ニッセイアセットが運用する、ニッセイ J-REITファンド(毎月分配型)。
株式に比べてボラティリティの低いことと分配金の高さを売り文句に、
公募ファンドを取り扱う日本の資産運用会社のほとんどが取り扱っている
Jリートファンド。

 

しかし、目を覆うような粗悪品が多く、毎月分配型のJリートファンド
としては後発組に入る本ファンドも、決して例外ではありません。

 

今日は、ニッセイ J-REITファンド(毎月分配型)について徹底分析
していきます。

 

 

ニッセイ J-REITファンド(毎月分配型)の基本情報

投資対象は?

ニッセイ J-REITファンド(毎月分配型)の投資対象はJリートです。

 

あなたから集めた資金を使って、オフィスや商業テナント、ホテル
などに投資を行い、賃料収入や売却益を配当として、投資家に還元します。


※引用:交付目論見書

 

組入銘柄数は49銘柄と国内の不動産投資法人をほとんどカバーしており、
資産規模の大きい投資法人が組入比率上位に入っています。

 

組入銘柄にオリジナリティが出せないので、他のJリートと比べても、
違いがないため、面白みがほとんどありません。

 


※引用:マンスリーレポート

 

運用体制は?

運用は、ニッセイ基礎研究所の調査・分析等の助言をもとに運用しています。
ニッセイ基礎研究所は、1988年創業のニッセイグループのシンクタンクです。
生命保険分野にとどまらず、国内外の経済・金融・資産運用・年金福祉まで
幅広い分野で、調査・研究をしています。

 

純資産総額は?

続いて、ニッセイ J-REITファンド(毎月分配型)の純資産総額は
どうなっているか見てみましょう。

 

純資産総額というのは、あなたを含めた投資家から集めた資金の
総額だと思ってください。

 

ファンドの純資産総額が小さいと、適切なタイミングで銘柄を入れ
替えることができなかったり、純資産総額が大きく減少していると、
ファンドの組み替えがうまくできず、予期せぬマイナスを生む可能性が
ありますので、事前に確認すべきポイントの1つです。

まさか知らない?絶対知っておきたい純資産総額のマメ知識

 

ニッセイ J-REITファンド(毎月分配型)の直近の純資産額は1100億円
程度となっています。

 

一時は3000億円超の規模がありましたが、近年の毎月分配型への
厳しい評価の影響もあって純資産総額が減少しています。

 

1000億円以上ありますので、規模による運用のデメリットはないと
言えます。


※引用:マンスリーレポート

 

実質コストは?

私たちが支払うコストには、目論見書に記載の信託報酬以外に、
株式売買委託手数料や、保管費用、印刷費用などが含まれています。

 

そのため、実際に支払うコストは、目論見書記載の額より高くなる
のが通例で、実際にかかる実質コストをもとに投資判断をしなけれ
ばなりません。

信託報酬を信用するな。知らないうちに差し引かれている実質コストの調べ方

 

ニッセイ J-REITファンド(毎月分配型)の実質コストは1.18%となって
おり、一見割安に見えます。

 

ただ、後述しますが、インデックスファンドにパフォーマンスで
負けているにもかかわらず、このコストは高いですね。

購入時手数料 2.2%(税込)※上限
信託報酬 1.1%(税込)
信託財産留保額 0
実質コスト 1.18%(概算値)

※引用:最新運用報告書

 

実質コスト以外にも、多くの投資家が気づいていない
投信運用での成果を出すのに妨げとなる間違った考え方
をまとめました。参考にしてください。

無料ファンド相談から見えた。多くの人が気づいていない投信運用で成果を阻む9つの誤り

 

ニッセイ J-REITファンド(毎月分配型)の評価分析

基準価額の推移は?

