誰しも自分が買った株の価格が10倍以上になることを夢見るもの。そんな投資家の気持ちを見抜いて、新規設定されたのが、フィデリティ・世界割安成株投信『テンバガー・ハンター』です。

※テンバガーとは将来10倍以上に株価が上がると期待される銘柄のことです。

ただ、中身を見ると、テンバガーを狙っているはファンドのごく一部のようなので、注意が必要です。

テンバガー・ハンターには為替ヘッジ有のAコースと為替ヘッジ無のBコースがありますが、今日はより人気が高いBコースを分析していきます。


フィデリティ・世界割安成長株投信『テンバガー・ハンター』の基本情報

投資対象は?

テンバガー・ハンター Bコースの投資対象は成長力が高いにもかかわらず、割安と判断されている世界の株式です。

大きくコア銘柄とニッチ銘柄に分類し、ニッチ銘柄で、将来10倍以上に化けるか株式に投資をしていくようです。

ただ気になるのは、組入銘柄が非常に多く、仮にいくつかの銘柄が10倍以上になったとしても、そこまでファンド全体には、影響がないように思います。

※引用:交付目論見書

テンバガー・ハンター Bコースの国別の構成比を見てみると、アメリカが約50%、次いで日本、イギリスとなっています。

組入銘柄数が420ですので、かなり分散されており、正直1銘柄が10倍以上になったところで、大して基準価額が上昇しないようなポートフォリオになってしまっています。

私からすると、もっと銘柄を絞り込んで、運用をしないと面白みに欠けると思います。


※引用:マンスリーレポート

組入れ銘柄上位は以下のようになっています。私も聞いたことがない銘柄が半分くらいありますね。


※引用:マンスリーレポート

つみたてNISAとiDeCoの対応状況は?

テンバガー・ハンター BコースのつみたてNISAとiDeCoの対応状況ですが、残念ながらどちらも対応していません。

つみたてNISA iDeCo
× ×

※2022年10月時点

純資産総額は?

続いて、テンバガー・ハンター Bコースの純資産総額はどうなっているか見てみましょう。

純資産総額というのは、あなたを含めた投資家から集めた資金の総額だと思ってください。ファンドの純資産総額が小さいと、適切なタイミングで銘柄を入れ替えることができず、予期せぬマイナスを生むことがあります。

また、相対的にコストが高くなるので、実質コストが高くなる傾向があります。そのため、事前に確認すべきポイントの1つです。

まさか知らない?絶対知っておきたい純資産総額のマメ知識

テンバガー・ハンター Bコース現在は3400億円程度で、非常に人気のファンドとなっています。テンバガーに投資をするという耳障りの良い言葉が並んでいますので、その影響もありそうですね。


※引用:マンスリーレポート

実質コストは?

私たちが支払うコストには、目論見書に記載の信託報酬以外に、株式売買委託手数料や、保管費用、印刷費用などが含まれています。

そのため、実際に支払うコストは、目論見書記載の額より高くなるのが通例で、実際にかかる実質コストをもとに投資判断をしなければなりません。

信託報酬を信用するな。知らないうちに差し引かれている実質コストの調べ方

テンバガー・ハンター Bコースは購入時手数料がしっかり3.3%取られますので、この時点で評価が下がりますが、信託報酬も割高で投資家としては厳しいです。

投資信託の手数料は安ければ安いほどいいという勘違い

購入時手数料 3.3%(税込)※上限
信託報酬 1.65%(税込)
信託財産留保額 0
実質コスト 1.89%(概算値)

※引用:最新運用報告書

フィデリティ・世界割安成長株投信『テンバガー・ハンター』の評価分析

基準価格の推移は?

テンバガー・ハンター Bコースはコロナショックで株価が急落した直後に設定されたこともあり、パフォーマンスはかなり高くなっています。

2022年以降も安定して上昇しており、運用が好調だとわかります。


※引用:モーニングスター

利回りはどれくらい?

続いて、テンバガー・ハンター Bコースの利回りを見ていきます。

直近1年間の利回りは+3.48%となっています。この利回りだけを見ても良いのか悪いのか判断がつかないと思うので、しっかり他のファンドとパフォーマンスを比較してから投資をするようにしてください。

ちなみにあなたは実質利回りの計算方法はすでに理解していますか?もし、理解していないのであれば、必ず理解しておいてください。

これがわかっていないとマズイ。実質利回りの計算方法。

平均利回り
1年 +3.48%
3年
5年
10年

※2022年10月時点

10年間高いパフォーマンスを出し続けている優秀なファンド達も参考にしてみてください。

10年間圧倒的に高いリターンを出している先進国株式ファンドランキング

同カテゴリー内での利回りランキングは?

せっかく投資をするのであれば、同じカテゴリー内でも、優れたファンドに投資をするべきです。

テンバガー・ハンター Bコースは日本株を含むグローバル株式カテゴリーに属しています。

このカテゴリー内でのランキングを確認すると、上位30%程度にランクインしており、優秀な運用がされていることがわかります。

上位●%
1年 28%
3年
5年
10年

※2022年10月時点

年別のパフォーマンスは?

