経営者自身が会社の株の多くを持ち、企業の意思決定に直接関与することで、迅速かつ柔軟な対応をしている企業をオーナー企業と言います。
そんなオーナー企業の株式に着目したのが日興アセットマネジメントのジパング・オーナー企業株式ファンドです。
果たして、ジパング・オーナー企業株式ファンドとはどのようなファンドなのか、今日は徹底分析していきます。
「ジパング・オーナー企業株式ファンドって投資対象としてどうなの?」
「ジパング・オーナー企業株式ファンドって持ってて大丈夫なの?」
「ジパング・オーナー企業株式ファンドより良いファンドってある?」
といったことでお悩みの方は、この記事を最後まで読めば、悩みは解消すると思います。
ジパング・オーナー企業株式ファンドの基本情報
投資対象は?
ジパング・オーナー企業株式ファンドの投資対象は、日本の株式です。
原則として、発行済み株式総数の10%以上を保有する企業を投資対象とし、オーナー企業としての強みや特徴に関する定性分析を行います。また、経営者による企業の私物化や事業承継、健康面の問題に有無も調査した上で、銘柄を選定していきます。
業種別の構成比率をいると、情報・通信業の比率が高くなっていますね。
※引用:マンスリーレポート
ジパング・オーナー企業株式ファンドの現在の組入銘柄数は57銘柄で構成されており、組入上位10銘柄は以下のようになっています。
※引用:マンスリーレポート
純資産総額は?
つづいて、ジパング・オーナー企業株式ファンドの純資産総額を見てみましょう。純資産総額というのは、あなたを含めた投資家から集めた資金の総額だと思ってください。
ファンドの純資産総額が小さいと、監査費用や印刷費用、その他諸経費が相対的に比率が高くなるので、実質コストが高くなりがちです。また会社としてもファンドの運用に人員を割けなくなるため、パフォーマンスが悪化する原因にもなります。
ジパング・オーナー企業株式ファンドの純資産総額は、現在約576億円です。まだ運用期間は短いですが、すでに500億円も集まっているので、投資家から注目されているファンドであることがわかります。規模としても問題ないですね。
※引用:マンスリーレポート
実質コストは?
投資信託を運用する際には、購入時手数料や信託報酬以外にも、実際にはコストがかかっています。具体的には、株式売買手数料や有価証券取引税、印刷費用などが該当します。
これを実質コストと言いますが、実質コストが信託報酬よりもかなり高くなっていることもありますので、必ず事前に確認しておいたほうがよいポイントです。
信託報酬を信用するな。知らないうちに差し引かれている実質コストの調べ方
ジパング・オーナー企業株式ファンドの実質コストは1.790%となっており、インデックスファンドと比べると、かなり割高です。何より購入時手数料も3.3%かかるので、投資する際は慎重に選びましょう。
購入時手数料 | 3.3%(税込) |
信託報酬 | 1.584%(税込) |
信託財産留保額 | なし |
実質コスト | 1.790%(概算値) |
※引用:最新運用報告書
「ファンドの運用で成果を出すために一番大事なことは何ですか?」と聞かれてあなたは何と答えますか?
もし『ファンド選び』だと思ったとしたら、あなたはドツボに
はまっていますので、こちらの記事を読んでみてください。
ジパング・オーナー企業株式ファンドの評価分析
基準価額をどう見る?
ジパング・オーナー企業株式ファンドの基準価額を見てみましょう。
まだ運用期間は短いですが、一時は14,000円近辺まで上昇しました。ただ、その後のパフォーマンスが奮っていないです。
※引用:ウエルスアドバイザー
利回りはどれくらい?
それでは、ジパング・オーナー企業株式ファンドの運用実績を見ていきます。
直近1年間の利回りは26.12%となっています。単年の利回りだけで見ると、かなり高い利回りです。
ただし、この時点で良し悪しを判断するのは時期尚早です。他の類似ファンドとパフォーマンスを比較してから投資判断するようにしましょう。
平均利回り | |
1年 | +26.12% |
3年 | - |
5年 | - |
10年 | - |
※2023年10月時点
10年間高いパフォーマンスを出し続けている優秀なファンド達も参考にしてみてください。
10年間圧倒的に高いリターンを出している国内中小型株式ファンドランキング
同カテゴリー内での利回りランキングは?
ジパング・オーナー企業株式ファンドは、国内小型グロースカテゴリーに属しています。
投資をするのであれば、同カテゴリーでも優秀なパフォーマンスのファンドに投資をすべきなので、同カテゴリー内でもパフォーマンスのランキングは事前に調べておいて損はありません。
利回りが良く見えても、実は同カテゴリー内では、ランキングが低かったということがよくあります。
ジパング・オーナー企業株式ファンドは、上位10%にランクインしており、単年のパフォーマンスはかなり優秀です。
上位●% | |
1年 | 9% |
3年 | - |
5年 | - |
10年 | - |
※2023年10月時点
年別のパフォーマンスは?
