バランス型ファンドは投資初心者から常に人気がありますが、最近よく目にする8資産均等型バランスファンドも非常に人気があります。
ただ、気を付けなければいけないのが、バランス型ファンドであれば、分散効果もあるし、リスクも低いであろうと何も考えずに投資をしていると痛い目を見る可能性があるということです。
今日はその点にも触れながら、三菱UFJ国際投信のeMAXIS Slimバランス(8資産均等型)について徹底的に分析したいと思います。
「eMAXIS Slimバランス(8資産均等型)って投資対象としてどうなの?」
「eMAXIS Slimバランス(8資産均等型)って持ってて大丈夫なの?」
「eMAXIS Slimバランス(8資産均等型)より良いファンドってある?」
といったことでお悩みの方は、この記事を最後まで読めば、悩みは解消すると思います。
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eMAXIS Slimバランス(8資産均等型)の基本情報
投資対象は?
eMAXIS Slimバランス(8資産均等型)の投資対象は、国内・海外の株式、債券およびREITとし、下図のように8つの資産クラスに均等配分を目標にします。
アクティブファンドのようにアセットクラスを機動的に変更しないことがひとつの特徴ですね。
※引用:交付目論見書
そして、それぞれの資産クラスごとに、下記のようにベンチマークを設定し、それぞれ連動するように運用成果を目指します。
※引用:交付目論見書
ここで、注意が必要なのが、ベンチマークに採用されている指数がまともな指数であるかという点です。
多くの人がベンチマークに何が採用されているかについて、何も考えずに投資をしてしまっていますが、eMAXIS Slimバランス(8資産均等型)において、一番確認すべきポイントは、この点だと言っていいでしょう。
特に、新興国株式と新興国債券のインデックスファンドは各社でベンチマークが異なっているため、パフォーマンスに大きな影響を与えているので必ずチェックしてください。
ちなみに現在のポートフォリオの構成は以下のようになっています。ほとんど基本配分率からずれてはいませんね。
※引用:マンスリーレポート
つみたてNISAとiDeCoの対応状況は?
つみたてNISAやiDeCoで積立投資を検討している人も多いと思います。
eMAXIS Slimバランス(8資産均等型)はつみたてNISA、iDeCoともに対応していますので、投資をするのであれば、これらを有効活用しない手はありません。
iDeCo | |
〇 | SBI証券(セレクトプラン)、松井証券、マネックス証券 |
※2022年10月時点
純資産総額は?
続いて、eMAXIS Slimバランス(8資産均等型)の純資産総額はどうなっているか見てみましょう。
純資産総額というのは、あなたを含めた投資家から集めた資金の総額だと思ってください。インデックスファンドの運用において、純資産総額は必ずチェックしておきたいポイントです。
ファンドの純資産総額が小さいと、適切なタイミングで銘柄を入れ替えることができず、インデックスから乖離してしまうリスクがあります。
eMAXIS Slimバランス(8資産均等型)は、下図のように2017年の新規設定以来、純資産総額を伸ばしており、現在の純資産総額は約1,560億円となっています。毎月、安定的に純資産総額を伸ばしており、さすがの人気と言えます。
※引用:マンスリーレポート
実質コストは?
私たちが支払うコストには、目論見書に記載の信託報酬以外に、株式売買委託手数料や、保管費用、印刷費用などが含まれています。
そのため、実際に支払うコストは、目論見書記載の額より高くなるのが通例で、実際にかかる実質コストをもとに投資判断をしなければなりません。
信託報酬を信用するな。知らないうちに差し引かれている実質コストの調べ方
特にスマート・ベータ指数といって、FTSE RAFI エマージングインデックス(円換算)のようなベンチマークが使われていると、実質コストが上がりやすいので、必ず確認するようにしてください。
eMAXIS Slimバランス(8資産均等型)の実質コストは0.210%となっています。バランスファンドでこの低コストは魅力的と言えますね。
購入時手数料 | 0 |
信託報酬 | 0.154%(税込) |
信託財産留保額 | 0 |
実質コスト | 0.210%(概算値) |
※引用:最新運用報告書
類似ファンドの信託報酬の比較
続いて、各社が出している8資産均等型バランスファンドの信託報酬を比べてみます。
eMAXIS Slimバランス(8資産均等型) は信託報酬ベースで見ると、最安となっています。
本来であれば、実質コストで比較をしたいところですが、残念ながらベンチマークとなっている指数が各ファンドでそれぞれわずかに異なることから、実質コストを比較する意味がありません。
のちほど類似ファンドのパフォーマンスについては、比較をしますが、現時点ではeMAXIS Slimバランス(8資産均等型) とたわらノーロードバランス8資産均等型が優勢です。
ファンド | 信託報酬(税込) |
eMAXIS Slimバランス(8資産均等型) | 0.154% |
たわらノーロード バランス(8資産均等型) | 0.154% |
iFree8資産バランス | 0.242% |
ニッセイ・インデックスバランス(8資産) | 0.1749% |
※2022年10月時点
「ファンドの運用で成果を出すために一番大事なことは何ですか?」と聞かれてあなたは何と答えますか?
