アクティブファンド分析

ピムコ ハイ・インカム毎月分配型ファンドの評価や評判は?今後の見通しはどう?

一時期は純資産が3000億円を越えていた
ピムコ ハイ・インカム毎月分配型ファンド。

米国のリートは世界のリート市場の6割超を占めており、REITへの
投資を検討したことがある人であれば、一度は投資対象として検討
したことがあるでしょう。

ピムコ ハイ・インカム毎月分配型ファンドは毎月分配型と年1回型、為替ヘッジありとなしの
4コースがありますが、一番人気の高いBコース(毎月分配型/為替
ヘッジなし)を徹底分析していきます。

「ピムコ ハイ・インカム毎月分配型ファンドって投資対象としてどうなの?」

「ピムコ ハイ・インカム毎月分配型ファンドって持ってて大丈夫なの?」

「ピムコ ハイ・インカム毎月分配型ファンドより良いファンドってある?」

といったことでお悩みの方は、この記事を最後まで読めば、
悩みは解消すると思います。

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ピムコ ハイ・インカム毎月分配型ファンドの基本情報

投資対象は?

ピムコ ハイ・インカム毎月分配型ファンドの投資対象は、米国に上場されているREITです。

REITが所有する物件からの賃貸収入をもとに毎月分配を目指します。
米国に上場しているREITは約160銘柄程度ありますが、その中から
30~60銘柄を選別していきます。

現在は34銘柄に投資をしています。

1つのリートにつき300の物件を所有していると仮定すると、約9000~
18000の不動産物件に投資するのとほぼ同じ効果を得ることができるのが
REITの魅力です。


※引用:交付目論見書

セクター別の投資先を見てみると、様々なセクターにバランスよく
分散投資されていることがわかります。


※引用:マンスリーレポート


※引用:マンスリーレポート

つみたてNISAとiDeCoの対応状況は?

つみたてNISAやiDeCoで積立投資を検討している人も多いと
思います。

そこで、つみたてNISAやiDeCoの対応状況をまとめました。

つみたてNISA iDeCo
× ×

※2021年4月時点

純資産総額は?

投資を検討するうえで、純資産総額は必ず確認するようにしてください。

純資産総額が大きいほうが、ファンドマネージャーが資金を運用する際に
効率よく運用できますし、ファンドの運用で必ず発生する保管費用や
監査費用が相対的に低くなりますので、コストが相対的に低く抑えられます。

また投資信託の規模が小さくなると運用会社自体がその投資信託に
力を注がなくなりパフォーマンスが悪くなることもありますので
注意が必要です。

まさか知らない?絶対知っておきたい純資産総額のマメ知識

ピムコ ハイ・インカム毎月分配型ファンドは2016年には3000億円を越える巨大なファンドでしたが、
2016年以降はパフォーマンスが優れなかったことあり、純資産は
約3分の1以下にまで減少してしまっています。

パフォーマンスが他の米国リートに比べて劣るのと、過剰な分配を
続けているのが要因です。

ただ、減少したとはいえ、いまだ600億円以上の規模がありますので、
規模のデメリットはないと言えます。


※引用:マンスリーレポート

実質コストは?

投資信託には、購入時の手数料や信託報酬の他にも費用がかかって
いることをご存知ですか?

これを実質コストと言いますが、実質コストには、株式売買手数料や
有価証券取引税、監査費用などが含まれています。

特に純資産総額が小さいときには、信託報酬より実質コストがかなり
割高になっている場合もあるので、注意が必要です。

信託報酬を信用するな。知らないうちに差し引かれている実質コストの調べ方

ピムコ ハイ・インカム毎月分配型ファンドの実質コストは1.45%と割高です。それに加えて高い
購入時手数料もかかりますので、購入した初年度は4%程度のマイナス
スタートになります。

最近は、多くのファンドで購入時手数料がゼロになっていますので、
今どき購入時手数料を取るファンドは相当パフォーマンスがよく
なければ、投資家も購入したいと思いません。

投資信託の手数料は安ければ安いほどいいという勘違い

購入時手数料 2.2%(税込)※上限
信託報酬 1.43%(税込)
信託財産留保額 なし
実質コスト 1.45%(概算値)

※引用:最新運用報告書

「ファンドの運用で成果を出すために一番大事なことは何ですか?」と聞かれてあなたは何と答えますか?

