日本株においては、大型株より中小型株のほうが中長期で見て
パフォーマンスが優れているというのは有名な話です。
そして、小型株というのは銘柄数で見ても圧倒的に数が多く、
十分に企業が調査されておらず、将来の日本を担うような優れた
企業が眠っています。
そんな小型株に特化したファンドが新光日本小型株ファンド
『愛称:風物語』です。
「風物語って投資対象としてどうなの?」
「風物語って持ってて大丈夫なの?」
「風物語より良いファンドってある?」
といったことでお悩みの方は、この記事を最後まで読めば、
悩みは解消すると思います。
今日は、風物語について徹底分析していきます。
新光日本小型株ファンド『風物語』の基本情報
投資対象は?
風物語は新光小型株マザーファンドを通じて、日本の小型株に投資を
していきます。
そして、成熟産業の勝ち組企業、地味な業種変化企業、リベンジ企業、
新規公開企業の4つのカテゴリーにおおきく分けて、企業を選定していきます。
風物語の組入銘柄数は72銘柄となっており、その上位銘柄を
見てみましょう。
1位のジャパンエレベーターサービスはエレベーターの保守契約を
割安な価格で提供しシェアを拡大しています。
2位のレーザーテックは半導体マスク欠陥検査装置の大手で、
多額の研究開発投資が実を結び、新製品の受注が好調です。
2位のラクスは楽々清算のクラウドサービスが人手不足を
背景に伸びています。
※引用:マンスリーレポート
純資産総額は?
続いて、風物語の純資産総額はどうなっているか見てみましょう。
純資産総額というのは、あなたを含めた投資家から集めた資金の
総額だと思ってください。
ファンドの純資産総額が小さいと、適切なタイミングで売買でき
なかったり、コストが嵩みますので、事前に確認すべきポイントの
1つです。
風物語の純資産総額は、現在115億円程度となっています。
中小型株ファンドはあまり純資産が増え過ぎると、運用に
支障が出るので、この規模あれば十分でしょう。
実質コストは?
私たちが支払うコストには、目論見書に記載の信託報酬以外に、
株式売買委託手数料や、保管費用、印刷費用などが含まれています。
そのため、実際に支払うコストは、目論見書記載の額より高くなるのが
通例で、実際にかかる実質コストをもとに投資判断をしなければなりません。
信託報酬を信用するな。知らないうちに差し引かれている実質コストの調べ方
風物語の実質コストは1.82%となっており、非常に
割高となっています。
購入時手数料もかかってくるので、普通のファンドであれば、
まず投資をしてはいけないファンドです。
購入時手数料 | 3.3%(税込)※上限 |
信託報酬 | 1.76%(税込) |
信託財産留保額 | 0.3% |
実質コスト | 1.82%(概算値) |
※引用:最新運用報告書
と聞かれてあなたは何と答えますか?
もし『ファンド選び』だと思ったとしたら、あなたはドツボに
はまっていますので、こちらの記事を読んでみてください。
>>無料ファンド相談から見えた。多くの人が気づいていない投信運用で成果を阻む9つの誤り
新光日本小型株ファンド『風物語』の評価分析
基準価額の推移は?
風物語の基準価額は、2020年のコロナショックで大きく
下落しましたが、それを吹き飛ばすかのように、コロナ
ショック後は伸びています。
こういった運用ができるファンドというのは非常に
心強いですね。
※引用:モーニングスター
利回りはどれくらい?
つづいて、風物語の運用実績を見てみましょう。
直近1年間の利回りは19.76%となっています。
3年平均、5年平均利回りも10%を超えており、非常に
素晴らしい成果を残しています。
ちなみにあなたは実質利回りの計算方法はすでに理解していますか?
もし、理解していないのであれば、必ず理解しておいてください。
平均利回り | |
1年 | 19.76% |
3年 | 14.08% |
5年 | 12.91% |
10年 | – |
※2020年8月時点
10年間高いパフォーマンスを出し続けている優秀なファンド達も
参考にしてみてください。
10年間圧倒的に高いリターンを出している国内中小型株式ファンドランキング
同カテゴリー内での利回りランキングは?
風物語は、国内小型株のグロースカテゴリーに
属しています。
投資をするのであれば、同じカテゴリーでも優秀な
パフォーマンスのファンドに投資をすべきなので、
同カテゴリー内でもパフォーマンスのランキングは
事前に調べておいて損はありません。
風物語は、どの期間においても上位15%以内にランクイン
しており、非常に優秀です。
上位●% | |
1年 | 9% |
3年 | 6% |
5年 | 15% |
10年 | – |
※2020年8月時点
年別のパフォーマンスは?
