最近やはりのSDGsをテーマにした、三井住友DSアセットの
世界インパクト投資ファンド『Better World』。
社会貢献度が高い仕事というのは、どうしても儲けが少ないと
思われがちですが、社会貢献度も高く、経済的利益も大きい分野に
対して投資をしていくファンドが注目を集め始めました。
「世界インパクト投資ファンド『Better World』って投資対象としてどうなの?」
「世界インパクト投資ファンド『Better World』って持ってて大丈夫なの?」
「世界インパクト投資ファンド『Better World』より良いファンドってある?」
といったことでお悩みの方は、この記事を最後まで読めば、
悩みは解消すると思います。
今日は世界インパクト投資ファンド『Better World』について
徹底的に分析していきます。
世界インパクト投資ファンド『Better World』の基本情報
投資対象は?
投資対象は主として、世界の株式の中から社会的な課題の解決に
あたる革新的な技術やビジネスモデルを有する企業に投資を行います。
世界インパクト投資ファンド『Better World』では、「衣食住の確保」
「生活の質向上」「環境問題」の3つのカテゴリーを対象に10の投資
テーマを設け、銘柄選定を行っていきます。
組入銘柄の構成比率を見ると、「衣食住の確保」が約4割、
「生活の質向上」が約3割、「環境問題」が約3割の比率となっています。
※引用:マンスリーレポート
組入銘柄数は約56銘柄で、国別の構成比を見てみると、
約50%がアメリカとなっており、次いで、オランダ、ドイツ、
フランスが続きます。
※引用:マンスリーレポート
運用体制は?
実質的な運用は、ウエリントン・マネージメント・カンパニー・
エルエルピーが行います。
ウエリントンは1928年設立の米国で最も歴史のある大手独立系運用会社
です。50か国以上の機関投資家向けに米国ならびにグローバルの株式・
債券の運用を行っています。
純資産総額は?
続いて、純資産総額はどうなっているか見てみましょう。
純資産総額というのは、あなたを含めた投資家から集めた資金の
総額だと思ってください。
ファンドの純資産総額が小さいと、適切なタイミングで銘柄を入れ
替えることができなかったり、純資産総額が大きく減少していると、
ファンドの組み替えがうまくできず、予期せぬマイナスを生む
可能性がありますので、事前に確認すべきポイントの1つです。
世界インパクト投資ファンド『Better World』は、2018年以降
純資産の伸びが停滞しており、現在は260億円ほどとなっています。
規模としては全く問題ありませんね。
※引用:マンスリーレポート
実質コストは?
私たちが支払うコストには、目論見書に記載の信託報酬以外に、
株式売買委託手数料や、保管費用、印刷費用などが含まれています。
そのため、実際に支払うコストは、目論見書記載の額より高くなる
のが通例で、実際にかかる実質コストをもとに投資判断をしなければ
なりません。
信託報酬を信用するな。知らないうちに差し引かれている実質コストの調べ方
世界インパクト投資ファンド『Better World』の実質コストは2.13%と
前期と比べるとまだまともな水準になりましたが、それでも、かなり
割高であることに変わりはありません。
内訳を確認すると、株式の売買回転率が高く、銘柄の入れ替えに
伴うコストが多くかかっているようです。
購入時手数料 | 3.3%(税込) |
信託報酬 | 1.98%(税込) |
信託財産留保額 | 0 |
実質コスト | 2.13%(概算値) |
※引用:最新の運用報告書
と聞かれてあなたは何と答えますか?
もし『ファンド選び』だと思ったとしたら、あなたはドツボに
はまっていますので、こちらの記事を読んでみてください。
>>無料ファンド相談から見えた。多くの人が気づいていない投信運用で成果を阻む9つの誤り
世界インパクト投資ファンド『Better World』の評価分析
基準価額をどう見る?
現在の世界インパクト投資ファンド『Better World』の基準価額は
コロナショックで大きく下落したあと、ようやく元の水準まで、
戻ってきました。
ただし、他の優秀なファンドだとすでに、コロナ前の高値を更新
していたりするので、悪くはない程度のパフォーマンスです。
※引用:モーニングスター
利回りはどれくらい?
続いて、世界インパクト投資ファンド『Better World』の利回りを
見ていきます。
直近1年間の利回りは10.03%となっています。
どの期間においても5%程度の利回りは確保できていますので、
まずまずの成果と言えます。
海外株式ファンドだと、このあたりの利回りが安定的に
稼げれば、とりあえずの及第点でしょう。
ちなみにあなたは実質利回りの計算方法はすでに理解していますか?
もし、理解していないのであれば、必ず理解しておいてください。
平均利回り | |
1年 | 10.03% |
3年 | 5.66% |
5年 | – |
10年 | – |
※2020年10月時点
10年間高いパフォーマンスを出し続けている優秀なファンド達も
参考にしてみてください。
10年間圧倒的に高いリターンを出している先進国株式ファンドランキング
同カテゴリー内での利回りランキングは?
世界インパクト投資ファンド『Better World』は日本株を含む
グローバル株式カテゴリーに属しています。
投資をするのであれば、同カテゴリーでも優秀なパフォーマンスの
ファンドに投資をしたいと思うので、同カテゴリー内での
パフォーマンスのランキングを調べました。
世界インパクト投資ファンド『Better World』は、上位30%程度の
利回りなので、まずまずのパフォーマンスです。
上位●% | |
1年 | 44% |
3年 | 34% |
5年 | – |
10年 | – |
※2020年10月時点
年別のパフォーマンスは?
