世界の株式、債券、金に分散投資ができるということで、
人気が集まっているピクテ投信のノアリザーブ。
毎月分配型ファンドの中でも資産構成比に特徴があり、
一部の投資家から未だに人気があります。
ノアリザーブは毎月分配型と1年決算型がありますが、より
人気の高い毎月分配型について徹底分析していきます。
1年決算型への投資を検討している人も参考になると思います。
「ノアリザーブ(毎月分配型)って投資対象としてどうなの?」
「ノアリザーブ(毎月分配型)って持ってて大丈夫なの?」
「ノアリザーブ(毎月分配型)より良いファンドってある?」
といったことでお悩みの方は、この記事を最後まで読めば、
悩みは解消すると思います。
『ノアリザーブ』ピクテ・アセット・アロケーション・ファンド(毎月分配型)の基本情報
投資対象は?
投資対象は、世界の株式、債券、金など様々な資産に分散
していきます。
ただ、非常にややこしいのが、ノアリザーブはファンド・
オブ・ファンズ方式を採用しており、投資家から集めた資金
で様々な投資信託に分散投資をしていきます。
その投資信託の本数が現在50本以上あり、最終的にどのような
銘柄に投資をしているのか調べるのは非常に難しいのが難点です。
※引用:交付目論見書
資産の構成比率を見てみると、債券が約40%、株式が約40%、
金が約10%、残りが現金という比率になっています。
ノアリザーブ(毎月分配型)においては、この資産構成比を
把握するところまでで限界でしょう。
※引用:マンスリーレポート
国別の構成比でみてみると、米国の次が中国、フランス、
スイス、日本の比率が高くなっています。
もともと北欧の銘柄が上位にランクインしていたのですが、
だいぶ様相が変わってきました。
※引用:マンスリーレポート
つみたてNISAとiDeCoの対応状況は?
つみたてNISAやiDeCoで積立投資を検討している人も多いと
思います。
そこで、つみたてNISAやiDeCoの対応状況をまとめました。
つみたてNISA | iDeCo |
× | × |
※2022年2月時点
純資産総額は?
続いて、純資産総額はどうなっているか見てみましょう。
純資産総額というのは、あなたを含めた投資家から集めた
資金の総額だと思ってください。
ファンドの純資産総額が小さいと、適切なタイミングで
銘柄を入れ替えることができなかったり、純資産総額が
大きく減少していると、ファンドの組み替えがうまくで
きず、予期せぬマイナスを生む可能性がありますので、
事前に確認すべきポイントの1つです。
ノアリザーブ(毎月分配型)は2018年をピークに減少が続いており、
現在は約503億円になっています。
規模としては全く問題ありません。
※引用:マンスリーレポート
実質コストは?
私たちが支払うコストには、目論見書に記載の信託報酬
以外に、株式売買委託手数料や、保管費用、印刷費用など
が含まれています。
そのため、実際に支払うコストは、目論見書記載の額より
高くなるのが通例で、実際にかかる実質コストをもとに
投資判断をしなければなりません。
信託報酬を信用するな。知らないうちに差し引かれている実質コストの調べ方
ノアリザーブ(毎月分配型)の実質コストは2.12%と
なっています。
機関投資家向けのファンドは手数料が安いことを考慮すると、
実質コストはかなり高めの設定になっています。
購入時手数料とあわせて、初年度4%を超えるので、
おすすめはしづらいファンドです。
購入時手数料 | 2.75%(税込)※上限 |
信託報酬 | 1.628%(税込) |
信託財産留保額 | 0 |
実質コスト | 2.12%(概算値) |
※引用:最新運用報告書
「ファンドの運用で成果を出すために一番大事なことは何ですか?」と聞かれてあなたは何と答えますか?
もし『ファンド選び』だと思ったとしたら、あなたはドツボに
はまっていますので、こちらの記事を読んでみてください。
『ノアリザーブ』ピクテ・アセット・アロケーション・ファンド(毎月分配型)の評価分析
基準価額をどう見る?
ノアリザーブ(毎月分配型)基準価額はコロナショックで
大きく下げましたが、その後はゆるやかに回復傾向に
あります。
分配金を受け取らずに再投資をした場合の基準価額(青線)
を見ると、2019年以降は順調に右肩上がりに上昇しています
ので、ファンドの運用自体はプラスで運用できています。
※引用:モーニングスター
利回りはどれくらい?
続いて、ノアリザーブ(毎月分配型)の利回りを見ていきます。
直近1年間の利回りは1.40%となっています。
3年、5年平均利回りは4~5%ありますので、バランスファンド
としては十分な利回りではないでしょうか。
ちなみにあなたは実質利回りの計算方法はすでに理解していますか?
もし、理解していないのであれば、必ず理解しておいてください。
平均利回り | |
1年 | +1.40% |
3年 | +5.81% |
5年 | +3.75% |
10年 | - |
※2022年2月時点
同カテゴリー内での利回りランキングは?
