2007年に三井住友アセットマネジメントから出された
三井住友・げんきシニアライフ・オープン。
元気で健康な高齢者関連ビジネスと介護関連ビジネスという
超高齢化社会の日本にとってははずせないテーマを扱う、
代表的なテーマファンドです。
2007年以来、そこまで純資産総額も伸びることなく低迷して
いましたが、直近になって急激に人気が出てきています。
今日は、三井住友・げんきシニアライフ・オープンについて
徹底分析していきます。
「 三井住友・げんきシニアライフ・オープンって投資対象としてどうなの?」
「 三井住友・げんきシニアライフ・オープンって持ってて大丈夫なの?」
「 三井住友・げんきシニアライフ・オープンより良いファンドってある?」
といったことでお悩みの方は、この記事を最後まで読めば、
悩みは解消すると思います。
三井住友・げんきシニアライフ・オープンの基本情報
投資対象は?
三井住友・げんきシニアライフ・オープンの投資対象は、高齢化社会が
生み出す新ビジネス、新技術あるいは様々なニーズをシルバービジネス
としてとらえ、こうした分野に注目し、事業を展開していく企業の株式
を中心に投資をしていきます。
特に、元気で健康なシニアを対象としたビジネスと、介護や支援が
必要なシニアを対象としたビジネスにしぼって投資をしていきます。
業種で言うと、下図のようなところです。
現在、組み入れ銘柄は131銘柄となっており、上位の銘柄は以下の
ようになっています。
1位のSEMITECは、サーミスタという温度センサーを製造。
薄型という特性を⽣かし、⾃動⾞、⾎糖値測定器で採用されており、
医療分野での成⻑が期待されています。
2位の芝浦電子は、1位のSEMITECと同じく、
サーミスタという温度センサーの国内最⼤⼿企業。
⾃動⾞、医療分野での成⻑が期待されています。
3位の前田工繊は防災用建築・土木資材の大手で、ヘルスケア事業の
拡大を目指し、医療分野のM&Aも積極的に行っています。
※引用:マンスリーレポート
高齢化社会というキーワードを聞いたことがない人はほとんど
いないと思いますので、うまく時流に合わせて設定したテーマ
ファンドと言えますが、パフォーマンスはそこまで奮っていません。
つみたてNISAとiDeCoの対応状況は?
つみたてNISAやiDeCoで積立投資を検討している人も多いと
思います。
そこで、つみたてNISAやiDeCoの対応状況をまとめました。
つみたてNISA | iDeCo |
× | × |
※2022年2月時点
純資産総額は?
続いて、三井住友・げんきシニアライフ・オープンの純資産総額は
どうなっているか見てみましょう。純資産総額というのは、
あなたを含めた投資家から集めた資金の総額だと思ってください。
純資産総額は大きいほうが、ファンドマネージャーが資金
を運用する際に効率よくできたり、保管費用や監査費用が
相対的に低くなりますので、コストが低く抑えられます。
また投資信託の規模が小さくなると運用会社自体がその
投資信託に力を注がなくなりパフォーマンスが悪くなる
こともありますので注意が必要です。
三井住友・げんきシニアライフ・オープンは、2000年に設定されて以来、
純資産額はまったく増加していなかったのですが、2015年ごろから
増加をし始め、2016年以降急激に純資産総額が増加しました。
一時は1000億円をこえる規模にまで成長しましたが、その後は
パフォーマンスが優れず、現在は330億円程度に収まっています。
規模としては全く問題ないですね。
※引用:三井DSアセットマネジメント HP
実質コストは?
私たちが支払うコストには、目論見書に記載の信託報酬以外に、
株式売買委託手数料や、保管費用、印刷費用などが含まれています。
そのため、実際に支払うコストは、目論見書記載の額より高くなるのが通例で、
実際にかかる実質コストをもとに投資判断をしなければなりません。
信託報酬を信用するな。知らないうちに差し引かれている実質コストの調べ方
三井住友・げんきシニアライフ・オープンの実質コストは1.85%となっており、
同カテゴリーの中では、かなり高い水準です。
購入時手数料もしっかり3.3%かかります。
利回りが高くなければ、決して購入しようとは思わないファンドですね。
購入時手数料 | 3.3%(税込)※上限 |
信託報酬 | 1.65%(税込) |
信託財産留保額 | 0 |
実質コスト | 1.85%(概算値) |
※引用:最新運用報告書
「ファンドの運用で成果を出すために一番大事なことは何ですか?」と聞かれてあなたは何と答えますか?
