楽天投信投資顧問が設定・運用する楽天日本株4.3倍ブル。主に短期売買を繰り返す投資家向けに設定されたファンドですが、このような投資家と利害が一致し短期売買で手数料を稼ぎたい証券会社で、販売ラインナップに採用されるようになっています。

楽天日本株4.3倍ブルに限らずですが、いわゆるブルベア投信の類は資産運用に全く不向きなのですが、ハイリスクを好む投資家からは一定数の人気はあるようです。

「楽天 日本株4.3倍ブルって投資対象としてどうなの?」

「楽天 日本株4.3倍ブルって持ってて大丈夫なの?」

「楽天 日本株4.3倍ブルより良いファンドってある?」

といったことでお悩みの方は、この記事を最後まで読めば、悩みは解消すると思います。


楽天 日本株4.3倍ブルの基本情報

投資対象は?

楽天 日本株4.3倍ブルの投資対象は、日経225の先物取引です。

一部、国債やコマーシャルぺーバーなどを買い付けていますが、これはレバレッジ4.3倍の株価先物指数を買い建てるための担保と、「投資信託は有価証券に総資産額の2分の1以上投資しなければならない」という規制をすり抜けるためです。

そして、日々の日経平均株価の値動きの4.3倍程度動くように、レバレッジをかけて運用していきます。


※引用:交付目論見書

なお、基準価額が日経平均株価の約4.3倍の動きとなるということは、仮に100万円投資したのであれば、その4.3倍である430万円を運用できると思ってしまいがちですが、そのように捉えているのであれば、必ず痛い目にあいます。

後述しますが、ブルベア型ファンドは、複利計算の構造上、基準価額が下落する仕組みになっていますので、注意してください。

純資産総額は?

続いて、純資産総額はどうなっているか見てみましょう。純資産総額というのは、あなたを含めた投資家から集めた資金の総額だと思ってください。

純資産総額が小さいと運用が効率的に行えず、余計なコストが発生したり、運用会社も運用に力を入れないため、パフォーマンスが優れないといったデメリットが発生します。

まさか知らない?絶対知っておきたい純資産総額のマメ知識

楽天 日本株4.3倍ブルの純資産額は約490億円と、直近で、純資産総額が増加しています。未だリスクを好む投資家が多いことがよくわかります。規模としては問題ありません。


※引用:マンスリーレポート

実質コストは?

私たちが支払うコストには、目論見書に記載の信託報酬以外に、株式売買委託手数料や、保管費用、印刷費用などが含まれています。

そのため、実際に支払うコストは、目論見書記載の額より高くなるのが通例で、実際にかかる実質コストをもとに投資判断をしなければなりません。

信託報酬を信用するな。知らないうちに差し引かれている実質コストの調べ方

楽天 日本株4.3倍ブルの実質コストは1.44%とカテゴリー内ではかなり高いです。

後述しますが、ブルベア型ファンドは構造上、基準価額が下落する仕組みになっているため、コストが高いというのは致命的です。

購入時手数料 3.30%(税込)※上限
信託報酬 1.243%(税込)
信託財産留保額 0
実質コスト 1.44%(概算値)

※引用:最新運用報告書

「ファンドの運用で成果を出すために一番大事なことは何ですか?」と聞かれてあなたは何と答えますか?

もし『ファンド選び』だと思ったとしたら、あなたはドツボに
はまっていますので、こちらの記事を読んでみてください。

>>無料ファンド相談から見えた。多くの人が気づいていない投信運用で成果を阻む9つの誤り

ブル・ベアファンドの構造上の注意点とは?