もし『ファンド選び』だと思ったとしたら、あなたはドツボに
はまっていますので、こちらの記事を読んでみてください。
eMAXIS Slimバランス(8資産均等型)の評価分析
基準価額をどう見る?
eMAXIS Slimバランス(8資産均等型)の基準価額は、コロナショックで15%近く下落し、一時は10000円を割り込みました。
その後は2021年末まで大きく上昇しており、2022年に入ると伸びが止まっています。
※引用:モーニングスター
利回りはどれくらい?
つづいて、eMAXIS Slimバランス(8資産均等型)の運用実績を見てみると、直近1年間の利回りは▲0.84%となっており、3年、5年平均利回りは5%程度ありますので、バランスファンドとしては十分な利回りとなっています。
ただ、他のファンドとパフォーマンス等を比較をしてから投資をするようにしてください。
ちなみにあなたは実質利回りの計算方法はすでに理解していますか?もし、理解していないのであれば、必ず理解しておいてください。
平均利回り | |
1年 | ▲0.84% |
3年 | +5.75% |
5年 | +4.84% |
10年 | - |
※2022年10月時点
同カテゴリー内での利回りランキングは?
eMAXIS Slimバランス(8資産均等型) は、バランス型ファンドのバランスカテゴリーに属しています。
投資をするのであれば、同じカテゴリーでも優秀なパフォーマンスのファンドに投資をしたいと思うので、同カテゴリー内でもパフォーマンスのランキングは事前に調べておいて損はありません。
eMAXIS Slimバランス(8資産均等型) は平均~上位30%程度に位置しています。インデックスファンドであれば、このくらいの順位で満足するべきですね。
上位●% | |
1年 | 24% |
3年 | 44% |
5年 | 26% |
10年 | - |
※2022年10月時点
年別の運用利回りは?
eMAXIS Slimバランス(8資産均等型)の年別のパフォーマンスを見てみましょう。
2018年、2022年はマイナスですが、それ以降はプラスのリターンを残しています。eMAXIS Slimバランス(8資産均等型)はバランスファンドの中でも株式やRIETの比率がそこそこ高いので、プラスが出るときは2桁プラスが出ることもありますし、逆も然りです。
年間利回り | |
2022年 | ▲4.04%(1-9月) |
2021年 | +15.97% |
2020年 | +1.01% |
2019年 | +16.30% |
2018年 | ▲6.70% |
2017年 | - |
※2022年10月時点
投信運用は長期投資が前提なので、つい出口戦略を考えずに投資をしてしまいがちです。
しかし、「投資は出口戦略にあり」と言われるほど、重要なテーマです。ぜひこれを機会に投資の出口戦略を考えてみてください。
>>まさか考えたことがない?運用が成功するか失敗するかすべてのカギを握る投信運用の出口戦略インデックスファンドとの利回り比較
eMAXIS Slimバランス(8資産均等型) に投資をするのであれば、他のバランス型のインデックスファンドとパフォーマンスを比較しておいて損はありません。
今回は、eMAXIS Slimバランス(8資産均等型) と同じく、8資産均等型のバランスファンド3本と比較をしました。
※引用:モーニングスター
まず気になるのが、2021年まではパフォーマンスにかなりばらつきがあったという点です。iFree 8資産バランスやeMAXIS Slimバランス(8資産均等型)が他の2ファンドと比べてパフォーマンスが劣っていました。
これは、新興国株式のインデックスファンドと新興国債券のインデックスファンドが各社で異なっており、その違いによる影響だということです。
もちろん実質コストによる差もわずかにありますが、一番大きな影響を与えているのは、組入られているファンドがそもそも違うということです。
