大和証券投資信託が設定するロボット・テクノロジー関連株
ファンド『ロボテック』。
このファンドが投資対象とするロボティクス関連企業の株式は、
AIやヘルスケアと並んで投資家に人気のテーマです。
すでに2000億円以上の巨大ファンドに成長しており、多くの
投資家が注目しているファンドの1本です。
「ロボテックって投資対象としてどうなの?」
「ロボテックって持ってて大丈夫なの?」
「ロボテックより良いファンドってある?」
といったことでお悩みの方は、この記事を最後まで読めば、
悩みは解消すると思います。
今日は、ロボテックについて徹底的に分析していきたいと思います。
ロボット・テクノロジー関連株ファンド『ロボテック』の基本情報
投資対象は?
ロボテックの投資対象は、日本を含む世界のロボット関連企業の
株式に投資をします。
ロボット関連企業とは、ロボット・テクノロジーの開発や製造など
により、ビジネスを展開する企業です。
もう少し具体的な例を出すと下図のようなビジネスを展開する企業
ですね。
少子高齢化による労働力不足、高成長を続ける新興国の労働力代替、
医療技術発展への寄与など、ロボット技術の成長への期待と需要は
年々高まっており、ロボット製品を提供する企業の株式は大変有望です。
このような銘柄を投資対象とすることは、時宜を捉えていると
言えるでしょう。
※引用:交付目論見書
ロボテックの組入銘柄数は56銘柄で、約6割が米国となっています。
※引用:マンスリーレポート
組入上位銘柄を見てみると、ほとんどがアメリカの企業と
なっており、キーエンスとTSMCだけ日本と台湾の
企業となっています。
※引用:マンスリーレポート
運用の特徴は?
ロボテックの実質的な運用者は、フランスの大手保険系運用会社
であるアクサ・インベストメント・マネージャーズです。
同社はグローバル株式運用に定評があります。
ところが残念なことに、ロボテックは昔ながらの非効率かつ
高コストな設計のファンドです。
ロボテックはアクサ・インベストメント・マネージャーズが運用する
「アクサIM・グローバル・ロボット関連株式ファンド(為替ヘッジ無し)
(適格機関投資家専用)」にほぼ100%投資し、そこからマザーファンド
を通じて運用対象の株式を買い付けています。
※引用:交付目論見書
これならば、「アクサIM・グローバル・ロボット関連株式ファンド」
を公募ファンド化して投資家はそれを買い付けるようにすればコスト
の大幅な削減につながります。
しかし、このような二重構造にした理由は設定当初の最大の販売会社
である大和証券の思惑が働いているように思えます。
すなわち、投資家とアクサ・インベストメント・マネージャーズとの
間に大和証券系列の運用会社を挟むことで、投資家から報酬を中抜き
してグループ全体の利益を最大化しようとしているのです。
純資産総額は?
続いて、ロボテックの純資産総額はどうなっているか見てみましょう。
純資産総額というのは、あなたを含めた投資家から集めた資金の総額
だと思ってください。
ファンドの純資産総額が小さいと、適切なタイミングで銘柄を入れ替
えることができなかったり、純資産総額が大きく減少していると、
ファンドの組み替えがうまくできず、予期せぬマイナスを生む可能性が
ありますので、事前に確認すべきポイントの1つです。
ロボテックの純資産残高は2015年の設定以来、右肩上がりに上昇して
いましたが、2018年に入ってからはパフォーマンスが優れず、4000億
あった純資産も今や2200億円をきりました。
※引用:マンスリーレポート
実質コストは?
私たちが支払うコストには、目論見書に記載の信託報酬以外に、
株式売買委託手数料や、保管費用、印刷費用などが含まれています。
そのため、実際に支払うコストは、目論見書記載の額より高くなる
のが通例で、実際にかかる実質コストをもとに投資判断をしなければ
なりません。
信託報酬を信用するな。知らないうちに差し引かれている実質コストの調べ方
ロボット・テクノロジー関連株ファンド『ロボテック』の実質コストは
1.815%となっており、かなり割高です。
上述の通り、理解しがたい二重構造になっていることにより、
投資家としてはコスト増になってしまっています。
購入時手数料 | 3.3%(税込)※上限 |
信託報酬 | 1.815%(税込) |
信託財産留保額 | 0 |
実質コスト | 1.815%(概算値) |
※引用:最新運用報告書
と聞かれてあなたは何と答えますか?