ノアリザーブ(毎月分配型)はバランスファンドの株式・RIET比率が
25~50%のカテゴリーに分類されています。
投資をするのであれば、同カテゴリーでも優秀なパフォ
ーマンスのファンドに投資をしたいと思うので、同カテゴリー
内でのパフォーマンスのランキングを調べました。
ノアリザーブ(毎月分配型)は、直近1年間は下位20%に
入ってしまっていますが、3年平均、5年平均利回りは
平均以上のパフォーマンスとなっています。
バランスファンド自体が資産構成比が違うため、順位が高い
からといって、一概に優れているとは言えませんので、
参考程度に見ておいてください。
上位●% | |
1年 | 82% |
3年 | 33% |
5年 | 40% |
10年 | - |
※2022年2月時点
年別の運用利回りは?
ノアリザーブ(毎月分配型)の年別のパフォーマンスを見てみると、
2018年以外は大きなマイナスもなく手堅く運用しています。
年間利回り | |
2021年 | +6.64% |
2020年 | +7.82% |
2019年 | +9.75% |
2018年 | ▲6.39% |
2017年 | +5.30% |
2016年 | +0.52% |
2015年 | ▲1.52% |
2014年 | +4.50% |
※2022年2月時点
投信運用は長期投資が前提なので、つい出口戦略を考えずに投資をしてしまいがちです。
しかし、「投資は出口戦略にあり」と言われるほど、重要なテーマです。ぜひこれを機会に投資の出口戦略を考えてみてください。
>>ここまで考えるのが本当の資産運用。多くの投資家が考えられていない投信運用の出口戦略とはインデックスファンドとの利回り比較
ノアリザーブ(毎月分配型)への投資を検討するのであれば、
少なくとも低コストのインデックスファンドよりは
パフォーマンスが優れていなければ投資する価値がありません。
今回は、国内外の株式、債券、REITに分散投資ができ、
現在、低コストのインデックスファンドとして、非常に人気の高い
eMAXIS Slim バランス(8資産均等型)と比較をしました。
※引用:モーニングスター
資産構成比が違うので、基準価額の変動幅も違うため、このまま比較を
するのは判断が分かれるところですが、少なくともeMAXIS Slim バランス
(8資産均等型)よりは低リスクで運用していることがわかります。
直近3年間のパフォーマンスはeMAXIS Slim バランス(8資産均等型)のほうが
優れているので、許容できるリスクなのであれば、eMAXIS Slim バランス
(8資産均等型)に投資をしたほうがいいです。
ノアリザーブ | Slimバランス | |
1年 | +1.40% | +9.72% |
3年 | +5.81% | +7.99% |
5年 | +3.75% | - |
10年 | - | - |
※2022年2月時点
類似ファンドとの利回り比較
アクティブファンドに投資をするのであれば、他のアクティブ
ファンドとパフォーマンスを比較しておいて損はありません。
なかなか同じ資産構成比のアクティブファンドがないため、
比較をするのも難しいのですが、今回は私が注目している
バランスファンドである投資のソムリエと比較をしました。
※引用:モーニングスター
投資のソムリエはリスクを極力抑えながら資産を増やして
行くファンドですので、ノアリザーブ(毎月分配型)と比較
するのも悩ましいところですが、
変動幅に差はあるものの、ノアリザーブ(毎月分配型)が
かなり上回っています。
ノアリザーブ | 投資のソムリエ | |
1年 | +1.40% | ▲1.85% |
3年 | +5.81% | +2.96% |
5年 | +3.75% | +2.32% |
10年 | - | - |
※2022年2月時点
最大下落率はどれくらい?
投資するにあたって、最大どの程度下落する可能性があるのか
知っておくことは非常に重要です。
先に下落幅を知っておくことで、大きく下落したときも、慌てて
売らずに冷静な判断ができるようになります。
ノアリザーブの最大下落率は、2015年6月~2016年5月で▲6.57%と
なっています。下落率が小さいというのは、一つプラスのポイント
になりますね。
最大下落率を知ってしまうと、少し足が止まってしまうかもしれません。
しかし、以下のことをしっかり理解しておけば、元本割れの可能性を
限りなく低くすることが可能です。
期間 | 下落率 |
1カ月 | ▲5.61% |
3カ月 | ▲6.03% |
6カ月 | ▲5.29% |
12カ月 | ▲6.57% |
※2022年2月時点
分配健全度はどれくらい?