もし『ファンド選び』だと思ったとしたら、あなたはドツボに
はまっていますので、こちらの記事を読んでみてください。
三井住友・げんきシニアライフ・オープンの評価分析
基準価格をどう見る?
三井住友・げんきシニアライフ・オープンの基準価額は
コロナショック以降、他の日本株ファンドと比べると、
伸びが弱くなっています。
さらに2022年は大きく下落しており、基準価額が10000円
を切ってしまっているのもよくないですね。
※引用:モーニングスター
利回りはどれくらい?
三井住友・げんきシニアライフ・オープンの直近1年間の利回りは
▲11.09%となっています。
3年平均もマイナスで、直近数年は運用がうまくいっていないことが
よくわかります。
2021年以降、国内の小型株ファンドはかなり苦戦を強いられており、
げんきシニアライフ・オープンもかなり苦戦を強いられています。
ちなみにあなたは実質利回りの計算方法はすでに理解していますか?
もし、理解していないのであれば、必ず理解しておいてください。
平均利回り | |
1年 | ▲11.09% |
3年 | ▲0.87% |
5年 | +3.46% |
10年 | +14.97% |
※2022年2月時点
10年間高いパフォーマンスを出し続けている優秀なファンド達も
参考にしてみてください。
10年間圧倒的に高いリターンを出している国内中小型株式ファンドランキング
同カテゴリー内での利回りランキングは?
三井住友・げんきシニアライフ・オープンは、国内小型グロース株
カテゴリーに属しています。
投資をするのであれば、同じカテゴリーでも優秀な
パフォーマンスのファンドに投資をすべきなので、
同カテゴリー内でもパフォーマンスのランキングは
事前に調べておいて損はありません。
三井住友・げんきシニアライフ・オープンは、どの期間に
おいても、下位30%以内にランクインしており、特に、
直近のパフォーマンスは厳しい結果となっています。
これでは三井住友・げんきシニアライフ・オープンに
投資をしようと思えません
上位●% | |
1年 | 71% |
3年 | 94% |
5年 | 91% |
10年 | 73% |
※2022年2月時点
年別のパフォーマンスは?
続いて、年別の三井住友・げんきシニアライフ・オープンの
パフォーマンスを見てみたいと思います。
2021年は1.15%のマイナス、2018年にも20%近いマイナスを
出した以外は、プラスの運用ができてはいます。
一見すると、悪くないように見えますが、他のファンドと
比べるとどうしても見劣りしてしまいますね。
年間利回り | |
2021年 | ▲1.15% |
2020年 | +6.28% |
2019年 | +8.12% |
2018年 | ▲19.62% |
2017年 | +47.41% |
2016年 | +0.80% |
2015年 | +30.66% |
2014年 | +24.32% |
※2022年2月時点
投信運用は長期投資が前提なので、つい出口戦略を考えずに投資をしてしまいがちです。
しかし、「投資は出口戦略にあり」と言われるほど、重要なテーマです。ぜひこれを機会に投資の出口戦略を考えてみてください。
>>ここまで考えるのが本当の資産運用。多くの投資家が考えられていない投信運用の出口戦略とはインデックスファンドとのパフォーマンス比較
三井住友・げんきシニアライフ・オープンへの投資を検討するのであれば、
少なくともインデックスファンドよりもパフォーマンスが優れている
ことが最低条件です。
今回は、日経225に連動するニッセイ日経225インデックスファンドと
パフォーマンスを比較してみました。
※引用:モーニングスター
直近3年間の運用では、終始、ニッセイ日経225インデックス
ファンドにパフォーマンスで負けてしまっており、これでは
高いコストを支払って投資をする価値がありません。
より長期のパフォーマンスで比較をしてみると、10年平均利回り
だけは、三井住友・げんきシニアライフ・オープンのほうが利回り
は高くなっています。
ただ、直近のパフォーマンスを考えると、積極的に投資をするべき
ファンドではないですね。
げんきシニア | ニッセイ日経 225 | |
1年 | ▲11.09% | ▲1.16% |
3年 | ▲0.87% | +10.90% |
5年 | +3.46% | +9.00% |
10年 | +14.97% | +13.63% |
※2022年2月時点
類似ファンドとのパフォーマンス比較
せっかくアクティブファンドに投資をするのであれば、
同じカテゴリーの中でも優秀なファンドに投資をしたい
と思うもの。
今回は、国内小型株カテゴリーの中で非常に高い成果を
残している東京海上・ジャパン・オーナーズ株式オープン
とパフォーマンスを比較しました。
※引用:モーニングスター
結果は、東京海上・ジャパン・オーナーズ株式オープンの
圧勝となりました。
同じカテゴリーでここまでパフォーマンスに差があると、
三井住友・げんきシニアライフ・オープンに投資をする
メリットはないと言えます。
げんきシニア | ジャパン・オーナーズ | |
1年 | ▲11.09% | ▲4.16% |
3年 | ▲0.87% | +11.27% |
5年 | +3.46% | +19.53% |
10年 | +14.97% | – |
※2022年2月時点
最大下落率はどれくらい?
