大和アセットのiFreeシリーズで一部のリスク選好型
投資家から非常に注目を集めているのが、S&P500に
2倍のレバレッジをかけているiFreeレバレッジS&P500です。
2019年以降、コロナショックで大きく下落しながらも、
S&P500は大きく上昇しており、多くの投資家が再度、
注目を集めています。
ただレバレッジ型ファンドは使い方を間違えるととても
危険ですので、今日は、iFreeレバレッジ S&P500を
徹底分析していきます。
「iFreeレバレッジ S&P500って投資対象としてどうなの?」
「iFreeレバレッジ S&P500って持ってて大丈夫なの?」
「iFreeレバレッジ S&P500より良いファンドってある?」
といったことでお悩みの方は、この記事を最後まで読めば、
悩みは解消すると思います。
iFreeレバレッジ S&P500の基本情報
S&P500とは?
S&P500は、S&P Dow Jones Indicesが算出しているアメリカの
代表的な株式指数で、ニューヨーク証券取引所、NASDAQに
上場している銘柄から代表的な大型株500銘柄の株価をもとに
算出される指標です。
私が、S&P500のインデックスファンドを強くおすすめするのは、
下図のようにS&P500の過去の値動きが見事に右肩上がりになって
いるからです。
インデックスファンドは低コストだから何を選んでも良いと言う
わけではありません。
しっかり成長している指数を選ばなければ、あなたの資産も
増えることはありませんので、注意してください。
投資対象は?
iFreeレバレッジ S&P500の投資対象は、株式指数先物及び
・米国の債券、国内債券です。
組入比率は以下のようになっており、S&P500の指数先物を
購入することで、純資産総額の約2倍になるように調整が
されています。
※引用:マンスリーレポート
つみたてNISAとiDeCoの対応状況は?
iFreeレバレッジ S&P500のつみたてNISAとiDeCoの対応状況を
確認しておきましょう。
さすがにどちらも対応していません。
つみたてNISA | iDeCo |
× | × |
※2022年2月時点
純資産総額は?
続いて、iFreeレバレッジ S&P500の純資産総額はどうなって
いるか見てみましょう。
純資産総額というのは、あなたを含めた投資家から集めた
資金の総額だと思ってください。
インデックスファンドの運用において、純資産総額というのも
見るべきポイントです。
ファンドの純資産総額が小さいと、適切なタイミングで銘柄を
入れ替えることができず、インデックスから乖離してしまう
リスクがあります。
また純資産総額が大きく減少していると、ファンドの組み替えが
うまくできず、予期せぬマイナスを生む可能性があります。
iFreeレバレッジ S&P500は少ないながらも着実に純資産を
増やしており、現在は218億円にまで増えました。
これくらいあれば問題ありませんね。
※引用:マンスリーレポート
実質コストは?
私たちが支払うコストには、目論見書に記載の信託報酬以外に、
株式売買委託手数料や、保管費用、印刷費用などが含まれています。
そのため、実際に支払うコストは、目論見書記載の額より高くなる
のが通例で、実際にかかる実質コストをもとに投資判断をしなければ
なりません。
信託報酬を信用するな。知らないうちに差し引かれている実質コストの調べ方
iFreeレバレッジ S&P500 の実質コストは、約1.13%程度で、
インデックスファンドの割にはかなり割高となっています。
販売手数料が2.2%取られるのも評価が下がりますね。
購入時手数料 | 2.2%(税込)※上限 |
信託報酬 | 0.99%(税込) |
信託財産留保額 | 0 |
実質コスト | 1.13%(概算値) |
※引用:最新運用報告書
と聞かれてあなたは何と答えますか?
もし『ファンド選び』だと思ったとしたら、あなたはドツボに
はまっていますので、こちらの記事を読んでみてください。
>>無料ファンド相談から見えた。多くの人が気づいていない投信運用で成果を阻む9つの誤り
基準価額をどう見る?
iFreeレバレッジ S&P500の基準価額は、コロナショック前
の高値と比較をして、一時は50%近く下落しました。
チャートを見ても、そんなに下がっているようには
見えませんが。
今回は、運よく米国株相場がすぐに反転して戻ってきた
こともあり、その後は急騰しています。
こういったマイナス面もしっかり考慮した上で、投資を
していかなければ、無理な投資金額で投資をして大損する
ことになるので注意してください。
※引用:モーニングスター
利回りはどれくらい?