ジパング・オーナー企業株式ファンドの年別の利回りを見てみましょう。
年別の運用利回りを見ることで、平均利回りを見るだけではわからない基準価額の変動の大きさを知ることができます。
まだ運用期間が短いので、判断しづらいですが、悪くはないことが分かりますね。
年間利回り | |
2023年 | +17.47%(1-9月) |
2022年 | ▲0.45%(4-12月) |
※2023年10月時点
投信運用は長期投資が前提なので、つい出口戦略を考えずに投資をしてしまいがちです。
しかし、「投資は出口戦略にあり」と言われるほど、重要なテーマです。ぜひこれを機会に投資の出口戦略を考えてみてください。
>>ここまで考えるのが本当の資産運用。多くの投資家が考えられていない投信運用の出口戦略とはインデックスファンドとのパフォーマンス比較
ジパング・オーナー企業株式ファンドに投資をするかを考える上で、超低コストで投資ができるインデックスファンドとパフォーマンスの比較は必須です。
パフォーマンスが大きく劣るようであれば、わざわざ高いコストを支払ってまで投資をする価値がないからです。
そこで、今回は、ジパング・オーナー企業株式ファンドと日経225に連動するニッセイ 日経225インデックスファンドとパフォーマンスを比較しました。
※引用:ウエルスアドバイザー
直近2年では、2023年に入ってから、ジパング・オーナー企業株式ファンドが大きく負け越しています。
またニッセイ 日経225インデックスファンドと比べると、値動きが上下に大きいこともわかります。
年平均利回り | ジパング・オーナー企業株式ファンド | ニッセイ日経 225 |
1年 | +26.12% | +25.03% |
3年 | - | +13.02% |
5年 | - | +7.56% |
10年 | - | +9.99% |
※2023年10月時点
アクティブファンドとのパフォーマンス比較
ジパング・オーナー企業株式ファンドに投資をするかを検討するのであれば、アクティブファンドともパフォーマンスを比較しておきましょう。
投資信託は6000本以上ありますので、もっと優れたファンドが見つかるかもしれません。
今回は、国内小型株カテゴリーで中長期で高いパフォーマンスを残している東京海上・ジャパン・オーナーズ株式オープンとパフォーマンスを比較しました。
※引用:ウエルスアドバイザー
直近2年では、2023年以降、ジパング・オーナー企業株式ファンドにのほうが大きくリードしています。ただし、もう少し長期の利回りを比較してみなければ、優劣はつけづらいですね。
年平均利回り | ジパング・オーナー企業株式ファンド | 東京海上・ジャパン・オーナーズ株式 |
1年 | +26.12% | +6.88% |
3年 | - | +1.77% |
5年 | - | +6.18% |
10年 | - | +15.63% |
※2023年10月時点
最大下落率は?
投資信託は最低でも5~10年は投資をする気でなければ、投資をする意味がありませんが、その最大の障壁となりえるのが、資産の減少です。
特に20%や30%の下落相場を始めて経験すると、資産の減少額に耐えきれなくなり、本来手放すべきタイミングではないときに慌てて売却してしまいがちです。
そのため、事前にどの程度下落する可能性があるのかを知っておくことで、急落相場に遭遇しても、精神的に余裕を持って投資を続けられます。
それでは、ジパング・オーナー企業株式ファンドの最大下落率を調べてみましょう。
期間 | 下落率 |
1カ月 | ▲7.14% |
3カ月 | ▲12.63% |
6カ月 | ▲9.84% |
12カ月 | +10.82% |
※2023年10月時点
ジパング・オーナー企業株式ファンドの最大下落率は2023年7月~2023年9月で▲12.63%となっています。まだ運用期間も短いため、大して大きな下落は経験していません。
最大下落率を知ってしまうと、少し足が止まってしまうかもしれません。しかし、以下のことをしっかり理解しておけば、元本割れの可能性を
限りなく低くすることが可能です。
評判はどう?
ジパング・オーナー企業株式ファンドの評判を確認する上で、毎月の資金の流出入が役立ちます。
資金流入が多くなっていれば、人気が出てきているファンドであるとわかりますし、流出が続いているようであれば、評判が悪くなっているファンドと言えます。
それでは、ジパング・オーナー企業株式ファンドの評判を見てみましょう。
2023年に入ってからは毎月流入超過となっており、評判は悪くないです。まだ運用期間が短いので、今後に期待している投資家が多いのでしょう。
※引用:ウエルスアドバイザー
NISAとiDeCoの対応状況は?
投資をしようとする際、NISAやiDeCoの制度を使って投資を検討している人も多いと思うので、NISAやiDeCoの対応状況を見ていきます。
ジパング・オーナー企業株式ファンドはNISAのみ取り扱いがありますので、投資をする場合は積極的にこの制度を活用していきましょう。
NISA | iDeCo |
× | × |
※2023年10月時点
ジパング・オーナー企業株式ファンドの評価まとめと今後の見通し
いかがでしょうか?
アクティブファンドに投資をするのであれば、最低限、インテックスファンドよりもパフォーマンスが上回っている必要があります。
しかし、ジパング・オーナー企業株式ファンドは運用期間が短いとはいえ、インデックスファンドに負けてしまっています。
これではあえて高いコストを支払ってまで投資をしようという気にはなりません。
また、運用期間が短いこともあり、他のファンドと比較をしても優劣がつけづらいです。
このようなファンドの場合は、少なくとも3年はトラックレコードがたまるのを待ってから、他の類似ファンドと比較をして、投資判断するのがベストです。現状、あえて高いコストを支払ってまで手を出すようなファンドではないですね。
最後に、投信運用には多くのメリットもありますが、当然ながら、弱点もあります。
今も私は投信運用を続けてはいますが、私がなぜ投資信託の運用を主軸におかなくなったのか。その理由をこちらで話をしています。
>>なぜ私が投信運用に限界を感じたのか。多くの投資家が見逃している投信運用の弱点