ニッセイ J-REITファンド(毎月分配型)はコロナショックまでは、
分配金を出しながらも右肩上がりに上昇していましたが、
コロナショックで大きく下落しました。

 

分配金を受け取らずに再投資して運用した場合の基準価額(青線)
を見てみると、コロナショックの影響で、3年前とほぼ同水準
です。

 

ここからも3年間で積み上げてきた利益がすべて吹き飛んだと
言えます。

 


※引用:モーニングスター

 

利回りはどれくらい?

ニッセイ J-REITファンド(毎月分配型)の直近1年の利回りは▲11.25%です。

 

3年平均、5年平均利回りは何とかプラスを維持していますが、
半年前の利回りと比べると、コロナショックの影響で、かなり
パフォーマンスは悪化しています。

 

ちなみにあなたは実質利回りの計算方法はすでに理解していますか?
もし、理解していないのであれば、必ず理解しておいてください。

これがわかっていないとマズイ。実質利回りの計算方法。

平均利回り 2020年1月 2020年7月
1年 23.44% ▲11.25%
3年 7.53% 2.51%
5年 4.91% 0.93%
10年 12.74% 10.19%

※2020年7月時点

 

10年間高いパフォーマンスを出し続けている優秀なファンド達も
参考にしてみてください。

10年間圧倒的に高いリターンを出しているJリート ランキング

 

同カテゴリー内における利回りランキング(上位●%)の変化

ニッセイ J-REITファンド(毎月分配型)は国内RIETカテゴリー
に属しています。

 

投資をするのであれば、同じカテゴリーでも優秀なパフォーマンス
のファンドに投資をすべきなので、同カテゴリー内でもパフォー
マンスのランキングは事前に調べておいて損はありません。

 

ニッセイ J-REITファンド(毎月分配型)は下位20%程度に位置して
いましたが、コロナショックを経て、少しだけ順位をあげている
ようです。

 

ただ、それでも平均以下の水準なので、まだほかに優秀な
国内RIETファンドがあるとわかります。

2020年1月 2020年7月
1年 87% 67%
3年 86% 77%
5年 73% 75%
10年 79% 70%

※2020年7月時点

 

年別のパフォーマンスは?

では、ニッセイ J-REITファンド(毎月分配型)の年別のパフォーマンスを
見てみましょう。

 

直近の5~6年間は、プラスの年があれば、翌年マイナスを出してしまい、
トータルのリターンがまったく伸びていません。

 

REITは相場が落ち着いているときは堅調に推移しますが、落ちる
ときは大きく下落するので、なかなか利益が積みあがってこない
状況になっています。

 

このような運用が続くと投資家としては投資しづらいですね。

年間利回り
2020年 ▲19.45%(1-6月)
2019年 23.44%
2018年 9.56%
2017年 ▲8.07%
2016年 7.68%
2015年 ▲5.08%
2014年 27.82%

※2020年7月時点

 

インデックスファンドとのパフォーマンス比較

ニッセイ J-REITファンド(毎月分配型)に投資をするのであれば、
より低コストで投資ができるインデックスファンドとのパフォー
マンスは比較してから投資をしても遅くはありません。

 

今回は、東証REIT指数と連動するeMAXIS 国内リートインデックスと
パフォーマンスを比較してみました。

 

直近の直近だけニッセイ J-REITファンド(毎月分配型)が上回って
いますが、それ以外の期間では、基本的にeMAXIS 国内リート
インデックスが勝っています。

 

これでは、高い手数料を支払ってまで投資するメリットを感じませんね。

 


※引用:モーニングスター

 

5年、10年のより長い期間でパフォーマンスを比較してみても、
やはりニッセイ J-REITファンド(毎月分配型)が劣っています。

これであれば、インデックスファンドに投資をすれば、十分
と言えます。

ニッセイ J-REIT eMAXIS国内リート
1年 ▲11.25% ▲11.20%
3年 2.51% 3.14%
5年 0.93% 1.93%
10年 10.19% 10.82%

※2020年7月時点

 

