誰しも自分が買った株の価格が10倍以上になることを
夢見るもの。
そんな投資家の気持ちを見抜いて、新規設定されたのが、
フィデリティ・世界割安成株投信『テンバガー・ハンター』です。
※テンバガーとは将来10倍以上に株価が上がると期待される銘柄のことです。
ただ、中身を見ると、テンバガーを狙っているはファンドの
ごく一部のようなので、注意が必要です。
テンバガー・ハンターには為替ヘッジ有のAコースと
為替ヘッジ無のBコースがありますが、今日はより人気が
高いBコースを分析していきます。
フィデリティ・世界割安成長株投信『テンバガー・ハンター』の基本情報
投資対象は?
テンバガー・ハンター Bコースの投資対象は成長力が高い
にもかかわらず、割安と判断されている世界の株式です。
大きくコア銘柄とニッチ銘柄に分類し、ニッチ銘柄で、
将来10倍以上に化けるか株式に投資をしていくようです。
ただ気になるのは、組入銘柄が非常に多く、仮にいくつかの
銘柄が10倍以上になったとしても、そこまでファンド全体には、
影響がないように思います。
※引用:交付目論見書
テンバガー・ハンター Bコースの国別の構成比を見てみると、
アメリカが約50%、次いで日本、イギリスとなっています。
組入銘柄数が400超ですので、かなり分散されて
いますね。
私からすると、もっと銘柄を絞り込んで、運用を
してほしいというのが正直なところです。
※引用:マンスリーレポート
コロナ禍だからかもしれませんが、アンセム、アレクション、
アムジェン、ギリアドなど、ヘルスケア系の企業が上位に
多く組み入れられています。
※引用:マンスリーレポート
純資産総額は?
続いて、テンバガー・ハンター Bコースの純資産総額は
どうなっているか見てみましょう。
純資産総額というのは、あなたを含めた投資家から
集めた資金の総額だと思ってください。
ファンドの純資産総額が小さいと、適切なタイミングで
銘柄を入れ替えることができず、予期せぬマイナスを
生むことがあります。
また、相対的にコストが高くなるので、実質コストが
高くなる傾向があります。
そのため、事前に確認すべきポイントの1つです。
テンバガー・ハンター Bコース現在は300億円程度で、
規模としては問題ありません。
※引用:マンスリーレポート
実質コストは?
私たちが支払うコストには、目論見書に記載の信託報酬
以外に、株式売買委託手数料や、保管費用、印刷費用など
が含まれています。
そのため、実際に支払うコストは、目論見書記載の額より
高くなるのが通例で、実際にかかる実質コストをもとに
投資判断をしなければなりません。
信託報酬を信用するな。知らないうちに差し引かれている実質コストの調べ方
テンバガー・ハンター Bコースは購入時手数料がしっかり
3.3%取られますので、この時点で評価が下がりますが、
信託報酬も割高で投資家としては厳しいですね。
購入時手数料 | 3.3%(税込)※上限 |
信託報酬 | 1.65%(税込) |
信託財産留保額 | 0 |
実質コスト | 不明 |
※引用:最新運用報告書
フィデリティ・世界割安成長株投信『テンバガー・ハンター』の評価分析
基準価格の推移は?
テンバガー・ハンター Bコースはコロナショックで株価が
急落した直後に設定されたこともあり、パフォーマンスは
かなり高く表示されます。
すでに40%近く値上がりしていますが、あとからしっかりと
他のファンドと比較しなければ、何とも評価しがたいですね。
※引用:モーニングスター
期待利回りはどれくらい?