投資するにあたって、三井住友・げんきシニアライフ・オープンが
最大どの程度下落する可能性があるのか知っておくことは非常に重要です。
結局、多くの人が、大きな下落を経験すると、もうこれ以上は
損をしたくないと思い、基準価額が大きく下がったタイミングで
売却してしまうのです。
しかし、大きく下げたあとは、大きく戻るというのが基本であり、
事前にどの程度下落するかを知っておくことで、一番下げきった
ところで売却してしまうことを避けることができます。
当ファンドは、2007年11月~2008年10月で最大▲39.52%ほど
下落しています。
しかし、長期保有していればしっかりプラスが出ていますので、
これくらいの下落はあると心にとめておきましょう。
最大下落率を知ってしまうと、少し足が止まってしまうかもしれません。
しかし、以下のことをしっかり理解しておけば、元本割れの可能性を
限りなく低くすることが可能です。
期間 | 下落率 |
1カ月 | ▲16.92% |
3カ月 | ▲26.63% |
6カ月 | ▲35.82% |
12カ月 | ▲39.52% |
※2022年2月時点
分配金の推移は?
次に三井住友・げんきシニアライフ・オープンの過去の分配金の
推移を見てみましょう。
このファンドは運用実績に応じて、分配金を決めているため、
運用実績に応じて大きく分配金の額は変わってきます。
分配金利回りがかなり高かったために、2018年に資金が大きく流入
しましたが、2018年は運用がうまくいかなかったため、分配金も
650円と奮いませんでした。
2019年以降はパフォーマンスが奮わないため、分配金もゼロが
続いており、分配金目当ての投資家が離脱していっています。
このブログでは何度も言っていますが、分配金は受け取らずに
再投資したほうが投資効率は確実に高くなります。
計算するとよくわかる!分配金を受け取ることによるデメリットとは?
分配金 | |
2021年 | 0円 |
2020年 | 0円 |
2019年 | 0円 |
2018年 | 650円 |
2017年 | 3,850円 |
2016年 | 150円 |
2015年 | 3,000円 |
※2022年2月時点
評判はどう?
ネットでの書き込みなどで調べる方法もありますが、評判を知るうえで
一番役に立つのが、月次の資金流出入額でしょう。
資金が流入しているということは、それだけこのファンドを購入している
人が多いということなので、評判がいいということです。
三井住友・げんきシニアライフ・オープンは、2018年10月以降、
パフォーマンスの悪化とともに資金の流出が続いており、
評判も落ちてきていることがわかります。
パフォーマンスも優れず、分配金も出ずでは、あえてこの
ファンドに投資をしたい投資家が少なくなるのは当然ですね。
※引用:モーニングスター
三井住友・げんきシニアライフ・オープンの評価まとめと今後の見通し
今後、高齢化社会は間違いなく進んでいきますので、その中で、
元気で健康な高齢者関連ビジネスや介護関連ビジネスを積極的に
展開していく企業に投資をしていくというのは、非常に理に
かなっていると思います。
しかし、現状、どの企業も手探りで新ビジネスを始めているような
状況で、主力のビジネスとなっているわけではありません。
そのため、テーマで区切られてはいるものの、他の要因で大きく株価が
上下する可能性には注意が必要です。
また、インデックスファンドにパフォーマンスで負けてしまっており、
長期で保有をすれば一桁中盤のリターンは期待ができますが、あえて
三井住友・げんきシニアライフ・オープンに投資をする価値を感じません。
三井住友・げんきシニアライフ・オープンに投資をするくらいであれば、
低コストのインデックスファンドに投資をするか、アクティブファンド
でもよりパフォーマンスの高いファンドを選択するべきでしょう。
最後に、投信運用には多くのメリットもありますが、当然ながら、弱点もあります。
今も私は投信運用を続けてはいますが、私がなぜ投資信託の運用を主軸におかなくなったのか。その理由をこちらで話をしています。
>>なぜ私が投信運用に限界を感じたのか。多くの投資家が見逃している投信運用の弱点