いつの時代も人気の投資手段のひとつである不動産投資。その不動産に小口で投資ができるのREITです。

リモートワークが主流になりつつある中で、オフィス需要が低下している影響もあると思いますが、果たして、どの程度の運用ができているのでしょうか。

今日は、DIAM J-REITオープン(毎月決算コース)『愛称:オーナーズ・インカム』について徹底分析していきます。

「オーナーズ・インカムって投資対象としてどうなの?」

「オーナーズ・インカムって持ってて大丈夫なの?」

「オーナーズ・インカムより良いファンドってある?」

といったことでお悩みの方は、この記事を最後まで読めば、悩みは解消すると思います。


DIAM J-REITオープン『オーナーズ・インカム』の基本情報

投資対象は?

オーナーズ・インカムは東証REIT指数に採用されているJ-REITに投資をしていきます。

J-REITについてはもうご存知の方が多いと思いますが、日本の不動産投資信託証券のことで、投資家から集めた資金を不動産等で運用し、そこから得られる賃貸収入や売買益を投資家に分配していきます。

REITの魅力は何と言っても、少額から不動産に投資ができると言う点です。私も不動産を保有していますが、数千万の買い物ですので、気軽にはできません。その点、REITであれば、十万程度で投資できるものもありますので、リスクを取りたくない人にとってはおすすめでしょう。

現在の組入銘柄数は47銘柄となっており、日本のREITは約60銘柄であることを考えると約8割くらいの銘柄をカバーしていることになります。


※引用:マンスリーレポート

つみたてNISAとiDeCoの対応状況は?

つみたてNISAやiDeCoの対応状況ですが、残念ながらどちらも対応していません。

つみたてNISA iDeCo
× ×

※2022年10月時点

純資産総額は?

続いて、オーナーズ・インカムの純資産総額はどうなっているか見てみましょう。純資産総額というのは、あなたを含めた投資家から集めた資金の総額だと思ってください。

ファンドの純資産総額が小さいと、適切なタイミングで売買できなかったり、コストが嵩みますので、事前に確認すべきポイントの1つです。

まさか知らない?絶対知っておきたい純資産総額のマメ知識

オーナーズ・インカムの純資産総額は、現在610億円程度となっています。一時期は1500億円を超える巨大ファンドでしたが、毎月分配型ということで風当たりも資金の流出が止まりません。


※引用:マンスリーレポート

実質コストは?

私たちが支払うコストには、目論見書に記載の信託報酬以外に、株式売買委託手数料や、保管費用、印刷費用などが含まれています。

そのため、実際に支払うコストは、目論見書記載の額より高くなるのが通例で、実際にかかる実質コストをもとに投資判断をしなければなりません。

信託報酬を信用するな。知らないうちに差し引かれている実質コストの調べ方

オーナーズ・インカムの実質コストは1.14%となっており、カテゴリー内で見ると、割安となっています。ただ、購入手数料もしっかり3%取られますので、積極的に投資をするようなファンドではありません。

購入時手数料 3.3%(税込)※上限
信託報酬 1.1%(税込)
信託財産留保額 0
実質コスト 1.14%(概算値)

※引用:最新運用報告書

「ファンドの運用で成果を出すために一番大事なことは何ですか?」と聞かれてあなたは何と答えますか?

もし『ファンド選び』だと思ったとしたら、あなたはドツボに
はまっていますので、こちらの記事を読んでみてください。

>>無料ファンド相談から見えた。多くの人が気づいていない投信運用で成果を阻む9つの誤り

DIAM J-REITオープン『オーナーズ・インカム』の評価分析

基準価額をどう見る?

オーナーズ・インカムの基準価額は、3年間で25%近く下落しています。コロナショックの急落はとてつもないです。

一方で、分配金を再投資して運用したときの基準価額(青線)を見てみると、コロナショックで大きく下落はしたものの、3年間でほぼ同水準にあります。

ここから言えるのは分配金の支払いを投資元本から行っているため、基準価額が下落しているということです。典型的なタコ足配当のファンドですね。


※引用:モーニングスター

利回りはどれくらい?

つづいて、オーナーズ・インカムの利回りを見てみましょう。

直近1年間の利回りは▲2.88%となっています。10年平均利回りは10%弱、5年平均では7%程度はありますので、中長期でみれば、1桁後半の利回りは期待できそうです。

どうしても単年の利益を気にしてしまいがちですが、投資信託は長期保有が前提ですので、長期のパフォーマンスを参考にしてください。

ちなみにあなたは実質利回りの計算方法はすでに理解していますか?もし、理解していないのであれば、必ず理解しておいてください。

これがわかっていないとマズイ。実質利回りの計算方法。

平均利回り
1年 ▲2.88%
3年 ▲0.08%
5年 +7.28%
10年 +9.63%

※2022年10月時点

10年間高いパフォーマンスを出し続けている優秀なファンド達も参考にしてみてください。

10年間圧倒的に高いリターンを出しているJリートファンド ランキング

同カテゴリー内での利回りランキングは?

