1996年に新規設定されて以来、長期にわたって運用されている日興アセットマネジメントの日本新興株オープン。直近10年は非常にパフォーマンスが好調であることから再度注目が集まっています。
今日は、日本新興株オープンについて、徹底分析していきます。
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日本新興株オープンの基本情報
投資対象は?
日本新興株オープンの投資対象は、グロース市場およびスタンダード市場に上場している
新興株式です。グロース市場の銘柄は、企業規模が小さく、社会構造の変化に柔軟に対応することで、大きな成長を遂げる可能性を秘めている市場です。
また多くの運用会社、証券会社でも、アナリストがカバーできていない銘柄も多く、隠れたお宝銘柄が眠っている可能性が高いので、高いリターンが期待できます。
日本新興株オープンの組入銘柄は現在101銘柄となっており、組入上位10社は以下のようになっています。
※引用:マンスリーレポート
1位の日本マクドナルドホールディングスは有名なハンバーガーチェーンを運営しています。2位の霞ガ関キャピタルは開発型の不動産業です。3位のウルトラファブリックス・ホールディングスはウレタン合成皮革の製造販売を手掛ける企業です。
純資産総額は?
続いて、日本新興株オープンの純資産総額はどうなっているか見てみましょう。純資産総額というのは、あなたを含めた投資家から集めた資金の総額だと思ってください。
ファンドの純資産総額が小さいと、適切なタイミングで銘柄を入れ替えることができなかったり、ファンドの運用で必ず発生する運営コストが相対的に高くなるので、ファンドのパフォーマンスを悪化させる原因になります。
そのため、純資産総額も事前に確認すべきポイントの1つです。
日本新興株オープンは、100億円~200億円の間を推移しています。小型株ファンドは、純資産が大きくなりすぎると、思うように銘柄の入れ替えができなくなるため、大体この程度の規模のファンドが多いですね。
現在は、約120億円なので、規模としては問題ありません。
※引用:マンスリーレポート
実質コストは?
私たちが支払うコストには、目論見書に記載の信託報酬以外に、株式売買委託手数料や、保管費用、印刷費用などが含まれています。
そのため、実際に支払うコストは、目論見書記載の額より高くなるのが通例で、実際にかかる実質コストをもとに投資判断をしなければなりません。
信託報酬を信用するな。知らないうちに差し引かれている実質コストの調べ方
日本新興株オープンの実質コストは1.82%とかなり割高です。購入時手数料もしっかり取られますので、パフォーマンスが悪ければまず投資をしてはいけないファンドですね。
購入時手数料 | 3.3%(税込)※上限 |
信託報酬 | 1.672%(税込) |
信託財産留保額 | なし |
実質コスト | 1.82%(概算値) |
※引用:最新運用報告書
「ファンドの運用で成果を出すために一番大事なことは何ですか?」と聞かれてあなたは何と答えますか?
もし『ファンド選び』だと思ったとしたら、あなたはドツボに
はまっていますので、こちらの記事を読んでみてください。
日本新興株オープンの評価分析
基準価額をどう見る?
日本新興株オープンの基準価額は、コロナショックで一時期は30%近い下落を見せましたが、その後は2021年まで上昇を続けました。
2022年に入ってからはまた大きく下落していますね。
※引用:モーニングスター
利回りはどれくらい?
つづいて、日本新興株オープンの運用実績を見てみましょう。
直近1年間の利回りは▲18.13%となっています。3年、5年、10年平均利回りのどの期間においても、6%を超えるプラスとなっており、今後もこのくらいの利回りは期待できそうです。
ただ、この時点で投資判断してはいけません。他のファンドをパフォーマンスを比較してから投資判断するようにしてください。
ちなみにあなたは実質利回りの計算方法はすでに理解していますか?もし、理解していないのであれば、必ず理解しておいてください。
平均利回り | |
1年 | ▲18.13% |
3年 | +11.02% |
5年 | +6.78% |
10年 | +22.28% |
※2022年10月時点
10年間高いパフォーマンスを出し続けている優秀なファンド達も参考にしてみてください。
10年間圧倒的に高いリターンを出している国内中小型株式ファンドランキング
同カテゴリー内での利回りランキングは?
日本新興株オープンは、国内小型株グロースカテゴリーに属しています。
投資をするのであれば、国内小型株カテゴリーでも優秀なパフォーマンスのファンドに投資をすべきなので、同カテゴリー内でもパフォーマンスのランキングは事前に調べておいて損はありません。
日本新興株オープンは、直近1年を除いて概ね上位20%にランクインしており、非常に優れた成果を残していることがわかります。これであれば十分投資価値があると言えますね。
上位●% | |
1年 | 54% |
3年 | 14% |
5年 | 18% |
10年 | 5% |
※2022年10月時点
年別のパフォーマンスは?