もし『ファンド選び』だと思ったとしたら、あなたはドツボに
はまっていますので、こちらの記事を読んでみてください。
>>無料ファンド相談から見えた。多くの人が気づいていない投信運用で成果を阻む9つの誤り
ロボット・テクノロジー関連株ファンド『ロボテック』の評価分析
基準価格をどう見る?
ロボット・テクノロジー関連株ファンド『ロボテック』の基準価額は
2108年、2020年と大きく下落しましたが、1年経たずして、最高値を
更新し続けています。
ロボット関連銘柄の底堅さを物語っていますね。
※引用:モーニングスター
利回りはどれくらい?
続いて、ロボット・テクノロジー関連株ファンドの利回りを
見ていきます。
直近1年間の利回りは24.15%となっています。
3年平均利回りも10%以上ありますので、非常に優れた
ファンドです。
ちなみにあなたは実質利回りの計算方法はすでに理解していますか?
もし、理解していないのであれば、必ず理解しておいてください。
平均利回り | |
1年 | 24.15% |
3年 | 12.47% |
5年 | – |
10年 | – |
※2020年8月時点
10年間高いパフォーマンスを出し続けている優秀なファンド達も
参考にしてみてください。
10年間圧倒的に高いリターンを出している先進国株式ファンドランキング
同カテゴリー内での利回りランキングは?
ロボット・テクノロジー関連株ファンド『ロボテック』は
日本株を含むグローバル株式カテゴリーに属しています。
投資をするのであれば、同カテゴリーでも優秀なパフォ
ーマンスのファンドに投資をしたいと思うので、同カテゴリー
内でのパフォーマンスのランキングを調べました。
ロボテックは、どの期間においても上位10%にランクイン
しており、これはかなり優秀なパフォーマンスです。
上位●% | |
1年 | 10% |
3年 | 7% |
5年 | – |
10年 | – |
※2020年8月時点
年別のパフォーマンスは?
ロボテックの年別のパフォーマンスを見てみましょう。
2018年は18%とかなり大きく下落しましたが、2019年には
下落分を余裕で取り戻す成果を残しています
2020年もコロナショックで大きく下落したのをものともせず
2桁のプラスも視野に入っています。
年間利回り | |
2020年 | 8.72%(1-6月) |
2019年 | 36.02% |
2018年 | ▲18.30% |
2017年 | 36.22% |
2016年 | 7.36% |
2015年 | – |
2014年 | – |
※2020年8月時点
考えずに投資をしてしまいがちです。 しかし、「投資は出口戦略にあり」と言われるほど、
重要なテーマです。 ぜひこれを機会に投資の出口戦略を考えてみて
ください。 >>まさか考えたことがない?運用が成功するか失敗するかすべてのカギを握る投信運用の出口戦略
インデックスファンドとのパフォーマンス比較
ロボテックへの投資を検討するのであれば、少なくとも
低コストのインデックスファンドよりはパフォーマンスが
優れていなければ投資する価値がありません。
ロボテックは、米国を中心とした先進国株式に投資をして
います。
ですので、先進国株式の代表的指数であるMSCIコクサイ
に連動するように運用しているeMAXIS Slim 先進国株式
インデックスとパフォーマンスを比較しました。
※引用:モーニングスター
直近3年間の運用はかなり拮抗していましたが、コロナショックで
ロボテックがeMAXIS Slim 先進国株式インデックスを大きく
突き放しました。
こう見ると、インデックスファンド以外にも十分優れたファンドも
あることがわかります。
ロボテック | Slim 先進国 | |
1年 | 24.15% | 2.97% |
3年 | 12.47% | 6.25% |
5年 | – | – |
10年 | – | – |
※2020年8月時点
類似ファンドとのパフォーマンス比較
アクティブファンドに投資をするのであれば、他のアクティブ
ファンドとパフォーマンスを比較しておいて損はありません。
今回は、ロボテックと同じように米国を中心に先進国株に
分散投資をしている大和住銀 DC海外株式アクティブファンドと
比較を行いました。
※引用:モーニングスター
ロボテックも決してパフォーマンスが悪いわけではないのですが、
大和住銀 DC海外株式アクティブファンドの圧勝です。
このあたりのファンドは確かにコストは割高ですが、その分
しっかりプラスのリターンを出してくれているので、十分
検討する価値があるファンドと言えるでしょう。
ロボテック | 大和住銀DC海外 | |
1年 | 24.15% | 23.15% |
3年 | 12.47% | 14.97% |
5年 | – | 10.76% |
10年 | – | 15.27% |
※2020年8月時点
最大下落率はどれくらい?
