FIREという言葉が流行り始めて以来、高配当株に投資をして、安定した配当金を得たいと思う投資家が増加しています。
そこに着目したファンドの1つが、三菱UFJアセットマネジメントの日経平均高配当利回り株ファンドです。
果たして、日経平均高配当利回り株ファンドとはどのようなファンドなのか、徹底分析していきます。
「日経平均高配当利回り株ファンドって投資対象としてどうなの?」
「日経平均高配当利回り株ファンドって持ってて大丈夫なの?」
「日経平均高配当利回り株ファンドより良いファンドってある?」
といったことでお悩みの方は、この記事を最後まで読めば、悩みは解消すると思います。
日経平均高配当利回り株ファンドの基本情報
投資対象は?
日経平均高配当利回り株ファンドの投資対象は、日本の株式です。日経平均採用銘柄225銘柄の中から、配当利回りの高い上位30銘柄に投資をしていきます。
信用リスクや無配リスク等がある銘柄は除外し、年2回銘柄の入れ替えとリバランスを行います。毎回自分で決算を見て、ポートフォリオを入れ替えるかどうかを検討するのは思った以上に手間がかかりますので、しっかり銘柄選定をしてくれるのであれば、悪くないですね。
※引用:目論見書
日経平均高配当利回り株ファンドの現在の組入銘柄数は30銘柄で構成されており、組入上位10銘柄は以下のようになっています。予想配当利回りは3~5%で、今の超低金利時代からすると考えられないくらい高い利回りとなっています。
※引用:マンスリーレポート
純資産総額は?
つづいて、日経平均高配当利回り株ファンドの純資産総額を見てみましょう。純資産総額というのは、あなたを含めた投資家から集めた資金の総額だと思ってください。
ファンドの純資産総額が小さいと、監査費用や印刷費用、その他諸経費が相対的に比率が高くなるので、実質コストが高くなりがちです。また会社としてもファンドの運用に人員を割けなくなるため、パフォーマンスが悪化する原因にもなります。
日経平均高配当利回り株ファンドの純資産総額は、現在約300億円です。特に直近はパフォーマンスが好調であることもあり、伸びが著しいですね。規模としても問題ありません。
※引用:マンスリーレポート
実質コストは?
投資信託を運用する際には、購入時手数料や信託報酬以外にも、実際にはコストがかかっています。具体的には、株式売買手数料や有価証券取引税、印刷費用などが該当します。
これを実質コストと言いますが、実質コストが信託報酬よりもかなり高くなっていることもありますので、必ず事前に確認しておいたほうがよいポイントです。
信託報酬を信用するな。知らないうちに差し引かれている実質コストの調べ方
日経平均高配当利回り株ファンドの実質コストは0.694%となっており、インデックスファンドと比較をすると割高ですが、比較的抑えられています。
購入時手数料 | 2.20%※上限 |
信託報酬 | 0.693%(税込) |
信託財産留保額 | なし |
実質コスト | 0.694%(概算値) |
※引用:最新運用報告書
「ファンドの運用で成果を出すために一番大事なことは何ですか?」と聞かれてあなたは何と答えますか?
もし『ファンド選び』だと思ったとしたら、あなたはドツボに
はまっていますので、こちらの記事を読んでみてください。
日経平均高配当利回り株ファンドの評価分析
基準価額をどう見る?
日経平均高配当利回り株ファンドの基準価額を見てみましょう。
2021年、2022年とゆるやかに上昇し、2023年に入ってから急騰しています。
※引用:ウエルスアドバイザー
利回りはどれくらい?
それでは、日経平均高配当利回り株ファンドの運用実績を見ていきます。
直近1年間の利回りは61.65%とかなり高い利回りとなっています。3年平均利回りでも30%を超えているので、この時点でかなり好調であることがわかります。
ただし、この時点で良し悪しを判断するのは時期尚早です。他の類似ファンドとパフォーマンスを比較してから投資判断するようにしましょう。
平均利回り | |
1年 | +61.65% |
3年 | +34.70% |
5年 | - |
10年 | - |
※2023年10月時点
10年間高いパフォーマンスを出し続けている優秀なファンド達も参考にしてみてください。
10年間圧倒的に高いリターンを出している国内中小型株式ファンドランキング
同カテゴリー内での利回りランキングは?
日経平均高配当利回り株ファンドは、国内大型バリューカテゴリーに属しています。
投資をするのであれば、同カテゴリーでも優秀なパフォーマンスのファンドに投資をすべきなので、同カテゴリー内でもパフォーマンスのランキングは事前に調べておいて損はありません。
利回りが良く見えても、実は同カテゴリー内では、ランキングが低かったということがよくあります。
日経平均高配当利回り株ファンドは、直近1年と3年も上位10%にランクインしており、かなり優秀です。
上位●% | |
1年 | 8% |
3年 | 10% |
5年 | - |
10年 | - |
※2023年10月時点
年別のパフォーマンスは?
