高齢化社会が進行する中で、常に注目を集めているテーマが
医療関連セクターです。
ただ、テーマとしては成長分野ではあるものの、大きく成長し
続けているファンドがないのも特徴のひとつです。
今日は、JPM グローバル医療関連株式ファンドについて
徹底分析していきたいと思います。
「JPM グローバル医療関連株式ファンドって投資対象としてどうなの?」
「JPM グローバル医療関連株式ファンドって持ってて大丈夫なの?」
「JPM グローバル医療関連株式ファンドより良いファンドってある?」
といったことでお悩みの方は、この記事を最後まで読めば、
悩みは解消すると思います。
JPM グローバル医療関連株式ファンドの基本情報
投資対象は?
JPM グローバル医療関連株式ファンドの投資対象は、世界の
医療関連企業の株式です。
医薬品、バイオテクノロジー、ヘルスケアサービス、医療技術
(医療機器・器具等)およびサイフサイエンスにかかる業務を
行う企業を対象としています。
もう少し具体的に組入銘柄を見ていきましょう。
まず国別の比率で見ると、米国が約8割となっており、
米国株式ファンドと言ってもよいくらいの比率となっています。
※引用:マンスリーレポート
カテゴリー別の比率で見てみると、医薬品が約3割で最も高く、
バイオテクノロジー、医療機器・器具、医療・健康サービスが
それぞれ2割ずつになっています。
※引用:マンスリーレポート
純資産総額は?
続いて、JPM グローバル医療関連株式ファンドの純資産総額は
どうなっているか見てみましょう。
純資産総額というのは、あなたを含めた投資家から集めた資金の
総額だと思ってください。
ファンドの純資産総額が小さいと、適切なタイミングで売買できなかった
り、コストが嵩みますので、事前に確認すべきポイントの1つです。
JPM グローバル医療関連株式ファンドの純資産総額は、
現在550億円程度となっています。
2015年には1200億円ほどありましたが、パフォーマンスが
優れないことを背景に純資産総額が減り続けています。
※引用:マンスリーレポート
実質コストは?
私たちが支払うコストには、目論見書に記載の信託報酬
以外に、株式売買委託手数料や、保管費用、印刷費用など
が含まれています。
そのため、実際に支払うコストは、目論見書記載の額より
高くなるのが通例で、実際にかかる実質コストをもとに投資
判断をしなければなりません。
信託報酬を信用するな。知らないうちに差し引かれている実質コストの調べ方
JPM グローバル医療関連株式ファンドの実質コストは2.35%と
かなり割高となっています。
何より購入時手数料も高いので、相当よいファンドでないと
投資する気にはなれないコスト設定となっています。
購入時手数料 | 3.85%(税込) |
信託報酬 | 1.85%(税込) |
信託財産留保額 | 0 |
実質コスト | 2.35%(概算値) |
※ 引用:最新運用報告書
と聞かれてあなたは何と答えますか?
もし『ファンド選び』だと思ったとしたら、あなたはドツボに
はまっていますので、こちらの記事を読んでみてください。
>>無料ファンド相談から見えた。多くの人が気づいていない投信運用で成果を阻む9つの誤り
JPM グローバル医療関連株式ファンドの評価分析
基準価額の推移は?
JPM グローバル医療関連株式ファンドの基準価額は、2020年に
ようやく10000円まで戻してきました。
ただ、コロナショックでまた大きく下落し、その後、半年かけて
もとの水準にまで戻してきましたが、それでも10000円近辺を
推移しています。
※引用:モーニングスター
利回りはどれくらい?
つづいて、JPM グローバル医療関連株式ファンドの運用実績を
見てみましょう。
直近1年間の利回りは15.42%と非常に優秀です。
3年平均利回りも10%近いので、悪くありません。
ちなみにあなたは実質利回りの計算方法はすでに理解していますか?
もし、理解していないのであれば、必ず理解しておいてください。
平均利回り | |
1年 | 15.42% |
3年 | 9.25% |
5年 | 3.42% |
10年 | – |
※2020年11月時点
10年間高いパフォーマンスを出し続けている優秀なファンド達も
参考にしてみてください。
10年間圧倒的に高いリターンを出している海外株式ファンドランキング
同カテゴリー内での利回りランキングは?
JPM グローバル医療関連株式ファンドは、日本を含む
グローバル株式カテゴリーに属しています。
投資をするのであれば、同じカテゴリーでも優秀な
パフォーマンスのファンドに投資をすべきなので、
同カテゴリー内でのパフォーマンスのランキングは
事前に調べておいて損はありません。
JPM グローバル医療関連株式ファンドは、常に上位3割程度には
ランクインしており、安定して高い利回りを実現できている
ことがわかります。
上位●% | |
1年 | 27% |
3年 | 12% |
5年 | 35% |
10年 | – |
※2020年11月時点
年別のパフォーマンスは?
