2016年にモーニングスターのファンドオブザイヤーを
受賞したグローバル・ロボティクス株式ファンド。
新規設定以来、非常に人気が高いテーマで、一時は5000億円
を超える規模にまで成長しました。
人口が減少していく社会において、労働力の補完として
間違いなく必要ですし、新興国の高成長に伴い労働コスト
が増大している分野への補完としても必要不可欠だと私も
考えています。
グローバル・ロボティクス株式ファンドは1年決算型と
年2回決算型がありますが、今日は1年決算型について
分析していきます。
「グローバル・ロボティクス株式ファンド(1年決算型)って持ってて大丈夫なの?」
「グローバル・ロボティクス株式ファンド(1年決算型)って投資対象としてどうなの?」
「グローバル・ロボティクス株式ファンド(1年決算型)より良いファンドってある?」
といったことでお悩みの方は、この記事を最後まで読めば、
悩みは解消すると思います。
グローバル・ロボティクス株式ファンド(1年決算型)の基本情報
投資対象は?
グローバル・ロボティクス株式ファンド(1年決算型)の投資
対象は、今後成長が期待されるロボティクス関連企業の株式
に投資をしていきます。
ここでいうロボティクス関連企業というのは、産業用、
サービスようなロボットだけでなく、ロボット関連技術で
あるAIやセンサーなどの開発に携わる企業も指しています。
現在は銘柄で56構成されており、組入構成比率は以下のよう
になっています。
アメリカが上位であることには何の疑いもありませんが、
日本の比率が30%超あるというのが特徴のひとつと言えます。
組入上位10銘柄では、キーエンス、ダイフク、ファナックなど、
有名な日本企業が名を連ねています。
※引用:マンスリーレポート
運用体制は?
グローバル・ロボティクス株式ファンド(1年決算型)の運用は、
実質ラザード・アセット・マネージメントが担当しています。
この会社は160年の歴史を誇る投資銀行であるラザード・
フレール&カンパニーの資産運用部門として1970年に設立
されており、
たぶん名前を聞いたことはないと思いますが、株式運用に
強みを持つ資産運用会社ということで世界的に有名な会社です。
ラザード社は株式運用の中でもアクティブ運用を得意としており、
同社が運用する米国籍株式アクティブファンドは264億米ドルと
海外でも多くの投資家の支持を集めているのも特徴です。
サラリーマン気質の抜けない無能な日本のファンドマネージャーより、
海外の第一線で運用を任されている運用チームのほうが信頼できますね。
純資産総額は?
続いて、純資産総額はどうなっているか見てみましょう。
純資産総額というのは、あなたを含めた投資家から集めた
資金の総額だと思ってください。
ファンドの純資産総額が小さいと、適切なタイミングで
銘柄を入れ替えることができなかったり、純資産総額が
大きく減少していると、ファンドの組み替えがうまくできず、
予期せぬマイナスを生む可能性がありますので、事前に
確認すべきポイントの1つです。
グローバル・ロボティクス株式ファンド(1年決算型)は、2015年
8月の設定以来、着実に純資産を増やし、一時期は5000億円を
越える規模にまで成長していました。
しかし2018年10月末以降は、パフォーマンスが優れないため、
資金が流出し、現在では約3000億円にとどまっています。
とは言っても、規模としてはかなり大きく、規模による
デメリットは考える必要はありません。
テーマ型ファンドは2~3年でダメになることも多いのですが、
まだロボティクスの分野は伸びしろがありますので、純資産額も
増えそうです。
※引用:マンスリーレポート
実質コストは?
私たちが支払うコストには、目論見書に記載の信託報酬
以外に、株式売買委託手数料や、保管費用、印刷費用など
が含まれています。
そのため、実際に支払うコストは、目論見書記載の額より
高くなるのが通例で、実際にかかる実質コストをもとに
投資判断をしなければなりません。
信託報酬を信用するな。知らないうちに差し引かれている実質コストの調べ方
グローバル・ロボティクス株式ファンド(1年決算型)の実質
コストは1.96%と前期よりは低くなったものの、未だかなり
高くなっています。何より販売手数料はぼったくり以外の
何物でもありません。
パフォーマンスが良くなければ、絶対に買ってはいけない
ファンドですね。
購入時手数料 | 3.85%(税込)※上限 |
信託報酬 | 1.936%(税込) |
信託財産留保額 | 0 |
実質コスト | 1.96%(概算値) |
※引用:最新運用報告書
と聞かれてあなたは何と答えますか?
