破壊的なイノベーションを起こす企業に投資をするスタンスで2020以降圧倒的な注目を集めていたのが投資顧問会社のARKインベストメントです。

ARKが運用するファンドは軒並み高パフォーマンスで一時は大注目を浴びていました。そんなARKが助言に入り、社会課題解決へ寄与するSDGsファンドが新たなに登場しました。

それが、日興アセットのイノベーティブ・カーボンニュートラル戦略ファンドです。今日は、イノベーティブ・カーボンニュートラル戦略ファンドを徹底分析していきます。

イノベーティブ・カーボンニュートラル戦略って投資対象としてどうなの?」

イノベーティブ・カーボンニュートラル戦略って持ってて大丈夫なの?」

イノベーティブ・カーボンニュートラル戦略より良いファンドってある?」

といったことでお悩みの方は、この記事を最後まで読めば、
悩みは解消すると思います。


グローバル・エクスポネンシャル・イノベーションの基本情報

投資対象は?

グローバル・エクスポネンシャル・イノベーションの投資対象は世界の上昇株式のうち、社会課題解決への寄与が期待される破壊的イノベーション関連企業の株式です。

ここでいう社会課題とはSDGs(持続可能な開発目標)を指し、銘柄選定していきます。

個別銘柄の選定ではARKインベストメントの投資助言を受けていますので、運用の成否はARKにかかっていると言っても、過言ではありません。

2国別・業種別の構成比は以下のようになっています。米国を中心にアジア圏の企業にも積極的に投資をしていくようです。ただ、実質的には米国株ファンドと言っても差し支えなさそうです。


※引用:マンスリーレポート

グローバル・エクスポネンシャル・イノベーションは現在55銘柄で構成されており、上位の組入れ銘柄は以下のようになっています。相変わらずARKが大好きなテスラが1位となっていますね。


※引用:マンスリーレポート

ARKインベストメントの特徴は?

ARKインベストメントを語る上ではずせないのが、ユニークな調査体制と独自の調査スタイルです。一般的な運用会社のアナリストであれば、業種ごとに担当が割り振られます。

一方で、ARKでは、3Dプリンティング、ビッグデータ、自動運転、遺伝子治療といったイノベーションの技術ごとにアナリストを配置します。

この調査体制により、ある特定の技術を他の運用会社では不可能なレベルまで深く深くリサーチすることができます。

そして、もう1つの特徴がオンライン・SNSやクラウドソーシング等のツールを積極的に活用して調査を進めるという点です。一般的な運用会社であれば、ファンダメンタルズ分析やボトムアップ分析により、調査委対象企業の優位性を分析します。

しかし、AKRでは、SNSを通じて、大学教授、起業家など外部の専門家との人脈を構築し、イノベーションについての共同分析や成長モデルを構築したり、

クラウドソーシングを活用し、世間の認識とのギャップを確認し、理解を細部まで深めるような調査をしています。

このような独自の調査体制と調査スタイルにより、圧倒的なパフォーマンスをあげているというわけです。

ARKインパクト・ストラテジーとは?

グローバル・エクスポネンシャル・イノベーションでは、AKRインパクト・ストラテジーという運用戦略が採られています。これは銘柄選定のプロセスに社会課題解決の視点を追加したものです。

ARKでは、ロボティクス/AI/エネルギー貯蔵/ゲノム解析/ブロックチェーンをイノベーションによって改善が期待される5つの大きな社会課題と定義し、企業の製品・サービスがこれらの社会課題解決にどの程度のインパクトを与えるのかを独自指標で評価します。

純資産総額は?

投資を検討するうえで、純資産総額は必ず確認するようにしてください。

純資産総額は大きいほうが、ファンドマネージャーが資金を運用する際に効率よくできたり、保管費用や監査費用が相対的に低くなりますので、コストが低く抑えられます。

また投資信託の規模が小さくなると運用会社自体がその投資信託に力を注がなくなりパフォーマンスが悪くなることもありますので注意が必要です。

まさか知らない?絶対知っておきたい純資産総額のマメ知識

グローバル・エクスポネンシャル・イノベーションは一時は5000億円を超える規模にまで成長しましたが、パフォーマンスが優れないこともあり、現在は2900億円程度にまで減少しています。規模としては問題ないサイズですね。

※引用:マンスリーレポート

実質コストは?

