毎月分配型のファンドというと、リートや債券ファンドが
多いですが、分配金の原資を配当で賄うという運用スタイル
の株式型ファンドもいくつか存在します。

その中でも圧倒的に多くの資金が集まっているのが、アジア・
オセアニア好配当成長株(毎月分配型)です。

一時期は純資産総額が1兆円に迫る勢いでしたので、いかに
注目を集めていたかがわかります。

今日は、アジア・オセアニア好配当成長株(毎月分配型)について
徹底分析していきます。

「アジア・オセアニア好配当成長株(毎月分配型)って投資対象としてどうなの?」

「アジア・オセアニア好配当成長株(毎月分配型)って持ってて大丈夫なの?」

「アジア・オセアニア好配当成長株(毎月分配型)より良いファンドってある?」

といったことでお悩みの方は、この記事を最後まで読めば、
悩みは解消すると思います。


アジア・オセアニア好配当成長株(毎月分配型)の基本情報

投資対象は?

アジア・オセアニア好配当成長株(毎月分配型)の投資対象は、
日本を除くアジア・オセアニア地域の株式です。

MSCIオール・カントリー・アジア・パシフィック指数採用国が
対象なのですが、どの国が対象かよくわからないと思いますので、
下に載せておきます。以下の13か国が現在の投資対象となっています。


※引用:交付目論見書

ただし、アジア・オセアニア好配当成長株(毎月分配型)の
実際の組入状況は以下のようになっており、香港が約45%、
オーストラリアが約15%、次いで韓国、台湾となっています。

均等にアジア・オセアニアの国に分散投資されているわけでは
ないので、注意してください。


※引用:マンスリーレポート

業種別の比率で見てみると、半導体の比率が最も高く次いで、
テクノロジー、銀行が続いています。


※引用:マンスリーレポート

つみたてNISAとiDeCoの対応状況は?

つみたてNISAやiDeCoで積立投資を検討している人も多いと
思います。

そこで、つみたてNISAやiDeCoの対応状況をまとめました。

つみたてNISA iDeCo
× ×

※2021年4月時点

純資産総額は?

純資産総額というのは、投資家から集めた資金の総額を
さしますが、必ず確認しておきたいポイントです。

純資産総額が少なければ、効率よく運用ができないため、コストが
嵩みますし、運用会社としても運用に力を入れないため、パフォー
マンスに影響が出てきます。

まさか知らない?絶対知っておきたい純資産総額のマメ知識

アジア・オセアニア好配当成長株(毎月分配型)の純資産総額は、
約1900億円となっており、かなり人気の高いファンドです。

一時期は9000億円ほどありましたが、毎月分配型ファンドへ
の風当たりが強くなっていることと、パフォーマンスも優れない
ことが要因と言えます。


※引用:マンスリーレポート

実質コストは?

投資信託には、販売時の手数料・信託報酬・信託財産保留金
以外にも費用がかかっているのをご存知でしょうか?

これを実質コストと言いますが、実質コストにはファンドの
銘柄を入れ替える際にかかる売買手数料や有価証券取引税、
監査費用や印刷費用が含まれます。

目論見書の信託報酬よりも実質コストがかなり割高になっている
ファンドもあるので、必ずチェックしたいポイントです。

信託報酬を信用するな。知らないうちに差し引かれている実質コストの調べ方

アジア・オセアニア好配当成長株(毎月分配型)の実質コストは
1.77%で、割高になっています。

購入時手数料も3.3%と高めの設定がされており、この程度の
パフォーマンスでは、そうそう投資したいと思えませんね。

投資信託の手数料は安ければ安いほどいいという勘違い

購入時手数料 3.3%(税込)
信託報酬 1.76%(税込)
信託財産留保額 0.3%
実質コスト 1.77%(概算値)

※引用:最新運用報告書

ファンドの運用で成果を出すために一番大事なことは何ですか?
と聞かれてあなたは何と答えますか?

