あのYahooがビッグデータを使って投資信託の運用を始めると
いうことで注目を集めたPayPay投信AIプラス。
アセマネoneのディープAIやゴールドマンサックスのグローバル
ビッグデータ戦略など、銘柄選定でAIを活用しているファンドが
増えてきていますが、果たして優位性はあるのでしょうか?
今日は、PayPay投信AIプラスの評判や今後の見通しについて徹底的に
分析していきます。
「 PayPay投信AIプラスって投資対象としてどうなの?」
「PayPay投信AIプラスって持ってて大丈夫なの?」
「 PayPay投信AIプラスより良いファンドってある?」
といったことでお悩みの方は、この記事を最後まで読めば、
悩みは解消すると思います。
PayPay投信AIプラスの基本情報
投資対象は?
PayPay投信AIプラスの投資対象は主として、国内外の株式です。
ヤフーが提供するビッグデータ解析等を通じて、市場のゆがみ
(マーケットアノマリー)を見つけ出し、今後の株価の上昇が
高い確度で予想される銘柄を組み入れていきます。
マーケットアノマリーというのは、難しい言葉が使われていますが、
簡単に言ってしまえば、適正な株価水準よりなぜか割安、割高に
なっている状態のことを言います。
これは人間が合理性を欠いた行動をしてしまうことによって引き
起こされるものです。
現在の組入銘柄は199銘柄となっており、様々な業種に分散投資
されていることがわかります。
以前は450銘柄ほど組み入れていましたので、だんだん銘柄の
絞り込みをしているようですね。
ただ、後述しますが、AIを使って銘柄を絞り込んでいる割には、
新鮮な銘柄が上位に入ってきておらず、AIらしい特徴的な運用
とは程遠いところにいます。
※引用:マンスリーレポート
PayPay投信AIプラスの組入上位銘柄を見てみると、いわゆる日本の大企業が
占めており、あまり物珍しさはありません。
※マンスリーレポート
つみたてNISAとiDeCoの対応状況は?
つみたてNISAやiDeCoで積立投資を検討している人も多いと
思います。
そこで、つみたてNISAやiDeCoの対応状況をまとめました。
つみたてNISA | iDeCo |
× | × |
※2022年2月時点
純資産総額は?
続いて、PayPay投信AIプラスの純資産総額はどうなっているか
見てみましょう。
純資産総額というのは、あなたを含めた投資家から集めた資金の
総額だと思ってください。
純資産総額は大きいほうが、ファンドマネージャーが資金
を運用する際に効率よくできたり、保管費用や監査費用が
相対的に低くなりますので、コストが低く抑えられます。
また投資信託の規模が小さくなると運用会社自体がその
投資信託に力を注がなくなりパフォーマンスが悪くなる
こともありますので注意が必要です。
PayPay投信AIプラスは、現在124億円となっています。
規模としては全く問題ありません。
AIという物珍しさで一時は資金流入もありましたが、化けの皮が
はがれてきてしまっているような状態ですね。
※引用:マンスリーレポート
運用体制は?
運用にあたっては、株式会社Magne-Max Capital Managementの
助言を受けます。
この会社はヤフーの子会社で人口知能を活用したビッグデータの
解析・株価の予測等を専門に行っています。
実質コストは?
私たちが支払うコストには、目論見書に記載の信託報酬以外に、
株式売買委託手数料や、保管費用、印刷費用などが含まれています。
そのため、実際に支払うコストは、目論見書記載の額より高くなる
のが通例で、実際にかかる実質コストをもとに投資判断をしなけれ
ばなりません。
信託報酬を信用するな。知らないうちに差し引かれている実質コストの調べ方
PayPay投信AIプラスの実質コストは1.32%と割高となっています。
低コストをアピールしていますが、インデックスファンド等と
比べると割安とは決して言えません。
原因としては、AIの判断に合わせて、組み入れ銘柄をかなり頻繁に
入れ替えており、株式売買手数料がかなり上乗せされています。
購入時手数料 | 3.3%(税込) |
信託報酬 | 1.012%(税込) |
信託財産留保額 | 0 |
実質コスト | 1.32%(概算値) |
※引用:最新運用報告書
「ファンドの運用で成果を出すために一番大事なことは何ですか?」と聞かれてあなたは何と答えますか?
