2020~2021年に大きな注目を集めたのが、NASDAQ100という値動きの大きな指数にレバレッジをかけたレバナスです。
レバナス人気にあやかって、各社がNASDAQ100に2倍のレバレッジをかけた投信を出し始めましたが、その先駆けとなったのが、大和投信のiFreeレバレッジNASDAQ100です。
名前のとおり、レバレッジが効いていますので、上にも下にも大きく変動するファンドですが、最近の下落相場を受けていったいどうなっているでしょうか。
今日は、iFreeレバレッジNASDAQ100について徹底的に分析したいと思います。
iFreeレバレッジ NASDAQ100の基本情報
投資対象は?
iFreeレバレッジNASDAQ100は、基準価額の値動きがNASDAQ100指数の値動きの2倍程度になるように運用されます。
NASDAQ100指数は、米国ナスダック市場上昇している時価総額の大きい非金融企業100社の株式で構成されています。
構成銘柄にはIT、バイオテクノロジー、医療など最先端技術やサービスを提供し、現代のアメリカを牽引する多様な企業で構成されています。
代表的な銘柄をいくつか挙げておくと、Google、Amazon、Apple、Facebookなど、主要なIT企業が名を連ねています。
そのNASDAQ100指数の値動きの2倍程度になるように運用されるのがiFreeレバレッジNASDAQ100です。
純資産総額は?
続いて、iFreeレバレッジNASDAQ100の純資産総額はどうなっているか見てみましょう。
純資産総額というのは、あなたを含めた投資家から集めた資金の総額だと思ってください。純資産総額が小さいと運用が効率的に行えず、余計なコストが発生したり、運用会社も運用に力を入れないため、パフォーマンスが優れないといったデメリットが発生します。
iFreeレバレッジNASDAQ100は2020年以降、急激に純資産を増やし、現在の純資産総額は約2350億円となっています。
iFreeレバレッジNASDAQ100のパフォーマンスに合わせて純資産が大きく増減していることからも、長期保有の原則を忘れて、相場の動きに合わせてうまく利益を掠めとろうとしている投資家が多いということですね。
※引用:マンスリーレポート
実質コストは?
私たちが支払うコストには、目論見書に記載の信託報酬以外に、株式売買委託手数料や、保管費用、印刷費用などが含まれています。
そのため、実際に支払うコストは、目論見書記載の額より高くなるのが通例で、実際にかかる実質コストをもとに投資判断をしなければなりません。
信託報酬を信用するな。知らないうちに差し引かれている実質コストの調べ方
iFreeレバレッジNASDAQ100の実質コストは、1.072%になっており、アクティブファンドの中では、比較的割安です。ただ、購入時手数料を2.2%取られるのは痛いですね。
購入時手数料 | 2.2%※上限 |
信託報酬 | 0.99%(税込) |
信託財産留保額 | 0 |
実質コスト | 1.072%(概算値) |
※引用;最新運用報告書
「ファンドの運用で成果を出すために一番大事なことは何ですか?」と聞かれてあなたは何と答えますか?
もし『ファンド選び』だと思ったとしたら、あなたはドツボに
はまっていますので、こちらの記事を読んでみてください。
iFreeレバレッジ NASDAQ100の評価分析
基準価額をどう見る?
iFreeレバレッジNASDAQ100の基準価額は、2022年に50%以上下落しており、その後、回復してきてはいますが、2021年の高値を更新できていません。
レバレッジがかかっているファンドは、大きく下落すると、なかなか元の水準まで回復することができないので、目先の利益につられて、迂闊に手を出さないようにしましょう。
※引用:ウエルスアドバイザー
利回りはどう?