類似ファンドとのパフォーマンス比較

毎月分配型のアクティブファンドに投資するのであれば、
同じく毎月分配型のアクティブファンドとパフォーマンスを
比較してから投資をしても遅くはありません。

 

今回は同じくJ-RIETに投資ができるJ-REITリサーチ・
オープン(毎月分配型)
と比較をしてみました。

 

同じJ-REITに投資をしていても、3年間で5%以上の
差がついています。

 

これだけ差がつくと、ニッセイ J-REITファンド(毎月分配型)
を選択する理由がなくなります。

 


※引用:モーニングスター

 

ニッセイ J-REIT J-RIETリサーチ
1年 ▲11.25% ▲8.99%
3年 2.51% 4.50%
5年 0.93% 2.35%
10年 10.19% 11.25%

※2020年7月時点

 

最大下落率は?

ニッセイ J-REITファンド(毎月分配型)に投資をするうえで、事前に
どの程度下落する可能性があるのかは知っておきたいところです。

 

ニッセイ J-REITファンド(毎月分配型)はリーマンショック時で
最大▲49.40%となっています。

 

リーマンショックのような金融ショックが来た場合は、Jリートと
言えど、大きく下落してしまうことだけは忘れないようにしましょう。

 

最大下落率を知ってしまうと、少し足が止まってしまうかもしれません。
しかし、以下のことをしっかり理解しておけば、元本割れの可能性を
限りなく低くすることが可能です。

元本割れを回避するためにできるたったひとつのこととは?

期間 下落率
1カ月 ▲19.64%
3カ月 ▲30.32%
6カ月 ▲37.99%
12カ月 ▲49.40%

※2020年7月時点

 

分配健全度はどれくらい?

分配金を毎月受け取っていると、受け取っていることに安心
してしまい、自分の投資元本からの配当なのか、ファンドの
収益からの配当なのか調べなくなります。

 

そこで、分配金がファンドの収益からちゃんと支払われている
のかを調べるときに役立つのが分配健全度です。

 

分配健全度とは、1年間の分配金の合計額と基準価額の変動幅を
もとに、あなたが受け取った分配金の約何%がファンドの収益
によるものなのかを計算できる指標です。

基準価額の変動幅 1年間の分配合計額 分配健全度
▲1,075円 480円 ▲123%

※2019/7/27~2020/7/26

 

ニッセイ J-REITファンド(毎月分配型)の直近1年間の
分配健全度は▲123%となっています。

 

分配健全度は100%を切ると、一部ファンドの収益以外から
分配金が支払われていることを意味しますが、0%を下回る
ということは、ファンドの収益からの支払いは一切ない
ということを意味します。

 

コロナショックの影響も当然ありますが、あなたが受け
取っている分配金はすべてファンドの収益以外から支払われ
ていたことを意味します。

 

かつ、投資元本が大きく削られてしまっているということです。

 

分配金利回りはどれくらい?

毎月分配型のファンドに投資をしている場合、どれくらいの
分配金が受け取れるのかを知るために分配金利回りを参考
にします。

 

分配金利回りは1年間で受け取った分配金の合計金額を
基準価額で割ることで計算できます。

 

ただし、投資信託の場合、分配金利回りだけをみていると、
受け取っている分配金がファンドの収益から出ている
ものなのか、投資元本が削られているのか、判断できません。

 

そのため、ファンドの運用利回りと分配金利回りを比較して、
ファンドの運用利回りのほうが高ければ、あなたが受け取って
いる分配金がファンドの運用の収益から支払われていると
判断することができます。

 

ニッセイ J-REITファンド(毎月分配型)の分配金利回りは
11.3%なので、少し高めの設定です。

 

ただ、ここ最近のパフォーマンスから考えると、どう
考えても、分配金利回りが高く、ファンドの収益だけ
で分配金を賄えていないことがここからもわかります。

 

未だ多くの投資家が勘違いをしながら、分配金利回りが
高いファンドに投資をしていますが、くれぐれも気を
つけてほしいと思います。

運用利回り 分配金利回り
1年 ▲11.25% 11.3%
3年 2.51%
5年 0.93%
10年 10.19%

※2020年7月時点

 

分配金余力はどれくらい?

