三井住友アセットが運用する、三井住友・アジア・オセアニア
好配当株式オープン(愛称:椰子の実)。

 

知名度はかなり廃れたものの、過去はモーニングスターの
ファンド・オブ・ザ・イヤーの最優秀ファンド賞(国際株式型)
を受賞するなど、業界でそれなりの話題性があったファンド
でした。

 

果たして、近年の運用状況はどうなっているのでしょうか?

 

今日は椰子の実について徹底的に分析していきます。

 

三井住友・アジア・オセアニア好配当株式オープン『椰子の実』の基本情報

投資対象は?

投資対象は日本を除く、アジア・オセアニア各国地域の
好配当の株式、不動産投資信託などに投資をします。

 

典型的なテーマ型アクティブファンドですね。国別で
みると、台湾、オーストラリア、真がぽーつなどの比率
が高くなっています。

 


※引用:マンスリーレポート

 

投資先は約90パーセント弱が株式であり、リートは約8パーセントに
留まっていますが、アジアリートで投資可能な国は実質的に香港か
シンガポールくらいしか無いことを考えると、やむを得ないポート
フォリオなのでしょう。

 


※引用:マンスリーレポート

 

運用の特徴は?

マザーファンドの運用会社は、三井住友アセットマネジメントの
香港拠点であるスミトモ ミツイ アセットマネジメント(ホンコン)
リミテッドであり、このタイプのファンドにしては珍しく運用を
外部委託していないことが特徴的です。

 

純資産総額は?

2019年4月 現在の純資産総額は、約240億円です。

 

ピーク時は880億を超える純資産総額だったのですが、運用
パフォーマンスが優れない中、今は資金流出に歯止めがかか
らないような状況です。

 

一時的に資金流入しているのは、分配金を2倍に増やすという
暴挙に出て、見かけの分配利回りが高くなったことによる
ものです。結局過剰な分配は維持することができなくなり、
今に至るといった状況です。

 

このように純資産総額を増やしたいがために、分配金を無理
に増やすようなファンドには絶対投資してはいけません。

 

実質コストは?

私たちが支払うコストには、目論見書に記載の信託報酬
以外に、株式売買委託手数料や、保管費用、印刷費用など
が含まれています。

 

そのため、実際に支払うコストは、目論見書記載の額より
高くなるのが通例で、実際にかかる実質コストをもとに
投資判断をしなければなりません。

信託報酬を信用するな。知らないうちに差し引かれている実質コストの調べ方

 

椰子の実の実質コストは約2.0%となってお、かなり高い
水準となっています。ただでさえ、運用実績が優れない
のにこのコストは高すぎますね。

購入時手数料 3.24%(税込)
信託報酬 1.738%(税込)
信託財産留保額 0.3%
実質コスト 2.01%(概算値)

※引用:最新運用報告書

 

実質コスト以外にも、多くの投資家が気づいていない
投信運用での成果を出すのに妨げとなる間違った考え方
をまとめました。参考にしてください。

無料ファンド相談から見えた。多くの人が気づいていない投信運用で成果を阻む9つの誤り

 

三井住友・アジア・オセアニア好配当株式オープン『椰子の実』の評価分析

基準価格をどう見る?

椰子の実の基準価額は直近3年間で約40%ほど下落して
います。もともと過剰な分配を続けていたので右肩下が
りの状況でしたが、

 

今回のコロナショックでさらに大きく下落しました。

 

分配金を受け取らずに再投資したときの基準価額(青線)
を見てみると、コロナショックの影響で直前の高値から
約33%程度下落しています。

 


※引用:モーニングスター

 

利回りはどれくらい?

椰子の実の直近1年間の利回りは▲25.99%です。

 

3年、5年平均利回りは5%近くのマイナスとなっており、
かなり厳しい結果です。コロナショックのすぐあとなので
ある程度利回りが悪くなることは仕方ありませんが、

 

優れたファンドであれば、3年平均や5年平均は十分
プラスになっていることがほとんどなので、たいした
ファンドではないということですね。

 

ちなみにあなたは実質利回りの計算方法はすでに理解して
いますか?

 

もし、理解していないのであれば、必ず理解しておいて
ください。

これがわかっていないとマズイ。実質利回りの計算方法。

平均利回り %ランク
1年 ▲25.99% 68%
3年 ▲6.22% 53%
5年 ▲4.90% 56%
10年 +4.18% 11%

※2020年4月時点

 

10年間高いパフォーマンスを出し続けている優秀なファンド達も
参考にしてみてください。

10年間圧倒的に高いリターンを出している海外株式ファンドランキング

 

標準偏差は?

標準偏差まで確認する人はあまりいませんが、椰子の実の
基準価額のブレの大きさを知るには役立ちます。

 

あまり短期間で比較することに意味はありませんが、10年
平均で日経225に連動するインデックスファンドが15~16程度
ですので、国内の大型株ファンドと同程度の値動きと思って
おけばよいでしょう。

 

直近の標準偏差は26なので、変動が1.5倍くらいに増加して
いることがわかります。

 

標準偏差から将来リターンがある程度予測できるのはご存じでしょうか?
まだ計算方法を知らないと言う方はこの機会に覚えておいてくださいね。

本当にできてる?標準偏差から予測する将来リターンの計算方法

標準偏差 %ランク
1年 26.24 37%
3年 17.90 18%
5年 17.11 10%
10年 17.03 6%

※2020年4月時点

 

年別のパフォーマンスは?