テンバガー・ハンター Bコースの年別のパフォーマンスを見てみましょう。

期間が短いので、ここはサッと流してしまいましょう。

年間利回り
2022年 ▲1.32%
2021年 +36.06%

※2022年10月時点

投信運用は長期投資が前提なので、つい出口戦略を考えずに投資をしてしまいがちです。

しかし、「投資は出口戦略にあり」と言われるほど、重要なテーマです。ぜひこれを機会に投資の出口戦略を考えてみてください。

>>ここまで考えるのが本当の資産運用。多くの投資家が考えられていない投信運用の出口戦略とは

インデックスファンドとのパフォーマンス比較

テンバガー・ハンター Bコースへの投資を検討するのであれば、少なくとも低コストのインデックスファンドよりは、パフォーマンスが優れていなければ投資する価値がありません。

テンバガー・ハンター Bコースは、米国を中心に世界中の株式に、分散投資をしていますので、同じく世界の株式に投資ができるeMAXIS Slim 全世界株式(オールカントリー)と比較をしました。


※引用:モーニングスター

ほぼ全期間において、テンバガー・ハンター Bコースがパフォーマンスで上回っていることが分かります。

この結果を見れば、高いコストを支払ってでも投資をする価値があるように見えますが、少し運用期間がまだ短い点だけ気になりますね。

テンバガーハンター Slim 全世界株式
1年 +3.48% +3.04%
3年 +14.91%
5年
10年

※2022年10月時点

類似ファンドとのパフォーマンス比較

アクティブファンドに投資をするのであれば、他のアクティブファンドとパフォーマンスを比較しておいて損はありません。

今回は、テンバガー・ハンター Bコースと同じように米国を中心に世界の株式に分散投資をしているセゾン 資産形成の達人ファンドと比較を行いました。


※引用:モーニングスター

この比較でも、テンバガー・ハンター Bコースは2021年に入ってから大きく差を広げています。

現時点で言えば、かなり優秀なファンドであることはわかりますが、やはりもう少し長期のパフォーマンスで比較をしたいですね。

テンバガーハンター 資産形成の達人
1年 +3.48% ▲4.07%
3年 +12.02%
5年 +8.65%
10年 +14.88%

※2022年10月時点

最大下落率はどれくらい?

投資をするにあたって、気にあるのがどの程度下落するかでしょう。標準偏差である程度は理解できるものの、やはり実際に下落したかを調べることで、心構えができます。

それでは、テンバガー・ハンター Bコースの最大下落率を見ていきましょう。

期間 下落率
1カ月 5.43%
3カ月 ▲4.05%
6カ月 5.01%
12カ月 +3.48%

※2022年10月時点

テンバガー・ハンター Bコースはコロナショック以降に設定されたこともあり、まだ大きな下落を経験していません。

ファンドの運用ですので、今後、大きく下落することもありますが、長期保有をすることでしっかりプラスのリターンが出ていますので、くれぐれもパニック売りはしないようにしてください。

最大下落率を知ってしまうと、少し足が止まってしまうかもしれません。しかし、以下のことをしっかり理解しておけば、元本割れの可能性を限りなく低くすることが可能です。

元本割れを回避するためにできるたったひとつのこととは?

評判はどう?

ネットでの書き込みなどで調べる方法もありますが、評判を知るうえで一番役に立つのが、月次の資金流出入額でしょう。

資金が流出しているということは、それだけこのファンドを解約している人が多いということなので、評判が悪いということです。

逆に資金が流入超過となっていれば、それだけこのファンドに投資をしている人が増えているということなので、評判が良いと言えます。

テンバガー・ハンター Bコースは直近になればなるほど、資金の流入額が増加しており、非常に人気が出てきていることがわかります。


※引用:モーニングスター

為替ヘッジ有と無はどちらがいい?

テンバガー・ハンター Bコースに投資をする上で、為替ヘッジ有のAコースか無のBコースかで悩む人もいるかもしれません。為替ヘッジ有にすればわずかなコストを支払うことで、為替による影響を受けなくなります。

今後、円高に進むと思うのであれば、為替ヘッジをしておいたほうが良いですし、円安に進むのであればヘッジ無を選択したほうが良いことになります。

ただ、結局為替の将来を予測するなど不可能に近いです。

なのであれば、どうしても為替リスクを取りたくない、と言う人はヘッジ有を選択し、そこまでこだわりがないと言う人はヘッジ無しを選択すれば十分です。

フィデリティ・世界割安成長株投信『テンバガー・ハンター』の評価まとめと今後の見通し

いかがでしょうか?

テンバガー・ハンター Bコースは運用期間がまだ短いとはいえ、現時点では優れた成果を残しています。この調子であと1~2年運用ができれば、かなり有望なアクティブファンドと言っていいと思います。

ただ、テンバガー・ハンター と名前を付けた割には400銘柄近くに分散投資をしており、今後、eMAXIS Slim全世界株式に勝ち続けることができるのか少し疑問が残ります。

パフォーマンスは十分優れていますが、もう少し様子を見たいというのが正直なところですね。

最後に、投信運用には多くのメリットもありますが、当然ながら、弱点もあります。

今も私は投信運用を続けてはいますが、私がなぜ投資信託の運用を主軸におかなくなったのか。その理由をこちらで話をしています。

>>なぜ私が投信運用に限界を感じたのか。多くの投資家が見逃している投信運用の弱点