最近では当たり前となった米国株投資ですが、20年以上から米国株式に注目し設定されたのが、ブラックロック・ジャパンののブラックロック・USベーシック・バリュー・オープンです。
今日は、ブラックロック・USベーシック・バリュー・オープンについて独自目線で分析していきます。
「ブラックロック・USベーシック・バリュー・オープンって投資対象としてどうなの?」
「ブラックロック・USベーシック・バリュー・オープンって持ってて大丈夫なの?」
「ブラックロック・USベーシック・バリュー・オープンより良いファンドってある?」
といったことでお悩みの方は、この記事を最後まで読めば、悩みは解消すると思います。
ブラックロック・USベーシック・バリュー・オープンの基本情報
投資対象は?
ブラックロック・USベーシック・バリュー・オープンの投資対象は、米国株式を投資対象として、市場で過小評価されている株式に投資をして値上がり益を狙っていきます。
ブラックロックの運用チームが狙う株は以下のようなサイクルにある低バリュエーションの株式です。
投資家は入手可能な情報をすべて入手した上で客観的に投資判断をしていないため、本来の価値(ベーシックバリュー)よりも割安に評価されている株があります。ですので、その株を購入し、適切に評価されるまでに株価が戻ったら、売却するという戦略ですね。
業種別でみると、ヘルスケアや銀行の比率が高くなっています。現在のブラックロック・USベーシック・バリュー・オープンの組入銘柄数は65銘柄となっています。米国の超大型銘柄を中心に投資をしており、ポートフォリオに珍しさはないですね。
※引用:マンスリーレポート
つみたてNISAとiDeCoの対応状況は?
ブラックロック・USベーシック・バリュー・オープンのつみたてNISAやiDeCoの対応状況ですが、残念ながら、どちらも対応していません。
つみたてNISA | iDeCo |
× | × |
※2022年10月時点
純資産総額は?
続いて、ブラックロック・USベーシック・バリュー・オープンの純資産総額はどうなっているか見てみましょう。純資産総額というのは、あなたを含めた投資家から集めた資金の総額だと思ってください。
純資産総額は大きいほうが、ファンドマネージャーが資金を運用する際に効率よくできたり、保管費用や監査費用が相対的に低くなりますので、コストが低く抑えられます。
また投資信託の規模が小さくなると運用会社自体がその投資信託に力を注がなくなったり、償還されてしまったりと良いことがありません。
その点、ブラックロック・USベーシック・バリュー・オープンは、現在は310億円の規模がありますので、特に心配はないと言えます。
実質コストは?
私たちが支払うコストには、目論見書に記載の信託報酬以外に、株式売買委託手数料や、保管費用、印刷費用などが含まれています。
そのため、実際に支払うコストは、目論見書記載の額より高くなるのが通例で、実際にかかる実質コストをもとに投資判断をしなければなりません。
ブラックロック・USベーシック・バリュー・オープンの実質コストは1.86%とかなり高くなっています。購入時手数料も高いので、なかなか投資しづらいファンドであることは間違いありませんね。
購入時手数料 | 3.3%(税込)※上限 |
信託報酬 | 1.771%(税込) |
信託財産留保額 | なし |
実質コスト | 1.86%(概算値) |
※引用:最新運用報告書
「ファンドの運用で成果を出すために一番大事なことは何ですか?」と聞かれてあなたは何と答えますか?
もし『ファンド選び』だと思ったとしたら、あなたはドツボに
はまっていますので、こちらの記事を読んでみてください。
ブラックロック・USベーシック・バリュー・オープンの評価分析
基準価額をどう見る?
続いて、ブラックロック・USベーシック・バリュー・オープンの基準価額の推移を見てみましょう。
コロナショック以降、堅調に推移しており、多くの株式ファンドが2022年は下落している中で、上昇を続けています。
※引用:モーニングスター
利回りはどれくらい?
続いて、ブラックロック・USベーシック・バリュー・オープンの利回りを見ていきます。
直近1年間の利回りは12.78%となっています。3年、5年。10年平均利回りも、ほぼ10%を超えていますので、かなり優秀なパフォーマンスのように見えます。
ただ、この時点でいいか悪いか判断しないようにしてください。他のファンドと比較をしてから投資判断するようにしましょう。
ちなみにあなたは実質利回りの計算方法はすでに理解していますか?もし、理解していないのであれば、必ず理解しておいてください。
平均利回り | |
1年 | +12.78% |
3年 | +14.58% |
5年 | +9.49% |
10年 | +13.96% |
※2022年10月時点
10年間高いパフォーマンスを出し続けている優秀なファンド達も参考にしてみてください。
10年間圧倒的に高いリターンを出している米国株式ファンドランキング
同カテゴリー内での利回りランキングは?
ブラックロック・USベーシック・バリュー・オープンは北米株式カテゴリーに属しています。
パフォーマンスが良く見えても、実はもっと優れたファンド見つかることもありますので、同カテゴリー内でのパフォーマンスは必ず比較するようにしてください。
ブラックロック・USベーシック・バリュー・オープンは、どの期間も10%を超えていたので、悪くないように見えましたが、同カテゴリー内で見ると、平均的もしくは少し平均以下といったパフォーマンスであったことがわかります。
上位●% | |
1年 | 16% |
3年 | 60% |
5年 | 58% |
10年 | 68% |
※2022年10月時点
年別運用パフォーマンスは?