オーナーズ・インカムは国内RIETカテゴリーに属しています。

投資をするのであれば、同じカテゴリーでも優秀なパフォーマンスのファンドに投資をすべきなので、同カテゴリー内でもパフォーマンスのランキングは事前に調べておいて損はありません。

オーナーズ・インカムはいい時でも平均的より少しいい程度のランキングですので、他にもっと優れたファンドがたくさんあるということです。

上位●%
1年 54%
3年 39%
5年 30%
10年 97%

※2022年10月時点

年別の運用利回りは?

オーナーズ・インカムの年別の運用パフォーマンスも見てみましょう。

プラスの年もありますが、それを相殺するかのように大きなマイナスを出しており、なかなかトータルのリターンも伸びません。

今のままであれば、株式ファンドのほうがはるかに高いリターンが期待できます。

年間利回り
2022年 ▲2.44%(1-9月)
2021年 +16.90%
2020年 ▲11.84%
2019年 +24.50%
2018年 +11.53%
2017年 ▲7.91%
2016年 +4.46%
2015年 ▲5.01%
2014年 +25.88%

※2022年10月時点

投信運用は長期投資が前提なので、つい出口戦略を考えずに投資をしてしまいがちです。

しかし、「投資は出口戦略にあり」と言われるほど、重要なテーマです。ぜひこれを機会に投資の出口戦略を考えてみてください。

>>ここまで考えるのが本当の資産運用。多くの投資家が考えられていない投信運用の出口戦略とは

インデックスファンドとの利回り比較

オーナーズ・インカム(DIAM J-RIET オープン)に投資をするのであれば、より低コストで投資ができるインデックスファンドとのパフォーマンスは比較してから投資をしても遅くはありません。

今回は、東証REIT指数と連動するeMAXIS 国内リートインデックスとパフォーマンスを比較してみました。


※引用:モーニングスター

常に拮抗していますが、終始オーナーズ・インカムのほうがパフォーマンスで上回っています。

10年平均利回りだけはeMAXIS 国内リートインデックスのほうが高いリターンとなっているので、どちらが優れているか甲乙つけがたいですね。

オーナーズ eMAXIS国内リート
1年 ▲2.88% ▲2.94%
3年 ▲0.08% ▲0.38%
5年 +7.28% +7.02%
10年 +9.63% +10.42%

※2022年10月時点

類似ファンドとの利回り比較

毎月分配型のアクティブファンドに投資するのであれば、同じく毎月分配型のアクティブファンドとパフォーマンスを比較してから投資をしても遅くはありません。

今回は同じくJ-RIETに投資ができるJ-REITリサーチ・オープン(毎月分配型)と比較をしてみました。


※引用:モーニングスター

こちらも拮抗してはいますが、終始J-REITリサーチ・オープン(毎月分配型)のほうがパフォーマンスで上回っています。

より、長期のパフォーマンスで見ると、明らかにオーナーズ・インカムのほうが劣っていますので、あえてオーナーズ・インカムに投資をするメリットはないと言えます。

オーナーズ J-RIETリサーチ
1年 ▲2.88% ▲2.81%
3年 ▲0.08% +0.28%
5年 +7.28% +7.69%
10年 +9.63% +10.99%

※2022年10月時点

最大下落率は?

投資するのであれば、ファンドがどの程度下落する可能性があるのかは知っておきたいところです。もちろん標準偏差から変動幅を予測することはできますが、やはり過去にどの程度下落したことがあるのかを調べるのがよいでしょう。

期間 下落率
1カ月 ▲21.14%
3カ月 ▲29.40%
6カ月 ▲37.19%
12カ月 ▲50.71%

※2022年10月時点

オーナーズ・インカムは2007年11月~2008年10月までの間に最大▲50.71%下落しています。注意しておいてほしいのは、J-REITでも大きく下落するときは下落するということです。

多くの人が不動産だからそんな下落しないだろうと思っているのですが、実際コロナショックでもリーマンショックでも株式以上に下落しています。

最大下落率を知ってしまうと、少し足が止まってしまうかもしれません。しかし、以下のことをしっかり理解しておけば、元本割れの可能性を限りなく低くすることが可能です。

元本割れを回避するためにできるたったひとつのこととは?

分配健全度はどれくらい?

分配金を毎月受け取っていると、受け取っていることに安心してしまい、自分の投資元本からの配当なのか、ファンドの収益からの配当なのか調べなくなります。

そこで、分配金がファンドの収益からちゃんと支払われているのかを調べるときに役立つのが分配健全度です。

分配健全度とは、1年間の分配金の合計額と基準価額の変動幅をもとに、あなたが受け取った分配金の約何%がファンドの収益によるものなのかを計算できる指標です。

基準価額の変動幅 1年間の分配合計額 分配健全度
▲593円 300円 ▲98%

※2021/10/20~2022/10/17

オーナーズ・インカムの直近1年間の分配健全度は▲98%となっています。

分配健全度は100%を切ると、一部ファンドの収益以外から分配金が支払われていることを意味しますが、0%を下回るということは、ファンドの収益からの支払いは一切ないということを意味します。

オーナーズ・インカムは分配健全度がマイナスなので、直近1年間で受け取った分配金はすべて投資元本等から支払われているとわかります。

分配金利回りはどれくらい?

