米国株人気はここ数年衰えることを知りませんが、また新たに登場したのが、米国の大型株式に投資をしていくJPモルガンアセットのJPモルガン・アメリカ成長株ファンド『愛称:アメリカの星』です。
これだけ米国ファンドが多数運用されている中で、まだ新規で設定するかと思ってしまいますが、果たしてどのようなファンドなのでしょうか。
アメリカの星には、年1回決算型と予想分配型の2種類があり、為替有と無の2種類があります。今日は、一番人気の年1回決算型の為替無しを中心に残りのファンドとも比較をしながら、分析していきます。
「JPモルガン・アメリカ成長株ファンド『愛称:アメリカの星』って投資対象としてどうなの?」
「JPモルガン・アメリカ成長株ファンド『愛称:アメリカの星』って持ってて大丈夫なの?」
「JPモルガン・アメリカ成長株ファンド『愛称:アメリカの星』より良いファンドってある?」
といったことでお悩みの方は、この記事を最後まで読めば、悩みは解消すると思います。
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JPモルガン・アメリカ成長株ファンド『愛称:アメリカの星』の基本情報
投資対象は?
アメリカの星の投資対象は米国の大型成長株です。ただ場合によってはカナダの株式にも投資をするようです。
以下のように、リーマンショック後の10年近くは、とにかく米国の大型株が強かったこともあり、この傾向が今後も続くと考えているということでしょう。
※引用:交付目論見書
組入れ比率を見てみると、よく見る銘柄が上位を占めており、あまり特徴はないと言えます。
※引用:マンスリーレポート
純資産総額は?
続いて、純資産総額はどうなっているか見てみましょう。純資産総額というのは、あなたを含めた投資家から集めた資金の総額だと思ってください。
純資産総額は大きいほうが、ファンドマネージャーが資金を運用する際に効率よくできたり、保管費用や監査費用が相対的に低くなりますので、コストが低く抑えられます。
また投資信託の規模が小さくなると運用会社自体がその投資信託に力を注がなくなりパフォーマンスが悪くなることもありますので注意が必要です。
アメリカの星の純資産は約175億円となっており、順調な滑り出しと言えます。米国株はとにかく好調なので、資金が集まる理由もよくわかりますね。
実質コストは?
私たちが支払うコストには、目論見書に記載の信託報酬以外に、株式売買委託手数料や、保管費用、印刷費用などが含まれています。
そのため、実際に支払うコストは、目論見書記載の額より高くなるのが通例で、実際にかかる実質コストをもとに投資判断をしなければなりません。
信託報酬を信用するな。知らないうちに差し引かれている実質コストの調べ方
アメリカの星の実質コストはファンド・オブ・ファンズの高コスト構造になっていることから、1.74%となっています。
パフォーマンスが優れていればよいですが、購入時手数料と信託報酬をしっかり取られることを考えると気軽には投資をできません。
購入時手数料 | 3.3%(税込)※上限 |
信託報酬 | 1.62%(税込) |
信託財産留保額 | なし |
実質コスト | 1.74% |
※引用:最新運用報告書
「ファンドの運用で成果を出すために一番大事なことは何ですか?」と聞かれてあなたは何と答えますか?
もし『ファンド選び』だと思ったとしたら、あなたはドツボに
はまっていますので、こちらの記事を読んでみてください。
JPモルガン・アメリカ成長株ファンド『愛称:アメリカの星』の評価分析
基準価額をどう見る?
アメリカの星の基準価額を見てみましょう。まだ運用期間が短いですが、大きく上下に変動しながらも、プラスの運用はできていますね。
※引用:モーニングスター
利回りはどれくらい?
続いて、アメリカの星の利回りを見ていきます。
直近1年間の利回りは▲0.33%となっています。投資信託は長期保有が前提ですので、短期のマイナスはあまり気にしなくても構いません。
この時点でいいか悪いか判断せず、他の他のファンドと比較をしてから投資判断するようにしましょう。
ちなみにあなたは実質利回りの計算方法はすでに理解していますか?もし、理解していないのであれば、必ず理解しておいてください。
平均利回り | |
1年 | ▲0.33% |
3年 | - |
5年 | - |
10年 | - |
※2022年10月時点
同カテゴリー内での利回りランキングは?
アメリカの星は北米株式カテゴリーに属しています。
パフォーマンスが良く見えても、実はもっと優れたファンド見つかることもありますので、同カテゴリー内でのパフォーマンスは必ず比較するようにしてください。
アメリカの星は、北米カテゴリー内で平均以下の水準となっており、良くも悪くもない程度のパフォーマンスとなっていることがわかります。
上位●% | |
1年 | 56% |
3年 | - |
5年 | - |
10年 | - |
※2022年10月時点
年別の運用利回りは?