JPM グローバル医療関連株式ファンドの年別の運用パフォ
ーマンスを見てみましょう。
2桁以上のマイナスになっている年もありますが、2桁以上の
プラスになっている年も多く、総じて高い利回りで運用が
できています。
年間利回り | |
2020年 | +10.54%(1-9月) |
2019年 | +24.65% |
2018年 | ▲2.79% |
2017年 | +15.17% |
2016年 | ▲18.50% |
2015年 | +3.10% |
2014年 | +40.44% |
※2020年11月時点
考えずに投資をしてしまいがちです。 しかし、「投資は出口戦略にあり」と言われるほど、
重要なテーマです。 ぜひこれを機会に投資の出口戦略を考えてみて
ください。 >>ここまで考えるのが本当の資産運用。多くの投資家が考えられていない投信運用の出口戦略とは
インデックスファンドとのパフォーマンス比較
アクティブファンドへの投資を検討するのであれば、インデックス
ファンドとのパフォーマンス比較は必須です。
JPM グローバル医療関連株式ファンドは米国株の比率が約8割
ですので、組入比率が比較的似ているeMAXIS Slim 先進国株式
インデックスとパフォーマンスを比較してみました。
※引用:モーニングスター
終始、JPM グローバル医療関連株式ファンドがeMAXIS Slim
先進国株式を上回っており、これであれば、高いコストを支払って
アクティブファンドに投資をする価値があると言えます。
JPMグロ医療 | slim 先進国 | |
1年 | 15.42% | 1.51% |
3年 | 9.25% | 4.19% |
5年 | 3.42% | – |
10年 | – | – |
※2020年11月時点
アクティブファンドとのパフォーマンス比較
アクティブファンドに投資をするのであれば、他のアクティブ
ファンドをパフォーマンスを比較してから投資をしても、
遅くはありません。
そこで、今回は先進国株式を投資対象にアクティブ運用している
大和住銀DC海外株式アクティブファンドを比較をしました。
※引用:モーニングスター
大和住銀DC海外株式アクティブファンドは非常に優秀なファンドなので、
これと比べてしまうとというのはありますが、JPM グローバル医療関連
株式ファンドも健闘していると言えます。
テーマ型ファンドでなくても、大和住銀DC海外株式アクティブファンド
のように中長期で高いパフォーマンスを出し続けているファンドも存在
しているということは覚えておいてください。
JPMグロ医療 | 大和住銀DC | |
1年 | 15.42% | 31.86% |
3年 | 9.25% | 15.41% |
5年 | 3.42% | 13.32% |
10年 | – | 15.65% |
※2020年11月時点
最大下落率は?
投資するのであれば、ファンドがどの程度下落する可能性がある
のかは知っておきたいところです。
もちろん標準偏差から変動幅を予測することはできますが、やはり
過去にどの程度下落したことがあるのかを調べるのがよいでしょう。
JPM グローバル医療関連株式ファンドは2015年7月~2016年6月まで
の間に最大▲31.30%下落しています。
最大下落率を知ってしまうと、少し足が止まってしまうかもしれません。
しかし、以下のことをしっかり理解しておけば、元本割れの可能性を
限りなく低くすることが可能です。
期間 | 下落率 |
1カ月 | ▲13.99% |
3カ月 | ▲18.74% |
6カ月 | ▲24.64% |
12カ月 | ▲31.30% |
※2020年11月時点
評判はどう?
JPM グローバル医療関連株式ファンドの評判はネットでの書き込み
などで調べる方法もありますが、評判を知るうえで一番役に立つのが、
月次の資金流出入額です。
資金が流出しているということは、それだけJPM グローバル医療関連
株式ファンドを解約している人が多いということなので、評判が悪く
なっているということです。
JPM グローバル医療関連株式ファンドは、2016年以降、資金流出が
続いており、評判は決してよくありませんでした。
しかし、コロナショック以降、資金が流入超過に転じており、
医療関連銘柄に注目があつまったことで、このファンドの評判も
よくなってきていることがわかります。
※引用:モーニングスター
JPM グローバル医療関連株式ファンドの今後の見通しと評価まとめ
いかがでしょうか?
人口の高齢化と新興国における医療支出の急増はJPM
グローバル医療関連株式ファンドには大きな追い風です。
医療関連セクターは未だに満たされない医療ニーズに対して、
革新的な治療法を提供する企業に注目して投資をしており、
中長期的には成長が期待できると思います。
ただし、当初想定していた新薬や新機器の臨床試験結果が
ふるわないと、株価に大きな影響が出ますので、通常の
株式ファンドとは異なる値動きをすることもあります。
今回のコロナショックでは、医療関連の株式は他の銘柄
と比べると下落幅が小さかったため、MSCIコクサイに連動
する先進国株式インデックスには大きく差をつけることに
成功しました。
現状のパフォーマンスだけを見ると、たしかに投資を検討
する価値があると言えますが、私個人としてはやはり、
医療関連ファンドにあえて投資をする必要はないと考えて
います。
JPM グローバル医療関連株式ファンドのようなテーマ型
ファンドでなくても、高い利回りで運用ができているファンド
はありますので、幅広い業種に分散しているアクティブファンド
のほうが安心して投資をできるのではないでしょうか。
当然ながら、弱点もあります。 今も私は投信運用を続けてはいますが、私がなぜ
投資信託の運用を主軸におかなくなったのか。 その理由をこちらで話をしています。 >>なぜ私が投信運用に限界を感じたのか。多くの投資家が見逃している投信運用の弱点