日経平均高配当利回り株ファンドの年別の利回りを見てみましょう。
年別の運用利回りを見ることで、平均利回りを見るだけではわからない基準価額の変動の大きさを知ることができます。
2020年は2桁マイナスとなっていますが、それ以外の年はかなり大きなプラスで運用できていますね。
年間利回り | |
2023年 | +37.37%(1-9月) |
2022年 | +27.28% |
2021年 | +25.33% |
2020年 | ▲13.46% |
2019年 | +12.40% |
※2023年10月時点
投信運用は長期投資が前提なので、つい出口戦略を考えずに投資をしてしまいがちです。
しかし、「投資は出口戦略にあり」と言われるほど、重要なテーマです。ぜひこれを機会に投資の出口戦略を考えてみてください。
>>ここまで考えるのが本当の資産運用。多くの投資家が考えられていない投信運用の出口戦略とはインデックスファンドとのパフォーマンス比較
日経平均高配当利回り株ファンドに投資をするかを考える上で、超低コストで投資ができるインデックスファンドとパフォーマンスの比較は必須です。
パフォーマンスが大きく劣るようであれば、わざわざ高いコストを支払ってまで投資をする価値がないからです。
そこで、今回は、日経平均高配当利回り株ファンドと日経225に連動するニッセイ 日経225インデックスファンドとパフォーマンスを比較しました。
※引用:ウエルスアドバイザー
直近3年間では、ほぼ全期間で日経平均高配当利回り株ファンドがパフォーマンスで上回っています。
まだ運用期間が短いので、長期でのパフォーマンスは比較できませんが、現時点でいえば、高いコストを支払ってでも投資をする価値があると言えます。
年平均利回り | 日経平均高配当利回り株ファンド | ニッセイ日経 225 |
1年 | +61.65% | +25.03% |
3年 | +34.70% | +13.02% |
5年 | - | +7.56% |
10年 | - | +9.99% |
※2023年10月時点
アクティブファンドとのパフォーマンス比較
日経平均高配当利回り株ファンドに投資をするかを検討するのであれば、アクティブファンドともパフォーマンスを比較しておきましょう。
投資信託は6000本以上ありますので、もっと優れたファンドが見つかるかもしれません。
今回は、国内の大型株カテゴリーで中長期で高いパフォーマンスを残している厳選投資とパフォーマンスを比較しました。
※引用:ウエルスアドバイザー
こちらも直近3年間では、ほぼ全期間において、日経平均高配当利回り株ファンドがパフォーマンスで上回っています。
アクティブファンドに投資をするにしても、日経平均高配当利回り株ファンドへの投資は良い選択と言えそうです。
年平均利回り | 日経平均高配当利回り株ファンド | 厳選投資 |
1年 | +61.65% | +27.48% |
3年 | +34.70% | +8.05% |
5年 | - | +5.79% |
10年 | - | +13.60% |
※2023年10月時点
最大下落率は?
投資信託は最低でも5~10年は投資をする気でなければ、投資をする意味がありませんが、その最大の障壁となりえるのが、資産の減少です。
特に20%や30%の下落相場を始めて経験すると、資産の減少額に耐えきれなくなり、本来手放すべきタイミングではないときに慌てて売却してしまいがちです。
そのため、事前にどの程度下落する可能性があるのかを知っておくことで、急落相場に遭遇しても、精神的に余裕を持って投資を続けられます。
それでは、日経平均高配当利回り株ファンドの最大下落率を調べてみましょう。
期間 | 下落率 |
1カ月 | ▲12.60% |
3カ月 | ▲22.77% |
6カ月 | ▲23.31% |
12カ月 | ▲21.49% |
※2023年10月時点
日経平均高配当利回り株ファンドの最大下落率は2020年2月~2020年7月で▲23.31%となっています。まだ大きな下落を経験はしていませんが、30~40%の下落も今後は起こり得ると思って、投資を続けましょう。
最大下落率を知ってしまうと、少し足が止まってしまうかもしれません。しかし、以下のことをしっかり理解しておけば、元本割れの可能性を
限りなく低くすることが可能です。
評判はどう?
日経平均高配当利回り株ファンドの評判を確認する上で、毎月の資金の流出入が役立ちます。
資金流入が多くなっていれば、人気が出てきているファンドであるとわかりますし、流出が続いているようであれば、評判が悪くなっているファンドと言えます。
それでは、日経平均高配当利回り株ファンドの評判を見てみましょう。
2022年以降の流入超過額がかなり大きくなっており、2019年~2021年の流入額がほとんど見えません。それくらい直近で流入額が増えていますので、かなり評判は良くなっていると言えます。
※引用:ウエルスアドバイザー
NISAとiDeCoの対応状況は?
投資をしようとする際、NISAやiDeCoの制度を使って投資を検討している人も多いと思うので、NISAやiDeCoの対応状況を見ていきます。
日経平均高配当利回り株ファンドはNISAのみ取り扱いがありますので、投資をする場合は積極的にこの制度を活用していきましょう。
NISA | iDeCo |
〇 | - |
※2023年10月時点
日経平均高配当利回り株ファンドの評価まとめと今後の見通し
いかがでしょうか?
アクティブファンドに投資をするのであれば、最低限、インテックスファンドよりもパフォーマンスが上回っている必要があります。
その点、日経平均高配当利回り株ファンドはインデックスファンドにどの期間でも負けておらず、高いコストを支払ってでも投資をする価値があると言えます。
また他のアクティブファンドと比較をしても、3年程度の利回りであれば、十分優れており、投資する価値があると言えます。
日経平均高配当利回り株ファンドはテーマ型のファンドというわけでもなく、もうはるか昔から言われている高配当株に淡々と投資をしていくファンドですので、今後も高いリターンは期待できると思います。
高配当株投資に興味はあるければ、なかなか自分で銘柄選定などをしている時間がないという人は検討する価値のある1本だと思います。
最後に、投信運用には多くのメリットもありますが、当然ながら、弱点もあります。
今も私は投信運用を続けてはいますが、私がなぜ投資信託の運用を主軸におかなくなったのか。その理由をこちらで話をしています。
>>私が痛感する投資信託の限界。多くの投資家が見逃している投信運用の弱点