投資信託には、購入時の手数料や信託報酬の他にも費用がかかっていることをご存知ですか?

これを実質コストと言いますが、実質コストには株式売買手数料や有価証券取引税、監査費用などが含まれています。特に純資産総額が小さいときには、信託報酬より実質コストがかなり割高になっている場合もあるので、注意が必要です。

信託報酬を信用するな。知らないうちに差し引かれている実質コストの調べ方

グローバル・エクスポネンシャル・イノベーションの実質コストは1.676%となっており、アクティブファンドにはよくある水準です。ただ、購入時手数料と信託報酬を合わせると、初年度は5%程度取られますので、投資する際は慎重に判断をしてください。

投資信託の手数料は安ければ安いほどいいという勘違い

購入時手数料 3.3%※上限
信託報酬 1.6675%(税込)
信託財産留保額 なし
実質コスト 1.676%(概算値)

※引用:最新運用報告書

「ファンドの運用で成果を出すために一番大事なことは何ですか?」と聞かれてあなたは何と答えますか?

もし『ファンド選び』だと思ったとしたら、あなたはドツボに
はまっていますので、こちらの記事を読んでみてください。

>>無料ファンド相談から見えた。多くの人が気づいていない投信運用で成果を阻む9つの誤り

グローバル・エクスポネンシャル・イノベーションの評価分析

基準価額をどう見る?

グローバル・エクスポネンシャル・イノベーションの基準価額は、新規設定以来、右肩下がりが続いており、すでに50%以上基準価額が下落しています。

投資家にとっては地獄のような展開ですね。


※引用:モーニングスター

利回りはどれくらい?

続いて、グローバル・エクスポネンシャル・イノベーションの利回りを見てみましょう。

直近1年間の利回りは▲47.28%となっており、コロナショックでもリーマンショックでもなくレバレッジも利かせずにこの下落幅は逆に驚きますね。

ちなみにあなたは実質利回りの計算方法はすでに理解していますか?もし、理解していないのであれば、必ず理解しておいてください。

これがわかっていないとマズイ。実質利回りの計算方法。

平均利回り
1年 ▲47.28%
3年
5年
10年

※2022年10月時点

10年間高いパフォーマンスを出し続けている優秀なファンド達も参考にしてみてください。

10年間圧倒的に高いリターンを出している海外株式ファンドランキング

同カテゴリー内での利回りランキングは?

グローバル・エクスポネンシャル・イノベーションは、優れたファンドが多い国際株式の北米株カテゴリーに属しています。

投資をするのであれば、同カテゴリーでも優秀なパフォーマンスのファンドに投資をしたいと思うので、同カテゴリー内でのパフォーマンスのランキングを調べました。

グローバル・エクスポネンシャル・イノベーションは、なんと北米カテゴリーで最下位のパフォーマンスとなっています。

これでは今から誰も投資をしようとは思いませんね。

上位●%
1年 100%
3年
5年
10年

※2022年10月時点

年別の運用利回りは?

グローバル・エクスポネンシャル・イノベーションの年別のパフォーマンスを見てみましょう。

まだ運用期間が1年程度なので、この数値はあまり参考になりません。

年間利回り
2022年 ▲46.79%(1-9月)

※2022年10月時点

投信運用は長期投資が前提なので、つい出口戦略を考えずに投資をしてしまいがちです。

しかし、「投資は出口戦略にあり」と言われるほど、重要なテーマです。ぜひこれを機会に投資の出口戦略を考えてみてください。

>>まさか考えたことがない?運用が成功するか失敗するかすべてのカギを握る投信運用の出口戦略

インデックスファンドとの利回り比較

グローバル・エクスポネンシャル・イノベーションに投資を検討するのであれば、同じように米国株式に投資をしているインデックスファンドと運用実績を比較しておいて損はありません。