投資をするにあたって、気にあるのがどの程度下落するかでしょう。
標準偏差である程度は理解できるものの、やはり実際に下落したかは
気になります。
ロボテックは2018年10月~12月の3カ月間で20%近い下落を
しました。
ファンドの運用においては、大きく下落することもありますが、
長期保有をすることでしっかりプラスのリターンが出ていますので、
くれぐれもパニック売りはしないようにしてください。
最大下落率を知ってしまうと、少し足が止まってしまうかもしれません。
しかし、以下のことをしっかり理解しておけば、元本割れの可能性を
限りなく低くすることが可能です。
期間 | 下落率 |
1カ月 | ▲13.55% |
3カ月 | ▲20.59% |
6カ月 | ▲14.50% |
12カ月 | ▲18.30% |
※2020年8月時点
積立NISAとiDeCoの対応状況は?
積立NISAやiDeCoで積立投資を検討している人も多いと
思います。
そこで、積立NISAやiDeCoの対応状況をまとめました。
積立NISA | iDeCo |
× | × |
※2020年8月時点
分配金の推移は?
ロボテックの分配金の推移を見てみましょう。
パフォーマンスが良かった2017年、2018年は分配金が出て
いますが、それ以降はぱったりと止まっています。
そもそもですが、このブログでは何度も言っていますが、
分配金は受け取らずに再投資したほうが投資効率は確実に高くなります。
計算するとよくわかる!分配金を受け取ることによるデメリットとは?
分配金 | |
2020年 | 0円 |
2019年 | 0円 |
2018年 | 300円 |
2017年 | 1,250円 |
2016年 | 0円 |
※2020年8月時点
評判はどう?
ネットでの書き込みなどで調べる方法もありますが、評判を知る
うえで一番役に立つのが、月次の資金流出入額でしょう。
資金が流入しているということは、それだけこのファンドを購入
している人が多いということなので、評判がいいということです。
ロボテックは、2018年頭までは順調に資金流入が続いていましたが、
パフォーマンスの悪化とともに、直近では資金が流出超過となっています。
先進国株式のインデックスファンドと比較をして、パフォーマンスは
かなり優れているにもかかわらず、ここまで資金が流出する理由が
よくわかりません。
※引用:モーニングスター
ロボット・テクノロジー関連株ファンド『ロボテック』の評価まとめと今後の見通し
いかがでしょうか?
テーマ型ファンドというのは、廃れるのも早いもので、
なかなか長期で高い利回りで運用できないことが多いです。
ただ、ロボテックは2018年の運用は苦戦したものの、コロナ
ショックをうまく利用して、大きく挽回しています。
低コストで人気のeMAXIS Slim 先進国株式インデックスと
比較をしても、かなり高い利回りで運用できており、十分
投資価値があると言えるのではないでしょうか。
ロボットをテーマにした分野はまさに今から伸びる分野であり、
今後も高い利回りが期待できる分野だと思っています。
もし余剰資金があるなら、購入を検討する価値があるのでは
ないでしょうか。
ただ、さきほど比較したとおり、先進国株式に投資をしている
アクティブファンドには他にも優秀なファンドがいくつかあります。
ぜひそちらと合わせて検討してください。
当然ながら、弱点もあります。 今も私は投信運用を続けてはいますが、私がなぜ
投資信託の運用を主軸におかなくなったのか。 その理由をこちらで話をしています。 >>なぜ私が投信運用に限界を感じたのか。多くの投資家が見逃している投信運用の弱点