楽天 日本株4.3倍ブルは以下に示すように特徴的な値動きをします。

①株式市場が上昇を続けた場合

まず、一番わかりやすい株式が上昇を続けた場合を説明します。株式市場(緑)の上昇率に対して、楽天日本株4.3倍ブルは、4.3倍程度、基準価額が上昇します。

あくまでも前日比ですので、株式市場が前日から1%上昇したら、楽天日本株4.3倍ブルは4.3%上昇するということです。


※引用:交付目論見書

ただし、図のように10日後の基準価額の比較をしてみると、株式市場は20%の上昇に対して、楽天日本株4.3倍ブルは、複利効果により4.3倍以上、上昇していることがわかります。


※引用:交付目論見書

これが特徴の1つ目ですが、2日以上離れた日で比較をすると、上昇幅は4.3倍にならないのです。あくまで、前日との騰落率で見ると、4.3倍になるということです。

②株式市場が下落を続けた場合

こちらもシンプルですが、株式市場の下落率に対して、楽天日本株4.3倍ブルは4.3倍の下落をします。つまり、株式市場が前日から1%下落するのであれば、楽天日本株4.3倍ブルは4.3%下落するということです。

※引用:交付目論見書

ただし、こちらも前日からの下落率が4.3倍になるというだけで、10日が株式市場が20%ほど下落したときに、4.3倍下落していません。

あくまでも前日の下落率が4.3倍になるということです。

③±10%内で上下した時

この値動きが特に注意が必要です。図を見たほうがわかりやすいのですが、株式市場がプラスマイナス10%の範囲内で、上下に変動した場合、楽天日本株4.3倍ブルの基準価額は押し下げられるのです。

※引用:交付目論見書

つまり、楽天 日本株4.3倍ブルで利益を出すには、日経225が緩やかにでも上昇していかなければ、楽天日本株4.3倍ブルは徐々に下落することになります。ですので、基本は短期決戦の勝負で、くれぐれも長期で保有しようなどとは考えないでください。

楽天 日本株4.3倍ブルの評価分析

基準価額をどう見る?

楽天 日本株4.3倍ブルの直近の基準価額は、コロナショックで70~80%下落し、その後は100%以上、上昇しました。ただ、2021年以降はまた50%以上下落しており、この値動きには、相当精神力が強くないと耐えられないと思います。


※引用:モーニングスター

利回りはどれくらい?

楽天 日本株4.3倍ブルの直近1年のトータルリターンは▲54.44%となっています。3年平均利回りも▲1.24%、5年平均利回りも▲0.57%です。

2021年以降の日経平均が上下に大きく変動しながら、下落する局面は楽天 日本株4.3倍ブルが弱い局面ですので、当然と言えば、当然の結果です。

他のファンドとは異なり、楽天 日本株4.3倍ブルの場合は短期勝負になりますので、あまり長期のパフォーマンスは気にしていても仕方がないので、参考にしないでください。

ちなみにあなたは実質利回りの計算方法はすでに理解していますか?もし、理解していないのであれば、必ず理解しておいてください。

これがわかっていないとマズイ。実質利回りの計算方法。

平均利回り
1年 ▲54.44%
3年 ▲1.24%
5年 ▲0.57%
10年

※2022年10月時点

10年間高いパフォーマンスを出し続けている優秀なファンド達も参考にしてみてください。

10年間圧倒的に高いリターンを出している国内大型株式ファンドランキング

同カテゴリー内での利回りランキングは?

せっかく投資をするのであれば、同じカテゴリー内でも、優れたファンドに投資をするべきです。

楽天 日本株4.3倍ブルは株式ブル型カテゴリーに属しています。このカテゴリー内でのランキングを確認すると、1年を除いて下位20%以下に位置しています。

このランキングの評価は分かれますが、いかに値動きが大きいかをよく物語っています。

上位●%
1年 69%
3年 84%
5年 86%
10年

※2022年10月時点

年別のパフォーマンスは?

楽天 日本株4.3倍ブルの年別の利回りを見てみましょう。

2017年と2019年は100%前後の異常な利回りとなっていますが、2016年、2018年は50%以上のマイナスリターンとなっています。

これだけ値動きが大きいとまず普通の投資家は精神的に耐えられませんし、大きな金額で投資をするのはまず無理ですね。

年間利回り
2022年 ▲54.90%(1-9月)
2021年 +1.40%
2020年 +25.50%
2019年 +94.40%
2018年 ▲53.76%
2017年 +102.33%
2016年 ▲38.71%