分配金を毎月受け取っていると、受け取っていることに安心
してしまい、自分の投資元本からの配当なのか、ファンドの
収益からの配当なのか調べなくなります。
そこで、分配金がファンドの収益からちゃんと支払われている
のかを調べるときに役立つのが分配健全度です。
分配健全度とは、1年間の分配金の合計額と基準価額の変動幅を
もとに、あなたが受け取った分配金の約何%がファンドの収益
によるものなのかを計算できる指標です。
基準価額の変動幅 | 1年間の分配合計額 | 分配健全度 |
▲262円 | 240円 | ▲9.2% |
※2021/2/12~2022/2/14
ノアリザーブ(毎月分配型)の直近1年間の分配健全度は
▲9.2%となっています。
分配健全度は100%を切ると、一部ファンドの収益以外から
分配金が支払われていることを意味します。
その点、ノアリザーブ(毎月分配型)の分配健全度はマイナス
ですので、あなたが今年1年間で受け取った分配金は、
すべて運用益以外から支払われているということを意味します。
ノアリザーブの分配金利回りは健全な水準にありますので、
分配健全度はすぐに回復に向かうと思います。
分配金利回りはどれくらい?
毎月分配型のファンドに投資をしている場合、どれくらいの
分配金が受け取れるのかを知るために分配金利回りを参考
にします。
ただし、投資信託の場合、分配金利回りだけをみていると、
受け取っている分配金がファンドの収益から出ている
ものなのか、投資元本が削られているのか、判断できません。
そのため、ファンドの運用利回りと分配金利回りを比較して、
ファンドの運用利回りのほうが高ければ、あなたが受け取って
いる分配金がファンドの運用の収益から支払われていると
判断することができます。
ノアリザーブ(毎月分配型)の分配利回りは2.6%なので、
かなり健全な水準ではあります。
この分配金利回りであれば、ファンドの運用利回りよりも
低いので、ファンドの収益から分配金をすべて支払える
ような状態になっています。
この水準であれば、タコ足配当になる可能性は低いですね。
運用利回り | 分配利回り | |
1年 | +1.40% | 2.6% |
3年 | +5.81% | |
5年 | +3.75% | |
10年 | - |
※2022年2月時点
分配金余力はどれくらい?
毎月分配型ファンドに投資をしている場合、もう1つ気になる
のが今後いつごろ、減配されそうかという点です。
そんなときに役立つのが分配金余力という考え方です。
分配金余力というのは、今の分配金の水準をあと何か月
続けられそうかを判断するための指標です。
明確にこの水準になったら減配されるという指標では
ありませんが、12カ月を切ったファンドはたいてい近々、
減配されることが多いです。
ノアリザーブ(毎月分配型)の分配金余力は、60カ月ほど
ありますので、当面減配される心配はないと思います。
分配金 | 繰越対象額 | 分配金余力 | |
103期 | 20円 | 731円 | 37.6カ月 |
104期 | 20円 | 768円 | 39.4カ月 |
105期 | 20円 | 765円 | 39.3カ月 |
106期 | 20円 | 814円 | 41.7カ月 |
107期 | 20円 | 1002円 | 51.1カ月 |
108期 | 20円 | 1133円 | 57.7カ月 |
109期 | 20円 | 1130円 | 57.5カ月 |
110期 | 20円 | 1122円 | 57.1カ月 |
111期 | 20円 | 1113円 | 56.7カ月 |
112期 | 20円 | 1240円 | 63.0カ月 |
113期 | 20円 | 1230円 | 62.5カ月 |
114期 | 20円 | 1220円 | 62.0カ月 |
※最新運用報告書
評判はどう?
ノアリザーブの評判はネットでの書き込みなどで調べる方法も
ありますが、評判を知るうえで一番役に立つのが、月次の
資金流出入額でしょう。
資金が流入しているということは、それだけこのファンドを
購入している人が多いということなので、評判が良いという
ことです。
ノアリザーブ(毎月分配型)は2014年からほぼ毎月資金が
流入しており、非常に人気が高かったのですが、2018年末から
資金流出超過となっています。
分配は健全な水準ですが、やはり高いコストと毎月分配型と
言う点で評判が下がっているものと思われます。
※引用:モーニングスター
『ノアリザーブ』ピクテ・アセット・アロケーション・ファンド(毎月分配型)の今後の見通しと評価まとめ
ノアリザーブ(毎月分配型)は5年の運用実績から見ても
わかるように、期待できるリターンはよく見積もっても
毎年2~3%程度だと思います。
50以上のファンドに分散投資ができるのは魅力に
感じる人もいるかもしれませんが、さすがに信託報酬
が割高です。
分配金を受け取りたいのであれば、もう少し分配金利回り
が高いファンドを選択するべきだと思いますし、手堅く
運用したいのであれば、その分利回りは下がるので、
毎月分配型ファンドを選択するのはいまちいです。
分配金利回りなのか運用の手堅さなのかどちらを重視
するか自分の中でしっかりと決められると、もっと
良いファンドが見つけられるはずです。
最後に、投信運用には多くのメリットもありますが、当然ながら、弱点もあります。
今も私は投信運用を続けてはいますが、私がなぜ投資信託の運用を主軸におかなくなったのか。その理由をこちらで話をしています。
>>私が痛感する投資信託の限界。多くの投資家が見逃している投信運用の弱点