もし『ファンド選び』だと思ったとしたら、あなたはドツボに
はまっていますので、こちらの記事を読んでみてください。
>>無料ファンド相談から見えた。多くの人が気づいていない投信運用で成果を阻む9つの誤り
グローバル・ロボティクス株式ファンド(1年決算型)の評価分析
基準価格の推移は?
グローバル・ロボティクス株式ファンド(1年決算型)の基準価額は、
2020年2月に17000円近くまで上昇していましたが、コロナ
ショックの影響で、25%近くの大暴落を起こしました。
しかし、その大暴落が全く気にならないほどに、その後急上昇
しており、すでに、20000円を突破する水準にまで上昇しています。
※引用:モーニングスター
利回りはどれくらい?
つづいて、グローバル・ロボティクス株式ファンド(1年決算型)の
運用実績を見てみましょう。
直近1年間の利回りは28.09%とかなり優れた成果を残しています。
3年平均、5年平均利回りも2桁プラスとなっており、安定して
プラスのリターンを維持できていることがわかります。
ちなみにあなたは実質利回りの計算方法はすでに理解していますか?
もし、理解していないのであれば、必ず理解しておいてください。
平均利回り | |
1年 | 28.09% |
3年 | 11.33% |
5年 | 13.79% |
10年 | – |
※2020年12月時点
10年間高いパフォーマンスを出し続けている優秀なファンド達も
参考にしてみてください。
10年間圧倒的に高いリターンを出している海外株式ファンドランキング
同カテゴリー内での利回りランキングは?
グローバル・ロボティクス株式ファンド(1年決算型)は、日本を含む
海外株式カテゴリーに属しています。
せっかく投資をするのであれば、同じカテゴリーの中でも優れた
成果を出しているファンドに投資をしたいものです。
グローバル・ロボティクス株式ファンド(1年決算型)はどの期間で
みても上位20%の運用ができており、かなり優秀な成果を出して
いることがここからもわかります。
上位●% | |
1年 | 20% |
3年 | 13% |
5年 | 3% |
10年 | – |
※2020年12月時点
年別のパフォーマンスは?
では、グローバル・ロボティクス株式ファンド(1年決算型)の
年別のパフォーマンスを見ていきます。
2018年は大きくマイナスとなってしまいましたが、それ以外の
年では非常に運用がうまくいっており、やはりロボティクスに
関する投資家の期待が見て取れますね。
テーマ型のファンドとしてはかなり優秀な部類に入るでしょう。
年間利回り | |
2020年 | +13.57%(1-9月) |
2019年 | +35.45% |
2018年 | ▲18.68% |
2017年 | +34.65% |
2016年 | +7.20% |
※2020年12月時点
考えずに投資をしてしまいがちです。 しかし、「投資は出口戦略にあり」と言われるほど、
重要なテーマです。 ぜひこれを機会に投資の出口戦略を考えてみて
ください。 >>ここまで考えるのが本当の資産運用。多くの投資家が考えられていない投信運用の出口戦略とは
インデックスファンドとのパフォーマンス比較
グローバル・ロボティクス株式ファンド(1年決算型)に投資を
するのであれば、より低コストのインデックスファンドと
パフォーマンスを比較しておきたいところです。
テーマ型ファンドなので単純に比較するのが難しいのですが、
グローバル株式ファンドなので、先進国株式の代表的な指標
であるeMAXIS Slim 先進国株式インデックスと比較してみました。
※引用:モーニングスター
コロナ前までは、eMAXIS Slim 先進国株式インデックスのほうが
上回っていましたが、コロナ以降は完全にパフォーマンスが逆転
しており、グローバル・ロボティクス株式ファンドのほうが上回って
います。
ロボティクス系の銘柄というのは良くも悪くもこのコロナ禍で
プラスに働いていますので、その恩恵を見事に受けた形です。
平均利回り | グロ・ロボ | slim 先進国 |
1年 | 28.09% | 9.15% |
3年 | 11.33% | 7.80% |
5年 | 13.79% | – |
10年 | – | – |
※2020年12月時点
アクティブファンドとのパフォーマンス比較
インデックスファンドへの投資もよいですが、アクティブファンド
の中にも非常に優れたファンドは存在します。
ですので、ファンドのパフォーマンス等を見ながら、比較検討する
のがおすすめです。
今回は先進国株式を投資対象にアクティブ運用している
大和住銀DC海外株式アクティブファンドを比較をしました。
※引用:モーニングスター
グローバル・ロボティクス株式ファンド(1年決算型)は優秀な
部類に入るファンドですが、比較をするとさらにその上を
いっているファンドもあります。
グローバル・ロボティクス株式ファンド(1年決算型)も良い
ですが、あくまでもテーマ型ファンドなので長期で積立を
するのであれば、大和住銀DC海外株式アクティブファンドも
検討してみてもよいと思います。
平均利回り | グロ・ロボ | 大和住銀DC |
1年 | 28.09% | 39.08% |
3年 | 11.33% | 18.61% |
5年 | 13.79% | 15.20% |
10年 | – | 16.62% |
※2020年12月時点
最大下落率はどれくらい?