つづいて、iFreeレバレッジ S&P500の運用実績を見てみましょう。
直近1年間の利回りは30%を超え、3年平均利回りでも、
30%を超えています。
S&P500が堅調に上昇しつづけていることが大きな要因ですが、
タイミングさえうまく乗ることができれば、レバレッジ型
ファンドは大きな利益を生み出せることがわかりますね。
ちなみにあなたは実質利回りの計算方法はすでに理解していますか?
もし、理解していないのであれば、必ず理解しておいてください。
平均利回り | |
1年 | 35.43% |
3年 | 34.06% |
5年 | – |
10年 | – |
※2022年2時点
10年間高いパフォーマンスを出し続けている優秀なファンド達も
参考にしてみてください。
10年間圧倒的に高いリターンを出している海外株式ファンドランキング
同カテゴリー内での利回りランキングは?
iFreeレバレッジ S&P500は、ブル型株式カテゴリーに
属しています。
投資をするのであれば、同カテゴリーでも優秀なパフォ
ーマンスのファンドに投資すべきですので、同カテゴリー
内でのパフォーマンスのランキングを調べました。
レバレッジをかけているファンドは、レバレッジの倍率も
違うので、あまりこの点は気にしても仕方ないのですが、
上位10%に入っており、かなり高い利回りの運用ができて
いるということだけはわかります。
上位●% | |
1年 | 10% |
3年 | 12% |
5年 | – |
10年 | – |
※2022年2月時点
年別の運用利回りは?
つづいて、iFreeレバレッジ S&P500の年別のパフォーマンスを
見てみましょう。
運用を開始した時期がよかったというのもありますが、2019年、
2021年は+60%の驚異的なリターンとなっています。
2022年以降の下落相場でどれくらいのパフォーマンスとなるのか
注目していきたいところです。
年間利回り | |
2021年 | +63.54% |
2020年 | +22.52% |
2019年 | +62.82% |
※2022年2月時点
考えずに投資をしてしまいがちです。 しかし、「投資は出口戦略にあり」と言われるほど、
重要なテーマです。 ぜひこれを機会に投資の出口戦略を考えてみて
ください。 >>ここまで考えるのが本当の資産運用。多くの投資家が考えられていない投信運用の出口戦略とは
インデックスファンドとの利回り比較
インデックスファンドに投資をするのであれば、同じベンチマークを
採用している類似ファンドとのパフォーマンス比較は不可欠です。
iFreeレバレッジ S&P500と全く同じインデックスファンドは
ありませんので、今回はレバレッジが利いていないiFree S&P500
インデックスとパフォーマンスを比較してみました。
※引用:モーニングスター
直近では大きくiFreeレバレッジS&P500が上回っています。
ただ、3年間の間に、iFreeレバレッジ S&P500がiFreeS&P500
インデックスを下回ることも多く、レバレッジ型ファンド
ならではの変動幅の大きさがよくわかる結果です。
今のようにS&P500が上昇している局面では大きなリターンが
期待できるので、このまま保有を続けてもいいですが、S&P500
が下落する前に売り抜けなければ、結局大きな利益を得られずに
終わってしまいます。
ifreeレバSP500 | ifreeSP500 | |
1年 | +35.43% | +30.54% |
3年 | +34.06% | +22.10% |
5年 | – | – |
10年 | – | – |
※2022年2月時点
アクティブファンドとの利回り比較
iFreeレバレッジ S&P500への投資を検討するのであれば、
米国株に投資ができるアクティブファンドのパフォーマンス
とも比較をしておきましょう。
今回はS&P500の中から銘柄を絞り込んで運用しているアライアンス・
バーンスタインの米国成長株投信Bコースと比較をしました。
※引用:モーニングスター
3年間の間で、抜きつ抜かれつの関係です。
ただ、総じて、S&P500のほうがパフォーマンスで
上回っている期間が長いと言えます。
ifreeレバSP500 | 米国成長株投信 | |
1年 | +35.43% | +24.14% |
3年 | +34.06% | +24.82% |
5年 | – | +20.66% |
10年 | – | +21.83% |
※2022年2月時点
レバレッジ型ファンドの留意点
レバレッジ型ファンドに投資をするのであれば、あなたに
確実に覚えておいてほしいことがあります。
レバレッジ型のファンドでは必ず起きる事象ですが、レバ
レッジ型ファンドはあくまで1日の値動きが2倍になると
いうことです。
2日以上の期間で見ると、必ずしも2倍の値動きにはなりません。