もし『ファンド選び』だと思ったとしたら、あなたはドツボに
はまっていますので、こちらの記事を読んでみてください。

>>無料ファンド相談から見えた。多くの人が気づいていない投信運用で成果を阻む9つの誤り

ピムコ ハイ・インカム毎月分配型ファンドの評価分析

基準価額をどう見る?

ピムコ ハイ・インカム毎月分配型ファンドの基準価額は3年間で10%ほど下落しています。

分配金を受け取らずに運用した場合の分配金再投資基準価額(青線)
を見ると、3年間で10%ほど上昇はしているものの、コロナショック前
の水準にまでは戻すことができず、かなり苦戦していることがわかります。

基準価額が2000円台になっていることからも、いままでいかに
ファンドの収益に見合わない分配金を出し続けていたかがよく
わかります。


※引用:モーニングスター

利回りはどれくらい?

ピムコ ハイ・インカム毎月分配型ファンドの直近1年間の利回りは31.73%となっています。

直近1年間の利回りはコロナショックで急落したあとからの1年
なので、パフォーマンスがかなりよくなっており、あまり
参考になりません。

3年平均、10年平均利回りは6%を超えていますので、悪くない
ですが、5年平均は2%弱のパフォーマンスしかないため、年に
よって運用成績が大きく変わっていることが予想できます。

こういった年によって利回りが大きく変わるファンドは要注意です。

ちなみにあなたは実質利回りの計算方法はすでに理解していますか?
もし、理解していないのであれば、必ず理解しておいてください。

これがわかっていないとマズイ。実質利回りの計算方法。

平均利回り
1年 +2.85%
3年 +5.11%
5年 +3.09%
10年 +7.12%

※2022年10月時点

10年間高いパフォーマンスを出し続けている優秀なファンド達も
参考にしてみてください。

10年間圧倒的に高いリターンを出している海外REIT ランキング

同カテゴリー内での利回りランキングは?

ピムコ ハイ・インカム毎月分配型ファンドは、国際RIETの特定地域カテゴリーに属しています。

投資をするのであれば、同じカテゴリーでも優秀なパフォーマンス
のファンドに投資をすべきなので、同カテゴリー内でもパフォー
マンスのランキングは事前に調べておいて損はありません。

コロンブスの卵は、どの期間でみても、平均以下の順位となって
おり、他にもっと優れたファンドが多数あることがわかります。

上位●%
1年 24%
3年 13%
5年 11%
10年 1%

※2022年10月時点

年別のパフォーマンスは?

