低コストで新興国株式に投資できるインデックスファンドとして、
人気の高いEXE-i 新興国株式ファンド。
近年は、超低コストのインデックスファンドが次々と出てきており、
多くの投資家が結局どれが一番良いファンドなのか、混乱してしま
っています。
「EXE-i 新興国株式ファンドって持ってて大丈夫なの?」
「EXE-i 新興国株式ファンドって投資対象としてどうなの?」
「EXE-i 新興国株式ファンドより良いファンドってある?」
といったことでお悩みの方は、この記事を最後まで読めば、
悩みは解消すると思います。
今日は、5年ほど前から低コストの最前線にいるEXE-i 新興国株式
ファンドについて徹底的に分析していきます。
EXE-i 新興国株式ファンドの基本情報
投資対象は?
EXE-i 新興国株式ファンドは、ETFを通じて、新興国の株式市場に
投資していきます。
ベンチマークとして、FTSE・エマージング・インデックス(円換算
ベース)を採用しており、ベンチマークと構成比率が近くなるように、
投資割合を調整しています。
下図を見ると、わかるのですが、シュワブ・エマージング・マーケッツ・
エクイティETFとiシェアーズ・コア・MSCI・エマージング・マーケッツ
ETFを組み合わせることで、比率を調整しています。
※引用:交付目論見書
EXE-i 新興国株式ファンドの投資先を国別で見てみると、
中国を筆頭に、台湾、インドと続いています。
※引用:マンスリーレポート
純資産総額は?
続いて、純資産総額はどうなっているか見てみましょう。
純資産総額というのは、あなたを含めた投資家から集めた
資金の総額だと思ってください。
インデックスファンドの運用において、純資産総額というのも
見るべきポイントです。
ファンドの純資産総額が小さいと、適切なタイミングで
銘柄を入れ替えることができず、インデックスから乖離
してしまうリスクがあります。
また純資産総額が大きく減少していると、ファンドの組み替えが
うまくできず、予期せぬマイナスを生む可能性があります。
EXE-i 新興国株式ファンドは現在、100億円程度となっており、
規模としては問題ありません。
※引用:マンスリーレポート
実質コストは?
私たちが支払うコストには、目論見書に記載の信託報酬以外に、
株式売買委託手数料や、保管費用、印刷費用などが含まれています。
そのため、実際に支払うコストは、目論見書記載の額より高くなるのが
通例で、実際にかかる実質コストをもとに投資判断をしなければなりません。
信託報酬を信用するな。知らないうちに差し引かれている実質コストの調べ方
インデックスファンドにおいては、運用はベンチマークに沿うように
銘柄を調整するだけ差がつきませんので、実質コストがパフォーマンス
の良し悪しを決めると言っても過言ではありません。
EXE-i 新興国株式ファンドの実質コストは0.415%で、インデックス
ファンドの割に、高くなっています。
これはファンドオブファンズ形式をとっているため、信託報酬が
二重にかかっているのが一番大きな要因です。
購入時手数料 | 0 |
信託報酬 | 0.3625%(税込) |
信託財産留保額 | 0 |
実質コスト | 0.415%(概算値) |
※引用:最新運用報告書
と聞かれてあなたは何と答えますか?
もし『ファンド選び』だと思ったとしたら、あなたはドツボに
はまっていますので、こちらの記事を読んでみてください。
>>無料ファンド相談から見えた。多くの人が気づいていない投信運用で成果を阻む9つの誤り
EXE-i 新興国株式ファンドの評価分析
基準価額の推移は?
EXE-i 新興国株式ファンドの基準価額は、2017年以降大きく
上下しながら、緩やかに下落しています。
コロナショックでは一時9000を割り込むまで基準価額が
下落しましたが、半年かけて持ち直してきました。
※引用:モーニングスター
利回りは?
EXE-i 新興国株式ファンドの直近1年間の利回りは4.74%と
なっています。
3年平均利回りはマイナス、5年平均利回りが5%となっており、
あまり安定して利益が出ていないことがわかります。
新興国ファンドはどうしても値動きが大きくなりますので、
安定感には欠けますね。
ちなみにあなたは実質利回りの計算方法はすでに理解していますか?
もし、理解していないのであれば、必ず理解しておいてください。
平均利回り | |
1年 | 4.74% |
3年 | ▲0.41% |
5年 | 5.42% |
10年 | – |
※2020年10月時点
10年間高いパフォーマンスを出し続けている優秀なファンド達も
参考にしてみてください。
10年間圧倒的に高いリターンを出している海外株式ファンドランキング
同カテゴリー内での利回りランキングは?
せっかく投資をするのであれば、同じカテゴリー内でも、
優れたファンドに投資をするべきです。
EXE-i 新興国株式ファンドは新興国株式(複数国)カテゴリーに
属しています。
このカテゴリー内でのランキングを確認すると、平均よりも
上位に来ており、長期になるほど順位が良くなっています。
マイナスリターンでも上位20%程度にランクインしています
ので、ここから、新興国株ファンドが全体的に運用で苦戦している
ことがわかりますね。
上位●% | |
1年 | 45% |
3年 | 22% |
5年 | 27% |
10年 | – |
※2020年10月時点
年別のパフォーマンスは?
