モーニングスターのファンド・オブ・ザ・イヤー2015につづき、
2018でも優秀賞を受賞したグローバル・ヘルスケア&バイオ・
ファンド『健次』。
ヘルスケア・バイオといったまさに将来性がありそうな分野に特化した
ファンドですが、実際のところはどうなのでしょうか?
「健次って投資対象としてどうなの?」
「健次って持ってて大丈夫なの?」
「健次より良いファンドってある?」
といったことでお悩みの方は、この記事を最後まで読めば、
悩みは解消すると思います。
今日は、投資信託『健次』について徹底的に分析していきます。
グローバル・ヘルスケア&バイオ・ファンド『健次』の基本情報
投資対象は?
まず投資対象は、世界主要先進国市場のヘルスケア・バイオ関連企業の株式です。
主に、製薬、バイオテクノロジー、医療製品、医療・健康サービスの4分野に
分散投資をしていきます。
先進国を中心とした高齢化の進展や新興国の経済成長に伴う医療の発達により、
こういったテーマの株式は注目を集める可能性は高いですね。
※引用:交付目論見書
健次の国別の組入比率を見てみると、7割近くが米国株と
なっています。
※引用:マンスリーレポート
現在は71銘柄で構成されており、大半が医薬品メーカーです。
コロナ禍においては、こういった銘柄が組入られている健次
はかなり有利に働いたと思われます。
※引用:マンスリーレポート
運用の体制は?
株式の実質的な運用は、ウエリントン・マネージメント・カンパニー・
エルエルピーが行います。ウエリントンはヘルスケア部門では、世界
最大規模のファンドの運用を行っています
純資産総額は?
続いて、純資産総額はどうなっているか見てみましょう。
純資産総額というのは、あなたを含めた投資家から集めた資金の
総額だと思ってください。
ファンドの純資産総額が小さいと、適切なタイミングで銘柄を
入れ替えることができなかったり、純資産総額が大きく減少して
いると、ファンドの組み替えがうまくできず、予期せぬコスト増を
生む可能性がありますので、事前に確認すべきポイントの1つです。
グローバル・ヘルスケア&バイオ・ファンド『健次』は一時期
4000億円の規模のファンドでしたが、だんだん純資産が減少
しており、現在は約1400億円ほどです。
規模としては、全く心配必要ありません。
コロナショックで維持的に資金が流出しましたが、すでに、
元の水準近くにまで純資産総額は戻ってきています。
※マンスリーレポート
実質コストは?
私たちが支払うコストには、目論見書に記載の信託報酬以外に、
株式売買委託手数料や、保管費用、印刷費用などが含まれています。
そのため、実際に支払うコストは、目論見書記載の額より高くなるのが通例で、
実際にかかる実質コストをもとに投資判断をしなければなりません。
信託報酬を信用するな。知らないうちに差し引かれている実質コストの調べ方
グローバル・ヘルスケア&バイオ・ファンド『健次』の実質コストは
2.47%と異常に高くなっています。購入時手数料もかかることを考える
と、この時点で手を出してはいけないファンドですね。
購入時手数料 | 3.3%(税込)※上限 |
信託報酬 | 2.42%(税込) |
信託財産留保額 | 0.3% |
実質コスト | 2.48%(概算値) |
※引用:最新運用報告書
と聞かれてあなたは何と答えますか?
もし『ファンド選び』だと思ったとしたら、あなたはドツボに
はまっていますので、こちらの記事を読んでみてください。
>>無料ファンド相談から見えた。多くの人が気づいていない投信運用で成果を阻む9つの誤り
グローバル・ヘルスケア&バイオ・ファンド『健次』の評価分析
基準価額をどう見る?
健次の基準価額は2018年以降、大きく上下に変動しています。
コロナショックで一時的に20%以上、基準価額が下落しました
が、すでにコロナ前の水準にまで戻してきています。
やはり医薬品・医療といった分野の銘柄がコロナ禍で期待
されていることもあり、業種の恩恵を大きく受けていると
言えます。
※引用:モーニングスター
利回りはどれくらい?