日本新興株オープンの年別の運用パフォーマンスを見てみましょう。2018年と2022年では二桁のマイナスとなっていますが、それ以外の年でかなり大きくプラスが出ています。
日本の小型株ファンドは基準価額の変動は大きいですが、これくらいのリターンは期待できるファンドがいくつもあるので、1本くらいはポートフォリオに入れておきたいものです。
年間利回り | |
2022年 | ▲16.47%(1-9月) |
2021年 | +11.68% |
2020年 | +26.24% |
2019年 | +17.85% |
2018年 | ▲14.13% |
2017年 | +60.42% |
2016年 | +12.49% |
※2022年10月時点
投信運用は長期投資が前提なので、つい出口戦略を考えずに投資をしてしまいがちです。
しかし、「投資は出口戦略にあり」と言われるほど、重要なテーマです。ぜひこれを機会に投資の出口戦略を考えてみてください。
>>まさか考えたことがない?運用が成功するか失敗するかすべてのカギを握る投信運用の出口戦略インデックスファンドとのパフォーマンス比較
日本新興株オープンに投資するにあたって、より低コストで運用できるインデックスファンドとのパフォーマンスを比較しておいて損はありません。
今回は、日経225をベンチマークとするニッセイ 日経225インデックスファンドとパフォーマンスを比較してみました。
※引用:モーニングスター
パフォーマンスが拮抗している時期もありますが、終始、日本新興株オープンがインデックスファンドを上回っています。
もう少し長期のパフォーマンスも比較しておきましょう。
日本新興株オープン | ニッセイ日経 225 | |
1年 | ▲18.13% | ▲10.29% |
3年 | +11.02% | +7.77% |
5年 | +6.78% | +6.77% |
10年 | +22.28% | +13.08% |
※2022年10月時点
5年平均、10年平均利回りになると、パフォーマンスの差は大きくなっており、これであれば、高いコストを支払っても投資をする価値があると言えます。
アクティブファンドとのパフォーマンス比較
せっかくアクティブファンドに投資をするのであれば、同じカテゴリーの中でも優秀なファンドに投資をしたいと思うもの。
今回は、国内大型株カテゴリーで中長期で高いパフォーマンスの残しているスパークスの厳選投資と比較しました。
※引用:モーニングスター
パフォーマンスが拮抗している時期もありますが、終始、日本新興株オープンがインデックスファンドを上回っています。
さらに長い期間のパフォーマンスで比較をするとどうでしょうか?
日本新興株オープン | 厳選投資 | |
1年 | ▲18.13% | ▲22.13% |
3年 | +11.02% | +5.38% |
5年 | +6.78% | +5.59% |
10年 | +22.28% | +16.29% |
※2022年10月時点
5年、10年平均利回りで比較をすると、日本新興株オープンが優位となっています。
手堅く運用をしたいのであれば、厳選投資ですが、リスクを取って、高い利回りを狙っていくのであれば、日本新興株オープンと言えます。
ただ、日本新興株オープンは値動きが相当大きいファンドなので、事前にそれをしっかりと理解した上で投資をしてください。
最大下落率は?
投資をする上で、多くの人が気にするのが「このファンドはどれくらい下落するだろうか」という点です。標準偏差などから、価格変動の範囲をある程度は予想できますが、やはり実際に下落した度合いをみたほうがイメージがわきます。
そこで、日本新興株オープンの最大下落率を調べてみました。
期間 | 下落率 |
1カ月 | ▲24.68% |
3カ月 | ▲47.22% |
6カ月 | ▲49.80% |
12カ月 | ▲67.90% |
※2022年10月時点
日本新興株オープンは2000年3月~2000年2月の間に最大▲67.90%と大幅下落しています。リーマンショック以上に下落した時期があったということですね。
最大下落率を知ってしまうと、少し足が止まってしまうかもしれません。しかし、以下のことをしっかり理解しておけば、元本割れの可能性を限りなく低くすることが可能です。
評判はどう?
日本新興株オープンの評判はネットでの書き込みなどで調べる方法もありますが、評判を知るうえで一番役に立つのが、月次の資金流出入額です。
資金が流入しているということは、それだけ日本新興株オープンを購入している人が多いということなので、評判が良いということです。
日本新興株オープンは直近資金が流入超過となっていますが、全体的に流出している月が目立ちます。パフォーマンスは優れているにもかかわらず、このような状況になっているのは値動きが大きすぎて長期保有できている人が少ないことが考えられます。
そうでなければ、パフォーマンスから考えると、もう少し流入が増えて評判が上がっていてもおかしくないですね。
※引用:モーニングスター
日本新興株オープンの今後の見通しと評価まとめ
いかがでしょうか?
日本新興株オープンはパフォーマンスも優れていることがから多くの投資家が手を出したがります。しかし、資金の流出入からもわかるとおり、値動きが思ったよりも大きく、その値動きにメンタルがついていけず、購入してすぐに売却しまうことがあります。
ですので、購入するのであれば、まずは少額からスタートし、値動きに慣れてきたタイミングで金額を大きくしていったほうが、長い期間運用を続けられるはずです。
せっかくこれだけ高いパフォーマンスのファンドでも、途中で売却してしまっては意味がありません。
今後も高いパフォーマンスを維持できると思いますが、私達投資家も値動きの大きさに負けないようにくらいついて行く心構えをしましょう。
最後に、投信運用には多くのメリットもありますが、当然ながら、弱点もあります。
今も私は投信運用を続けてはいますが、私がなぜ投資信託の運用を主軸におかなくなったのか。その理由をこちらで話をしています。
>>なぜ私が投信運用に限界を感じたのか。多くの投資家が見逃している投信運用の弱点