いeMAXIS Slim 全世界株式(オールカントリー)と比較をしました。


※引用:ウエルスアドバイザー

直近3年間では、2021年末までは、eMAXIS Slim 全世界株式と競っていましたが、2022年以降は大きく差をつけられています。

インデックスファンドにここまで差をつけられると、あえて高いコストを支払ってまで、ひふみワールド+に投資をすべき理由が見つかりません。

ひふみワールド+ Slim全世界株式
1年 +21.10% +23.71%
3年 +14.46% +20.23%
5年 - -
10年 - -

※2023年10月時点

アクティブファンドとの利回り比較

ひふみワールド+(プラス)に投資をするのであれば、類似のアクティブファンドとパフォーマンスを比較してからでも遅くはありません。

今回は、ひふみワールド+(プラス)と同じく全世界の株式に分散投資をしており、人気の高いセゾン投信の資産形成の達人ファンドととパフォーマンスを比較しました。


※引用:ウエルスアドバイザー

直近3年間では、ほぼ互角のパフォーマンスとなっています。

ただ、ひふみワールド+はさきほど比較した通り、インデックスファンドに利回りで大きく差をつけられていますので、あえてコストが高く利回りの低いファンドに投資をする理由はありません。

ひふみワールド+ 資産形成の達人
1年 +21.10% +20.46%
3年 +14.46% +15.09%
5年 - +9.75%
10年 - +11.73%

※2023年10月時点

最大下落率は?

ひふみワールド+(プラス)に投資をする前に、最大でどの程度下落する可能性があるのかを知っておくことは非常に重要です。どの程度下落する可能性があるかを把握しておけば、大きく下落した相場でも落ち着いて保有を続けられるからです。

それではここでひふみワールド+(プラス)の最大下落率を見てみましょう。

期間 下落率
1カ月 ▲12.48%
3カ月 ▲18.78%
6カ月 ▲13.19%
12カ月 ▲13.67%

※2023年10月時点

ひふみワールド+の最大下落率は2020年1月~3月の3カ月間で18.78%となっています。

まだ運用期間が短いため、大きな下落は経験していませんが、リーマンショックの時を考えると、株式ファンドは50%近い下落をしたので、少なくとも30~40%程度の下落をすることもあると思いながら運用をしていたほうが賢明です。

また、次のことをしっかり理解しておけば、元本割れの可能性を限りなく低くすることが可能です。

元本割れを回避するためにできるたったひとつのこととは?

評判はどう?

続いて、ひふみワールド+(プラス)の評判を見てみましょう。

ネットでの書き込みなどで調べる方法もありますが、評判を知るうえで一番役に立つのが、月次の資金流出入額です。

資金が流入しているということは多くの投資家がファンドを購入しているということなので、評判がいいということになります。

ひふみワールド+(プラス)は2022年まで、ほとんどの期間で資金が流入超過となっていました。さすがひふみと言いますが、2023年以降は資金が流出超過となっており、さすがにこのパフォーマンスでは、投資を継続できないと判断した投資家が出てきたのだと思います。


※引用:ウエルスアドバイザー

NISAとiDeCoの対応状況は?

投資をしようとする際、NISAやiDeCoの制度を使って投資を検討している人も多いと思うので、NISAやiDeCoの対応状況を見ていきます。

ひふみワールド+(プラス)はNISAでの取り扱いがありますので、この制度をうまく使っていきましょう。

なおiDeCoで利用したい場合は、ひふみワールド年金という商品があるので、そちらを活用してください。

NISA iDeCo
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※2023年10月時点

ひふみワールド+(プラス)の評価まとめと今後の見通し

ひふみ投信時代は著名な海外株式だけを組み入れて、運用していたので、正直ひふみワールド+(プラス)には、あまり期待していませんでした。

しかし、ひふみワールド+(プラス)では、組入銘柄がガラッと変わっており、国内と同じように足で稼いだ情報で銘柄の選定を行っていることがわかります。

私個人としては、運用を他人任せにせず、自分たちの足を使って、現地調査を行い、銘柄選定をしているという点がなにより評価ポイントです。

こういった調査の経験やナレッジは運用を外部委託している運用会社とは異なり、これからの運用に大きく活かすことができると思っています。

ただ、現状、ひふみワールド+(プラス)のパフォーマンスは全世界に分散投資できるeMAXIS Slim 全世界株式よりも劣っているため、あえて高いコストを支払ってまで投資をしたいとは思えません。

もちろん、アクティブファンドはインデックスファンドよりもパフォーマンスが上下に変動しやすいので、こういう時期もあるとは言えますが、今後の運用次第とも言えますね。

現時点ではあえて投資をするファンドではないと言ったところでしょう。

最後に、投信運用には多くのメリットもありますが、当然ながら、弱点もあります。

今も私は投信運用を続けてはいますが、私がなぜ投資信託の運用を主軸におかなくなったのか。その理由をこちらで話をしています。

>>私が痛感する投資信託の限界。多くの投資家が見逃している投信運用の弱点

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ネコみたいに気楽に生きたい投資マニア いのねこ

【理論より実践】で役立つ投資情報を配信中。投資歴20年超。元大手証券マン。投資経験は100案件超。 【保有資格】1級ファイナンシャルプランニング/プライマリープライベートバンカー/MBA/証券外務員一種/宅地建物取引士/AFP/相続診断士/競売不動産取扱主任者/

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