ここ数年、なかなか良い結果が出ていない米国リートですが、未だ
根強い人気がある岡三アセットのワールド・リート・セレクション
(米国)『愛称:十二絵巻』。

十二絵巻は、毎月決算型と1年決算型、為替ヘッジあり/なしの
4種類がありますが、今日は、一番人気が高い毎月決算型の
為替ヘッジなしについて徹底分析していきます。

1年決算型を保有している、もしくは検討している人にも役立つように
書いていますので、参考にしてみてください。

「十二絵巻って投資対象としてどうなの?」

「十二絵巻って持ってて大丈夫なの?」

「十二絵巻より良いファンドってある?」

といったことでお悩みの方は、この記事を最後まで読めば、
悩みは解消すると思います。


ワールド・リート・セレクション(米国)『十二絵巻』の基本情報

投資対象は?

十二絵巻の投資対象は、USリート・マザーファンドはの投資を
通じて、米国のリートに投資していきます。

リートとは、投資家から集めた資金を不動産(オフィスビル、
賃貸マンション、ショッピングセンター、ホテル等)に投資し、
不動産から得た賃貸収入や売却益を投資家に分配する仕組みの商品です。


※引用:交付目論見書

組入銘柄数は33銘柄となっており、米国リートの銘柄数が約150銘柄
ですので、かなり絞り込んで運用していることがわかります。

細かく組入銘柄をみても、イメージがわかないと思いますので、
セクター別の構成比を見ていきましょう。

様々なセクターに満遍なく分散投資していることがわかります。
米国リート全体のポートフォリオとそこまで大きく変わっていませんね。


※引用:マンスリーレポート

つみたてNISAとiDeCoの対応状況は?

十二絵巻のつみたてNISAやiDeCoの対応状況を見ておきましょう。

残念ながら、両方とも対応していません。

つみたてNISA iDeCo
× ×

※2021年9月時点

純資産総額は?

続いて、純資産総額はどうなっているか見てみましょう。
純資産総額というのは、あなたを含めた投資家から集めた資金の
総額だと思ってください。

純資産総額が多いほうが、ファンドマネージャーが資金を
投資する際に有利であったり、他の投資家の解約の際の
影響が小さくなりますので、優れた投資信託と言えます。

投資信託の規模が小さくなると運用会社自体がその投資
信託に力を注がなくなりパフォーマンスが悪くなることも
ありますので注意が必要です。

まさか知らない?絶対知っておきたい純資産総額のマメ知識

十二絵巻は現在、416億円ほどあり、規模としては全く問題ありません。

毎月分配型ファンドに対する風当たりが強くなっていることと、
パフォーマンスが優れないため、資金の流出が続いていると
いった状況です。


※引用:マンスリーレポート

実質コストは?

私たちが支払うコストには、目論見書に記載の信託報酬以外に、
株式売買委託手数料や、保管費用、印刷費用などが含まれています。

そのため、実際に支払うコストは、目論見書記載の額より高くなるのが
通例で、実際にかかる実質コストをもとに投資判断をしなければなりません。

信託報酬を信用するな。知らないうちに差し引かれている実質コストの調べ方

十二絵巻の実質コストは1.78%となっています。購入時手数料と併せると、
初年度は5%以上取られますので、おすすめしづらいファンドです。

投資信託の手数料は安ければ安いほどいいという勘違い

購入時手数料 3.3%(税込)※上限
信託報酬 1.65%(税込)
信託財産留保額 0.3%
実質コスト 1.78%(概算値)

※引用:最新運用報告書

ファンドの運用で成果を出すために一番大事なことは何ですか?
と聞かれてあなたは何と答えますか?

もし『ファンド選び』だと思ったとしたら、あなたはドツボに
はまっていますので、こちらの記事を読んでみてください。

>>無料ファンド相談から見えた。多くの人が気づいていない投信運用で成果を阻む9つの誤り

ワールド・リート・セレクション(米国)『十二絵巻』の評価分析

基準価額をどう見る?

十二絵巻の基準価額は3年前と比較して、ほぼ変わらない
水準にあります。

分配金を受け取らずに運用した場合の基準価額(青線)は
直近3年間で50%ほど上昇していますので、運用自体は
うまく行っていることがわかりますね。

ただ、基準価額が2000円台ですので、いままでいかに無謀な
分配を続けてきたかがよくわかります。


※引用:モーニングスター

利回りはどれくらい?

十二絵巻の直近1年間の利回りは41.58%となっています。

5年平均だけ8%台ですが、3年平均と10年平均利回りは
10%を超えており、高いパフォーマンスとなっています。

ただ、この利回りだけを見て判断してはいけません。
類似ファンドとのパフォーマンスをしっかりと比較した
上で投資をするようにしてください。

ちなみにあなたは実質利回りの計算方法はすでに理解していますか?
もし、理解していないのであれば、必ず理解しておいてください。

これがわかっていないとマズイ。実質利回りの計算方法。

平均利回り
1年 +41.58%
3年 +11.94%
5年 +8.58%
10年 +12.56%

※2021年9月時点

10年間高いパフォーマンスを出し続けている優秀なファンド達も
参考にしてみてください。

10年間圧倒的に高いリターンを出している海外REIT ランキング

同カテゴリー内での利回りランキングは?