アメリカの星の年別の運用パフォーマンスを見てみましょう。
まだ運用期間が短いので、あまり参考にならないですね。
年間利回り | |
2022年 | ▲9.33%(1-9月) |
2021年 | +23.59%(4-12月) |
※2022年10月時点
投信運用は長期投資が前提なので、つい出口戦略を考えずに投資をしてしまいがちです。
しかし、「投資は出口戦略にあり」と言われるほど、重要なテーマです。ぜひこれを機会に投資の出口戦略を考えてみてください。
>>まさか考えたことがない?運用が成功するか失敗するかすべてのカギを握る投信運用の出口戦略インデックスファンドとの利回り比較
アメリカの星に投資を検討しているのであれば、より低コストのインデックスファンドとのパフォーマンスは比較しておいて損はありません。
アメリカの星は米国の大型株に投資をするファンドなので、米国の大型株の指数であるS&P500に連動するeMAXIS Slim米国株式(S&P500)とパフォーマンスを比較してみました。
※引用:モーニングスター
同じ米国株に投資をするファンドであるにもかかわらず、すでに20%以上差がついており、これではあえて高いコストを支払ってまでアメリカの星に投資をする理由が見当たりません。
アメリカの星 | Slim米国株式 | |
1年 | ▲0.33% | +9.42% |
3年 | - | +19.72% |
5年 | - | - |
10年 | - | - |
※2022年10月時点
アクティブファンドとの利回り比較
アメリカの星に投資を検討しているのであれば、他のアクティブファンドとパフォーマンスを比較しておいて損はありません。
そこで、今回は米国の大型株を中心にアクティブ運用しているアライアンス・バーンスタインの米国成長株投信Bコースとパフォーマンスを比較しました。
※引用:モーニングスター
こちらも運用開始から2年でかなり差がついています。これだけ差がつくと、高いコストを支払うのであれば、米国成長株投信に投資をしたいと思ってしまいます。
アメリカの星 | 米国成長株投信 | |
1年 | ▲0.33% | ▲2.18% |
3年 | - | +19.77% |
5年 | - | +16.49% |
10年 | - | +20.33% |
※2022年10月時点
アメリカの星の他コースとの利回り比較
アメリカの星へ投資をするのであれば、為替ヘッジ有と無、年1回決算型と予想分配型のどれを選ぶかで迷う人もいると思います。
そこで、4つのファンドのパフォーマンスを比較しました。
まず、為替ヘッジ有と無で見ると、為替ヘッジ無のほうがパフォーマンスが高くなっています。このブログでは常々言っていますが、為替の将来を予測することは不可能に近いので、為替ヘッジコストのことを考えると、ヘッジ無を選択しておけばよいと思います。
どうしても為替リスクを抑えたいという人は為替ヘッジ有を選択しても全く問題ありません。年1回決算型と予想分配型では、まだ分配金を出していないことから、パフォーマンスは変わっていません。
最大下落率は?
投資をするにあたって、気になるのが「このファンドはどの程度下落することがあるのか」という点でしょう。標準偏差である程度は理解できるものの、やはり実際の下落幅をみたほうが心構えができます。
アメリカの星の最大下落率は2022年1月の▲15.48%となっています。
期間 | 下落率 |
1カ月 | ▲15.48% |
3カ月 | ▲14.46% |
6カ月 | ▲13.13% |
12カ月 | ▲1.63% |
※2022年10月時点
まだ運用期間が短いこともあり、これくらいの下落で済んでいますが、今後は30~40%の下落をする可能性があることは覚悟しておいてください。
評判はどう?
続いて、アメリカの星の評判を見てみましょう。
ネットでの書き込みなどで調べる方法もありますが、評判を知るうえで一番役に立つのが、月次の資金流出入額です。資金が流入しているということは多くの投資家がファンドを購入しているということなので、評判がいいということになります。
運用を開始の時点では資金も毎月どんどん流入していましたが、パフォーマンスがすぐれないことから流入と流出を繰り返しています。
※引用:モーニングスター
JPモルガン・アメリカ成長株ファンド『愛称:アメリカの星』の評価まとめと今後の見通し
いかがでしょうか?
今まで米国株のファンドに投資をしたことがない人であれば、米国株のアクティブファンドをポートフォリオに入れるというのは悪い考えではありません。
ただ、低コストのインデックスファンドに2年程度で20%近い差をつけられてしまっている時点で、あえて高いコストを支払ってまで投資をする価値があるとは思えません。
また米国株に投資ができるアクティブファンドは山ほどあり、もう10年以上、高いパフォーマンスを出し続けているファンドも存在します。
その1例がさきほど比較したアライアンス・バーンスタインの米国成長株投信Bコースだったわけですが、コストが同じくらいなのであれば、すでに高い実績を出しているファンドを選択したほうが賢明です。
米国株のファンドなので、大きな火傷をすることにはならないですが、せっかく投資をするのであれば、パフォーマンスの優れたファンドを選ぶようにしましょう。
最後に、投信運用には多くのメリットもありますが、当然ながら、弱点もあります。
今も私は投信運用を続けてはいますが、私がなぜ投資信託の運用を主軸におかなくなったのか。その理由をこちらで話をしています。
>>なぜ私が投信運用に限界を感じたのか。多くの投資家が見逃している投信運用の弱点