毎月分配型のファンドに投資をしている場合、どれくらいの分配金が受け取れるのかを知るために分配金利回りを参考にします。

分配金利回りは1年間で受け取った分配金の合計金額を基準価額で割ることで計算できます。

ただし、投資信託の場合、分配金利回りだけをみていると、受け取っている分配金がファンドの収益から出ているものなのか、投資元本が削られているのか、判断できません。

そのため、ファンドの運用利回りと分配金利回りを比較して、ファンドの運用利回りのほうが高ければ、あなたが受け取っている分配金がファンドの運用の収益から支払われていると判断することができます。

運用利回り 分配金利回り
1年 ▲2.88% 7.3%
3年 ▲0.08%
5年 +7.28%
10年 +9.63%

※2022年10月時点

オーナーズ・インカムの分配金利回りは7.3%なので、J-REITファンドの中では、比較的健全な運用がされています。

ただ、直近3年間で見れば、ファンドの運用利回りのほうが分配金利回りよりも低いので、一部、タコ足配当になっていることがわかります。

とはいえ、この水準であれば、まだ健全な水準ですね。

分配金余力はどれくらい?

毎月分配型ファンドに投資をしている場合、もう1つ気になるのが今後いつごろ、減配されそうかという点です。

そんなときに役立つのが分配金余力という考え方です。

分配金余力というのは、今の分配金の水準をあと何か月続けられそうかを判断するための指標です。明確にこの水準になったら減配されるという指標ではありませんが、12カ月を切ったファンドはたいてい近々、減配されることが多いです。

オーナーズ・インカムの分配金余力は、まだ300カ月以上ありますので、減配の心配はいったんしなくても大丈夫そうです。

分配金 繰越対象額 分配金余力
206期 25円 7,636円 306.4カ月
207期 25円 7,637円 306.5カ月
208期 25円 7,617円 305.7カ月
209期 25円 7,594円 304.8カ月
210期 25円 7,579円 304.2カ月
211期 25円 7,555円 303.2カ月
212期 25円 7,541円 302.6カ月
213期 25円 7,542円 302.7カ月
214期 25円 7,524円 302.0カ月
215期 25円 7,502円 301.1カ月
216期 25円 7,487円 300.5カ月
217期 25円 7,468円 299.7カ月

※引用:最新運用報告書

評判はどう?

オーナーズ・インカムの評判はネットでの書き込みなどで調べる方法もありますが、評判を知るうえで一番役に立つのが、月次の資金流出入額です。

資金が流出しているということは、それだけオーナーズ・インカムを解約している人が多いということなので、評判が悪くなっているということです。

オーナーズ・インカムは、2019年~2020年と2022年に入って一時的に資金が流入超過となりましたが、それ以外の月では流出が続いています。

毎月分配型のファンドは風当たりが厳しいので、当然の結果と言えば、当然の結果ですね。


※引用:モーニングスター

DIAM J-REITオープン『オーナーズ・インカム』の今後の見通し

いかがでしょうか?

毎月分配金を受け取っているだけだと、分配金を受け取れたことに満足してしまい、ファンド自体のパフォーマンスがどうなのかという視点が抜けてしまいがちです。

そのため、分配金が減った瞬間に、はじめてこのファンドは大丈夫なのか?と思い始める人がほとんどです。

一方で、しっかりとファンドの収益力(パフォーマンス)を確認しておけば、分配金が自分の投資元本から支払われているタコ足配当ファンドなのか、ちゃんと利益から支払われているファンドなのかわかり、実は全然利益がでていないファンドに投資をするリスクを下げられます。

株式とは相関係数が低いことから、REITを保有している人もいると思いますが、コロナ以降オフィス需要が低迷していることを考えると、今後まだまだ厳しい状況が続きそうです。

オーナーズ・インカムは分配金が減額されたことで、比較的健全な水準にまで下がってきました。ですので、今後、減配の心配は当分しなくてもいいでしょう。

ただし、パフォーマンスはインデックスファンドとトントン程度なので、少なくとも、J-REITファンドの中でも優秀なファンドに乗り換えるくらいのことは検討したほうがよいでしょう。

最後に、投信運用には多くのメリットもありますが、当然ながら、弱点もあります。

今も私は投信運用を続けてはいますが、私がなぜ投資信託の運用を主軸におかなくなったのか。その理由をこちらで話をしています。

>>私が痛感する投資信託の限界。多くの投資家が見逃している投信運用の弱点