もし『ファンド選び』だと思ったとしたら、あなたはドツボに
はまっていますので、こちらの記事を読んでみてください。

>>無料ファンド相談から見えた。多くの人が気づいていない投信運用で成果を阻む9つの誤り

アジア・オセアニア好配当成長株(毎月分配型)の評価分析

基準価額をどう見る?

アジア・オセアニア好配当成長株(毎月分配型)の基準価額は、
ここ3年間で25%ほど下落しています。

分配金を受け取らずに再投資した基準価額(青線)を見てみると、
こちらは20%ほど上昇していますので、無理な配当をしている
ことがわかります。

基準価額が1000円台となっていることからも、いかに過剰な
分配が継続してきたかがわかりますね。


※引用:モーニングスター

利回りはどれくらい?

それでは、アジア・オセアニア好配当成長株(毎月分配型)の
利回りはどうでしょうか?

直近1年間の利回りは56.33と大きくプラスとなっていますが、
これはコロナショックで大きく下落した後からの1年間なので、
あまり参考になりません。

3年、5年、10年平均利回りは年6%以上となっており、この数値
だけ見ると、優れた結果を残しているファンドのように見えます。

ただし、ここだけで判断せずに同カテゴリー内でも利回りが
高いのかは比較をするようにしてください。

ちなみにあなたは実質利回りの計算方法はすでに理解していますか?
もし、理解していないのであれば、必ず理解しておいてください。

これがわかっていないとマズイ。実質利回りの計算方法。

平均利回り
1年 +56.33%
3年 +6.55%
5年 +8.03%
10年 +6.92%

※2021年4月時点

10年間高いパフォーマンスを出し続けている優秀なファンド達も
参考にしてみてください。

10年間圧倒的に高いリターンを出している海外株式ファンドランキング

同カテゴリー内での利回りランキングは?

アジア・オセアニア好配当成長株(毎月分配型)はグローバル株式の
エマージングカテゴリーに属しています。

投資をするのであれば、同じカテゴリーでも優秀なパフォーマンス
のファンドに投資をすべきなので、同カテゴリー内でもパフォー
マンスのランキングは事前に調べておいて損はありません。

アジア・オセアニア好配当成長株(毎月分配型)は、10年平均利回り
以外は平均以下の順位となっており、全体的に見ても、平均程度
のパフォーマンスでしかないことがわかります。

つまり、アジア・オセアニア好配当成長株(毎月分配型)以外に
もっと高い利回りのファンドがあるということです。

上位●%
1年 66%
3年 52%
5年 60%
10年 39%

※2021年4月時点

年別の運用利回りは?

アジア・オセアニア好配当成長株(毎月分配型)の年別の
利回りを見てみると、2015年、2018年は10%超の
マイナスとなっています。

一方で、20%近くプラスとなっている年もあるので、
トータルで見ると、平均6%程度の利回りは確保できて
いるようです。

年間利回り
2021年 +15.02%(1-3月)
2020年 +3.19%
2019年 +14.68%
2018年 ▲16.88%
2017年 +19.66%
2016年 +3.74%
2015年 ▲13.12%
2014年 +19.63%

※2021年4月時点

投信運用は長期投資が前提なので、つい出口戦略を
考えずに投資をしてしまいがちです。

しかし、「投資は出口戦略にあり」と言われるほど、
重要なテーマです。

ぜひこれを機会に投資の出口戦略を考えてみて
ください。

>>ここまで考えるのが本当の資産運用。多くの投資家が考えられていない投信運用の出口戦略とは

類似ファンドとの利回り比較

アジア・オセアニア好配当成長株(毎月分配型)への投資を
検討するのであれば、類似ファンドとのパフォーマンス
比較はしておいて損はありません。。

アジア・オセアニア好配当成長株(毎月分配型)と類似した
ファンドがありませんでしたので、今回は世界中の
好配当株式に分散投資ができるピクテ グローバル・
インカム株式ファンド
とパフォーマンスを比較しました。