十二絵巻は、国際RIETの特定地域カテゴリーに属しています。

投資をするのであれば、同じカテゴリーでも優秀なパフォーマンス
のファンドに投資をすべきなので、同カテゴリー内でもパフォー
マンスのランキングは事前に調べておいて損はありません。

十二絵巻は、どの期間においても上位30%内にランクインして
おり、非常に優秀な成果を残しています。

上位●%
1年 21%
3年 8%
5年 18%
10年 30%

※2021年9月時点

年別のパフォーマンスは?

十二絵巻の年別のパフォーマンスは以下のようになっています。

思った以上にマイナスで終わっている年が多いですね。

投資家の方の中には、毎年安定してプラスのリターンを
出していると勘違いをしている人もいるのですが、実際は
このように良い年と悪い年があることを忘れないでください。

年間利回り
2021年 +30.07%(1-6月)
2020年 ▲11.72%
2019年 +24.81%
2018年 ▲8.32%
2017年 +1.74%
2016年 ▲3.84%
2015年 ▲0.90%
2014年 +47.44%

※2021年9月時点

投信運用は長期投資が前提なので、つい出口戦略を
考えずに投資をしてしまいがちです。

しかし、「投資は出口戦略にあり」と言われるほど、
重要なテーマです。

ぜひこれを機会に投資の出口戦略を考えてみて
ください。

>>ここまで考えるのが本当の資産運用。多くの投資家が考えられていない投信運用の出口戦略とは

インデックスファンドとの利回り比較

十二絵巻に投資をするのであれば、より低コストで
米国リートに投資ができるインデックスファンド
とパフォーマンスを比較しておいて損はありません。

今回は、S&P 米国RIET指数に連動するeMAXIS 米国リート
インデックスとパフォーマンスを比較しました。


※引用:モーニングスター

2019年ごろまではかなり拮抗していましたが、2019年後半から
十二絵巻が差をつけ始め、コロナショック以降は大きく差を
広げました。

やはりこういった急落相場では、アクティブファンドは銘柄を
自由に出し入れできるので、有利に働きますね。

これであれば少なくとも高いコストを支払って米国リートに
投資をする価値があると言えます。

十二絵巻 eMAIXS 米国リート
1年 +41.58% +41.94%
3年 +11.94% +8.96%
5年 +8.58% +7.21%
10年 +12.56%

※2021年9月時点

類似ファンドとの利回り比較

十二絵巻に投資をするのであれば、同じくアクティブファンドで、
米国リートに投資をしているファンドとパフォーマンスを
比較してからでも遅くありません。

今回は、十二絵巻と同じく、毎月分配型のダイワ・USリート・
オープン・Bコース
と比較をしました。


※引用:モーニングスター

直近3年間のパフォーマンスは、競ってはいますが、終始、
ダイワ・USリート・オープン・Bコースが勝っています。

もう少し長期のパフォーマンスでも比較をしてみても、ダイワ・
USリート・オープン・Bコース
のほうがパフォーマンスで上回っており、
これであれば、あえて十二絵巻に投資をするメリットはないでしょう。

十二絵巻 ダイワUS-REIT
1年 +41.58% +41.32%
3年 +11.94% +12.55%
5年 +8.58% +9.22%
10年 +12.56% +13.50%

※2021年9月時点

最大下落率はどれくらい?

投資するにあたって、最大どの程度下落する可能性があるのか
知っておくことは非常に重要です。

先に下落幅を知っておくことで、大きく下落したときも、
慌てて売らずに冷静な判断ができるようになります。

十二絵巻の最大下落率は、2008年4月~2009年3月で▲65.16%と
なっています。

リターンのわりに、下落したときのインパクトが大きすぎるので、
正直、保有したいと思えないです。

最大下落率を知ってしまうと、少し足が止まってしまうかもしれません。
しかし、以下のことをしっかり理解しておけば、元本割れの可能性を
限りなく低くすることが可能です。

元本割れを回避するためにできるたったひとつのこととは?

期間 下落率
1カ月 ▲37.07%
3カ月 ▲57.01%
6カ月 ▲64.68%
12カ月 ▲65.16%

※2021年9月時点

分配健全度はどれくらい?