EXE-i 新興国株式ファンドの年別の運用パフォーマンスも見てみましょう。
新興国株式なので、値動きは激しいのですが、マイナスで終わる年は
かなり大きくマイナスになる点がやはり気になりますね。
年間利回り | |
2020年 | ▲2.57%(1-9月) |
2019年 | 18.93% |
2018年 | ▲15.59% |
2017年 | +26.84% |
2016年 | +7.49% |
2015年 | ▲14.65% |
2014年 | +14.35% |
※2020年10月時点
考えずに投資をしてしまいがちです。
しかし、「投資は出口戦略にあり」と言われるほど、
重要なテーマです。
ぜひこれを機会に投資の出口戦略を考えてみて
ください。
>>まさか考えたことがない?運用が成功するか失敗するかすべてのカギを握る投信運用の出口戦略
インデックスファンドとのパフォーマンス比較
インデックスファンドを選定する上で、適切なベンチマークを選定
しているかを事前に調べることはとても大事です。
新興国株式でいえば、FTSE・エマージング・インデックスか
MSCI・エマージング・マーケット・インデックスを採用している
ファンドのどちらかを採用している場合がほとんどなのですが、
パフォーマンスに違いはあるのでしょうか?
下図は、FTSE・エマージング・インデックスをベンチマークとする
EXE-i 新興国株式ファンドと、MSCI・エマージング・マーケット・
インデックスをベンチマークとするeMAXIS Slim 新興国株式インデックスを
比較したものです。
引用:モーニングスター
かなりわずかですが、eMAXIS Slim 新興国株式インデックスのほうが
パフォーマンスで上回っています。
ただ、この程度の差であれば、誤差に近いですね。
年平均利回り | EXE-i新興国 | Slim 新興国 |
1年 | 4.74% | 6.58% |
3年 | ▲0.41% | ▲0.26% |
5年 | 5.42% | – |
10年 | – | – |
※2020年10月時点
アクティブファンドとのパフォーマンス比較
新興国株式に投資ができるアクティブファンドの中にも優れた
ファンドはありますので、EXE-i 新興国株式ファンドに投資を
する前にパフォーマンスを比較しておいて損はありません。
今回は、アセマネOneの新興国ハイクオリティ成長株ファンド
『未来の世界(新興国)』と比較をしました。
引用:モーニングスター
結果は、未来の世界(新興国)の圧勝です。
ここまで大きな差がつくと、いくら低コストとはいえ、
EXE-i 新興国株式ファンドに投資するメリットを感じませんね。
年平均利回り | EXE-i新興国 | 未来の世界(新興国) |
1年 | 4.74% | 44.38% |
3年 | ▲0.41% | – |
5年 | 5.42% | – |
10年 | – | – |
※2020年10月時点
最大下落率は?
投資を始めようとしている、もしくは始めたばかりの人が気になるのが、
最大どの程度、資産が下落する可能性があるのかという点かと思います。
下記に、ファンド設定来の最大下落率を期間別に集計してものを載せます。
EXE-i 新興国株式ファンドは2015年3月~2016年2月までで最大▲28.08%
下落していることがわかります。
新興国株式であれば、これくらいの下落は起こり得るものと思っておかな
ければいけませんね。
最大下落率を知ってしまうと、少し足が止まってしまうかもしれません。
しかし、以下のことをしっかり理解しておけば、元本割れの可能性を
限りなく低くすることが可能です。
期間 | 下落率 |
1カ月 | ▲18.27% |
3カ月 | ▲26.14% |
6カ月 | ▲21.69% |
12カ月 | ▲28.08% |
※2020年10月時点
評判はどう?
続いて、このファンドの評判を見ていきたいと思います。
評判をはかる指標としては、ファンドへの資金流出入額が参考に
なります。
資金が流入しているということは多くの投資家がファンドを
購入しているということなので、人気が出てきているということ
になります。
EXE-i 新興国株式ファンドは2018年頃までは、毎月資金が
流入しており、評判は上々でした。
しかし、2019年以降は資金の流出超過となっている年も
あり、評判は落ちてきていることがわかります。
※引用:モーニングスター
EXE-i 新興国株式ファンドの評価まとめと今後の見通し
新興国株式であれば、年5%程度の利回りであれば、今後も
十分期待できると思います。
一方で、前述のとおり、インデックスファンドを選定するうえで、
どのベンチマークを採用しているファンドを選ぶのかは非常に
重要です。
新興国株式のベンチマークで言えば、現状わずかですが、
FTSE・エマージング・インデックスより、
MSCI・エマージング・マーケット・インデックスのほうが
優れていますので、MSCI・エマージング・マーケット・
インデックスを採用しているインデックスファンドを
選択するのが無難です。
MSCI・エマージング・マーケット・インデックスを採用している
ファンドとしては、eMAXIS Slim新興国株式インデックス、
たわらノーロード新興国株式などがあります。
また別の選択肢として、あえて低コストのインデックスファンドを
選ばずとも、パフォーマンスが優れているのであれば、高コスト
のアクティブファンドに投資をするというのも選択肢となります。
さきほど紹介した未来の世界(新興国)なども、新興国株ファンド
に投資をしたいのであれば、選択肢になってくるでしょう。
当然ながら、弱点もあります。
今も私は投信運用を続けてはいますが、私がなぜ
投資信託の運用を主軸におかなくなったのか。
その理由をこちらで話をしています。
>>なぜ私が投信運用に限界を感じたのか。多くの投資家が見逃している投信運用の弱点