実際に下図をみたほうが理解が早いでしょう。
3年間のトータルリターンはiFree S&P500インデックスと、
iFreeレバレッジ S&P500でほぼ同じとなっており、2倍
になっていません。
※引用:モーニングスター
とりあえず、イメージで理解をしてもらっておけばよいのですが、
具体的に数字でもこの差を説明することができます。
iFree S&P500 | iFree レバレッジ S&P500 | |
スタート価格 | 100円 | 100円 |
1日目 | 95円(▲5%) | 90円(▲10%) |
2日目 | 100円(+5.26%) | 99.468円(+10.52%) |
S&P500に連動するiFree S&P500が1日目に100円→95円に
下落したとすると、マイナス5%です。
次の日に100円に戻ったとすると、95円→100円なので、
+5.26%ということになります。
一方で、レバレッジ型ファンドの場合、S&P500の1日の
値動きの約2倍変動しますので、1日目は▲10%。
2日目は+10.52%上昇します。
これで、iFreeレバレッジS&P500のほうも100円に戻る
ような気がしてしまいますが、実際に計算すると、元の
水準にまで戻せません。
これは複利の影響によるところなのですが、レバレッジ
型ファンドの場合、S&P500が±0のパフォーマンスでも
マイナスの利回りになるということです。
これを下方圧力がかかっていると言いますが、つまりは
S&P500がある程度プラスの利回りで上昇していかなければ、
iFreeレバレッジS&P500はプラスの利回りで運用できない
ということです。
くれぐれも今までと同じ資金で2倍の利益が得られると
勘違いしないようにしてください。
最大下落率は?
投資を始めようとしている、もしくは始めたばかりの人が
気になるのが、最大どの程度、資産が下落する可能性がある
のかという点かと思います。
まだ設定来の期間が短いですが、2020年1月~3月からの
3カ月で37.74%下落しています。
2倍のレバレッジを効かせていますので、少なくとも通常の
株式ファンドの2倍は下落する可能性が十分にあり得ます。
経験がある人間から言わせると、レバレッジを効かせた
状態での下落は相当精神的に厳しいです。なので、あまり
大きな金額で投資をしないようにしてください。
期間 | 下落率 |
1カ月 | ▲24.95% |
3カ月 | ▲37.74% |
6カ月 | ▲26.31% |
12カ月 | ▲19.91% |
※2022年2月時点
評判はどう?
続いて、iFreeレバレッジ S&P500の評判を見てみます。
ネットでの書き込みなどで調べる方法もありますが、
評判を知るうえで一番役に立つのが、月次の資金流出入額
でしょう。
資金が流入しているということは多くの投資家がファンドを
購入しているということなので、評判がいいということになります。
iFreeレバレッジ S&P500は2020年に入ってから資金流入
が続いており、コロナショックで大きく下落したあとにも
かかわらず評判が良いようです。
S&P500が非常に好調なので、この結果は納得です。
※引用:モーニングスター
iFreeレバレッジ S&P500 の評価まとめと今後の見通し
iFreeレバレッジS&P500は通常のインデックスファンド
よりも値動きが大きく、投機的な投資が好きな投資家に
とっては、興味を惹かれる内容かもしれません。
しかし、前述したとおり、単純にS&P500の値動きの2倍の
推移をするわけではありません。
レバレッジ型のファンドというのは、下方圧力といって、
基準価額が下落する方向に力が働きますので、実際の
パフォーマンスを比較すると2倍以内に必ず収まります。
上昇相場にうまくのることができれば、レバレッジ型
ファンドも面白いかもしれませんが、そもそも相場を
予測すること自体が不可能に近いので、レバレッジ型
ファンドで利益を上げるのはなかなか難しいです。
今はS&P500が非常に好調なので、このまま波に乗る
ことができれば、利益を積み上げられますが、今後
必ず大きな下落がきます。
そのタイミングまでに売り抜けることができなければ、
結局、インデックスファンドでコツコツ運用を続けて
いたときよりもパフォーマンスが悪化する可能性が
高いです。
iFreeレバレッジS&P500はとにかくタイミングが命
ですので、下落しそうだと感じたときは、早め早めに
売却して、逃げましょう。
また、くれぐれもポートフォリオの大部分をレバレッジ
型ファンドに投資するようなギャンブルはしないで
ください。
当然ながら、弱点もあります。 今も私は投信運用を続けてはいますが、私がなぜ
投資信託の運用を主軸におかなくなったのか。 その理由をこちらで話をしています。 >>私が痛感する投資信託の限界。多くの投資家が見逃している投信運用の弱点