分配金を毎月受け取っていると、受け取っていることに安心
してしまい、自分の投資元本からの配当なのか、ファンドの
収益からの配当なのか調べなくなります。

そこで、分配金がファンドの収益からちゃんと支払われている
のかを調べるときに役立つのが分配健全度です。

分配健全度とは、1年間の分配金の合計額と基準価額の変動幅を
もとに、あなたが受け取った分配金の約何%がファンドの収益
によるものなのかを計算できる指標です。

基準価額の変動幅 1年間の分配合計額 分配健全度
601円 150円 501%

※2020/9/25~2021/9/24

十二絵巻の直近1年間の分配健全度は501%となっています。

分配健全度は100%を切ると、一部ファンドの収益以外から
分配金が支払われていることを意味しますが、0%を下回る
ということは、ファンドの収益からの支払いは一切ない
ということを意味します。

100%を超えているということは、受け取った分配金以上に
ファンドが運用益を出しているということなので、まさに
理想の状態と言えます。

直近1年間はファンドの運用益から分配金をすべて支払う
ことができており、分配金利回りから考えると、今後も
ギリギリ運用益の範囲内で分配を出せる水準です。

分配金利回りはどれくらい?

毎月分配型のファンドに投資をしている場合、どれくらいの
分配金が受け取れるのかを知るために分配金利回りを参考
にします。

ただし、投資信託の場合、分配金利回りだけをみていると、
受け取っている分配金がファンドの収益から出ている
ものなのか、投資元本が削られているのか、判断できません。

そのため、ファンドの運用利回りと分配金利回りを比較して、
ファンドの運用利回りのほうが高ければ、あなたが受け取って
いる分配金がファンドの運用の収益から支払われていると
判断することができます。

十二絵巻の分配金利回りは7%と高めです。

ファンドの運用利回りを見てみると、10%程度で運用できている
期間もあるので、何とかファンドの収益で分配金を賄える水準
と言えます。

運用利回り 分配利回り
1年 +41.58% 7.0%
3年 +11.94%
5年 +8.58%
10年 +12.56%

※2021年9月時点

分配金余力はどれくらい?

毎月分配型ファンドに投資をしている場合、もう1つ気になる
のが今後いつごろ、減配されそうかという点です。

そんなときに役立つのが分配金余力という考え方です。

分配金余力というのは、今の分配金の水準をあと何か月
続けられそうかを判断するための指標です。

明確にこの水準になったら減配されるという指標では
ありませんが、12カ月を切ったファンドはたいてい近々、
減配されることが多いです。

十二絵巻の分配金余力は、22カ月を切っており、そろそろ
危険な水域に入ってきていました。

分配金 繰越対象額 分配金余力
199期 20円 371円 19.5カ月
200期 20円 352円 18.6カ月
201期 20円 334円 17.7カ月
202期 20円 319円 16.9カ月
203期 20円 301円 16.0カ月
204期 20円 281円 15.0カ月
205期 20円 269円 14.5カ月
206期 20円 251円 13.6カ月
207期 20円 231円 12.6カ月
208期 10円 226円 23.6カ月
209期 10円 219円 22.9カ月
210期 10円 211円 22.1カ月

※引用:最新運用報告書

評判はどう?

十二絵巻の評判はネットでの書き込みなどで調べる方法も
ありますが、評判を知るうえで一番役に立つのが、月次の
資金流出入額でしょう。

資金が流出しているということは、それだけこのファンドを
解約している人が多いということなので、評判が悪いという
ことです。

十二絵巻は、分配金が減額となった2017年末から資金流出超過
となっており、評判はよくないと言えます。

2019年以降、基準価額が下落したことで、分配金利回りが高くなった
ことで分配金目当ての投資家が集まってきていましたが、2021年に
減配したことで、また資金が流出超過に転じました。

評判はけしてよくないです。


※引用:モーニングスター

ワールド・リート・セレクション(米国)『十二絵巻』の評価まとめと今後の見通し

十二絵巻に期待できる利回りは中長期で見ても、年利で6~7%程度
だと思います。

そういう意味では、現在の十二絵巻の分配金利回りは7%前後ですので、
悪くない水準ではあります。

毎月分配金をもらえていると、自分のファンドがどのような状況
(タコ足配当)になっているのか気づくのに遅くなりがちです。

毎月分配型の投資信託は今でも年金変わりの手段として非常に人気が
ありますが、毎月年金のように配当金を受け取れるという表面的な
メリットだけにフォーカスしていてはいけません。

銘柄の選定においては、あなたが選んだ投資信託がしっかりと
利益を上げてくれなければ、意味がありません。

米国リートのインデックスファンドや他の米国RIETのアクティブ
ファンドに投資をするよりは、まだ良いですが、そもそも論として、
米国リートに投資をすべきなのかは検討したほうがよいと思います。

毎月分配金をもらいたいのであれば、他にもっとパフォーマンスが
優れたファンドがありますし、パフォーマンスにこだわるのであれば、
あえてリートでなくても構わないと思います。

最後に、投信運用には多くのメリットもありますが、
当然ながら、弱点もあります。

今も私は投信運用を続けてはいますが、私がなぜ
投資信託の運用を主軸におかなくなったのか。

その理由をこちらで話をしています。

>>私が痛感する投資信託の限界。多くの投資家が見逃している投信運用の弱点