ピムコ ハイ・インカム毎月分配型ファンドの年別のパフォーマンスを見てみましょう。

直近5~6年間で見ると、マイナスリターンで終わってしまって
いる年も多く、2014年以外はパッとした成果を残せていま
せんでした。

2019年は久々に15%を超えるリターンを残すことができて
いますが、他のファンドと比べるとパフォーマンスで
見劣りしてしまいます。

このパフォーマンスで高い分配金を出していれば、
タコ足配当になるのは当然の結果ですね。

年間利回り
2022年 +0.98%(1-9月)
2021年 +8.20%
2020年 +3.16%
2019年 +8.84%
2018年 ▲5.65%

※2022年10月時点

投信運用は長期投資が前提なので、つい出口戦略を考えずに投資をしてしまいがちです。

しかし、「投資は出口戦略にあり」と言われるほど、重要なテーマです。ぜひこれを機会に投資の出口戦略を考えてみてください。

>>まさか考えたことがない?運用が成功するか失敗するかすべてのカギを握る投信運用の出口戦略

インデックスファンドとのパフォーマンス比較

ピムコ ハイ・インカム毎月分配型ファンドに投資をする前により低コストで運用
できるインデックスファンドとのパフォーマンスは
比較しておいて損はありません。

今回は、S&P米国リート指数に連動するeMAXIS 米国リート
インデックスとパフォーマンスを比較してみました。


※引用:モーニングスター

コロナショック前まではかなり拮抗していましたが、コロナ
ショック後は、コロンブスの卵のパフォーマンスが下回って
います。

コロナショックでの銘柄の入れ替えがうまくいかなかったのか
保有している銘柄が悪かったのか、どちらにしても、インデックス
ファンドに負けるようでは、話になりません。

ピムコ ハイ・インカム slim 先進国債券
1年 +2.85% +1.73%
3年 +5.11% +3.42%
5年 +3.09% +2.27%
10年 +7.12% -

※2022年10月時点

最大下落率は?

ピムコ ハイ・インカム毎月分配型ファンドに投資をする前に、最大でどの程度下落する可能性が
あるのかを知っておくことは非常に重要です。

どの程度下落する可能性があるかを把握しておけば、大きく下落した
相場でも落ち着いて保有を続けられるからです。

それではコロンブスの卵の最大下落率を見てみましょう。

最大下落率は2008年1月~2008年12月の1年間で34.46%でした。
REITと聞くと、株式ファンドほど下落しないようなイメージを
持ってしまいがちですが、下落するときは大きく下落しますので
注意してください。

最大下落率を知ってしまうと、少し足が止まってしまうかもしれません。
しかし、以下のことをしっかり理解しておけば、元本割れの可能性を
限りなく低くすることが可能です。

元本割れを回避するためにできるたったひとつのこととは?

期間 下落率
1カ月 ▲18.29%
3カ月 ▲31.48%
6カ月 ▲31.52%
12カ月 ▲34.46%

※2022年10月時点

分配健全度はどれくらい?

分配金を毎月受け取っていると、受け取っていることに安心
してしまい、自分の投資元本からの配当なのか、ファンドの
収益からの配当なのか調べなくなります。

そこで、分配金がファンドの収益からちゃんと支払われている
のかを調べるときに役立つのが分配健全度です。

分配健全度とは、1年間の分配金の合計額と基準価額の変動幅を
もとに、あなたが受け取った分配金の約何%がファンドの収益
によるものなのかを計算できる指標です。

基準価額の変動幅 1年間の分配合計額 分配健全度
39円 240円 116%

※2021/10/21~2022/10/21

ピムコ ハイ・インカム毎月分配型ファンドの直近1年間の分配健全度は442%と
なっています。

分配健全度は100%を切ると、一部ファンドの収益以外から
分配金が支払われていることを意味しますが、0%を下回る
ということは、ファンドの収益からの支払いは一切ない
ということを意味します。

コロナショック後の1年は非常に好調だったこともあり、
分配金をすべてファンドの収益で賄うことができています。

分配金利回りはどれくらい?

毎月分配型のファンドに投資をしている場合、どれくらいの
分配金が受け取れるのかを知るために分配金利回りを参考
にします。

ただし、投資信託の場合、分配金利回りだけをみていると、
受け取っている分配金がファンドの収益から出ている
ものなのか、投資元本が削られているのか、判断できません。

そのため、ファンドの運用利回りと分配金利回りを比較して、
ファンドの運用利回りのほうが高ければ、あなたが受け取って
いる分配金がファンドの運用の収益から支払われていると
判断することができます。

ピムコ ハイ・インカム毎月分配型ファンドの分配金利回りは6%なので、他の米国リート
と比べると、比較的健全な水準ではあります。

分配金が月10円になったことで、ようやく適正な水準まで
分配金利回りが下がってきました。

運用利回り 分配金利回り
1年 +2.85% 3.11%
3年 +5.11%
5年 +3.09%
10年 +7.12%

※2022年10月時点

分配金余力はどれくらい?