※引用:モーニングスター

直近3年間においては、一時期はパフォーマンスが逆転している
時期もありますが、ほとんどの期間でアジア・オセアニア好配当
成長株(毎月分配型)はパフォーマンスで劣っています。

やはり先進国の好配当株と比べると、アジアの好配当株は値動きが
大きくなりがちです。

一方で、5年、10年平均利回りで比較すると、アジア・オセアニア
好配当成長株(毎月分配型)が上回っています。

この結果だと、どちらが優れているのかは決めれないですね。

アジア・オセアニア好配当 グロイン
1年 +56.33% +18.55%
3年 +6.55% 8.55%
5年 +8.03% 4.63%
10年 +6.92% 6.24%

※2021年4月時点

最大下落率は?

投資を検討するうえで、最大どの程度下落する可能性があるのかは
事前にある程度把握しておきたいところです。

もちろん、標準偏差からある程度予測することはできますが、
実際にどれくらい下落したことがあるのか確認するのは参考になります。

アジア・オセアニア好配当成長株(毎月分配型)の最大下落率は、
2007年11月~2008年10月の1年間で、▲49.40%となっています。

毎月分配型でこれだけの下落をしてしまうと、分配金余力が一気に
減りますので、恐いですね。

最大下落率を知ってしまうと、少し足が止まってしまうかもしれません。
しかし、以下のことをしっかり理解しておけば、元本割れの可能性を
限りなく低くすることが可能です。

元本割れを回避するためにできるたったひとつのこととは?

期間 下落率
1カ月 ▲25.42%
3カ月 ▲38.96%
6カ月 ▲44.96%
12カ月 ▲49.40%

※2021年4月時点

分配健全度はどれくらい?

分配金を毎月受け取っていると、受け取っていることに安心
してしまい、自分の投資元本からの配当なのか、ファンドの
収益からの配当なのか調べなくなります。

そこで、分配金がファンドの収益からちゃんと支払われている
のかを調べるときに役立つのが分配健全度です。

分配健全度とは、1年間の分配金の合計額と基準価額の変動幅を
もとに、あなたが受け取った分配金の約何%がファンドの収益
によるものなのかを計算できる指標です。

基準価額の変動幅 1年間の分配合計額 分配健全度
401円 240円 267%

※2020/4/23~2021/4/22

アジア・オセアニア好配当成長株(毎月分配型)の直近1年間の
分配健全度は267%となっています。

分配健全度は100%を切ると、一部ファンドの収益以外から
分配金が支払われていることを意味しますが、0%を下回る
ということは、ファンドの収益からの支払いは一切ない
ということを意味します。

コロナショック後の1年は非常に好調だったこともあり、
分配金をすべてファンドの収益で賄うことができています。

この状態が続けばよいのですが、過去の傾向を見ると、
また分配健全度は100%をすぐに切ってくるでしょう。

分配金利回りはどれくらい?

毎月分配型のファンドに投資をしている場合、どれくらいの
分配金が受け取れるのかを知るために分配金利回りを参考
にします。

(分配金利回りは1年間に受け取った分配金の合計金額を
基準価額で割ることで算出できます。)

ただし、投資信託の場合、分配金利回りだけをみていると、
受け取っている分配金がファンドの収益から出ている
ものなのか、投資元本が削られているのか、判断できません。

そのため、ファンドの運用利回りと分配金利回りを比較して、
ファンドの運用利回りのほうが高ければ、あなたが受け取って
いる分配金がファンドの運用の収益から支払われていると
判断することができます。

アジア・オセアニア好配当成長株(毎月分配型)の分配金
利回りは約13%なので、かなり多くの分配金を受け取れます。

ただ、ファンドの運用利回りのほうが低いので、あなたが
受け取っている分配金の半分以上はあなたが投資した資金
が戻ってきているに過ぎないと判断できます。

未だ多くの投資家が勘違いをしながら、分配金利回りが
高いファンドに投資をしていますが、くれぐれも気を
つけてほしいと思います。

運用利回り 分配金利回り
1年 +56.33% 12.6%
3年 +6.55%
5年 +8.03%
10年 +6.92%

※2021年4月時点

分配金余力はどれくらい?