投資するにあたって、最大どの程度下落する可能性がある
のか知っておくことは非常に重要です。
結局、多くの人が、大きな下落を経験すると、もうこれ
以上は損をしたくないと思い、基準価額が大きく下がった
タイミングで売却してしまうのです。
しかし、大きく下げたあとは、大きく戻るというのが基本
であり、事前にどの程度下落するかを知っておくことで、
一番下げきったところで売却してしまうことを避けること
ができます。
グローバル・ロボティクス株式ファンド(1年決算型)の最大
下落率は2018年に10~12月で19.23%下落したことがあります。
今回のコロナショックでは、それ以下の下落幅で収まって
いることからも、今回の暴落の影響は最小限に抑えたと
言っていいでしょう。
最大下落率を知ってしまうと、少し足が止まってしまう
かもしれません。
しかし、以下のことをしっかり理解しておけば、元本割れ
の可能性を限りなく低くすることが可能です。
期間 | 下落率 |
1カ月 | ▲12.30% |
3カ月 | ▲19.23% |
6カ月 | ▲13.24% |
12カ月 | ▲18.68% |
※2020年12月時点
評判はどう?
ネットでの書き込みなどで調べる方法もありますが、評判を
知るうえで一番役に立つのが、月次の資金流出入額でしょう。
資金が流入しているということは、それだけこのファンドを
購入している人が多いということなので、評判がいいという
ことです。
グローバル・ロボティクス株式ファンド(1年決算型)は2015年
の設定時は1000億円単位で資金が流入していましたが、
2018年1月以降は、流出超過が続いています。
パフォーマンスはかなり優れている部類に入りますが、
ここまで評判が悪くなる理由がよくわかりません。
※引用:モーニングスター
グローバル・ロボティクス株式ファンド(1年決算型)の今後の見通しと評価まとめ
あなたは第四次産業革命という言葉をご存じでしょうか?
世界の製造業では、ロボットやAI、IOTといった最新の技術を
駆使して、すべての工程を人の手を介さずに自働化するという
取り組みが活発に行われています。
近年ではRPAといって、定型業務の自働化が流行となっており、
製造業だけでなく、サービス業にも第四次産業革命の波が到達
していると私は思っています。
今回のコロナショックで、グローバル・ロボティクス株式
ファンドも最高値から20%以上の下落をしました。
しかし、それまでにしっかりと利益を上げていたので、下落
したとはいえ、長期で保有している人たちは含み益が出てい
ます。
プロに運用をお任せするということは、逆に言えば、こうい
った暴落相場でも見ているだけしかできません。だからこそ、
優秀なファンドマネジャーが運用しているファンドに投資を
していなければ怖くて見ていられないでしょう。
そして、コロナショックのような下落相場は今後も100%
訪れます。そのようなときに動揺して、売却してしまわない
ように、適切な資金管理のもと、ファンドに投資をしてい
ってください。
グローバル・ロボティクス株式ファンドは少なくとも先進
国株式ファンドよりも優れた結果を残しており、コストは
高くとも投資をする価値があると言えます。
またグローバル・ロボティクス株式ファンド以外にも優秀な
ファンドは数は少ないですが存在しています。
ぜひ大和住銀DC海外アクティブファンドのようなアクティブ
ファンドとも比較をしながら、投資先を検討すると面白いと
思います。
当然ながら、弱点もあります。 今も私は投信運用を続けてはいますが、私がなぜ
投資信託の運用を主軸におかなくなったのか。 その理由をこちらで話をしています。 >>なぜ私が投信運用に限界を感じたのか。多くの投資家が見逃している投信運用の弱点