毎月分配型ファンドに投資をしている場合、もう1つ気になる
のが今後いつごろ、減配されそうかという点です。

そんなときに役立つのが分配金余力という考え方です。

分配金余力というのは、今の分配金の水準をあと何か月
続けられそうかを判断するための指標です。

明確にこの水準になったら減配されるという指標では
ありませんが、12カ月を切ったファンドはたいてい近々、
減配されることが多いです。

ピムコ ハイ・インカム毎月分配型ファンドの分配金余力は、まだ180カ月以上あります
ので、減配の心配はないと言えます。

分配金 繰越対象額 分配金余力
216期 20円 541円 28.0カ月
217期 20円 538円 27.9カ月
218期 20円 543円 28.1カ月
219期 20円 540円 28.0カ月
220期 20円 539円 27.9カ月
221期 20円 528円 27.4カ月
222期 20円 518円 26.9カ月
223期 20円 512円 26.6カ月
224期 20円 517円 26.8カ月
225期 20円 515円 26.7カ月
226期 20円 517円 26.8カ月
227期 20円 531円 27.5カ月

※引用:最新運用報告書

評判はどう?

それでは、ピムコ ハイ・インカム毎月分配型ファンドの評判はどうでしょうか?

ネット等で口コミを調べることもできますが、資金の流出入を見る
ことで、評判がわかります。

評判がよければ、資金が流入超過になりますし、評判が悪くなって
いれば、資金が流出超過になります。

ピムコ ハイ・インカム毎月分配型ファンドは2017年以降、
毎月資金の流出が続いています。これは減配されたことにより多くの
投資家が離脱したのが原因です。

現状、ファンドの収益力に対して適切な分配が行われているとは
言えない状況なので、資金が流出するのは仕方ないでしょう。


※引用:モーニングスター

ピムコ ハイ・インカム毎月分配型ファンドの今後の見通し

いかがでしょうか?

コロナショックで大打撃を受けた米国リート市場ですが、
1年かけてようやくコロナショック前の水準にまで基準価額も
戻ってきました。

ただ、米国リート市場は、経済活動が徐々に再開されたことや景気の
持ち直しが想定よりも早まったことを支援材料に上昇したものの、
コロナの感染増加ペースが再加速したことから、不安定な動きが
続いています。

直近で分配金を10円/月にした関係で、ファンドの運用益から分配金を
支払えるくらいの水準にまで下落してきました。

そのため、ここからは比較的健全な運用がされると期待できます。

分配金余力はまだ余裕がありますので、そうそう減配することは
考えられません。

RIETは株式とはまた異なる値動きをすることから、自分のポート
フォリオに入れておきたいと思っている投資家もいると思います。

ただ、入れるにしても、コロンブスの卵は明らかに
他のファンドと比較をしてパフォーマンスで劣ります。

毎月分配型の投資自体を私はあまりおすすめしません
が、あえて投資するにしてもパフォーマンスが優れた
ファンドに投資をするようにしてください。

最後に、投信運用には多くのメリットもありますが、当然ながら、弱点もあります。

今も私は投信運用を続けてはいますが、私がなぜ投資信託の運用を主軸におかなくなったのか。その理由をこちらで話をしています。

>>私が痛感する投資信託の限界。多くの投資家が見逃している投信運用の弱点

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ネコみたいに気楽に生きたい投資マニア いの

【理論より実践】で役立つ投資情報を配信中。投資歴20年超。元大手証券マン。投資経験は100案件超。 【保有資格】1級ファイナンシャルプランニング/プライマリープライベートバンカー/MBA/証券外務員一種/宅地建物取引士/AFP/相続診断士/競売不動産取扱主任者/

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