テンバガー・ハンター Bコースの期待利回りを調べる上で
役に立つのが、テンバガー・ハンター の同じ運用担当者、
運用戦略に基づいて、運用されているファンドのパフォー
マンスです。
以下のようにグローバル株式ファンドと比べると、30年間
で約43倍になっています。
もちろん、そのまま信じて良い数字ではありませんが、
何もないよりは参考になる数値でしょう。
インデックスファンドとのパフォーマンス比較
テンバガー・ハンター Bコースに投資をするのであれば、
より低コストのインデックスファンドとパフォーマンス
を比較しておきたいところです。
テンバガー・ハンター Bコースは米国が中心で、世界の
株式に分散投資ができることから、
今回は、私が良く紹介するeMAXIS Slim 全世界株式(オール
カントリー)と比較をしてみました。
※引用:モーニングスター
コロナショック以降は大きくUSA360がパフォーマンスで
上回っています。
まだ1年も経っていないので、期間が物足りないですが、
測定できる期で比較をすると、テンバガー・ハンター Bコース
のほうが優れています。
アクティブファンドとのパフォーマンス比較
テンバガー・ハンター Bコースに投資をするのであれば、
類似のアクティブファンドとパフォーマンスを比較して
からでも遅くはありません。
今回はS&P500の中から優れた銘柄を絞り込んで運用して
いるアライアンス・バーンスタインの米国成長株投信Bコースと
パフォーマンスを比較しました。
2020年6月以降は米国成長株投信Bコースのほうが優れて
います。
ただ、やはりもう少し長い期間でファンドを比較したい
ですね。
※引用:モーニングスター
評判はどう?
続いて、テンバガー・ハンター Bコースの評判を見てみましょう。
ネットでの書き込みなどで調べる方法もありますが、
評判を知るうえで一番役に立つのが、月次の資金流出入額です。
資金が流入しているということは多くの投資家がファンドを
購入しているということなので、評判がいいということに
なります。
テンバガー・ハンター Bコースはまだ期間があまりたって
いませんが、毎月資金が流入超過になっています。
やはり名前にインパクトがるので、気になって投資を
する人が多かったのでしょう。
ただ、現時点では正直、インデックスファンドよりも
勝るとは言えず、もう少し運用してからのほうが判断
しやすいでしょう。
※引用:モーニングスター
為替ヘッジ有と無はどちらがいい?
テンバガー・ハンター Bコースに投資をする上で、
為替ヘッジ有のAコースか無のBコースかで悩む人も
いるかもしれません。
為替ヘッジ有にすればわずかなコストを支払うことで、
為替による影響を受けなくなります。
今後、円高に進むのであれば、為替ヘッジをしておいた
ほうが良いですし、円安に進むのであればヘッジ無を
選択したほうが良いことになります。
ただ、結局為替の将来を予測するなど不可能に近いです。
なのであれば、どうしても為替リスクを取りたくない、
と言う人はヘッジ有を選択し、そこまでこだわりがない
と言う人はヘッジ無しを選択すれば十分です。
積立NISAとiDeCoの対応状況は?
テンバガー・ハンター Bコースの積立NISAとiDeCoの
対応状況を確認しておきましょう。
残念ながらどちらも対応していません。
積立NISA | iDeCo |
× | × |
※2020年7月時点
フィデリティ・世界割安成長株投信『テンバガー・ハンター』の評価まとめと今後の見通し
まだ運用期間が半年程度なので、良いか悪いかは判断が
できません。
現時点ではインデックスファンドとも他のアクティブ
ファンドとも負けず劣らずのファンドであると言った
ところでしょうか。
ただ、テンバガー・ハンター と名前を付けた割に
堅実な運用がされています。
そのため、さきほどの期待リターンのシミュレーション
のように大きく増えていくのか少し疑問が残ります。
少なくとも現時点ではまだ投資をせずに様子見するのが
一番です。
考えずに投資をしてしまいがちです。 しかし、「投資は出口戦略にあり」と言われるほど、
重要なテーマです。 ぜひこれを機会に投資の出口戦略を考えてみて
ください。 >>ここまで考えるのが本当の資産運用。多くの投資家が考えられていない投信運用の出口戦略とは
当然ながら、弱点もあります。 今も私は投信運用を続けてはいますが、私がなぜ
投資信託の運用を主軸におかなくなったのか。 その理由をこちらで話をしています。 >>なぜ私が投信運用に限界を感じたのか。多くの投資家が見逃している投信運用の弱点