アクティブファンド分析

三井住友・げんきシニアライフ・オープンの評価や評判は?今後の見通しはいかに?

2007年に三井住友アセットマネジメントから出された三井住友・げんきシニアライフ・オープン。

元気で健康な高齢者関連ビジネスと介護関連ビジネスという超高齢化社会の日本にとってははずせないテーマを扱う、代表的なテーマファンドです。

2018年に急激に人気が出ましたが、それ以降はパフォーマンスが奮わず人気も下火になっています。

今日は、三井住友・げんきシニアライフ・オープンについて徹底分析していきます。

「 三井住友・げんきシニアライフ・オープンって投資対象としてどうなの?」

「 三井住友・げんきシニアライフ・オープンって持ってて大丈夫なの?」

「 三井住友・げんきシニアライフ・オープンより良いファンドってある?」

といったことでお悩みの方は、この記事を最後まで読めば、悩みは解消すると思います。

三井住友・げんきシニアライフ・オープンの基本情報

投資対象は?

三井住友・げんきシニアライフ・オープンの投資対象は、高齢化社会が生み出す新ビジネス、新技術あるいは様々なニーズをシルバービジネスとしてとらえ、こうした分野に注目し、事業を展開していく企業の株式を中心に投資をしていきます。

特に、元気で健康なシニアを対象としたビジネスと、介護や支援が必要なシニアを対象としたビジネスにしぼって投資をしていきます。

業種で言うと、下図のようなところです。

現在、組み入れ銘柄は113銘柄となっており、上位の銘柄は以下のようになっています。

1位の富士フイルムホールディングスは、写真フィルムの技術をベースにデジカメ、複写機、医療システム等幅広く⼿掛ける会社で、シニアの増大と共に内視鏡、超⾳波診断装置など医療機器の売上が期待できます。

2位のリゾートトラストは、「エクシブ」シリーズなど会員制リゾートクラブの開発、運営等を⾏う会社で、高齢富裕層のレジャー需要を取り込んでいくことが期待されます。

3位のコメダホールディングスは「コメダ珈琲店」ブランドで郊外中心にFC店を全国に展開し、談笑を楽しむ場として高齢者のニーズをつかんでいます。


※引用:マンスリーレポート

高齢化社会というキーワードを聞いたことがない人はほとんどいないと思いますので、うまく時流に合わせて設定したテーマファンドと言えますが、パフォーマンスはそこまで奮っていません。

純資産総額は?

続いて、三井住友・げんきシニアライフ・オープンの純資産総額はどうなっているか見てみましょう。純資産総額というのは、あなたを含めた投資家から集めた資金の総額だと思ってください。

純資産総額は大きいほうが、ファンドマネージャーが資金を運用する際に効率よくできたり、保管費用や監査費用が相対的に低くなりますので、コストが低く抑えられます。

また投資信託の規模が小さくなると運用会社自体がその投資信託に力を注がなくなりパフォーマンスが悪くなることもありますので注意が必要です。

まさか知らない?絶対知っておきたい純資産総額のマメ知識

三井住友・げんきシニアライフ・オープンは、2000年に設定されて以来、純資産額はまったく増加していなかったのですが、2015年ごろから増加をし始め、2016年以降急激に純資産総額が増加しました。

一時は1000億円をこえる規模にまで成長しましたが、その後はパフォーマンスが優れず、現在は250億円程度に収まっています。

規模としては全く問題ないですね。


※引用:三井DSアセットマネジメント HP

実質コストは?

私たちが支払うコストには、目論見書に記載の信託報酬以外に、株式売買委託手数料や、保管費用、印刷費用などが含まれています。

そのため、実際に支払うコストは、目論見書記載の額より高くなるのが通例で、実際にかかる実質コストをもとに投資判断をしなければなりません。

信託報酬を信用するな。知らないうちに差し引かれている実質コストの調べ方

三井住友・げんきシニアライフ・オープンの実質コストは1.75%となっており、同カテゴリーの中では、かなり高い水準です。購入時手数料もしっかり3.3%かかります。

利回りもいまいちで手数料も高いとなれば、誰も購入しようとは思わないファンドですね。

購入時手数料 3.3%(税込)※上限
信託報酬 1.65%(税込)
信託財産留保額 0
実質コスト 1.75%(概算値)

※引用:最新運用報告書

「ファンドの運用で成果を出すために一番大事なことは何ですか?」と聞かれてあなたは何と答えますか?

もし『ファンド選び』だと思ったとしたら、あなたはドツボに
はまっていますので、こちらの記事を読んでみてください。

>>無料ファンド相談から見えた。多くの人が気づいていない投信運用で成果を阻む9つの誤り

三井住友・げんきシニアライフ・オープンの評価分析

基準価格をどう見る?