続いて、グローバル・ヘルスケア&バイオ・ファンド『健次』の
利回りを見ていきます。
直近1年間の利回りは16.82%となっています。
半年前と比べると、平均利回りは大きく落ちましたが、
コロナの影響下でもしっかりとプラスのリターンを
維持できているのは評価できます。
ただ、医療・医薬品の銘柄は開発がうまくいくかどうかで、
株価に大きな影響が出るため、積極的に投資をしていく
には少しギャンブル要素が強いように感じます。
ちなみにあなたは実質利回りの計算方法はすでに理解していますか?
もし、理解していないのであれば、必ず理解しておいてください。
平均利回り | |
1年 | 16.82% |
3年 | 6.76% |
5年 | 2.31% |
10年 | 15.92% |
※2020年8月時点
10年間高いパフォーマンスを出し続けている優秀なファンド達も
参考にしてみてください。
10年間圧倒的に高いリターンを出している先進国株式ファンドランキング
同カテゴリー内での利回りランキングは?
健次は日本株を含むグローバル株式カテゴリーに属しています。
投資をするのであれば、同カテゴリーでも優秀なパフォ
ーマンスのファンドに投資をしたいと思うので、同カテゴリー
内でのパフォーマンスのランキングを調べました。
健次は、どの期間においても上位30%にランクインしており、
半年前と比べると、パフォーマンスが大きく改善傾向にある
ことがわかります。
これもやはりコロナ禍での医療・医薬品分野というのが、
かなり大きく作用しています。
上位●% | |
1年 | 20% |
3年 | 19% |
5年 | 28% |
10年 | 3% |
※2020年8月時点
年別のパフォーマンスは?
グローバル・ヘルスケア&バイオ・ファンド『健次』の年別のパフォ
ーマンスを見てみましょう。
2016年は他の株式ファンドがプラスだったにもかかわらず、二桁の
マイナスとなってしまっており、パフォーマンス悪化の一因となり
ました。
ただ、総じて悪くないパフォーマンスと言えます。
年間利回り | |
2020年 | 1.71%(1-6月) |
2019年 | 24.90% |
2018年 | ▲5.80% |
2017年 | 9.88% |
2016年 | ▲13.81% |
2015年 | 12.82% |
2014年 | 39.85% |
※2020年8月時点
考えずに投資をしてしまいがちです。 しかし、「投資は出口戦略にあり」と言われるほど、
重要なテーマです。 ぜひこれを機会に投資の出口戦略を考えてみて
ください。 >>まさか考えたことがない?運用が成功するか失敗するかすべてのカギを握る投信運用の出口戦略
インデックスファンドとのパフォーマンス比較
グローバル・ヘルスケア&バイオ・ファンド『健次』への投資を検討
するのであれば、少なくとも低コストのインデックスファンドよりは
パフォーマンスが優れていなければ投資する価値がありません。
健次は、米国株を中心に先進国株式に分散投資をしていることから、
先進国株式の人気ファンドであるニッセイ 外国株式インデックスと
パフォーマンスを比較しました。
※引用:モーニングスター
直近3年間のパフォーマンスはほぼニッセイ 外国株式インデックス
が勝っていますが、コロナショックで健次が一気に追いつきました。
急落相場では、下落要因に成りえる銘柄をはずし、上昇が期待できる
銘柄を機動的に組み入れることができるアクティブファンドの強みを
発揮していると言えます。
より長期でのパフォーマンスも比較をしてみましょう。
健次 | ニッセイ 外国株式 | |
1年 | 16.82% | 2.96% |
3年 | 6.76% | 6.20% |
5年 | 2.31% | 4.33% |
10年 | 15.92% |
※2020年8月時点
5年平均利回りはニッセイ外国株式インデックスに軍配が
あがっています。
ニッセイ外国株式インデックスの運用期間が10年もないため、
10年平均利回りは比較できませんが、MSCIコクサイに連動
する他のインデックスファンドと比較をすると、健次が
わずかに上回っています。
類似ファンドとのパフォーマンス比較
アクティブファンドに投資をするのであれば、他のアクティブ
ファンドとパフォーマンスを比較しておいて損はありません。
今回は、健次と同じように米国株を中心に先進国株式等に
分散投資をしているセゾン 資産形成の達人ファンドと
比較を行いました。
比較をしてみると、かなり拮抗していますが、コロナショック
後は健次がパフォーマンスで上回っています。
※引用:モーニングスター
5年平均利回りでは、資産形成の達人ファンドが勝っており、
10年平均利回りだと健次のほうが上回っています。
現状、この2ファンドの優劣をつけるのは難しいですね。
健次 | 資産形成の達人 | |
1年 | 16.82% | 4.57% |
3年 | 6.76% | 6.33% |
5年 | 2.31% | 5.38% |
10年 | 15.92% | 13.10% |
※2020年8月時点
最大下落率はどれくらい?