今回は、グローバル・エクスポネンシャル・イノベーションと同じく北米株で構成されているeMAXIS Slim 米国株式(S&P500)とパフォーマンスを比較してみました。


※引用:モーニングスター

結果はしっかり見るまでもなく、eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)が大きくアウトパフォームしていますが。これだけ差がつくと、あえて高いコストを支払って、グローバル・エクスポネンシャル・イノベーションに投資するメリットを感じませんね。

iFreeNEXT FANG+ Slim 米国株式
1年 ▲47.28% +9.42%
3年 +19.72%
5年
10年

※2022年10月時点

類似ファンドとの利回り比較

インデックスファンドに投資をするにしても、アクティブファンドとパフォーマンスを比較してからでも遅くはありません。

今回は、北米ファンドで何度も優秀ファンド賞を受賞をしたことがあるアライアンス・バーンスタインの米国成長株投信Bコースと比較をしてみました。


※引用:モーニングスター

こちらもしっかり見るまでもなくグローバル・エクスポネンシャル・イノベーションが大きく負けています。

せっかく高いコストを支払うのであれば、米国成長株投信のほうがはるかに良いです。

iFreeNEXT FANG+ 米国成長株投信B
1年 ▲47.28% ▲2.18%
3年 +19.77%
5年 +16.49%
10年 +20.33%

※2022年10月時点

最大下落率はどれくらい?

投資をするにあたって、気になるのが「このファンドはどの程度下落することがあるのか」という点でしょう。標準偏差である程度は理解できるものの、やはり実際の下落幅を事前に調べておくことで心構えができます。

そこでグローバル・エクスポネンシャル・イノベーションの最大下落率を調べてみました。

期間 下落率
1カ月 ▲22.57%
3カ月 ▲37.15%
6カ月 ▲43.10%
12カ月 ▲50.25%

※2022年10月時点

グローバル・エクスポネンシャル・イノベーションは2021年7月~2022年6月までの1年間で最大▲50.25%の下落を記録しています。

新規設定されて1年目で50%の下落をされては目もあてられません。投資家としては、すぐに損切したい半面、諦めきれないというのが正直なところかと思います。

最大下落率を知ってしまうと、少し足が止まってしまうかもしれません。しかし、以下のことをしっかり理解しておけば、元本割れの可能性を限りなく低くすることが可能です。

元本割れを回避するためにできるたったひとつのこととは?

評判はどう?

ネットでの書き込みなどで調べる方法もありますが、評判を知るうえで一番役に立つのが、月次の資金流出入額です。資金が流入しているということは、それだけこのファンドを購入している人が多いということなので、評判が良いということです。

グローバル・エクスポネンシャル・イノベーションは初月に大きな資金流入をして以来、毎月資金の流入が続いています。

これだけパフォーマンスが悪くても流入超過となっているのは、SDGsというテーマに興味のある投資家が流入しているのか、大きく下げているからこそ逆に買い場だと思っている投資家がいるのだと思います。


※引用:モーニングスター

グローバル・エクスポネンシャル・イノベーションの評価まとめと今後の見通し

いかがでしょうか?

あのARKインベストメントが社会課題解決型のファンドを新規設定するということで、多くの投資家の注目を集めましたが、結果は散々なことになっています。

もちろん新規設定ファンドは3年程度は運用状況をモニタリングするべきですが、1年目に50%もマイナスとなると、マイナス分を取り戻すのにかなりの時間を要すると思われます。

インデックスファンドにも大きく後れを取っていますので、少なくとも今から投資をするようなファンドではありません。今保有をしているという人は、損切覚悟でファンドを入れ替えることも検討したほうがいいように思います。

最後に、投信運用には多くのメリットもありますが、当然ながら、弱点もあります。

今も私は投信運用を続けてはいますが、私がなぜ投資信託の運用を主軸におかなくなったのか。その理由をこちらで話をしています。

>>なぜ私が投信運用に限界を感じたのか。多くの投資家が見逃している投信運用の弱点