数年前に「レバナス」というレバレッジを効かせた商品が非常に話題になって以降、レバレッジを効かせていないNASDAQ100に興味を持つ投資家が急増しています。
日興アセットマネジメントのインデックスファンドNASDAQ100(アメリカ株式)もその1つであり、今日は、このインデックスファンドNASDAQ100(アメリカ株式)について、徹底分析していきます。
「インデックスファンドNASDAQ100(アメリカ株式)って投資対象としてどうなの?」
「インデックスファンドNASDAQ100(アメリカ株式)って持ってて大丈夫なの?」
「インデックスファンドNASDAQ100(アメリカ株式)より良いファンドってある?」
といったことでお悩みの方は、この記事を最後まで読めば、悩みは解消すると思います。
インデックスファンドNASDAQ100(アメリカ株式)の基本情報
投資対象は?
インデックスファンドNASDAQ100(アメリカ株式)の投資対象は、米国の株式で、NASDAQ100に連動する投資成果を目指します。
NASDAQ100は米国のナスダック市場に上場している金融を除く銘柄のうち、流動性が高く時価総額の大きい約100銘柄で構成された株価指数です。指数の変動は大きいですが、これまでのパフォーマンスもかなり優れていることから投資家から人気の指数となっています。
業種別の構成比率をみると、半導体・半導体製造装置の比率が高くなっていますね。
※引用:マンスリーレポート
インデックスファンドNASDAQ100(アメリカ株式)の現在の組入銘柄数は101銘柄で構成されており、組入上位10銘柄は以下のようになっています。
※引用:マンスリーレポート
純資産総額は?
つづいて、インデックスファンドNASDAQ100(アメリカ株式)の純資産総額を見てみましょう。純資産総額というのは、あなたを含めた投資家から集めた資金の総額だと思ってください。
ファンドの純資産総額が小さいと、監査費用や印刷費用、その他諸経費が相対的に比率が高くなるので、実質コストが高くなりがちです。また会社としてもファンドの運用に人員を割けなくなるため、パフォーマンスが悪化する原因にもなります。
インデックスファンドNASDAQ100(アメリカ株式)の純資産総額は、現在約750億円です。設定以来、毎年着実に純資産総額を増やしており、人気ぶりがよくわかります。
※引用:マンスリーレポート
実質コストは?
投資信託を運用する際には、購入時手数料や信託報酬以外にも、実際にはコストがかかっています。具体的には、株式売買手数料や有価証券取引税、印刷費用などが該当します。
これを実質コストと言いますが、実質コストが信託報酬よりもかなり高くなっていることもありますので、必ず事前に確認しておいたほうがよいポイントです。
信託報酬を信用するな。知らないうちに差し引かれている実質コストの調べ方
インデックスファンドNASDAQ100(アメリカ株式)の実質コストは0.572%となっており、他のNASDAQ100に投資ができるインデックスファンドと比べると割高です。何より購入時手数料が3.3%かかってくる時点でいまいちですね。
購入時手数料 | 3.3%(税込)※上限 |
信託報酬 | 0.484%(税込) |
信託財産留保額 | なし |
実質コスト | 0.572%(概算値) |
※引用:最新運用報告書
「ファンドの運用で成果を出すために一番大事なことは何ですか?」と聞かれてあなたは何と答えますか?
もし『ファンド選び』だと思ったとしたら、あなたはドツボに
はまっていますので、こちらの記事を読んでみてください。
インデックスファンドNASDAQ100(アメリカ株式)の評価分析
基準価額をどう見る?
インデックスファンドNASDAQ100(アメリカ株式)の基準価額を見てみましょう。
2022年は下落しましたが、2023年に入り、大きく上昇しています。
※引用:ウエルスアドバイザー
利回りはどれくらい?