毎月分配型ファンドに投資をしている場合、もう1つ気になる
のが今後いつごろ、減配されそうかという点です。

 

そんなときに役立つのが分配金余力という考え方です。

 

分配金余力というのは、今の分配金の水準をあと何か月
続けられそうかを判断するための指標です。

 

明確にこの水準になったら減配されるという指標では
ありませんが、12カ月を切ったファンドはたいてい近々、
減配されることが多いです。

 

ニッセイ J-REITファンド(毎月分配型)の分配金余力は
まだ90カ月ありますので、減配の心配はいったん
しなくても大丈夫そうです。

分配金 繰越対象額 分配金余力
128期 40円 3,113円 78.7カ月
129期 40円 3,258円 82.4月
130期 40円 3,308円 83.7カ月
131期 40円 3,440円 87カ月
132期 40円 3,704円 93.6カ月
133期 40円 3,671円 92.7カ月
134期 40円 3,624円 91.6カ月
135期 40円 3,617円 91.4カ月
136期 40円 3,620円 91.5カ月
137期 40円 3,599円 90.9カ月
138期 40円 3,563円 90.0カ月
139期 40円 3,531円 89.2カ月

積立NISAとiDeCoの対応状況は?

積立NISAやiDeCoで積立投資を検討している人も多いと
思います。

 

そこで、積立NISAやiDeCoの対応状況をまとめました。

積立NISA iDeCo
× ×

※2020年7月時点

 

評判は?

ニッセイ J-REITファンド(毎月分配型)の評判はネットでの書き込みなどで
調べる方法もありますが、評判を知るうえで一番役に立つのが、月次の
資金流出入額です。

 

資金が流出しているということは、それだけニッセイ J-REITファンド
(毎月分配型)を解約している人が多いということなので、評判が悪い
ということです。

 

直近のニッセイ J-REITファンド(毎月分配型)は、毎月資金流出が超過
しており、毎月分配型=悪というイメージが投資家にも浸透してきたこと
がうかがえます。

 

また東証RIET指数に連動するインデックスファンドにパフォーマンスで
負けてしまっているのも原因のひとつでしょう。

 


※引用:モーニングスター

 

ニッセイ J-REITファンド(毎月分配型)の評価まとめと今後の見通し

コロナショックで一番大きく下落したのが、RIET市場でした。

 

前からこのブログではよく言っているのですが、急落相場
では、REITはかなり大きく下落する傾向があります。

 

それもあり、直近のファンドの分配健全度は悲惨な結果と
なっています。

 

中長期でみれば、RIETも1桁中盤のリターンは期待ができますが、
ニッセイ J-REITファンド(毎月分配型)に関しては、低コストの
インデックスファンドにパフォーマンスで負けていますし、

 

アクティブファンドのJ-REIT リサーチ・オープン(毎月決算型)
にも負けています。

 

これでは、あえてニッセイ J-REITファンド(毎月分配型)を選択
する理由がありません。

 

毎月分配型のファンドに投資をするにしても、重要なのは、
ファンド自体がちゃんと収益をあげられているかです。

 

収益をあげていないファンドが分配金を出せるのは、あなたの
投資資金から支払いをしているからです。

 

くれぐれもそのことを忘れずに投資をしてほしいと思います。

 

 

最後に、投信運用には多くのメリットもありますが、
当然ながら、弱点もあります。

今も私は投信運用を続けてはいますが、私がなぜ
投資信託の運用を主軸におかなくなったのか。

その理由をこちらで話をしています。

>>私が痛感する投資信託の限界。多くの投資家が見逃している投信運用の弱点