世界インパクト投資ファンド『Better World』の
年別のパフォーマンスを見てみましょう。
2018年は大きくマイナスとなりましたが、2017年、
2019年はしっかりとプラスのリターンを確保できています。
年間利回り | |
2020年 | 7.47%(1-9月) |
2019年 | +26.15% |
2018年 | ▲14.62% |
2017年 | +30.45% |
2016年 | – |
※2020年10月時点
考えずに投資をしてしまいがちです。
しかし、「投資は出口戦略にあり」と言われるほど、
重要なテーマです。
ぜひこれを機会に投資の出口戦略を考えてみて
ください。
>>ここまで考えるのが本当の資産運用。多くの投資家が考えられていない投信運用の出口戦略とは
インデックスファンドとのパフォーマンス比較
世界インパクト投資ファンド『Better World』への投資を
検討するのであれば、少なくとも低コストのインデックス
ファンドよりはパフォーマンスが優れていなければ投資する
価値がありません。
今回は、先進国株式の代表的なファンドであるeMAXIS Slim
先進国株式インデックスとパフォーマンスを比較しました。
※引用:モーニングスター
世界インパクト投資ファンド『Better World』はすべての
期間でeMAXIS Slim先進国株式インデックスに負けており、
これでは高いコストを支払ってまで投資をする価値がありません。
BetterWorld | スリム先進国 | |
1年 | 10.03% | 8.56% |
3年 | 5.66% | 5.98% |
5年 | – | – |
10年 | – | – |
※2020年10月時点
類似ファンドとのパフォーマンス比較
アクティブファンドに投資をするのであれば、他のアクティブ
ファンドとパフォーマンスを比較しておいて損はありません。
今回は、世界インパクト投資ファンド『Better World』と
同じように先進国株に分散投資をしている
大和住銀 DC海外株式アクティブファンドと比較を行いました。
※引用:モーニングスター
こう比較をすると、大和住銀 DC海外株式アクティブファンド
が圧倒的に優れていることがわかります。
世界インパクト投資ファンド『Better World』も決して悪い
ファンドではないのですが、大和住銀 DC海外株式アクティブ
ファンドが優秀過ぎますね。
BetterWorld | DC海外株式 | |
1年 | 10.03% | 37.43% |
3年 | 5.66% | 16.46% |
5年 | – | 15.89% |
10年 | – | 15.67% |
※2020年10月時点
最大下落率は?
世界インパクト投資ファンド『Better World』への投資を
検討するのであれば、どの程度下落する可能性があるのかは
知っておきたいところです。
標準偏差からある程度の変動範囲は予測できますが、過去に
実際にどの程度下落したのかを確認しておいたほうがよいで
しょう。
世界インパクト投資ファンド『Better World』の最大下落率は、
2020年1月〜2020年3月で▲24.37%となっています。
株式ファンドですので、最悪これくらい下落することもあり得る
というのは、心にとどめておいてください。
リーマンショックと比べると、コロナショックはまだまだ
かわいいレベルだというのがよくわかりますね。
最大下落率を知ってしまうと、少し足が止まってしまうかも
しれません。しかし、以下のことをしっかり理解しておけば、
元本割れの可能性を限りなく低くすることが可能です。
期間 | 下落率 |
1カ月 | ▲21.11% |
3カ月 | ▲24.37% |
6カ月 | ▲18.07% |
12カ月 | ▲15.38% |
※2020年10月時点
分配金の推移は?
つづいて分配金の推移を見ていきましょう。分配は毎年2月、8月
の2回行われます。
2017年は2月に1100円、8月に1000円と高額の分配がされました。
2018年2月も700円の分配があり、注目を集めましたが、その後は
パフォーマンスが優れず分配金の支払いもかなり渋くなっています。
分配金 | |
2020年 | 300円 |
2019年 | 0円 |
2018年 | 850円 |
2017年 | 2,100円 |
2016年 | – |
※2020年10月時点
評判はどう?
ネットでの書き込みなどで調べる方法もありますが、評判を知る
うえで一番役に立つのが、月次の資金流出入額でしょう。
資金が流入しているということは、それだけこのファンドを購入
している人が多いということなので、評判が良いということです。
世界インパクト投資ファンド『Better World』は2018年に入り、
急に資金が大きく流入し始めており、人気を集めましたが、
2019年以降はパフォーマンスが優れないこともあり、
資金流出が続いています。
ここからは決して評判がよいファンドではないことがわかります。
※引用:モーニングスター
世界インパクト投資ファンド『Better World』の評価まとめと今後の見通し
近年、ESG投資は非常に注目を集めており、色々な場所で、
運用会社は販売会社がセミナーを行っています。
テーマとしては、社会意義もあり、共感する部分もあるのですが、
やはり投資という目線で見れば収益を重視するべきだと思います。
今後も1桁中盤から後半の利回りは期待できると思いますが、
世界インパクト投資ファンド『Better World』は実質コストも
異常に高いですし、高い分配金がでているとはいえ、他にもっと
パフォーマンスのよいファンドが多数存在しています。
何より、インデックスファンドにパフォーマンスで負けてしまって
いるようでは投資をする意味がありません。
これを機会に投資先を見直すことをおすすめします。
当然ながら、弱点もあります。
今も私は投信運用を続けてはいますが、私がなぜ
投資信託の運用を主軸におかなくなったのか。
その理由をこちらで話をしています。
>>なぜ私が投信運用に限界を感じたのか。多くの投資家が見逃している投信運用の弱点