それでは、インデックスファンドNASDAQ100(アメリカ株式)の運用実績を見ていきます。
直近1年間の利回りは36.22%となっています。3年平均利回りも20%を超えており、かなり優秀な利回りだと予想ができます。
ただし、この時点で良し悪しを判断するのは時期尚早です。他の類似ファンドとパフォーマンスを比較してから投資判断するようにしましょう。
平均利回り | |
1年 | +36.22% |
3年 | +22.55% |
5年 | ー |
10年 | ー |
※2023年10月時点
10年間高いパフォーマンスを出し続けている優秀なファンド達も参考にしてみてください。
10年間圧倒的に高いリターンを出している国内中小型株式ファンドランキング
同カテゴリー内での利回りランキングは?
インデックスファンドNASDAQ100(アメリカ株式)は、国際株式・北米カテゴリーに属しています。
投資をするのであれば、同カテゴリーでも優秀なパフォーマンスのファンドに投資をすべきなので、同カテゴリー内でもパフォーマンスのランキングは事前に調べておいて損はありません。
利回りが良く見えても、実は同カテゴリー内では、ランキングが低かったということがよくあります。
インデックスファンドNASDAQ100(アメリカ株式)は、直近1年は上位5%、3年も上位35%と優れた結果を残しています。
上位●% | |
1年 | 5% |
3年 | 35% |
5年 | ー |
10年 | ー |
※2023年10月時点
年別のパフォーマンスは?
インデックスファンドNASDAQ100(アメリカ株式)の年別の利回りを見てみましょう。
年別の運用利回りを見ることで、平均利回りを見るだけではわからない基準価額の変動の大きさを知ることができます。
NASDAQ100の値動きの大きさがよくわかる、年間利回りになっていますが、とにかくプラスにもマイナスにも値動きが大きいので、覚悟しておいてください。
年間利回り | |
2023年 | +45.87%(1-9月) |
2022年 | ▲23.24% |
2021年 | +42.68% |
※2023年10月時点
投信運用は長期投資が前提なので、つい出口戦略を考えずに投資をしてしまいがちです。
しかし、「投資は出口戦略にあり」と言われるほど、重要なテーマです。ぜひこれを機会に投資の出口戦略を考えてみてください。
>>ここまで考えるのが本当の資産運用。多くの投資家が考えられていない投信運用の出口戦略とはインデックスファンドとのパフォーマンス比較
インデックスファンドNASDAQ100(アメリカ株式)に投資をするかを考える上で、超低コストで投資ができるインデックスファンドとパフォーマンスの比較は必須です。
パフォーマンスが大きく劣るようであれば、わざわざ高いコストを支払ってまで投資をする価値がないからです。
そこで、今回は、インデックスファンドNASDAQ100(アメリカ株式)と北米株で構成されているeMAXIS Slim 米国株式(S&P500)とパフォーマンスを比較してみました。
※引用:ウエルスアドバイザー
直近3年間では、終始、eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)のほうが上回っています。また基準価額の変動の大きさもeMAXIS Slim 米国株式(S&P500)のほうが小さいので、安心して投資ができますね。
3年は少し期間としては短いですが、この期間では、より低コストで運用ができ、かつパフォーマンスも優れているeMAXIS Slim 米国株式(S&P500)のほうが良いと言えます。
年平均利回り | NASDAQ100 | slim 米国株式 |
1年 | +36.22% | +23.68% |
3年 | +22.55% | +23.72% |
5年 | ー | +15.80% |
10年 | ー | ー |
※2023年10月時点
類似ファンドとのパフォーマンス比較
インデックスファンドNASDAQ100(アメリカ株式)に投資をするかを検討するのであれば、アクティブファンドともパフォーマンスを比較しておきましょう。
投資信託は6000本以上ありますので、もっと優れたファンドが見つかるかもしれません。
今回は、北米ファンドで何度も優秀ファンド賞を受賞をしたことがあるアライアンス・バーンスタインの米国成長株投信Bコースと比較をしてみました。
※引用:ウエルスアドバイザー
直近3年間では、2022年頃まで、かなり互角のパフォーマンスでしたが、2023年に入り、インデックスファンドNASDAQ100(アメリカ株式)がパフォーマンスで差を拡げています。
年平均利回り | NASDAQ100 | 米国成長株投信 |
1年 | +36.22% | +25.71% |
3年 | +22.55% | +18.31% |
5年 | ー | +16.72% |
10年 | ー | +18.21% |
※2023年10月時点
最大下落率は?
