高齢化社会にとって、必ずニーズのある医薬品。その医薬品の開発に比重を置いて投資を行っているのがメディカル・サイエンス・ファンド『医療の未来』です。
今日はメディカル・サイエンス・ファンド『医療の未来』について独自の目線で徹底分析していきます。
「医療の未来って投資対象としてどうなの?」
「医療の未来って持ってて大丈夫なの?」
「医療の未来より良いファンドってある?」
といったことでお悩みの方は、この記事を最後まで読めば、悩みは解消すると思います。
メディカル・サイエンス・ファンド『医療の未来』の基本情報
投資対象は?
投資対象は、成長性の高い世界のメディカル・サイエンス企業の株式です。メディカルサイエンス企業というのは、バイオテクノロジー、医薬品、医療機器、ヘルスケアサービス等に関連する企業を指します。
国別の構成比でみると、アメリカが70%超となっている特徴のひとつです。
※引用:マンスリーレポート
現在は、94銘柄で構成されており、業種ごとの組入比率は以下のようになっています。医薬品企業が一番比率が高くなっており、次いでバイオテクノロジー、医療機器と続きます。
※引用:マンスリーレポート
純資産総額は?
続いて、純資産総額はどうなっているか見てみましょう。純資産総額というのは、あなたを含めた投資家から集めた資金の総額だと思ってください。
純資産総額が小さいと運用が効率的に行えず、余計なコストが発生したり、運用会社も運用に力を入れないため、パフォーマンスが優れないといったデメリットが発生します。
メディカル・サイエンス・ファンド『医療の未来』は、現在約440億円となっています。規模としては問題ありませんね。
※引用:マンスリーレポート
実質コストは?
私たちが支払うコストには、目論見書に記載の信託報酬以外に、株式売買委託手数料や、保管費用、印刷費用などが含まれています。
そのため、実際に支払うコストは、目論見書記載の額より高くなるのが通例で、実際にかかる実質コストをもとに投資判断をしなければなりません。
信託報酬を信用するな。知らないうちに差し引かれている実質コストの調べ方
毎年必ず、発生するコストですので、低いに越したことはありません。メディカル・サイエンス・ファンド『医療の未来』の実質コストは2.006%とかなり高くなっています。
初年度は、購入時手数料と併せて5%を超えてきますので、相当良いファンド出ない限りはおすすめできません。
購入時手数料 | 3.3%(税込)※上限 |
信託報酬 | 1.98%(税込) |
信託財産留保額 | 0 |
実質コスト | 2.006%(概算値) |
※引用: 最新運用報告書
「ファンドの運用で成果を出すために一番大事なことは何ですか?」と聞かれてあなたは何と答えますか?
もし『ファンド選び』だと思ったとしたら、あなたはドツボに
はまっていますので、こちらの記事を読んでみてください。
メディカル・サイエンス・ファンド『医療の未来』の評価分析
基準価額をどう見る?
メディカル・サイエンス・ファンド『医療の未来』の分配金を再投資した時の基準価額は緩やかではありますが、2021年以降着実に上昇しています。
2022年は特に下落している株式ファンドが多い中で、医療というテーマ型ファンドだっため、下落幅が小さく済んでいます。
※引用:ウエルスアドバイザー
利回りはどれくらい?
メディカル・サイエンス・ファンド『医療の未来』の直近1年間の利回りは+19.97%となっています。3年、5年平均利回りも10%以上のプラスとなっており、悪くない運用ができています。
ただし、この利回りだけを見て、投資判断してはいけません。他の類似ファンドとパフォーマンスを比較してから投資をするようにしてください。
ちなみにあなたは実質利回りの計算方法はすでに理解していますか?もし、理解していないのであれば、必ず理解しておいてください。
平均利回り | |
1年 | +19.97% |
3年 | +15.52% |
5年 | +10.63% |
10年 | - |
※2023年9月時点
10年間高いパフォーマンスを出し続けている優秀なファンド達も参考にしてみてください。
10年平均利回りランキングで見る圧倒的に優れた投資信託まとめ
同カテゴリー内での利回りランキングは?
せっかく投資をするのであれば、同じカテゴリー内でも、優れたファンドに投資をするべきです。メディカル・サイエンス・ファンド『医療の未来』は北米株式カテゴリーに属しています。
医療の未来は直近1年間のパフォーマンスは上位40%となっており、長期のパフォーマンスになればなるほど順位を落としています。
一見すると、パフォーマンスが優れているように見えても、こうやって比較するともっと優れたファンドがたくさんあることに気づけます。
上位●% | |
1年 | 40% |
3年 | 69% |
5年 | 70% |
10年 | - |
※2023年9月時点
年別のパフォーマンスは?