※2022年10月時点

投信運用は長期投資が前提なので、つい出口戦略を考えずに投資をしてしまいがちです。

しかし、「投資は出口戦略にあり」と言われるほど、重要なテーマです。ぜひこれを機会に投資の出口戦略を考えてみてください。

>>まさか考えたことがない?運用が成功するか失敗するかすべてのカギを握る投信運用の出口戦略

類似ファンドとのパフォーマンス比較

高いリスクを取るのであれば、日経平均に連動するインデックスファンドよりもパフォーマンスが優れていなければ、投資するに値しません。

そこで日経225と連動するニッセイ 日経225インデックスファンドと比較してみました。


※引用:モーニングスター

楽天日本株4.3倍ブルの値動きが大きすぎて、ニッセイ日経225インデックスファンドの値動きが非常に緩やかに見えますが、直近3年間のパフォーマンスでは楽天 日本株4.3倍ブルは負けてしまっています。

エントリーするタイミングが悪くなければ、大きな利益が期待できますが、日経平均のように右肩上がりになっていない指数のレバレッジ型ファンドだと、長期保有を続けるほど資産が目減りしていくので注意が必要です。

楽天4.3倍ブル ニッセイ日経225
1年 ▲54.44% ▲10.29%
3年 ▲1.24% +7.77%
5年 ▲0.57% +6.77%
10年 +13.08%

※2022年10月時点

最大下落率は?

標準偏差がわかれば、どの程度下落する可能性があるかはある程度予測できますが、実際にどれくらい下落したことがあるのか確認するほうがイメージが湧きます。

楽天 日本株4.3倍ブルの最大下落率は2016年に6カ月で▲71.41%下落しています。

期間 下落率
1カ月 ▲46.32%
3カ月 ▲69.00%
6カ月 ▲71.41%
12カ月 ▲57.70%

※2022年10月時点

さすがに70%の下落は大きすぎますね。

最大下落率を知ってしまうと、少し足が止まってしまうかもしれません。しかし、以下のことをしっかり理解しておけば、元本割れの可能性を限りなく低くすることが可能です。

元本割れを回避するためにできるたったひとつのこととは?

※2022年10月時点

評判は?

楽天 日本株4.3倍ブルの評判はネットでの書き込みなどで調べる方法もありますが、評判を知るうえで一番役に立つのが、月次の資金流出入額です。

資金が流出しているということは、それだけ楽天 日本株4.3倍ブルを解約している人が多いということなので、評判が悪いということです。

楽天 日本株4.3倍ブルは資金流入と資金流出が交互に来ており、相場の状況に応じて、売り買いしている人が多いことがわかります。

500億円近く集まっている時点で、人気は低くないですが、教科書的な投資方法ではないので、特に初心者の方は手出し無用のファンドです。


※引用:モーニングスター

楽天 日本株4.3倍ブルの評価まとめと今後の見通し

いかがでしたでしょうか?

前々から注意喚起はしていましたが、ブル型ファンドは一度急落をしてしまうと、そこから元の水準にまで戻すのは、至難の技です。

調子のよいときは100%以上のプラスが出るため、目先の利益を追いかける投資家たちが集まってきますが、たいてい集まってくると、急落するのが楽天 日本株4.3倍ブルのようなファンドです。

現状は、超低コストのインデックスファンドにもパフォーマンスで負けてしまっているので、あえて、楽天 日本株4.3倍ブルを選択する理由がありません。

繰り返しになりますが、楽天 日本株4.3倍ブルへの投資は投資というよりもギャンブルに近いです。

たしかに、今の下落したタイミングで保有をすれば、大きなリタ―ンが得られるかもしれません。しかし、長期保有をしてしまうと、また大きく暴落するタイミングで大けがをします。

結局、低コストのインデックスファンドでコツコツ投資をいたほうが値動きも小さく着実に利益が積み増していくと思いますので、ぜひ健全な投資を心がけてください。

最後に、投信運用には多くのメリットもありますが、当然ながら、弱点もあります。

今も私は投信運用を続けてはいますが、私がなぜ投資信託の運用を主軸におかなくなったのか。その理由をこちらで話をしています。

>>なぜ私が投信運用に限界を感じたのか。多くの投資家が見逃している投信運用の弱点