三井住友・げんきシニアライフ・オープンの基準価額は2022年に大きく下落し、直近でようやく元の水準にまで戻ってきました。

日経225に連動するインデックスファンドに投資をしていれば、2022年のような下落にはならなかったことからしても、直近の運用がうまくいっているとは思えませんね。


※引用:ウエルスアドバイザー

利回りはどれくらい?

三井住友・げんきシニアライフ・オープンの直近1年間の利回りは+16.17%となっています。

直近1年の利回りは十分に高いですが、3年5年の平均利回りは判断しづらいパフォーマンスです。

そのため、この場で判断するのではなく、他のファンドとパフォーマンスを比較した上で、良し悪しを判断しましょう。

ちなみにあなたは実質利回りの計算方法はすでに理解していますか?

もし、理解していないのであれば、必ず理解しておいてください。

これがわかっていないとマズイ。実質利回りの計算方法。

平均利回り
1年 +16.17%
3年 +5.90%
5年 +0.06%
10年 +11.32%

※2023年9月時点

10年間高いパフォーマンスを出し続けている優秀なファンド達も参考にしてみてください。

10年間圧倒的に高いリターンを出している国内中小型株式ファンドランキング

同カテゴリー内での利回りランキングは?

三井住友・げんきシニアライフ・オープンは、国内小型グロース株カテゴリーに属しています。

投資をするのであれば、同じカテゴリーでも優秀なパフォーマンスのファンドに投資をすべきなので、同カテゴリー内でもパフォーマンスのランキングは事前に調べておいて損はありません。

三井住友・げんきシニアライフ・オープンは、直近は上位20%以内にランクインしていますが、そのほかの期間は平均~80%程度です。

これでは三井住友・げんきシニアライフ・オープンに投資をしようと思えませんね。

上位●%
1年 13%
3年 44%
5年 82%
10年 48%

※2023年9月時点

年別のパフォーマンスは?

続いて、年別の三井住友・げんきシニアライフ・オープンのパフォーマンスを見てみたいと思います。

2022年に12.52%のマイナス、2021年は1.15%のマイナス、2018年にも20%近いマイナスを出した以外は、プラスの運用ができてはいます。

一見すると、悪くないように見えますが、他のファンドと比べるとどうしても見劣りしてしまいますね。

年間利回り
2023年 +18.87%(1-9月)
2022年 ▲12.52%
2021年 ▲1.15%
2020年 +6.28%
2019年 +8.12%
2018年 ▲19.62%
2017年 +47.41%
2016年 +0.80%
2015年 +30.66%
2014年 +24.32%

※2023年9月時点

投信運用は長期投資が前提なので、つい出口戦略を考えずに投資をしてしまいがちです。

しかし、「投資は出口戦略にあり」と言われるほど、重要なテーマです。ぜひこれを機会に投資の出口戦略を考えてみてください。

>>まさか考えたことがない?運用が成功するか失敗するかすべてのカギを握る投信運用の出口戦略

インデックスファンドとのパフォーマンス比較

三井住友・げんきシニアライフ・オープンへの投資を検討するのであれば、少なくともインデックスファンドよりもパフォーマンスが優れていることが最低条件です。

今回は、日経225に連動するニッセイ日経225インデックスファンドとパフォーマンスを比較してみました。


※引用:ウエルスアドバイザー

直近3年間の運用では、終始、ニッセイ日経225インデックスファンドにパフォーマンスで負けてしまっており、これでは高いコストを支払って投資をする価値がありません。

より長期のパフォーマンスで比較をしてみると、10年平均利回りだけは、三井住友・げんきシニアライフ・オープンのほうが利回りは高くなっています。

ただ、直近のパフォーマンスを考えると、積極的に投資をするべきファンドではないですね。

げんきシニア ニッセイ日経 225
1年 +16.17%  +18.36%
3年 +5.90% +13.94%
5年 +0.06% +9.22%
10年 +11.32% +11.08%

※2023年9月時点

類似ファンドとのパフォーマンス比較

せっかくアクティブファンドに投資をするのであれば、同じカテゴリーの中でも優秀なファンドに投資をしたいと思うもの。

今回は、国内小型株カテゴリーの中で非常に高い成果を残している東京海上・ジャパン・オーナーズ株式オープンとパフォーマンスを比較しました。


※引用:ウエルスアドバイザー

直近では三井住友・げんきシニアライフ・オープンが上回っていますが、5年平均、10年平均利回りでは、東京海上・ジャパン・オーナーズ株式オープンの圧勝となりました。

長期のパフォーマンスの方が信頼に値するので、ここでもやはり三井住友・げんきシニアライフ・オープンに投資をするメリットはないと言えます。

げんきシニア ジャパン・オーナーズ
1年 +16.17% +8.31%
3年 +5.90% +4.44%
5年 +0.06% +7.23%
10年 +11.32% +17.23%

※2023年9月時点

最大下落率はどれくらい?