2022年の初めまでは、たわらノーロード バランス(8資産均等型)やニッセイ・インデックスバランスFに投資をしたほうがパフォーマンスは良かったですが、直近の直近でeMAXIS Slimバランス(8資産均等型)がパフォーマンスで逆転しました。
信託報酬の安さだけで選んでいるとこういった点に気づかないので、ぜひ比較する癖をつけてください。
アクティブファンドとのパフォーマンス比較
eMAXIS Slimバランス(8資産均等型)に投資するのであれば、8資産に分散投資をしているアクティブファンドとパフォーマンスを比較するのもやっておいて損はありません。
アクティブファンドの場合は8資産均等型ではなく、相場の状況に合わせて8資産の投資比率を変更して運用するファンドになります。
今回は、リスクを抑えながら運用する投資のソムリエとパフォーマンスを比較してみます。
※引用:モーニングスター
投資のソムリエは2022年以降、債券の比率を高めていたことで、大打撃を受けています。
しっかり見るまでもなくeMAXIS Slimバランス(8資産均等型)がパフォーマンスで勝っていますので、あえて高いコストを支払わずとも、インデックスファンドに投資をしていけば十分と言えます。
最大下落率は?
投資を始めようとしている、もしくは始めたばかりの人が気になるのが、最大どの程度、資産が下落する可能性があるのかという点だと思います。
eMAXIS Slimバランス(8資産均等型)は2022年1月~3月の3カ月で最大16%近く下落したことがあります。
期間 | 下落率 |
1カ月 | ▲12.27% |
3カ月 | ▲16.34% |
6カ月 | ▲12.02% |
12カ月 | ▲9.68% |
※2022年10月時点
バランス型ファンドといっても、株式やREITの比率が高いため、この程度は下落しうることは事前に把握しておいてください。
最大下落率を知ってしまうと、少し足が止まってしまうかもしれません。しかし、以下のことをしっかり理解しておけば、元本割れの可能性を限りなく低くすることが可能です。
評判はどう?
続いて、eMAXIS Slimバランス(8資産均等型)の評判を見てみましょう。
ネットでの書き込みなどで調べる方法もありますが、評判を知るうえで一番役に立つのが、月次の資金流出入額でしょう。
資金が流入しているということは多くの投資家がファンドを購入しているということなので、評判がいいということになります。
eMAXIS Slimバランス(8資産均等型)は、2017年の新規設定以来、毎月資金流入しています。毎月大きく金額にブレがなく流入していますので、評判は上々ということですね。
※引用:モーニングスター
eMAXIS Slimバランス(8資産均等型)の評価まとめと今後の見通し
ファンドの運用ではアセットアロケーションが重要だ。ということを聞いたことがある投資家の方も多いかと思います。
そうするとeMAXIS Slimバランス(8資産均等型)のような、初めから8つの資産に分散してあるファンドはお手軽で魅力的に見えるでしょう。
ただ、8資産に分散投資をしているならどのファンドでも同じかというとそういうわけではありません。
さきほど比較したように、組入られているインデックスファンドがわずかに異なるため、パフォーマンスにも影響が出てきます。
直近では、eMAXIS Slimバランス(8資産均等型)がパフォーマンスで一番優れていたので、このまま投資をすればいいですが、8資産型と一口に言っても、中身が違えばパフォーマンスも変わってくるという点はしっかり覚えておいてください。
またバランスファンドは、様々なアセットクラスに分散投資ができるから手軽で魅力的だと感じている人もいるかもしれませんが、私は個人的にバランスファンドを推奨していません。
バランス型ファンドの本当のデメリット。なぜ私はおすすめしないのか
最後に、投信運用には多くのメリットもありますが、当然ながら、弱点もあります。
今も私は投信運用を続けてはいますが、私がなぜ投資信託の運用を主軸におかなくなったのか。その理由をこちらで話をしています。
>>なぜ私が投信運用に限界を感じたのか。多くの投資家が見逃している投信運用の弱点