つづいて、iFreeレバレッジNASDAQ100の運用実績を見てみましょう。
直近1年間の利回りは32.93%とかなり高い利回りになっていますが、3年平均利回りは6%ということで、かなり値動きのあるファンドであることが数値からもわかります。
とにかく上下に大きく下落するので、ただ儲けたい一心で大きな金額で投資をするのはくれぐれもやめてください。
ちなみにあなたは実質利回りの計算方法はすでに理解していますか?もし、理解していないのであれば、必ず理解しておいてください。
平均利回り | |
1年 | 32.93% |
3年 | 6.66% |
5年 | - |
10年 | - |
※2023年10月時点
同カテゴリー内での利回りランキングは?
iFreeレバレッジNASDAQ100は株式ブル型カテゴリーに属しています。
同カテゴリー内でのランキングを見ることで、iFreeレバレッジNASDAQ100が優れたファンドなのか比較をできるので、必ずチェックしてください。
このカテゴリー内でのランキングを確認すると、平均以下のパフォーマンスとなっています。
レバレッジの効いたファンドは一時的にランキングが高くなることもあるのですが、一度大きな下落相場が来ると、一瞬で最下位レベルまで落ちますので、注意してください。
上位●% | |
1年 | 50% |
3年 | 85% |
5年 | - |
10年 | - |
※2023年10月時点
年別のパフォーマンスは?
つづいて、iFreeレバレッジNASDAQ100の年別のパフォーマンスを見てみましょう。
2019年、2020年、2021年と異常なパフォーマンスとなっています。ただ、その反動で、2022年は大暴落しています。
初期から投資していた人はまだ利益が出ていますが、2020年、2021年から参戦した人は軒並み含み損を抱えていると思います。
目先の利益につられて投資をしても良いことはないということです。
年間利回り | |
2023年 | +57.37%(1-9月) |
2022年 | ▲62.15% |
2021年 | +57.81% |
2020年 | +91.36% |
2019年 | +81.90% |
※2023年10月時点
投信運用は長期投資が前提なので、つい出口戦略を考えずに投資をしてしまいがちです。
しかし、「投資は出口戦略にあり」と言われるほど、重要なテーマです。ぜひこれを機会に投資の出口戦略を考えてみてください。
>>ここまで考えるのが本当の資産運用。多くの投資家が考えられていない投信運用の出口戦略とはインデックスファンドとのパフォーマンスの差は?
iFreeレバレッジNASDAQ100に投資をするのであれば、より低コストで投資ができるインデックスファンドよりもパフォーマンスが優れていなければ、投資をする価値がありません。
iFreeレバレッジNASDAQ100は米国株に100%投資をしているので、今回はレバレッジを効かせていないiFreeNEXT NASDAQ100インデックスとiFree S&P500インデックスと比較をしました。
※引用:ウエルスアドバイザー
2022年前半までは、iFreeレバレッジNASDAQ100の圧勝でしたが、2022年の中盤以降は、他の2ファンドに大きな差をつけられてしまっています。いかにレバレッジ型のファンドの値動きが大きいかこのグラフを見るとよくわかりますね。
とにかく下落相場が来ると、iFreeレバレッジNASDAQ100は暴落するので、普通の人はメンタルが耐えらず、下落したところで売却してしまいます。
最低でも余剰資金で投資をするべきであり、個人的にはあまり欲張らずiFreeNEXT NASDAQ100インデックスに投資をするほうが良いと思います。
アクティブファンドとのパフォーマンス比較
iFreeレバレッジNASDAQ100への投資を検討するのであれば、同じように米国株に投資ができるアクティブファンドと比較をしておいても損はありません。
今回は、米国株を絞り込みアクティブ運用しているアライアンス・バーンスタインの米国成長株投信Bコースと比較をしてみました。
※引用:モーニングスター
こちらも同じく、2022年の前半まではiFreeレバレッジNASDAQ100が圧勝でしたが、それ以降は米国成長株投信Bコースが逆転しています。
米国成長株投信でも十分にパフォーマンスは優れているので、こういったファンドに投資をすれば十分です。
年平均利回り | レバNASDAQ100 | 米国成長株投信 |
1年 | 32.93% | 23.80% |
3年 | 6.66% | 17.76% |
5年 | - | 18.04% |
10年 | - | 19.10% |
※2023年10月時点
最大下落率は?