椰子の実の年別のパフォーマンスも見てみましょう。

 

2017年、2019年は10%以上のリターンを残しています
が、2018年、2020年でそれ以上のマイナスを出して
しまっています。

 

6年間の運用では、トータルでマイナスになってしまって
いるので、これでは投資をしようとは思えません。

年間利回り
2020年 ▲27.85%(1-3月)
2019年 +12.07%
2018年 ▲9.96%
2017年 +19.44%
2016年 +0.66%
2015年 ▲9.67%

※2020年4月時点 

 

投信運用は長期投資が前提なので、つい出口戦略を
考えずに投資をしてしまいがちです。

しかし、「投資は出口戦略にあり」と言われるほど、
重要なテーマです。

ぜひこれを機会に投資の出口戦略を考えてみて
ください。

>>ここまで考えるのが本当の資産運用。多くの投資家が考えられていない投信運用の出口戦略とは

 

最大下落率は?

椰子の実に投資をする前に、最大でどの程度下落する可能性
があるのかを知っておくことは非常に重要です。

 

どの程度下落する可能性があるかを把握しておけば、大きく
下落した相場でも落ち着いて保有を続けられるからです。

 

椰子の実の最大下落率は2007年11月~2008年10月の1年間で
55.12%となっています。リーマンショックの時と比べると、
コロナショックの影響はまだ小さいと言えますね。

 

最大下落率を知ってしまうと、少し足が止まってしまう
かもしれません。

 

しかし、以下のことをしっかり理解しておけば、元本割れの
可能性を限りなく低くすることが可能です。

元本割れを回避するためにできるたったひとつのこととは?

期間 下落率
1カ月 ▲28.43%
3カ月 ▲45.15%
6カ月 ▲51.70%
12カ月 ▲55.12%

※2020年4月時点

 

分配金の内訳と余力は?

毎月分配型のファンドに投資をするのであれば、分配金が
ちゃんとファンドの収益で賄われているのか確認しておいて
損はありません。

 

椰子の実は2018年から毎月30円の分配を続けていましたが、
2019年には分配金が20円にまで下げられました。

 

分配金は減配されたものの、分配金の中身の半分近くは
当期収益以外から支払われており、典型的なタコ足配当
になっています。

 

分配金余力も残り12カ月程度となっており、近々さらに
減配される可能性が高いでしょう。

 

基準価額に対する分配金の割合を示す分配利回りは8%程度
なので、そこまで無理はしていませんが、それでも分配金を
ファンドの収益で賄いきれていないというのがマズイですね。

 

また、このブログでは何度も言っていますが、特別な事情が
ない限りは毎月分配型のファンドに投資すべきではありません。

計算するとよくわかる!分配金を受け取ることによるデメリットとは?

分配金 当期収益以外 繰越対象額
169期 20円 2円 295円
170期 20円 6円 288円
171期 20円 15円 273円
172期 20円 9円 264円
173期 20円 12円 252円
174期 20円 10円 241円

評判はどう?

純資産総額に見られるとおり、受益者があまりいないためか
口コミ総数そのものが少ないです。そして数少ない口コミや
評価を見ると、やはり散々です。

 

受益者からのコメントに好意的なもの、は全く見受けられません。

 

人気度を測る指標として、月次の資金流出入額がありますが、
月次の純資産流出入額を見ても、2018年以降は資金流出が
続いており、歯止めがかかっていません。

 

これは仕方ないというか、投資家がファンドを解約している
ということなので、ある意味正しい行動の表れと言えます。

 


※引用:モーングスター

 

三井住友・アジア・オセアニア好配当株式オープン『椰子の実』の今後の見通しと評価まとめ

投資対象などのコンセプトは決して間違ってはいないと
思いますが、昨今の投資信託の傾向を考慮すると、毎月
分配型である点と高額な購入手数料・信託報酬が致命的
にマイナスです。

 

また、最近は販売会社もファンドのパフォーマンスを
厳しく見るようになっているため、上述した運用実績
では積極的に「椰子の実」を販売するモチベーションは
無いでしょう。

 

従って、報酬を引き下げ優秀なファンドマネージャーに
変えない限り、今後の「椰子の実」は基準価額・純資産
ともに低下傾向をたどる運命にあると思われます。

 

これまで述べたように、「椰子の実」はアクティブファンド
としては完全に失格であり、購入する理由は全く見当たりま
せん。

 

同様の投資対象を狙いたいとお考えであれば、「椰子の実」
ではなく、より低コストで高いパフォーマンスが期待できる
インデックスファンドに投資をしてください。

 

 

最後に、投信運用には多くのメリットもありますが、
当然ながら、弱点もあります。

今も私は投信運用を続けてはいますが、私がなぜ
投資信託の運用を主軸におかなくなったのか。

その理由をこちらで話をしています。

>>私が痛感する投資信託の限界。多くの投資家が見逃している投信運用の弱点