ブラックロック・USベーシック・バリュー・オープンの年別の運用パフォーマンスを見てみましょう。
2018年、2020、2022年と年はマイナスとなっており、思ったよりもマイナスのパフォーマンスのほうが多くなっていますね。平均で見ると、10%を超える利回りでも、実態はマイナスの年や大きくプラスの年が混ざっていることを忘れないでください。
年間利回り | |
2022年 | ▲6.66%(1-9月) |
2021年 | +34.93% |
2020年 | ▲3.91% |
2019年 | +21.63% |
2018年 | ▲12.06% |
※2022年10月時点
投信運用は長期投資が前提なので、つい出口戦略を考えずに投資をしてしまいがちです。
しかし、「投資は出口戦略にあり」と言われるほど、重要なテーマです。ぜひこれを機会に投資の出口戦略を考えてみてください。
>>ここまで考えるのが本当の資産運用。多くの投資家が考えられていない投信運用の出口戦略とはインデックスファンドとの利回り比較
ブラックロック・USベーシック・バリュー・オープンへの投資を検討するのであれば、少なくとも低コストのインデックスファンドよりはパフォーマンスが優れていなければ投資する価値がありません。
ブラックロック・USベーシック・バリュー・オープンは、米国株に投資をしていきますので、米国の代表的な指数であるS&P500に連動するeMAXIS Slim 米国株式(S&P500)と比較をしました。
※引用:モーニングスター
直近の3年間では、ほぼ全期間において、eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)がパフォーマンスで上回っています。
この結果を見てしまうと、あえて高いコストを支払て、ブラックロック・USベーシック・バリュー・オープンに投資するメリットを感じません。
BR USベーシック | Slim 米国株式 | |
1年 | +12.78% | +9.42% |
3年 | +14.58% | +19.72% |
5年 | +9.49% | - |
10年 | +13.96% | - |
※2022年10月時点
類似ファンドとの利回り比較
アクティブファンドに投資をするのであれば、他のアクティブファンドとパフォーマンスを比較しておいて損はありません。
今回は、ブラックロック・USベーシック・バリュー・オープンと同じように米国株に投資をしているアライアンス・バーンスタインの米国成長株投信Bコースとパフォーマンスを比較しました。
※引用:モーニングスター
こちらも3年間ずっと米国成長株投信のほうがパフォーマンスで上回っています。
eMAXIS Slim米国株式にしても米国成長株投信にしても、かなり優れたファンドですので、なかなかそこに勝つというのは難しいのですが、ある程度競るくらいのパフォーマンスでないと投資をするメリットを感じないですね。
BR USベーシック | 米国成長株B | |
1年 | +12.78% | ▲2.18% |
3年 | +14.58% | +19.77% |
5年 | +9.49% | +16.49% |
10年 | +13.96% | +20.33% |
※2022年10月時点
より長期のパフォーマンスで見ても、米国成長株投信のほうがパフォーマンスでは上回っています。
最大下落率はどれくらい?
投資をするにあたって、気になるのが「このファンドはどの程度下落することがあるのか」という点でしょう。標準偏差である程度は理解できるものの、やはり実際の下落幅をみたほうが心構えができます。
期間 | 下落率 |
1カ月 | ▲19.96% |
3カ月 | ▲41.38% |
6カ月 | ▲46.98% |
12カ月 | ▲52.36% |
※2022年10月時点
ブラックロック・USベーシック・バリュー・オープンは2008年1月~2008年12月の1年間で最大52.36%下落しました。リーマンショック級の暴落が来たときは、これくらい下落することもありますので、株式ファンドに投資をするのであれば、最悪これくらいのことはあり得ると思って投資をするようにしてください。
最大下落率を知ってしまうと、少し足が止まってしまうかもしれません。しかし、以下のことをしっかり理解しておけば、元本割れの可能性を限りなく低くすることが可能です。
評判はどう?
ブラックロック・USベーシック・バリュー・オープンの評判はネットでの書き込みなどで調べる方法もありますが、評判を知るうえで一番役に立つのが、月次の資金流出入額です。
資金が流入しているということは、それだけブラックロック・USベーシック・バリュー・オープンを購入している人が多いということなので、評判が良くなっているということです。
ブラックロック・USベーシック・バリュー・オープンは2021年には資金が流入していましたが、それ以降は、流出が続いています。
パフォーマンスでインデックスファンドに大きく後れを取るとなるとあえて投資をするメリットがないので、当然と言えば、当然の結果になっています。
※引用:モーニングスター
ブラックロック・USベーシック・バリュー・オープンの評価まとめと今後の見通し
いかがでしょうか?
2022年は米国市場も数年ぶりに下落トレンド入りしており、最近投資を始めた人はアタフタしている人もいると思います。
その点、ブラックロック・USベーシック・バリュー・オープンは2022年もプラスの運用ができているので、評価に値します。
ただ、他のファンドと比較をしてみると、eMAXIS Slim米国株式のような超低コストのインデックスファンドにパフォーマンスで負けており、アクティブファンドでも、米国成長株投信に大きく差をつけられています。
ですので、悪くないファンドではありますが、米国株のファンドをあえて1本選ぶときに入ってくることはないですね。
最後に、投信運用には多くのメリットもありますが、当然ながら、弱点もあります。
今も私は投信運用を続けてはいますが、私がなぜ投資信託の運用を主軸におかなくなったのか。その理由をこちらで話をしています。
>>私が痛感する投資信託の限界。多くの投資家が見逃している投信運用の弱点