毎月分配型ファンドに投資をしている場合、もう1つ気になる
のが今後いつごろ、減配されそうかという点です。

そんなときに役立つのが分配金余力という考え方です。

分配金余力というのは、今の分配金の水準をあと何か月
続けられそうかを判断するための指標です。

明確にこの水準になったら減配されるという指標では
ありませんが、12カ月を切ったファンドはたいてい近々、
減配されることが多いです。

アジア・オセアニア好配当成長株(毎月分配型)の分配金
余力は55カ月ほどありますので、まだ余裕があります。

減配の可能性はまだ低いですが、根本的にタコ足配当が
続いているファンドであることには変わりありません。

ですので、分配金を受け取れているから安心ができる
というわけではないので、くれぐれも注意してください。

分配金 繰越対象額 分配金余力
168期 20円 1,262円 64.1カ月
169期 20円 1,243円 63.1カ月
170期 20円 1,225円 62.2カ月
171期 20円 1,205円 61.2カ月
172期 20円 1,188円 60.4カ月
173期 20円 1,168円 59.4カ月
174期 20円 1,149円 58.4カ月
175期 20円 1,138円 57.9カ月
176期 20円 1,128円 57.4カ月
177期 20円 1,110円 56.5カ月
178期 20円 1,092円 55.6カ月
179期 20円 1,074円 54.7カ月

※引用:最新運用報告書

評判はどう?

アジア・オセアニア好配当成長株(毎月分配型)の評判を確認する上で、
毎月の資金の流出入が役立ちます。

資金流入が多くなっていれば、人気が出てきているファンドである
とわかりますし、流出が続いているようであれば、評判が悪くなって
いるファンドと言えます。

それでは、アジア・オセアニア好配当成長株(毎月分配型)の評価は
どうでしょうか?

2016年以降は、毎月資金が流出しており、評判が悪くなっていること
がわかります。

パフォーマンスも優れてないので、当然といえば、当然の結果ですね。


※引用:モーニングスター

アジア・オセアニア好配当成長株(毎月分配型)の評価まとめと今後の見通し

いかがでしたでしょうか?

まず、毎月分配型の株式ファンドが少ないとはいえ、アジア・
オセアニア好配当成長株(毎月分配型)程度のパフォーマンスの
ファンドであれば、いくらでもあります

分配金利回りが高いので、投資をしている人もいると思いますが
先述のとおり、分配金が高くても運用利回りが高くなければ、
あなたの投資元本が戻ってきているだけですので、意味が
全くありません。

当面、分配金余力はまだありますので、すぐに減配には
ならないと思いますが、今後もタコ足配当は続くと思いますので、
基準価額の下落と分配金の減配は避けては通れないでしょう。

少なくともファンドのパフォーマンスがそこそこ優れて
いないとあなたの受け取る分配金がファンドの運用益
から支払われることはありませんので、くれぐれも
注意してください。

ファンドの運用がうまくいっている毎月分配型ファンド
へ投資をしたいということであれば、AB・米国成長株
投信Dコース
を検討すると良いと思います。

少なくとも、アジア・オセアニア好配当成長株(毎月分配型)
よりは間違いなく優れています。

最後に、投信運用には多くのメリットもありますが、
当然ながら、弱点もあります。

今も私は投信運用を続けてはいますが、私がなぜ
投資信託の運用を主軸におかなくなったのか。

その理由をこちらで話をしています。

>>なぜ私が投信運用に限界を感じたのか。多くの投資家が見逃している投信運用の弱点