もし『ファンド選び』だと思ったとしたら、あなたはドツボに
はまっていますので、こちらの記事を読んでみてください。
PayPay投信AIプラスの評価分析
基準価額をどう見る?
現在のPayPay投信AIプラスの基準価額はコロナショックで
大きく下落しましたが、その後は堅調に推移しています。
ただ、AIでも結局コロナショックのような想定外の下落には
対処できておらず、過去に類似の事例がないような事態が
おきると、AIでは対処の仕様がないということが証明
されました。
※引用:モーニングスター
利回りはどれくらい?
PayPay投信AIプラスの直近1年間の利回りは6.81%と
なっています。
3年平均、5年平均利回りも5%台ですので、安定した
パフォーマンスとなっているようにも見えます。
ただ、この時点で利回りが高いか判断するのは時期尚早
ですので、他のファンドとのパフォーマンスを比較した
上で判断しましょう。
ちなみにあなたは実質利回りの計算方法はすでに理解していますか?
もし、理解していないのであれば、必ず理解しておいてください。
平均利回り | |
1年 | +6.81% |
3年 | +7.12% |
5年 | +5.70% |
10年 | - |
※2022年2月時点
10年間高いパフォーマンスを出し続けている優秀なファンド達も
参考にしてみてください。
10年間圧倒的に高いリターンを出している国内大型株式ファンドランキング
同カテゴリー内での利回りランキングは?
PayPay投信AIプラスは、国内の大型ブレンド株
カテゴリーに属しています。
投資をするのであれば、同じカテゴリーでも優秀な
パフォーマンスのファンドに投資をすべきなので、
同カテゴリー内でもパフォーマンスのランキングは
事前に調べておいて損はありません。
PayPay投信AIプラスは、3年、5年平均ともに下位20%に
入ってしまっています。
他のAIファンドもそうですが、AIのほうがうまく運用が
できる時代が来るのはまだ先になりそうです。
上位●% | |
1年 | 49% |
3年 | 88% |
5年 | 80% |
10年 | - |
※2022年2月時点
年別の運用利回りは?
では、PayPay投信AIプラスの年別のパフォーマンスを
見てみましょう。
2018年は大きなマイナスとなっており、それ以外の年は
しっかりとプラスのリターンを残していますが、他の
ファンドと比べるとやはり物足りなさがあります。
後述しますが、このパフォーマンスではインデックスファンドに
さえ勝てないので、しっかり比較してから投資するようにして
ください。
年間利回り | |
2021年 | +13.59% |
2020年 | +3.72% |
2019年 | +15.15% |
2018年 | ▲18.56% |
2017年 | +27.01% |
2016年 | - |
※2022年2月時点
投信運用は長期投資が前提なので、つい出口戦略を考えずに投資をしてしまいがちです。
しかし、「投資は出口戦略にあり」と言われるほど、重要なテーマです。ぜひこれを機会に投資の出口戦略を考えてみてください。
>>まさか考えたことがない?運用が成功するか失敗するかすべてのカギを握る投信運用の出口戦略インデックスファンドとの利回り比較
PayPay投信AIプラスへの投資を検討するのであれば、
より低コストのインデックスファンドとパフォーマンスを
比較してからでも遅くはありません。
PayPay投信AIプラスは国内株式に投資をするファンドですので、
今回は、日経225をベンチマークとしているニッセイ日経225
インデックスファンドと比較をしてみました。
※引用:モーニングスター
結果はニッセイ 日経225インデックスファンドの圧勝です。
この結果を見るとわざわざ高いコストを支払ってまで、
AIに運用を任せるメリットを一切感じませんね。
PayPay投信AIプラス | ニッセイ日経 225 | |
1年 | +6.81% | ▲1.16% |
3年 | +7.12% | +10.90% |
5年 | +5.70% | +9.00% |
10年 | - | +13.63% |
※2022年2月時点
アクティブファンドとの利回り比較
せっかくアクティブファンドに投資をするのであれば、
同じカテゴリーの中でも優秀なファンドに投資をしたい
と思うもの。
今回は、国内大型株カテゴリーで中長期で高いパフォーマンス
を残している厳選投資とパフォーマンスを比較しました。
※引用:モーニングスター
結果は、厳選投資の圧勝と言う結果になりました。
アクティブファンドに投資をするのであれば、AIを活用せず
とも、厳選投資のようなアクティブファンドに投資をすべき
です。
PayPay投信AIプラス | 厳選投資 | |
1年 | +6.81% | ▲3.19% |
3年 | +7.12% | +11.06% |
5年 | +5.70% | +10.55% |
10年 | - | +18.77% |
※2022年2月時点
最大下落率は?