投資信託は最低でも5~10年は投資をする気でなければ、投資をする意味がありませんが、その最大の障壁となりえるのが、資産の減少です。
特に20%や30%の下落相場を始めて経験すると、資産の減少額に耐えきれなくなり、本来手放すべきタイミングではないときに慌てて売却してしまいがちです。
そのため、事前にどの程度下落する可能性があるのかを知っておくことで、急落相場に遭遇しても、精神的に余裕を持って投資を続けられます。
それでは、インデックスファンドNASDAQ100(アメリカ株式)の最大下落率を調べてみましょう。
期間 | 下落率 |
1カ月 | ▲12.04% |
3カ月 | ▲13.56% |
6カ月 | ▲15.91% |
12カ月 | ▲23.24% |
※2023年10月時点
インデックスファンドNASDAQ100(アメリカ株式)の最大下落率は2022年1月~2022年12月で▲23.24%となっています。繰り返しになりますが、NASDAQ100は通常の株式ファンドよりもかなり値動きが激しいので、値動きに耐える覚悟を持って投資をしてください。
最大下落率を知ってしまうと、少し足が止まってしまうかもしれません。しかし、以下のことをしっかり理解しておけば、元本割れの可能性を
限りなく低くすることが可能です。
評判はどう?
インデックスファンドNASDAQ100(アメリカ株式)の評判を確認する上で、毎月の資金の流出入が役立ちます。
資金流入が多くなっていれば、人気が出てきているファンドであるとわかりますし、流出が続いているようであれば、評判が悪くなっているファンドと言えます。
それでは、インデックスファンドNASDAQ100(アメリカ株式)の評判を見てみましょう。
順調に資産を増やしてきましたが、2023年に入って、大きく転出超過の月が出てきています。大きなリターンを期待している投資家が多いからこそ、調子が悪いとすぐに解約する投資家が一定数いるためですね。ただ、総じて評判は良いと言えます。
※引用:ウエルスアドバイザー
NISAとiDeCoの対応状況は?
投資をしようとする際、NISAやiDeCoの制度を使って投資を検討している人も多いと思うので、NISAやiDeCoの対応状況を見ていきます。
インデックスファンドNASDAQ100(アメリカ株式)はNISAのみ取り扱いがありますので、投資をする場合は積極的にこの制度を活用していきましょう。
NISA | iDeCo |
〇 | × |
※2023年10月時点
インデックスファンドNASDAQ100(アメリカ株式)の評価まとめと今後の見通し
いかがでしょうか?
NASDAQ100は値動きの大きさだけが難点ですが、それ以外を考えれば、かなり優秀な指数です。そのため、S&P500やNYダウと同じく投資するに値する指数だと思います。
実際、インデックスファンドNASDAQ100(アメリカ株式)は利回りでも、eMAXIS Slim米国株式(S&P500)に大きく差をつけられておらず、長期でみれば、インデックスファンドNASDAQ100(アメリカ株式)のほうがパフォーマンスで上回る時期も出てくるでしょう。
ただ、コストと言う観点では、他のインデックスファンドと比べて、割高となっており、かつNASDAQ100に投資ができるインデックスファンドの中には、信託報酬が0.20%台で投資ができるファンドもありますので、他の商品の取り扱いがあるのであれば、あえてインデックスファンドNASDAQ100(アメリカ株式)に投資をするメリットはないと思います。
とはいえ、インデックスファンドNASDAQ100(アメリカ株式)しか取り扱いがないのであれば、インデックスファンドNASDAQ100(アメリカ株式)でも十分だと思います。
繰り返しになりますが、とにかく値動きが激しいので、値動きに耐える覚悟だけはもって投資をするようにしてください。
最後に、投信運用には多くのメリットもありますが、当然ながら、弱点もあります。
今も私は投信運用を続けてはいますが、私がなぜ投資信託の運用を主軸におかなくなったのか。その理由をこちらで話をしています。
>>私が痛感する投資信託の限界。多くの投資家が見逃している投信運用の弱点