投資を始めようとしている、もしくは始めたばかりの人が気になるのが、最大どの程度、資産が下落する可能性があるのかという点かと思います。
どの程度下落するのかを知っておくことで、急落相場に遭遇しても、精神的に余裕を持って投資を続けられます。
標準偏差からある程度の変動範囲を予測することもできますが、過去に実際にどの程度下落したのかを確認するのがおすすめです。
それでは、iFreeレバレッジNASDAQ100の最大下落率を調べてみましょう。
期間 | 下落率 |
1カ月 | ▲26.16% |
3カ月 | ▲41.99% |
6カ月 | ▲52.79% |
12カ月 | ▲62.15% |
※2023年10月時点
iFreeレバレッジNASDAQ100の最大下落率は2022年01月~2022年12月の1年間で最大62.15%下落しています。
50%以上下落すると、回復するまでに相当の時間を要しますが、iFreeレバレッジNASDAQ100の場合、こういった下落が日常茶飯事に起こりますので、あまり気軽に考えて投資をしないでください。
評判はどう?
続いて、iFreeレバレッジNASDAQ100の評判を見てみましょう。ネットでの書き込みなどで調べる方法もありますが、評判を知るうえで一番役に立つのが、月次の資金流出入額でしょう。
資金が流入しているということは多くの投資家がファンドを購入しているということなので、評判がいいということになります。
驚くべきことにこれだけ上下に変動の大きいiFreeレバレッジNASDAQ100ですが、毎月資金が流入しており、評判は悪くありません。
大きく下落している今だからこそ逆に買い場と思って投資をしている人が増えているということでしょうか。
※引用:ウエルスアドバイザー
NISAとiDeCoの対応状況は?
iFreeレバレッジNASDAQ100のNISAとiDeCoの対応状況ですが、NISAは対応しています。
ハイリスク・ハイリターンの投資信託ですので、NISAでうまく運用ができれば、かなりの金額の税金を取られなくて済みますね。
NISA | iDeCo |
〇 | マネックス証券、SMBC日興証券 |
※2023年10月時点
iFreeレバレッジ NASDAQ100の評価まとめと今後の見通し
2020~2021年のiFreeレバレッジNASDAQ100のパフォーマンスには正直文句のつけようがありませんでした。
しかし、2022年の下落を見ればわかる通り、大きく上昇しやすいファンドは大きく下落もしやすいです。一見すると、レバレッジのかかっていないファンドよりも利益が出そうな気がしてしまいますが、実際はそうでもありません。
上昇している局面では「ほら見たことか」と保有している人は思うわけですが、いざ急落が始まると皆あたふたして我先にと逃げていきます。
米国株市場が今後も堅調に右肩上がりに上昇していくのであれば、iFreeレバレッジNASDAQ100への投資は有効ですが、次に示すように、レンジ相場を形成するだけだと、iFreeレバレッジNASDAQ100は下落していきます。
つまり、iFreeレバレッジNASDAQ100で利益を出すためにはiFreeレバレッジNASDAQ100が上昇しない限り、損をすることになります。
ハイリスクな投資で勝負をしたいという人は、余剰資金の一部を投資をしてもよいかと思いますが、iFreeレバレッジNASDAQ100はどちらかというとギャンブラー向きのファンドです。
堅実に利益を積み上げていきたいという投資家は、くれぐれも、iFreeレバレッジNASDAQ100には投資をしないようにしてください。
最後に、投信運用には多くのメリットもありますが、当然ながら、弱点もあります。
今も私は投信運用を続けてはいますが、私がなぜ投資信託の運用を主軸におかなくなったのか。その理由をこちらで話をしています。
>>私が痛感する投資信託の限界。多くの投資家が見逃している投信運用の弱点