続いて、PayPay投信AIプラスの最大下落率を見てみましょう。
投資をするうえで、標準偏差などから、値動きの幅をある程度
予測はできますが、過去にどの程度下落したことがあるのかを
把握しておいたほうが実感がわきます。
PayPay投信AIプラスの最大下落率は2020年1月~3月の3カ月で
▲19.05%となっています。
運用期間が短いので、もう少し大きく下落することもあると
思いますが、何よりAIを使っても同じ程度は下落することは
肝に銘じておいてください。
最大下落率を知ってしまうと、少し足が止まってしまうかもしれません。
しかし、以下のことをしっかり理解しておけば、元本割れの可能性を
限りなく低くすることが可能です。
期間 | 下落率 |
1カ月 | ▲12.10% |
3カ月 | ▲19.05% |
6カ月 | ▲16.55% |
12カ月 | ▲18.56% |
※2022年2月時点
評判はどう?
PayPay投信AIプラスの評判はネットでの書き込みなどで調べる方法も
ありますが、評判を知るうえで一番役に立つのが、月次の資金流出
入額です
資金が流入しているということは、それだけこのファンドを購入
している人が多いということなので、評判が良いということです。
PayPay投信AIプラスは2019年に入ってからは資金流出が続いており、
投資家が期待するレベルのリターンを残せていないということ
ですね。
設定当初は大きな期待とともに評判を呼びましたが、今となっては
評判は着実に落ちています。
※引用:モーニングスター
PayPay投信AIプラスの評価まとめと今後の見通し
ビッグデータ×AIでの運用はまだ始まったばかりであるため、
今後に期待したいというのは間違いないのですが、現状、
PayPay投信AIプラスに投資をするメリットをほとんど感じません。
PayPay投信AIプラスが挙げている運用の3つのポイントですが、
①については、情報が多ければ多いほど、運用の成績がよく
なるわけではなく、運用に活かせなければ意味がありません。
②については、現状のパフォーマス程度で、期待を超えられて
いるとは思えません。
③についても、低コストのように見えますが、売買回転数が多いため、
実質コストベースで見ると、決して低コストとは言えません。
今後、AIが進化して、人が運用するよりも高いパフォーマンスが
出せるようになれば、投資するに値すると思いますが、
人の手で運用したほうが高いパフォーマンスが出るとわかっていて、
あえてPayPay投信AIプラスに投資をしようとは思いませんね。
最後に、投信運用には多くのメリットもありますが、当然ながら、弱点もあります。
今も私は投信運用を続けてはいますが、私がなぜ投資信託の運用を主軸におかなくなったのか。その理由をこちらで話をしています。
>>なぜ私が投信運用に限界を感じたのか。多くの投資家が見逃している投信運用の弱点