風物語の年別の運用パフォーマンスを見てみましょう。
2018年はさすがにマイナスリターンとなりましたが、
それ以外の年ではかなり高いパフォーマンスを残す
ことができています。
このパフォーマンスであれば、投資する価値が十分にありますね。
年間利回り | |
2020年 | 17.91%(1-6月) |
2019年 | 28.70% |
2018年 | ▲11.13% |
2017年 | 51.65% |
2016年 | 3.16% |
2015年 | 14.26% |
2014年 | 16.37% |
※2020年8月時点
考えずに投資をしてしまいがちです。
しかし、「投資は出口戦略にあり」と言われるほど、
重要なテーマです。
ぜひこれを機会に投資の出口戦略を考えてみて
ください。
>>まさか考えたことがない?運用が成功するか失敗するかすべてのカギを握る投信運用の出口戦略
インデックスファンドとのパフォーマンス比較
風物語に投資するにあたって、より低コストで運用できる
インデックスファンドとのパフォーマンスを比較して
おいて損はありません。
今回は、日経225をベンチマークとするニッセイ 日経225
インデックスファンドとパフォーマンスを比較してみました。
※引用:モーニングスター
一目でわかるくらい風物語のほうが
パフォーマンスで優れていることがわかります。
中長期になると、さらに大きくパフォーマンスに
差がつきますので、これであれば、高いコストを
支払ってでも投資する価値がありそうです。
風物語 | ニッセイ日経 225 | |
1年 | 19.76% | 2.84% |
3年 | 14.08% | 4.79% |
5年 | 12.91% | 2.81% |
10年 | – | 10.34% |
※2020年8月時点
アクティブファンドとのパフォーマンス比較
せっかくアクティブファンドに投資をするのであれば、
同じカテゴリーの中でも優秀なファンドに投資をしたい
と思うもの。
国内小型株の中で優秀なのはすでにわかっているので、
国内大型株カテゴリーのファンドと比較してパフォーマンス
がどうなのかを比較したいと思います。
今回は、中長期で高い実績を残しているスパークスの厳選投資
とパフォーマンスを比較しました。
※引用:モーニングスター
かなり拮抗していましたが、コロナショック後に風物語が
大きく突き放しました。
厳選投資もかなり優秀なファンドですが、国内小型株
ファンドと比較をするとどうしても見劣りしますね。
風物語は中長期で厳選投資と比較をしても、大きく
上回る成果残しています。
風物語 | 厳選投資 | |
1年 | 19.76% | 9.86% |
3年 | 14.08% | 9.23% |
5年 | 12.91% | 8.07% |
10年 | – | 16.23% |
※2020年8月時点
最大下落率は?
投資するのであれば、ファンドがどの程度下落する可能性があるのか
は知っておきたいところです。
もちろん標準偏差から変動幅を予測することはできますが、やはり
過去にどの程度下落したことがあるのかを調べるのがよいでしょう。
風物語は2020年1月~2020年3月までの間に最大▲21.57%
下落しています。
コロナショックをこれだけ軽傷で乗り切ったのは、風物語の
ファンドマネジャーが優秀だった証です。
最大下落率を知ってしまうと、少し足が止まってしまうかもしれません。
しかし、以下のことをしっかり理解しておけば、元本割れの可能性を
限りなく低くすることが可能です。
期間 | 下落率 |
1カ月 | ▲14.98% |
3カ月 | ▲21.57% |
6カ月 | ▲17.33% |
12カ月 | ▲14.13% |
※2020年8月時点
分配金の推移は?
風物語は毎年7月に分配金を出しています。
2014年以前から1000円の分配を安定的に出していますが、
私からすると、この程度の分配金を出すのであれば、分配金は
税金もかかるので、再投資してほしいと思ってしまいます。
高い収益を出していますので、分配金も当面下がることはないでしょう。
ただ、このブログでは何度も言っていますが、分配金は受け取らずに
再投資したほうが投資効率は確実に高くなります。
計算するとよくわかる!分配金を受け取ることによるデメリットとは?
分配金 | |
2020年 | 1,000円 |
2019年 | 1,000円 |
2018年 | 1,000円 |
2017年 | 1,000円 |
2016年 | 1,000円 |
※2020年8月時点
評判はどう?
風物語の評判はネットでの書き込みなどで調べる方法もありますが、
評判を知るうえで一番役に立つのが、月次の資金流出入額です。
資金が流入しているということは、それだけ風物語を購入している人が
多いということなので、評判がよくなっているということです。
風物語は、2019年以降、資金の流出が続いています。
パフォーマンスは決して悪くないのですが、やはり値動きが
大きいので、その値動きに精神的についていけなかった
投資家が多いようですね。
※引用:モーニングスター
新光日本小型株ファンド『風物語』の評価まとめと今後の見通し
いかがでしょうか?
ここまでのパフォーマンスを出しているファンドであれば、
ぜひ投資したいという人も多いと思います。
少なくとも国内中小型株、大型株ファンドの中でも、
トップクラスのパフォーマンスなので、ファンドの上限が
来て、投資ができなくなる前に、買い付けしておくのも
悪くないでしょう。
国内株式だと、多くの投資家は国内大型株ファンドを
保有する傾向にありますが、本当にリターンを追求
するのであれば、中小型株ファンドはおすすめです。
もちろん、ファンドの値動きは、かなり大きくなりますが、
その値動きに負けずに長期保有をできたときは、あなたの
資産が大きく増えているはずです。
ぜひあなたのポートフォリオの一部に国内中小型株ファンド
を組み入れることを検討してはいかがでしょうか。
当然ながら、弱点もあります。
今も私は投信運用を続けてはいますが、私がなぜ
投資信託の運用を主軸におかなくなったのか。
その理由をこちらで話をしています。
>>私が痛感する投資信託の限界。多くの投資家が見逃している投信運用の弱点