投資をするにあたって、気にあるのがどの程度下落するかでしょう。
標準偏差である程度は理解できるものの、やはり実際に下落したかは
気になります。
グローバル・ヘルスケア&バイオ・ファンド『健次』はリーマンショック
のタイミングで1年間で▲40.66%下落しました。
ファンドの運用においては、大きく下落することもありますが、
長期保有をすることでしっかりプラスのリターンが出ていますので、
くれぐれもパニック売りはしないようにしてください。
最大下落率を知ってしまうと、少し足が止まってしまうかもしれません。
しかし、以下のことをしっかり理解しておけば、元本割れの可能性を
限りなく低くすることが可能です。
期間 | 下落率 |
1カ月 | ▲19.04% |
3カ月 | ▲36.69% |
6カ月 | ▲35.78% |
12カ月 | ▲40.66% |
※2020年8月時点
分配金の推移は?
健次は年2回(2月、8月)の分配を行っています。
2018年に660円の分配がされましたが、2019年は再びゼロでした。
2020年も600円近い分配がされています。
分配金を受け取ると嬉しい気持ちになりますが、そもそも分配金を
期待して投資をするファンドではないので、分配金を目当てにする
のであれば投資をしてはいけません。
また、このブログでは何度も言っていますが、分配金は受け取らずに
再投資したほうが投資効率は確実に高くなります。
計算するとよくわかる!分配金を受け取ることによるデメリットとは?
分配金 | |
2020年 | 598円(1-6月) |
2019年 | 0円 |
2018年 | 660円 |
2017年 | 0円 |
2016年 | 0円 |
2015年 | 3,212円 |
積立NISAとiDeCoの対応状況は?
積立NISAやiDeCoで積立投資を検討している人も多いと
思います。
そこで、積立NISAやiDeCoの対応状況をまとめました。
積立NISA | iDeCo |
× | × |
※2020年8月時点
評判はどう?
ネットでの書き込みなどで調べる方法もありますが、評判を知るうえで
一番役に立つのが、月次の資金流出入額でしょう。
資金が流出しているということは、それだけこのファンドを解約している人が
多いということなので、評判が悪いということです。
グローバル・ヘルスケア&バイオ・ファンド『健次』は2016年以降、
毎月資金が流出しており、あまり評判はよくないようです。
2020年のコロナ以降は、医療・医薬品ファンドということもあり、
一部資金が流入してきています。
ただ、パフォーマンスがそこまで優れているわけでもないので、
この流入は長くは続かないでしょう。
※引用:モーニングスター
グローバル・ヘルスケア&バイオ・ファンド『健次』の評価まとめと今後の見通し
今後、世界的に高齢化が進む中で、医療費の増加はますます問題と
なってきます。また新興国でも経済成長により、所得水準の上昇と
人口増加により、医療費は増大します。
また遺伝子治療などバイオテクノロジーの進化により、今まで治療が
できなかった病気の治療といった広がりも期待できます。マーケットと
しては間違いなく伸びしろがある分野です。
ただ、製薬企業は特にそうですが、莫大な資金と時間を投じた研究開発が
うまく行かず中止となってしまったりすると、株価が大きく下落する要因に
なります。
年数%のリターンは今後も期待できますが、1桁後半のリターンを安定的に
得たいと思うのであれば、かなり難しいと思います。
また中長期のパフォーマンスで比較をするとニッセイ 外国株式インデックス
と勝ったり負けたりを繰り返しており、優劣はつけづらいです。
無難に選択をするのであれば、MSCIコクサイに連動する
インデックスファンドに投資をしておけば十分ですが、
少しでも高いリターンを追求したいということであれば、
セゾン 資産形成の達人ファンドを選択してもよいと思います。
当然ながら、弱点もあります。 今も私は投信運用を続けてはいますが、私がなぜ
投資信託の運用を主軸におかなくなったのか。 その理由をこちらで話をしています。 >>私が痛感する投資信託の限界。多くの投資家が見逃している投信運用の弱点