メディカル・サイエンス・ファンド『医療の未来』の年別のパフォーマンスを見てみましょう。
2016年、2018年はマイナスとなっていますが、2020年、2022年と多くの株式ファンドが苦戦した時期は、逆にプラスの運用ができており、一般的な株式ファンドとは値動きが違うという特徴がありますね。
年間利回り | |
2023年 | +11.37%(1-9月) |
2022年 | +11.12% |
2021年 | +14.73% |
2020年 | +8.16% |
2019年 | +25.09% |
2018年 | ▲3.61% |
2017年 | +17.40% |
2016年 | ▲17.09% |
2015年 | +5.45% |
※2023年9月時点
投信運用は長期投資が前提なので、つい出口戦略を考えずに投資をしてしまいがちです。
しかし、「投資は出口戦略にあり」と言われるほど、重要なテーマです。ぜひこれを機会に投資の出口戦略を考えてみてください。
>>まさか考えたことがない?運用が成功するか失敗するかすべてのカギを握る投信運用の出口戦略インデックスファンドとのパフォーマンス比較
メディカル・サイエンス・ファンド『医療の未来』への投資を検討するのであれば、低コストのインデックスファンドよりもパフォーマンスが優れているかは確認しておきましょう。
医療系のファンドではありませんが、アメリカ株式の比率が近い超低コストのeMAXIS Slim 先進国株式インデックスと比較をしてみました。
※引用:ウエルスアドバイザー
直近3年間においては、どの期間で見ても、医療の未来のほうが劣っています。eMAXIS Slim 先進国株式インデックスのパフォーマンスが良すぎるというのもありますが、それにしても差がつきました。
より長期のパフォーマンスがどうなっているかを見てみると、こちらもeMAXIS Slim先進国株式インデックスのほうが上回っており、これでは高いコストを支払ってまで投資をしたいとは思えません。
年平均利回り | 医療の未来 | Slim 先進国 |
1年 | +19.97% | +21.49% |
3年 | +15.52% | +21.52% |
5年 | +10.63% | +15.06% |
10年 | - | - |
※2023年9月時点
アクティブファンドとのパフォーマンス比較
メディカル・サイエンス・ファンド『医療の未来』への投資を検討するのであれば、他のアクティブファンドとパフォーマンスを比較してからでも遅くありません。
今回は先進国株式を中心に投資ができるファンドとしては、非常に人気の高いセゾン投信の資産形成の達人ファンドとパフォーマンスを比較します。
※引用:ウエルスアドバイザー
かなり競っていますが、直近のパフォーマンスでは資産形成の達人ファンドのほうが上回っていることが分かります。より中長期のパフォーマンスで比較してみても、資産形成の達人ファンドが勝っていますね。
年平均利回り | 医療の未来 | 資産形成の達人 |
1年 | +19.97% | +18.85% |
3年 | +15.52% | +15.99% |
5年 | +10.63% | +10.89% |
10年 | - | +12.87% |
※2023年9月時点
最大下落率は?
メディカル・サイエンス・ファンド『医療の未来』に投資をする前に、最大でどの程度下落する可能性があるのかを知っておくことは非常に重要です。
どの程度下落する可能性があるかを把握しておけば、大きく下落した相場でも比較的落ち着いて保有を続けられるからです。
それではメディカル・サイエンス・ファンド『医療の未来』の最大下落率を見てみましょう。
期間 | 下落率 |
1カ月 | ▲15.50% |
3カ月 | ▲21.05% |
6カ月 | ▲27.95% |
12カ月 | ▲30.53% |
※2023年9月時点
最大下落率は2015年7月~2016年6月の1年間で▲30.53%となっています。コロナショックよりも2015年のほうが下落のインパクトは大きかったようです。
最大下落率を知ってしまうと、少し足が止まってしまうかもしれません。しかし、以下のことをしっかり理解しておけば、元本割れの可能性を限りなく低くすることが可能です。
評判はどう?
メディカル・サイエンス・ファンド『医療の未来』の評判はネットでの書き込みなどで調べる方法もありますが、評判を知るうえで一番役に立つのが、月次の資金流出入額でしょう。
資金が流出しているということは、それだけこのファンドを解約している人が多いということなので、評判が悪いということです。
直近では資金流入している月もありますが、2016年以降はほぼ毎月資金流出しているような状況ですので、評判が良いとは言えませんね。
※引用:ウエルスアドバイザー
NISAとiDeCoの対応状況は?
投資をしようとする際、NISAやiDeCoの制度を使って投資を検討している人も多いと思うので、NISAやiDeCoの対応状況を見ていきます。
医療の未来のNISAやiDeCoの対応状況ですが、NISAのみ対応しているので、投資をする際はNISAを活用していきましょう。
NISA | iDeCo |
〇 | × |
※2023年9月時点
メディカル・サイエンス・ファンド『医療の未来』の評価まとめと今後の見通し
このブログでは何度か話をしていますが、投資対象としてバイオ系のファンドはおすすめしていません。
メディカル・サイエンス・ファンド『医療の未来』の構成銘柄の大部分は医薬品の開発メーカーが占めていますが、医薬品の開発は一発当たれば大きく株価が上昇するものの、最後の最後まで成功するかは誰にも予想ができません。
臨床試験で、万が一予測不可能な副作用が見つかってしまったら、何年もかけてきた研究が水の泡となります。
人の努力でどうにかなる問題であればよいのですが、努力でどうにかなる問題でもありません。
社会貢献という意味では非常に価値あるテーマですが、投資テーマとしては、コントロールできない要因に左右されすぎるテーマだと感じています。
またパフォーマンスの観点でも、インデックスファンドに負けてしまっているので、あえて高いコストを支払ってまで投資をする理由がありません。
それであれば、より長期で高い成果を出しているセゾン投信の資産形成の達人ファンドを選択するのが無難でしょう。
最後に、投信運用には多くのメリットもありますが、当然ながら、弱点もあります。
今も私は投信運用を続けてはいますが、私がなぜ投資信託の運用を主軸におかなくなったのか。その理由をこちらで話をしています。
>>なぜ私が投信運用に限界を感じたのか。多くの投資家が見逃している投信運用の弱点