投資するにあたって、三井住友・げんきシニアライフ・オープンが最大どの程度下落する可能性があるのか知っておくことは非常に重要です。

結局、多くの人が、大きな下落を経験すると、もうこれ以上は損をしたくないと思い、基準価額が大きく下がったタイミングで売却してしまうのです。

しかし、大きく下げたあとは、大きく戻るというのが基本であり、事前にどの程度下落するかを知っておくことで、一番下げきったところで売却してしまうことを避けることができます。

期間 下落率
1カ月 ▲16.92%
3カ月 ▲26.63%
6カ月 ▲35.82%
12カ月 ▲39.52%

※2023年9月時点

三井住友・げんきシニアライフ・オープンは、2007年11月~2008年10月で最大▲39.52%ほど下落しています。

しかし、長期保有していればしっかりプラスが出ていますので、これくらいの下落はあると心にとめておきましょう。

最大下落率を知ってしまうと、少し足が止まってしまうかもしれません。しかし、以下のことをしっかり理解しておけば、元本割れの可能性を限りなく低くすることが可能です。

元本割れを回避するためにできるたったひとつのこととは?

分配金の推移は?

次に三井住友・げんきシニアライフ・オープンの過去の分配金の推移を見てみましょう。

このファンドは運用実績に応じて、分配金を決めているため、運用実績に応じて大きく分配金の額は変わってきます。

分配金利回りがかなり高かったために、2018年に資金が大きく流入しましたが、2018年は運用がうまくいかなかったため、分配金も650円と奮いませんでした。

2019年以降はパフォーマンスが奮わないため、分配金もゼロが続いており、分配金目当ての投資家が離脱していっています。

このブログでは何度も言っていますが、分配金は受け取らずに再投資したほうが投資効率は確実に高くなります。

計算するとよくわかる!分配金を受け取ることによるデメリットとは?

分配金
2023年 0円
2022年 0円
2021年 0円
2020年 0円
2019年 0円
2018年 650円
2017年 3,850円
2016年 150円
2015年 3,000円

※2023年9月時点

評判はどう?

ネットでの書き込みなどで調べる方法もありますが、評判を知るうえで一番役に立つのが、月次の資金流出入額でしょう。

資金が流入しているということは、それだけこのファンドを購入している人が多いということなので、評判がいいということです。

三井住友・げんきシニアライフ・オープンは、2018年10月以降、パフォーマンスの悪化とともに資金の流出が続いており、評判も落ちてきていることがわかります。

パフォーマンスも優れず、分配金も出ずでは、あえてこのファンドに投資をしたい投資家が少なくなるのは当然ですね。


※引用:ウエルスアドバイザー

つみたてNISAとiDeCoの対応状況は?

つみたてNISAやiDeCoで積立投資を検討している人も多いと思います。

そこで、つみたてNISAやiDeCoの対応状況をまとめました。

つみたてNISA iDeCo
× ×

※2023年9月時点

三井住友・げんきシニアライフ・オープンの評価まとめと今後の見通し

今後、高齢化社会は間違いなく進んでいきますので、その中で、元気で健康な高齢者関連ビジネスや介護関連ビジネスを積極的に展開していく企業に投資をしていくというのは、非常に理にかなっていると思います。

しかし、現状、どの企業も手探りで新ビジネスを始めているような状況で、主力のビジネスとなっているわけではありません。

そのため、テーマで区切られてはいるものの、他の要因で大きく株価が上下する可能性には注意が必要です。

また、インデックスファンドにパフォーマンスで負けてしまっており、長期で保有をすれば一桁中盤のリターンは期待ができますが、あえて三井住友・げんきシニアライフ・オープンに投資をする価値を感じません。

三井住友・げんきシニアライフ・オープンに投資をするくらいであれば、低コストのインデックスファンドに投資をするか、アクティブファンドでもよりパフォーマンスの高いファンドを選択するべきでしょう。

最後に、投信運用には多くのメリットもありますが、当然ながら、弱点もあります。

今も私は投信運用を続けてはいますが、私がなぜ投資信託の運用を主軸におかなくなったのか。その理由をこちらで話をしています。

>>私が痛感する投資信託の限界。多くの投資家が見逃している投信運用の弱点

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ネコみたいに気楽に生きたい投資マニア いのねこ

【理論より実践】で役立つ投資情報を配信中。投資歴20年超。元大手証券マン。投資経験は100案件超。 【保有資格】1級ファイナンシャルプランニング/プライマリープライベートバンカー/MBA/証券外務員一種/宅地建物取引士/AFP/相続診断士/競売不動産取扱主任者/

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